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トライアングル編
4.NEVER ENDS ※R18
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沖合いに停泊するクルーズ船の甲板で、大河は頭の後ろで組んだ腕を枕にして寝転び、心地良さそうに昼寝をしていた。
空は高く、雲ひとつない天色がどこまでも広がる。
頭のすぐそばにある手摺りの向こうは、緩やかに波打つ深い青。
ここは地中海、東京から約一万四千キロメートル離れた空の下。
大河は同じ音楽レーベル所属の三宅真音がリリースする新曲のMV撮影のために渡欧して、数日間海外に滞在していた。
海上のクルーズ船で爽やかに真音が歌う映像に、バンドメンバーとして大河も出演してほしいというオファーを受けての仕事である。
真音はレーベル主催のボーカリストオーディションで審査員特別賞を勝ち取り、ソロデビューを果たして二年目になる後輩だ。
大河は真音のデビュー曲からサポートメンバーを務めていて、レコーディングやライブに参加していた。
あくまで仕事として交流が始まったが、四つ歳下の真音は人懐こく、大河の演奏を気に入って、スケジュールが合えば優先的に呼ばれている。
デビュー当時から注目されていた真音だからか、海外でMVの撮影なんてさせてもらえるという待遇に、大河は同じレーベル所属でありながら己との扱いの差を何とも思わないわけではなかった。
とは言え、自身は自分の音楽をやれるなら別にどこでだってかまわないので、単純にすげぇなと真音の人気ぶりに感心するくらいだ。
大河は真音のMV撮影に無関係のルカが同行することを、行きの空港で知った。
なんでおまえがいるんだ、と怪訝な顔で口を開いた大河にルカがつんと顔を背けて答えずにいると、真音が「ルカ先生はオレたちの通訳なんだよ!」と無邪気に笑った。
確かにルカは母国語と英語、日本語の他にいくつかの言語を習得している。
しかしそもそも真音とルカに接点があることを知らなかった大河は、なんでそんなことになったんだ、と聞きたい。
ルカもルカで、同行するなら事前に言ってくれても良いではないか、と大河は呆れた。
自分たちはそれなりに顔を合わせているというのに、ルカは大事なことすら大河には伝えず戸惑わせる。
文筆家でもあるルカを真音は先生と呼ぶが、そんな敬意を込めるに値する相手だと大河には思えなかった。
それでも、意思の疎通程度の英語しか喋れない大河には、慣れない南欧の言葉に対応するルカが少し、いや、悔しいが、随分と頼もしい存在であることは事実だ。
なんでそんなにいろんな国の言葉を知ってるんだと大河が尋ねたら、お前には関係ない、と冷たくつれない態度で、神経を逆撫でされたけれど。
やっぱりこいつ腹立つな、と改めて実感した初日から、数日が経つ。
乾いた風に燻んだ灰色の髪が揺らされ、甲板へ現れた気配を感じて大河は眠りから目が覚めた。
足音などは立てていないはずなのに、さすが野生の犬だと近づいたルカが感心する。
「どうした? なんか用かよ」
まだ寝足りないと言いたげな顔で上半身を起こし、ラフなドレスシャツとスラックスという出で立ちのルカを怪訝そうに大河が睨んだ。
撮影場所に出番のないルカが船に乗ることはまずありえない。
今日の撮影は午前中に船上でのシーンだけで終了しており、すでに衣装から着替えている大河も上はTシャツ、下はハーフパンツと楽な格好で寛いでいた。
秋口の南欧はまだ気温が高く、日差しも強い。
さすがにジャケットは着用していないが、北欧諸国の出身で暑さに弱いくせに、ルカは堅苦しい服装を着崩すことがない。見ているだけで暑いと大河は勝手を思う。
「三宅がスタッフと共に街へ出た。夕食を済ませてくると伝言だ」
十人ほどが滞在できる中型のクルーズ船は撮影期間中ずっと貸し切っていて、常に数人のスタッフが交代でついていたが、どうやら昼寝をしている間に自分以外の人間が船を降りたらしい。
「おまえだけ残ったのか?」
「ああ。のうのうと寝こけている駄犬への伝言役を買って出てやったんだ。感謝するといい」
恩着せがましくふんぞり返って、意地の悪そうな顔で笑うルカ越しに見上げる空は、どこまでも続く澄んだ青。
波の音だけが響く広大なロケーションに、大河は心の底から清々しく開放的な気分だ。
「へぇ、じゃあ、」
さあっと吹き抜けた風がルカの金髪を煽る。
大河は足を投げ出して座ったまま、にやりと笑った。
「乗れよ。そのつもりで来たんだろ?」
片手で髪を押さえたルカの口角が、大河の言葉を肯定するように上がる。
「そろそろ野良犬にも餌を恵んでやらないとな」
「遊んで欲しいのはどっちだか」
減らず口を叩き合いながら、大河は太ももに跨って膝立ちになったルカのシャツを掴む。
裾を引き出すと、そのまま両手を差し入れ脇腹を撫であげた。
撮影に参加していないルカとは日中に顔を合わせる機会は少なく、別行動を取ることが多い。
夜になると海に近い陸の宿でそれぞれの部屋があてがわれているが、健康的な若い男の体に欲は勝手に溜まるもので、隙を見つけてはときおり大河は自身の部屋を抜け出し、ルカと熱を交わしていた。
旅先での特別な情事ではなく、日常的にそれが互いに暗黙の了解となっている。
愛だの恋だのを抜きにして、大河がルカと体だけを繋げるようになってから、もう半年が経っていた。
シャツの中で胸板をまさぐり、突起を見つけて親指の腹でくにくにと捏ねまわす。
関係を始めた当初は弄ろうとすると、余計なことをするなと触れた手を叩き落とされていたのがすでに懐かしい。
フラストレーションの発散が目的と位置づけただけのセックスで、無駄なことだとルカは不快感を露わにしていた。
けれど大河は、ルカのからだに欲情しているのだ。
触らせろと半ば強引にそこの感触を味わうと、そのうちにルカは抵抗をやめて大河の好きにさせるようになった。
大河がシャツのボタンに手を掛けても、ルカはおとなしくそれを見つめている。
数日の滞在で、大河の肌は少し焼けていた。
日常から離れた南欧の空と海に挟まれる船上で、いつもより野生的な手がルカの衣服を乱していくと、非現実感がどちらの心も少なからず高揚させる。
上から三つ外すと白い肌が覗き、前立てを開いて胸元を露出させた。
晒された突起は、先ほど少し触れてやっただけで、微かに芯を持ち始めている。
太陽光の元で目の前にする薄く色づいた乳暈はなまめかしく、中心にぷくりと膨らむ鴇色の粒が大河を誘っていた。
それに伸ばした舌先で、ちろちろと舐めて遊ぶ。
自らの口元を手の甲で押さえつけながら、大河を見つめるルカの瞳が細められて潤んだ。
「ふ、」
突起に吸いつくと、耐えていた声が小さく漏れる。
嫌がるどころか、乳頭への刺激にすっかり慣れたルカの吐息は甘い。
自分の手で、ルカのからだが快感に震えている。
それだけで大河の心はざわめき、腰が疼いた。
熱を溜め始めた股ぐらを、ルカの下肢に擦りつける。
口に含んだ突起に軽く歯を立てると、ルカは身じろいで眉を寄せた。
すっかり性感帯に変えてしまったそこを舌で押し潰したり、乳暈ごと吸引すると、中心はこりこりと硬く勃ち上がる。
もう片方も指先で同じように弄りながら、大河はルカのベルトを外しにかかった。
スラックスのジッパーをおろし、下着の中で熱が緩く頭をもたげ始めていると知れる。
下衣を脱がしきると、シャツの裾が薄紅色の性器を半分ほど隠す格好になった。
