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第一章 エトワール学園へようこそ

手紙

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 そのニュースは突然やってきた。


 詩織がイギリスへ留学してから何日たったころだろう。あの日、あの日も、詩織は僕に何かを伝えようとしていた。決意はかたまっていそうだったので、その内容を聞こうとしなかったこと、ちゃんといってらっしゃいと言えなかった事、それを悔やんだ日々もあった。


 ネットで話題になった第8位階魔法、それが意味することも理解できた。一歩踏み出した詩織は、特急列車に乗り込んだかのように僕の手の届かないところまで駆け上がっていったかのようで、うれしい反面、なんともいえない複雑な感情に支配されることもあった。



 でも・・・

 すべてがどうでもよくなった。



王立エトワール学園がテロの襲撃を受ける。被害者の中の日本人女性
詩織の名前があった。




 詩織が、、死んだ、、、?




 僕はそこから1歩も動けなかった。
 頭の中、詩織との記憶が駆け巡る。



 詩織が、死んだ。




 脳が全力で否定する。吐き気がする。ありえない。
 そんなことあるわけない。





数日後 ━━━


 イギリスから遺体が届いた。

 爆発に巻き込まれた遺体の破損は著しく

 DNA鑑定により、それは 日高詩織 で間違いないとのことだった。

 着ている衣類などの遺留品からも、それは 日高詩織 で間違いなかったらしい。

 葬儀が行われた。

 詩織は死んだんだ。



 その翌日、エアメールが届いた。

 詩織からだった。


 消印が事件の数日前になっていた。


 文字通り、天国からの手紙になっていた。




.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:




Dear 司くんへ

 
 元気にしてますか?
 
 私は元気だよっ。
 
 まずは何も言わずに留学しちゃって、驚かせたと思う。悲しませたと思う。
 
 ホントは司くんに相談しなきゃ、1番に話さなきゃってずっと想ってた。
 
 でもこの手紙で伝えることになっちゃって、ごめんなさい。


 私はあの日、司くんと約束したこと一生忘れない。

 でも司くんはどんどん先に進んでいってすごく不安だった。

 置いてかれているようで不安だった。

 気がつくと側にいないような、気がつくと他の誰かが司くんの隣に居そうな、そんな想いが消えなった。

 だから私は留学して魔法を勉強して、司くんの隣に立てるように、司くんを支えて上げれるくらい、魔法のことを勉強したかったの。


 3年間も待ってて、とはいいません。

 それでも3年後、日本にもどったときの私をちゃんと見てほしい。

 そのとき、返事を聞かせてください。

 私はあなたの隣で、一番近くで司くんの夢を応援してもいいかどうか。


 あとね、私また魔法つかえるようになったんだよ?

 司くんのお陰なんだよ?
 
 司くんがびっくりするくらいの魔法使いになってるからねっ!


 また時折手紙書くね。


 かしこ


追伸・・・司くんも返事書いてくれるとうれしいな。




.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:




「お願いだよ、、詩織、、僕の側に、立ってよ、、、」

「一番、、近くに、、立っておくれよ、、、」


溢れ出る涙を止めようがなかった。


「返事はさ、どこへ、、どこへ、書けばいいの?、、詩織」

「お願いだ、、帰ってきてくれ、、もうどこにも、、行かないでくれ、、、」




青いマントに身を包んだ

異国の空の下

笑顔で写真に納まる。
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