86 / 221
6:思いもよらぬ接点
6-8
しおりを挟む
「ところで…学校生活の方はどうだい?楽しんでるかい?」
重い話題から切り替えるように朝霧の父が話を振ってくる。
「まあ…。普通です」
「普通…」
「………」
(そ…それで終わりっ!?会話終わっちゃったじゃん!)
朝霧の足元にいた実琴は、その相変わらず無表情な横顔を見上げた。
そんな対応に朝霧父も苦笑いを浮かべながらも根気良く話を振り続ける。
「まぁ『普通』って大事だよね。普通に学校生活を送れるのは良いことだよ。伊織くんは勉強も頑張ってるみたいだし。充実してるって意味かな」
そこまで言った所で、それを聞いていた千代が横から口を挟んだ。
「坊ちゃまは一年生を首席で終えていますものね。とてもご立派ですわ」
「そうか。それはまた凄いね」
「…たまたまですよ」
(うわ…昨年の学年首席って朝霧だったんだ?…知らなかった…)
実琴は珍しいものを見るように、朝霧を見上げた。
「勉強も勿論だけど、学校生活で得るものって沢山あるからね。学生のうちに色々なことに挑戦したり、エンジョイして欲しいなぁ」
「…エンジョイ…ね」
朝霧は思わずフッ…と息を吐くように笑う。
(あ…。今の朝霧、ちょっとブラック入ってる…)
実琴は、その冷たい笑顔に顔を引きつらせた。
だが、父親はその変化には気付いていないようだ。
「そう言えば、伊織くんってさ…」
「………?」
重い話題から切り替えるように朝霧の父が話を振ってくる。
「まあ…。普通です」
「普通…」
「………」
(そ…それで終わりっ!?会話終わっちゃったじゃん!)
朝霧の足元にいた実琴は、その相変わらず無表情な横顔を見上げた。
そんな対応に朝霧父も苦笑いを浮かべながらも根気良く話を振り続ける。
「まぁ『普通』って大事だよね。普通に学校生活を送れるのは良いことだよ。伊織くんは勉強も頑張ってるみたいだし。充実してるって意味かな」
そこまで言った所で、それを聞いていた千代が横から口を挟んだ。
「坊ちゃまは一年生を首席で終えていますものね。とてもご立派ですわ」
「そうか。それはまた凄いね」
「…たまたまですよ」
(うわ…昨年の学年首席って朝霧だったんだ?…知らなかった…)
実琴は珍しいものを見るように、朝霧を見上げた。
「勉強も勿論だけど、学校生活で得るものって沢山あるからね。学生のうちに色々なことに挑戦したり、エンジョイして欲しいなぁ」
「…エンジョイ…ね」
朝霧は思わずフッ…と息を吐くように笑う。
(あ…。今の朝霧、ちょっとブラック入ってる…)
実琴は、その冷たい笑顔に顔を引きつらせた。
だが、父親はその変化には気付いていないようだ。
「そう言えば、伊織くんってさ…」
「………?」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
彼氏と親友が思っていた以上に深い仲になっていたようなので縁を切ったら、彼らは別の縁を見つけたようです
珠宮さくら
青春
親の転勤で、引っ越しばかりをしていた佐久間凛。でも、高校の間は転校することはないと約束してくれていたこともあり、凛は友達を作って親友も作り、更には彼氏を作って青春を謳歌していた。
それが、再び転勤することになったと父に言われて現状を見つめるいいきっかけになるとは、凛自身も思ってもいなかった。
全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―
入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。
遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。
本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。
優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる