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代役の降板
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姉が目を覚まし落ち着いた頃、警察の事情聴取が行われた
姉はほとんど記憶が無いらしい
捜査は難航するだろうとのことだった
警察の配慮で行方不明だった姉が戻ってきたことは報道され無かった
「美智子、疲れたでしょう?」
「ええ。…お母さん、心配掛けてごめんなさい」
「良いのよ、あなたが生きて帰って来てくれただけで」
「…はるか、ごめんね。和也のことも…」
家に戻り姉がしたのは謝罪だった
何に対してだろう?
自分の代わりに和兄と居たことだろうか?
姉は私と和兄の関係を知らない筈
なのに私に和兄のことまで謝る
中学生の頃まで私は姉が大好きだった
だが、彼氏として和兄を家に連れて来た頃から、段々姉が疎ましくなった
姉を取られた嫉妬の裏返しかと初めは思ったが、和兄への気持ちを自覚してから違うのだと分かった
姉が突然居なくなった時心配よりも和兄を一人にする姉を恨んだ程だ
そんな姉からの謝罪
素直には受け取れ無かった
高校の帰り、和兄の家に寄った
いつものように中に入れてくれると思っていたが、玄関ドアの所で和兄に言われた
「…はるか、その…もう、ここへは来ないで欲しい」
「………お姉ちゃんの為?」
「……、はるかには悪いことをしたと思ってる」
「悪い事って何?お姉ちゃんの代わりにセックスしたこと?」
「お、おい、はるか…」
「本当のことじゃない!お姉ちゃんにバレたら困るから?……残念だね、和兄、お姉ちゃん、誰の子か知らないけど妊娠してるよ。誘拐とかじゃなくて、駆け落ちして捨てられたのかもね」
クズな和兄への意趣返しのつもりだった
まさかその言葉が自分を更に惨めにするとは思って無かった
「はるか、帰ったの?」
「うん」
「なるべくお姉ちゃんの側に居てあげて。何も思い出せ無くて辛そうだから…」
「…分かった」
妹の私が遅く帰ってもお母さんは心配もしない
お姉ちゃんは帰ってきても心配してもらえるのに
コンコンコン
「お姉ちゃん、入ってもいい?」
「いいよ」
居なくなる前と変わらない部屋のベッドで半身を起こしながら窓の外を遠く眺めていた
「…お姉ちゃん、聞いてもいい?」
「うん」
「どこまで覚えてる?」
「………少しずつで良い?」
「…うん」
少しの沈黙の後、居なくなってからの覚えてることを言葉を選びながら教えてくれた
警察にもお母さんにも覚えて無いと言ったが、家の前に居た筈なのに、気が付いたら見知らぬ外国らしい街に居たこと、携帯も繋がらず途方にくれてたことを話してくれた
誘拐などでは無かったと確信してるように言った
お姉ちゃんは嘘を付くと直ぐに分かる
理解出来ないこの話は嘘では無いことが分かった
「誰にも言わないで。きっと信じて貰えないから…」
黙って頷いてお姉ちゃんの手を握った
「…ご飯食べられそう?」
「…うん」
「下で皆で食べる?ここに持って来る?」
「………ここではるかと食べたい」
「分かった。お母さんに言ってくる」
二人で部屋でご飯を食べて、お姉ちゃんと一緒のベッドで寝た
お姉ちゃんは寝ながら泣いていた
姉はほとんど記憶が無いらしい
捜査は難航するだろうとのことだった
警察の配慮で行方不明だった姉が戻ってきたことは報道され無かった
「美智子、疲れたでしょう?」
「ええ。…お母さん、心配掛けてごめんなさい」
「良いのよ、あなたが生きて帰って来てくれただけで」
「…はるか、ごめんね。和也のことも…」
家に戻り姉がしたのは謝罪だった
何に対してだろう?
自分の代わりに和兄と居たことだろうか?
姉は私と和兄の関係を知らない筈
なのに私に和兄のことまで謝る
中学生の頃まで私は姉が大好きだった
だが、彼氏として和兄を家に連れて来た頃から、段々姉が疎ましくなった
姉を取られた嫉妬の裏返しかと初めは思ったが、和兄への気持ちを自覚してから違うのだと分かった
姉が突然居なくなった時心配よりも和兄を一人にする姉を恨んだ程だ
そんな姉からの謝罪
素直には受け取れ無かった
高校の帰り、和兄の家に寄った
いつものように中に入れてくれると思っていたが、玄関ドアの所で和兄に言われた
「…はるか、その…もう、ここへは来ないで欲しい」
「………お姉ちゃんの為?」
「……、はるかには悪いことをしたと思ってる」
「悪い事って何?お姉ちゃんの代わりにセックスしたこと?」
「お、おい、はるか…」
「本当のことじゃない!お姉ちゃんにバレたら困るから?……残念だね、和兄、お姉ちゃん、誰の子か知らないけど妊娠してるよ。誘拐とかじゃなくて、駆け落ちして捨てられたのかもね」
クズな和兄への意趣返しのつもりだった
まさかその言葉が自分を更に惨めにするとは思って無かった
「はるか、帰ったの?」
「うん」
「なるべくお姉ちゃんの側に居てあげて。何も思い出せ無くて辛そうだから…」
「…分かった」
妹の私が遅く帰ってもお母さんは心配もしない
お姉ちゃんは帰ってきても心配してもらえるのに
コンコンコン
「お姉ちゃん、入ってもいい?」
「いいよ」
居なくなる前と変わらない部屋のベッドで半身を起こしながら窓の外を遠く眺めていた
「…お姉ちゃん、聞いてもいい?」
「うん」
「どこまで覚えてる?」
「………少しずつで良い?」
「…うん」
少しの沈黙の後、居なくなってからの覚えてることを言葉を選びながら教えてくれた
警察にもお母さんにも覚えて無いと言ったが、家の前に居た筈なのに、気が付いたら見知らぬ外国らしい街に居たこと、携帯も繋がらず途方にくれてたことを話してくれた
誘拐などでは無かったと確信してるように言った
お姉ちゃんは嘘を付くと直ぐに分かる
理解出来ないこの話は嘘では無いことが分かった
「誰にも言わないで。きっと信じて貰えないから…」
黙って頷いてお姉ちゃんの手を握った
「…ご飯食べられそう?」
「…うん」
「下で皆で食べる?ここに持って来る?」
「………ここではるかと食べたい」
「分かった。お母さんに言ってくる」
二人で部屋でご飯を食べて、お姉ちゃんと一緒のベッドで寝た
お姉ちゃんは寝ながら泣いていた
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