迷い子の月下美人

エウラ

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2 初めましてのSランク冒険者 1

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そうして迷宮に籠もること3日目。

この迷宮は上級者向けで、探索許可が下りるのは最低でもBランクから。
ソレもパーティーでのアタック推奨なので、本来なら俺がソロで潜っているのは余り褒められた事ではないんだが、Aランク冒険者な上に最下層のボスをソロで何度も倒している実績があるのでギルドからは逆に素材収集を頼まれる。

傷心の八つ当たりで魔物を倒しまくっているせいでなかなか先に進まないが、素材収集も兼ねているので気にしない。

ギルドからの件もあるし、どうせ独りだ。
急いで帰っても誰も待ってやしない。
気の済むまで籠もるつもりだ。
インベントリに大概のモノは入ってるし。


迷宮内の魔物は倒すと勝手にドロップアイテムになって、一定時間が過ぎると迷宮に吸収されて消えてしまう謎仕様。
解体の手間が省けるので重宝だが、ドロップするモノはランダムでその都度変わったりするので狙ったアイテムが出るまで倒す必要がある。

まさしく運試しだ。

幸いなことに今日は欲しい素材が一定数ドロップしてくれたので、今日は早めにこの階層のセーフティエリアで一泊する事にした。

テントをインベントリから出して、食事の用意をする。
まあある程度は事前に作ってインベントリに入れてるから、スープくらいか。

竈に火を入れて鍋に水魔法で水を入れ、ザク切りした野菜とドロップしたオークの肉を角切りにして加えてアクを取り、コンソメの素を加えて蓋をずらして乗せてコトコト煮込む。

その間にテント内でポーション類を作ってしまおう。

俺は錬金術師でもあるので、普通の、一般的な薬師のポーション作りとは異なる方法で調薬をする。
爺さんには普通の作り方もきっちり教わったし、そのやり方でもそこら辺の薬師よりかは性能が高い。
だがそれだとごく普通の薬師が干されてしまって困るというので、俺はもっぱら錬金術での調薬にしている。
そしてそれを冒険者ギルドに卸しているのだ。

販売経路の棲み分けだな。
店でもポーション類を販売しているが、ギルドに卸しているのと同じモノだ。

一般的な調薬のポーション類は絶対に置かない。
それが爺さんが生前薬師ギルドと取り交わした契約だ。
無用な軋轢を生まないための・・・。

だから俺もそれを頑なに守っている訳で。

だからといって作ることは禁止されていないので当然調薬はする。
売らないだけだ。

おいコラそこ、屁理屈と言うな。

そういった理由で、薬師ギルドでも俺のポーション類は置いてない。
カンペキな棲み分けだ。

・・・別にハブられている訳では、ない・・・はず。
・・・・・・違うよな?

え、もしかしてガチでハブられているのか?
いやいやまてまて!
でもそれだと今まで遠巻きにされたり独りだったのって説明がつきそ・・・・・・ええ?!

なんてぐるぐる思考が堂々巡りしていたせいで結局ポーション作りは出来ず、ハッとして竈のスープの存在を思い出して慌ててテントから出たら・・・・・・。

「やあ、こんにちは」
「---へ?」

俺んちの竈の前に腰を下ろしてに和やかにスープをかき混ぜる美丈夫がいた。


---いや、誰?

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