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第一章 銀狼は青に還りて
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「あ、やめて、頼む」
男なのに。そんなとこ舐められて反応するとかありえない。というか、これではまるでー。
息が荒くなりそうになるのを必死に押さえながら獣を見ると。
その目はジッと太陽を見ていた。そのまま見せつける様に太陽の感じる場所をじっくりと舐めて見せた。
その挑発するような仕草に。受ける刺激にゾクゾクと快感が込み上げてくる。
これではまるで獣に愛撫されているかの様ではないかー。
獣がニヤッと笑った気がした。
そのまま身体全体で太陽を押さえつけたまま、身を伸ばしてくる。
獣の顔が近づいて来たと思ったら、口に獣の舌が入って来た。そのまま口内を舌で舐め回される。
俺、今獣にキスされてるー?
ありえない状況と、先程から与えられる刺激で太陽はもうこれか夢なのか現実なのかわからなかった。
ただ言えるのは、今こうやって大人しく獣を受け入れている間は殺す気はないのだとわかった。だから大人しくただただ獣の愛撫を受け入れた。
時間にして数分か数十分か。
獣の舌に翻弄され息がうまく出来ず、太陽がぐったりした頃、獣が太陽の上から離れた。
側にドサドサと何かが置かれた。
ぐったりした状態で横を見ると、沢山の木の実やキノコ。小さな動物が置かれていた。
「これ食糧?俺に?」
獣が身を乗り出して、ペロリと太陽の頬を舐めて来た。まるで、沢山食べろと言っている様だった。
太陽を見つめるその目は、気のせいか濁りが薄まってる様な気がした。
「食糧…ありがとう」
太陽がお礼を言うと、獣は満足そうに鼻を鳴らして林の向こうへ消えて行った。
これはどういう状況だろう。
獣に追われ、襲われ、食糧を提供してくれた。これって。
未だに現状が受け止められず呆然と座り込んでいたところに、ルースが帰って来た。
「セーヤ!どうしたの?何があったの?」
ズタボロになった服は布切れ状態。本人は呆然と地べたに座り込んでいる。何かあった事は一目瞭然だろう。
「あ、ルースさん。お帰りなさい」
「ただいま。そんな事よりその格好はどうしたの?」
「あぁ、これ?弓の練習をしていたら昨日の獣がやって来て…」
「襲われたのかい!?」
襲われた。あれは襲われたと言えるかもしれない性的に。
でも!とてもじゃないがルースには言えない!人としても男としても!
弓で撃退できたのかい?怪我が無くて本当に良かった!と勝手にルースが勘違いしてくれたので、太陽はそのままにした。
「とりあえず中に入ろうか、うん?」
ルースが太陽を起こしながら、側に落ちていた食糧に気づいた。
あの獣が置いて行った事を話すと、うーんとルースが悩み始める。
「魔獣が食糧をくれたの?そんな話は聞いた事ないなぁ」
とりあえず中に入ろうかと促され、一旦木の実やキノコ、動物などの食糧はルースと一緒に小屋内へ運んだ。
「ちなみに昨日の獣というと濁った目をした奴だよね?」
「そうです」
「目の色がだんだん黒く濁って元の色が無くなるのは、魔王の瘴気を受けて闇堕ちした場合の特徴なんだよ。正気を失ってるから普通は人間を見たら襲うんだけどな」
「瘴気?」
初めて聞く言葉だった。
男なのに。そんなとこ舐められて反応するとかありえない。というか、これではまるでー。
息が荒くなりそうになるのを必死に押さえながら獣を見ると。
その目はジッと太陽を見ていた。そのまま見せつける様に太陽の感じる場所をじっくりと舐めて見せた。
その挑発するような仕草に。受ける刺激にゾクゾクと快感が込み上げてくる。
これではまるで獣に愛撫されているかの様ではないかー。
獣がニヤッと笑った気がした。
そのまま身体全体で太陽を押さえつけたまま、身を伸ばしてくる。
獣の顔が近づいて来たと思ったら、口に獣の舌が入って来た。そのまま口内を舌で舐め回される。
俺、今獣にキスされてるー?
ありえない状況と、先程から与えられる刺激で太陽はもうこれか夢なのか現実なのかわからなかった。
ただ言えるのは、今こうやって大人しく獣を受け入れている間は殺す気はないのだとわかった。だから大人しくただただ獣の愛撫を受け入れた。
時間にして数分か数十分か。
獣の舌に翻弄され息がうまく出来ず、太陽がぐったりした頃、獣が太陽の上から離れた。
側にドサドサと何かが置かれた。
ぐったりした状態で横を見ると、沢山の木の実やキノコ。小さな動物が置かれていた。
「これ食糧?俺に?」
獣が身を乗り出して、ペロリと太陽の頬を舐めて来た。まるで、沢山食べろと言っている様だった。
太陽を見つめるその目は、気のせいか濁りが薄まってる様な気がした。
「食糧…ありがとう」
太陽がお礼を言うと、獣は満足そうに鼻を鳴らして林の向こうへ消えて行った。
これはどういう状況だろう。
獣に追われ、襲われ、食糧を提供してくれた。これって。
未だに現状が受け止められず呆然と座り込んでいたところに、ルースが帰って来た。
「セーヤ!どうしたの?何があったの?」
ズタボロになった服は布切れ状態。本人は呆然と地べたに座り込んでいる。何かあった事は一目瞭然だろう。
「あ、ルースさん。お帰りなさい」
「ただいま。そんな事よりその格好はどうしたの?」
「あぁ、これ?弓の練習をしていたら昨日の獣がやって来て…」
「襲われたのかい!?」
襲われた。あれは襲われたと言えるかもしれない性的に。
でも!とてもじゃないがルースには言えない!人としても男としても!
弓で撃退できたのかい?怪我が無くて本当に良かった!と勝手にルースが勘違いしてくれたので、太陽はそのままにした。
「とりあえず中に入ろうか、うん?」
ルースが太陽を起こしながら、側に落ちていた食糧に気づいた。
あの獣が置いて行った事を話すと、うーんとルースが悩み始める。
「魔獣が食糧をくれたの?そんな話は聞いた事ないなぁ」
とりあえず中に入ろうかと促され、一旦木の実やキノコ、動物などの食糧はルースと一緒に小屋内へ運んだ。
「ちなみに昨日の獣というと濁った目をした奴だよね?」
「そうです」
「目の色がだんだん黒く濁って元の色が無くなるのは、魔王の瘴気を受けて闇堕ちした場合の特徴なんだよ。正気を失ってるから普通は人間を見たら襲うんだけどな」
「瘴気?」
初めて聞く言葉だった。
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