うつくしく淫猥なそれに鼓動を高ぶらせ、腹まで捲った裾をルカの手に掴ませる。
ルカが自身の手で性器を露出させる姿は悩ましく、大河は無意識に生唾を飲み込んで、ごくんと喉が鳴った。
もう何度も見ているものなのに、白日の下で晒されたそれは色まで鮮明に網膜へ焼きついて、己のものとの違いに熱が上がる。
息を荒げながらぎゅっと握るとすでに半分ほど勃起している状態で、薄い肌の色も、充分な体積も、柔い硬度も、何もかもが大河の興奮を煽った。
大河は上半身を後ろに倒し、甲板に寝転ぶとルカの尻を自分の胸元へ引き寄せた。
口を大きく開けると、ルカはびくりと体を強張らせ動きを止める。
顔を上げると潤んだ瞳が戸惑っていたけれど、その表情がさらに大河の加虐心を擽って、強引に腰を前に突き出させた。
弾力のあるにくを、開いた口内で受け止める。
つるつるとした先端が口蓋を擦り、広げた舌を裏筋に当ててくちくちと舐めしゃぶった。
「ん……ッ、」
握った手で陰茎を緩く圧迫しながら、亀頭を咥えた唇と動きを合わせて性器全体を扱くと、押さえた口元から喘ぎが溢れる。
誰も聴いていないのだから、好きに鳴いてしまえば良いのに。
快感で目元を歪ませるルカにもっと我を忘れさせてやりたくて、大河はさらに劣情を追い立てた。
ルカが他の誰にでもなく、大河に嬌声を聴かせたくなくて、ぎりぎりのところで耐えていることも知っている。
大河の手で性感を与えられ、悔しいに違いない。
普段は何かと張り合い、蔑む大河相手に肌を晒し、快楽に身を委ねているのだから。
目尻に滲む涙は、達する間際の証か、屈辱への抵抗か。
どちらにしても、大河がルカの表情に鼓動を速めるのは明白だった。
ぱんぱんに膨れた先端を口内で愛撫しながら、大河は自分のものを咥えるルカの姿をふと思い出す。
大河の欲情した熱を弄ぶ際のルカは、実に愉しそうな態度で口淫も厭わない。
自らの快楽になら、必要のない行為だろう。
けれどルカは、体の快感には逆らえずに精を吐き出す大河を、満足した愉悦の瞳で眺めるのだ。
大河に勝ち誇るのが目的かのように。
ならば大河は、何のためにルカを乱すのか。
心理は同じだ。
自らの手で乱れるルカの姿に欲望が刺激され、体が快楽で満たされるのと同じくらい興奮で頭が眩むから。
「ぁ……ッ、だ、だめ……っ」
「このまま出しちまえよ」
大河の唾液が伝って竿を扱くたびにぐちぐちと卑猥な音が立ち、片方の手で会陰を擽ると、きゅっと陰嚢が収縮してルカの熱が弾け出る。
「ぅあ、ん……っ、は、ぁ……ッ」
びゅうっと放たれた白濁液を舌で受け止め、見上げたルカの上気した頬に、なおのこと大河の欲は高まった。
口内の粘液をどろりと手に吐き出して、射精の余韻でひくついた窄まりに塗りたくる。
濡れたそこはぬるりと指先を招き入れ、穴を拡げるように動かせば、ぐちゅぐちゅと精液が絡んで柔く開いた。
尻穴に侵入する異物に反応して、一度達した性器がぴくりと震える。
先端に残った絶頂の跡がとろりと垂れて、大河が舐めとると、ルカは不愉快だと言いたげに目元を歪めた。
その顔は赤く、潤んだ瞳に睨まれたところで、大河の熱を加速させる要因にしかならない。
指を埋めた入口にきゅっと締めつけられるたび、これから自分のものが入るのだと思うと、大河の息は荒いでいく。
指先で内壁を擦られて、はあはあと吐息を漏らしながら雄を受け入れる準備に身を捩るルカは、何に熱を上げているのだろう。
来日以前の経験について詳しく聞いたことはないけれど、この国で女を抱くことはなく、大河の手で欲を解放して悦ぶものを、男に使う趣味などないと言う。
禁欲主義とも言えるルカの秘めた欲望は、雄に抱かれてだけ満たされているのだ。
こいつの貞操観念はよくわかんねぇな、と大河は首を捻るが、立場も文化も全く異なる男のことなのだから、簡単に理解などできるはずもない。
