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第六章 運命を壊す者
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城の中に入ると、王女は上に吊り下げられた大きな氷の結晶を見上げた。
「どうかしましたか?」
「いえ、何でもないわ。行きましょう」
護衛達と共に奥の部屋へ向かった。
「長達の了承を取り付けたわよ!」
バンッとノックも無しに、王女は扉を開け放った。
中には、ちょうど魔王、勇者ラリエス、女騎士キャスがいた。のんびりお茶を飲んでいた様だ。
「早かったですね。長旅お疲れ様でした。お茶でも飲んで身体を温めてください」
ラリエスが、部屋に入ってきた一同に和やかに声をかけ、その後「白、早く準備しなさい」と魔王に命令していた。
相変わらず命令するのが得意な男だ。ラリエスの事を心の中でそう評しながら、王女は空いてるソファに座った。そんな王女を、先程から魔王がジッと見つめている。
「何?」
彼も私に文句があるのかと、ついイラついてしまう。そんな彼女に魔王から驚くべき言葉が返って来た。
「其方は…王女の方だな」
「…!」
王女は驚きに目を見開く。彼女の従属さえ分からなかったのに。側にいたラリエスやキャスも驚き王女を見つめた。
「何故わかったの?」
「…懐かしい気配だ。やっと帰って来たのだな」
「……」
「長い旅、ご苦労だった」
魔王の言葉に、みるみる王女の顔が歪んだ。
「…ただいま」
◇◇◇
今の太陽の中身が王女だと聞いた女騎士のキャスが、泣きながら太陽に抱きついた。それをラリエスが慌てて引き剥がそうとして、キャスに怒られて、それを見た王女が泣きながら笑った。
その様子を、ルース、空、悪男はソファから離れた、扉に近い場所から見ていた。
「大丈夫か?ルース」
「どうしていいかわからないよ」
心配そうに声をかけてきた空に、ルースは肩をすくめた。
やっと太陽が心から探し求めていた相手だと気づいた矢先に、彼の人格は変わってしまった。正直ルースは今どうしていいか、わからない。ただ、それは従属の空だって、そうだろう。
あんなに大事にしていた主が別人格になったと思ったら、それが前の主だったのだから。
「君こそ大丈夫?」
ルースの心配通り、空は複雑そうな表情を浮かべた。
「オレも分からん」
「ソラが音をあげるなんて珍しいね」
「オレにも分からん事はある」
「ルース兄貴もソラ兄貴も何言ってんだよ。セーヤが戻って来なかったらどうすんだよ」
側にいた悪男はむくれて不満そうだ。
「僕だって本音を言えば嫌だよ。でも…あれ見てよ」
ルースの視線の先では、キャス、ラリエス、魔王に囲まれて楽しそうに笑う王女の姿があった。さっきのエルフの館にいた時のピリピリした様子は微塵も無かった。
500年前に彼女がこの世界を救うと決意して異世界に行かなければ、きっとこの世界はもっと早くに壊れていたに違いない。そもそも、太陽自身ともきっと出会えなかっただろう。
それを考えるとただ責めるだけではいけない。そう思い知らされた。
「なら、どうすんだよ、セーヤの事あきらめんの?」
「まさか」
ルースが顔を振った。その瞳には失望や絶望は無かった。
「何か方法はきっとある筈だよ。それを探そう」
「どうかしましたか?」
「いえ、何でもないわ。行きましょう」
護衛達と共に奥の部屋へ向かった。
「長達の了承を取り付けたわよ!」
バンッとノックも無しに、王女は扉を開け放った。
中には、ちょうど魔王、勇者ラリエス、女騎士キャスがいた。のんびりお茶を飲んでいた様だ。
「早かったですね。長旅お疲れ様でした。お茶でも飲んで身体を温めてください」
ラリエスが、部屋に入ってきた一同に和やかに声をかけ、その後「白、早く準備しなさい」と魔王に命令していた。
相変わらず命令するのが得意な男だ。ラリエスの事を心の中でそう評しながら、王女は空いてるソファに座った。そんな王女を、先程から魔王がジッと見つめている。
「何?」
彼も私に文句があるのかと、ついイラついてしまう。そんな彼女に魔王から驚くべき言葉が返って来た。
「其方は…王女の方だな」
「…!」
王女は驚きに目を見開く。彼女の従属さえ分からなかったのに。側にいたラリエスやキャスも驚き王女を見つめた。
「何故わかったの?」
「…懐かしい気配だ。やっと帰って来たのだな」
「……」
「長い旅、ご苦労だった」
魔王の言葉に、みるみる王女の顔が歪んだ。
「…ただいま」
◇◇◇
今の太陽の中身が王女だと聞いた女騎士のキャスが、泣きながら太陽に抱きついた。それをラリエスが慌てて引き剥がそうとして、キャスに怒られて、それを見た王女が泣きながら笑った。
その様子を、ルース、空、悪男はソファから離れた、扉に近い場所から見ていた。
「大丈夫か?ルース」
「どうしていいかわからないよ」
心配そうに声をかけてきた空に、ルースは肩をすくめた。
やっと太陽が心から探し求めていた相手だと気づいた矢先に、彼の人格は変わってしまった。正直ルースは今どうしていいか、わからない。ただ、それは従属の空だって、そうだろう。
あんなに大事にしていた主が別人格になったと思ったら、それが前の主だったのだから。
「君こそ大丈夫?」
ルースの心配通り、空は複雑そうな表情を浮かべた。
「オレも分からん」
「ソラが音をあげるなんて珍しいね」
「オレにも分からん事はある」
「ルース兄貴もソラ兄貴も何言ってんだよ。セーヤが戻って来なかったらどうすんだよ」
側にいた悪男はむくれて不満そうだ。
「僕だって本音を言えば嫌だよ。でも…あれ見てよ」
ルースの視線の先では、キャス、ラリエス、魔王に囲まれて楽しそうに笑う王女の姿があった。さっきのエルフの館にいた時のピリピリした様子は微塵も無かった。
500年前に彼女がこの世界を救うと決意して異世界に行かなければ、きっとこの世界はもっと早くに壊れていたに違いない。そもそも、太陽自身ともきっと出会えなかっただろう。
それを考えるとただ責めるだけではいけない。そう思い知らされた。
「なら、どうすんだよ、セーヤの事あきらめんの?」
「まさか」
ルースが顔を振った。その瞳には失望や絶望は無かった。
「何か方法はきっとある筈だよ。それを探そう」
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