私の居場所

まめ

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押し花

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押し花を手に取り、ゆっくりと立ち上がりながらテーブルに向かった

これが私の知ってるあの花と同じでありますように

テーブルに辿り着く前にノックがされた
「アリシラ様、入りますよぉ」
返事も待たずにヘルゼが入ってきた
「足はまだ痛む?」
「…大丈夫」
「あら、それってルイーズ爺の所に咲いてた花?」
「う、うん…」
「ちょっとぉ、アリー、その花綺麗だけど毒があるのよ。間違って口にでも入ったらえらい事だから、折角の押し花だけど、処分しておくわ。ほら」
そう言って押し花を取り上げた
「確かに花言葉は陶酔って今の貴女にピッタリだけどね。ドミオール様の顔を見る貴方の目。だけど、これからはこの花を見つけても採ってきたりしたら駄目よ」
「…うん」
アリーはどうすれば良いか落ち着かなくなった

「アリー、まだ心配してるの?大丈夫って言ったでしょう。さあ、ほら、足が辛いなら車椅子を出してあげる。ドミオール様が待ってるよ」

そうして車椅子に乗せられ庭園に戻ることになった
ヨシュアが居るかもしれないとアリーは怯えたまま…


車椅子で庭園に戻り人の輪からドミオールがこちらへ向かって来た
「アリー、大丈夫か?」
「うん」
少し元気の無いアリーを見てドミオールは疲れたのだと思い、皆に他領から取り寄せた酒を手土産に持たせ、早々とお開きにした

数人の領民は大袈裟な荷車に荷物を乗せ他の者とは別な道を帰って行った



その晩新婚初夜を迎える二人は夫婦の寝室に居た
お互い照れ臭さもあり、さっきから黙ったまま
アリーにはヨシュアの事が気がかりでもあった
先に口を開いたのはドミオールだった
「アリー、ヘルゼから聞いた。母を手に掛けた男が紛れ込んでいたかもしれないと。それに君が怯えていると」
「ドミー…」
「式の後、皆に手配書を配っておいた。皆領地に踏み入れることさえ無いよう協力してくれると言ってくれた。だから、心配しなくて良い。私を信じてくれないか?」
「ドミー…、私、私ね…」
「何も言わなくても良い。君はここで私と家族になったんだ。これからはお互いを信じて愛しみ穏やかに暮らしていこう」
「ドミー…、………私の、宝石箱を持って来てくれる?」
「今か?」
「うん」
アリーに頼まれ、チェストの上に置かれた箱を持ってきた
「ドミーこれだけは聞いて。今までの私は一人だった。でも今はドミーや皆が居る…。これを貴方に渡すね」
箱から金のペンダントを取り出して見せた
「これ…私が向こうに戻るのには必要なの。でも、もうこれは要らない。とても危険な物だから、他の人の手に渡らないように処分して欲しい」
中の布で包みドミオールに手渡した
「…本当に良いのか?」
アリーは頷いた
「………ではナックにでも伝え、遠く人の目につかないところにでも捨ててきて貰おう。アリー、ありがとう」
「ドミー…、ずっと一緒に居てね」
「ああ、勿論だ」

二人はどちらとも無く口付け始めた
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