私の居場所

アリーの傷

アリーが怪我をしたので滞在期間が延びること、ヘルゼを至急こちらへ向かわせるよう伝達を走らせた

アリーの傷は刃物によるものだった

母親があの時何か言い呼び出したのだろう
そして傷を負って戻ってきた
考えるも無く母親の仕業だ

港町は隣の領地の管轄だ
自身の領地なら勝手が効くが、他家の領地ではそうはいかない
先ずはアリーが目覚めるのを待つ事にした

怪我による高熱でアリーは三日間苦しんでいた
ドミオールは側を離れず寝ずの看病をした

日が登り始め外が明るくなり出した頃薄っすらとアリーが目を開けた

「アリー、分かるか？」
熱が下がりぼんやりとした顔でドミオールの顔を見た
「ドミオール、…さま…？」
「ああ、私だ。熱が下がったところだ、もう少し眠るといい」
「…はい」
目を閉じ静かな寝息を立て始めた
その姿を見て少し安心したのか、ドミオールも瞼を閉じた


「領主様、ドミオール様…」
目を覚ますとヘルゼと屋敷で下働きをしているナックが居た
「ああ、ヘルゼか。すまない、こんな所まで…」
「いえ、遅くなりました。アリーさんの様子は…？」
「…少し外で話そう」


ドミオールは事の成り行きを話した

「……そうですか。分かりました。ここは私達に任せて、領地へお戻り下さい。アリー様が回復次第責任を持ってお連れします」
「いや、だが、アリーが目を覚ました時、側に居てやりたい」
「…かしこまりました。私達はこちらの宿の手配を。それで、大奥様のことはどのように？」
「アリーから事情を聞けるようになったら、私から母を訪ねよう」
「では、大奥様の滞在先をお調べしておきましょう。ナック、そういう訳だから、貴方は大奥様の滞在先を調べて報告を、私は宿の手配が済んだら、アリーさんに必要な物を揃えてくるわ」

昼過ぎになりアリーが目覚めた

「私、一体…」
「アリー、身体はもう大丈夫か？」
「ドミオール様、ここは？」
「ああ、港町にある治療院だ。怪我をして血が止まらずこちらへ連れてきた」
「…ああ、私…、ドミオール様、お願いです、領地へ領地の皆の所へ…」
「怪我の回復を待ってからでは無いと移動は無理だ。もう少し辛抱してくれ」
怯えるように懇願してくるアリーの手を握ってやり、安心させてやろうとした
「あの人が、あの人に…、怖い、助けて、助けて下さい」
アリーは泣きながら震えていた
「目覚めたばかりだが…、アリー何があった？」
「ドミオールさま…助けて…」
そう言うと恐怖からなのかアリーは再び気をを失った
「アリー…」
いかほどの事があったのだろう
気を失う程だ
母を見つけあちらから聞かなければ
何が有ったにせよ、大怪我を負わせ気を失う程の恐怖を与えたのだ、決して簡単には済ませまいと誓った


何が有ったかは触れないようにし、少しずつ回復を待った
だが、いよいよ領地での仕事に支障をきたし始めドミオールは焦った
その事を察し看病に付き添っていたヘルゼが言った
「ご心配なのは分かります。ですが移動はまだ無理です。戻れる程になりましたら、お知らせしますので、またお迎えに来られてはいかがです？それと、怪我をされた時のことも、それと無く私が聞いておきます。一旦お戻り下さいませ」
そんな話し合いをしている時、ナックが息を切らせながら、やって来た

「大奥様がっ、従者と思われる男に… 


ドミオールとヘルゼは言葉を失った………