ただもう、大河の熱を受け入れるルカの理屈などどうでも良くて、この男を抱けるのだとそればかりに意識は支配され、目の前のくねるからだから目を離せなかった。
充分に解してから指を引き抜き、自らの性器を掴んで上を向かせる。
ルカは捲り上げたシャツを胸の下で押さえながら、ゆっくりと腰を落とした。
自重でずぶすぶとルカのからだを貫いていく。
奥まで飲み込みきるとぎちぎちに狭い入口が大河を締めつけ、一気に射精感が高められた。
ルカに腰を振らせるように促して揺さぶると、殺しきれない声が細かく漏れる。
自分のもので感じている証を聴き逃すまいと、大河は微かな声に神経を集中させて耳で拾った。
自身のからだに夢中で腰を打ちつける大河を見下ろしながら、ルカもまたぞくりと血が沸き立ち、自尊心が満たされていく。
欲望をルカにねじ込む大河は、ときに強引で、自分の劣情に嘘をつかない。
快楽を貪るように中を抉る抽送は手加減がなく、癖になるほど奥が疼いた。
ルカにだから、剥き出しの欲をさらけ出す。
だいじに愛するような、惚れた相手になら、自分が快楽を得るだけの行為など、できる男ではない。
遠慮のない律動が、だからこそルカは心地良かった。
滾った雄の眼は、ルカの中で果てることだけを望んでいる。
今、この時だけは、ルカとの行為が大河にとって、何よりも優先するべきことなのだ。
それ以外もう何も考えられず、繋がった箇所から伝う快感に、大河は無我夢中で奥を抉っていた、そのとき。
大河の下肢から小刻みに響いた振動音に、ハッとお互い急速に現実へ引き戻された。
ハーフパンツのポケットに無造作に突っ込んでいた大河のスマートフォンが着信を告げている。
この状況で意識を逸らすのは野暮な気がして、大河は無視を決めこもうとした。
しかし腹の上で息を熱くしているルカが、おもむろに大河のポケットへ手を伸ばす。
勝手に取り出した端末に表示されている番号を見たルカは発信者を悟って、スマートフォンの画面を大河に向けた。
見覚えのある数字の並びに大河は息を呑む。
過去に記憶したそれは、簡単に忘れられない。
結斗の電話番号だ。
ルカは中の体積が縮むのを感じて、このまま出ていくのだろうと思った。
しかし大河はルカの手からスマートフォンを取り返すと、傍らに置いてそれを見ないふりをした。
「いいのか」
「……出れるかよ」
確かに馬鹿正直な大河がこの状況で、何事もなかったことにして結斗と話せるはずがない。
大河は自身に苛立ちながら、ルカの腰を掴んで前後に揺らした。
色情に溺れて想い人の声を聴けるチャンスを逃すなんて本当に馬鹿で、なんとタイミングの悪い男だろう。
自分の中で質量を取り戻していく熱を感じながら、ルカは哀れみに近い呆れで大河を見つめる。
現実から逃避して己で欲を満たす大河に優越感すら抱きながら、ルカもまた全身を溶かされ、喘ぎ、乱れた。
奥に埋めたまま達すると、大河は眉を寄せて荒い呼吸を繰り返す。
ぎゅっと瞑ったまぶたと、歯を食いしばって絶頂の波に感じ入る表情は、ルカの胸をぞくぞくと震わせた。
はあはあと上がった息が徐々に落ち着いていくと、大河は平静を取り戻しながらルカを見上げる。
透き通るような白い肌に太陽の光が降り注ぎ、汗にきらきらと反射していた。
それが眩く、大河は思わずふっと笑った。
「あんまり似合わねぇなぁ」
「なに、が」
「青空」
まだ大河のものを中におさめたまま、ルカは熱の余韻で気怠げに返事をした。
健全な空の下で見る淫靡なからだは、アンバランスだけれどうつくしい。
「今度は夜に来いよ」
大河は汗で額に貼り付いたルカの髪を指先ですくう。
ルカの色香は星空の下が似合いな気がして、無意識にそれが見たいと思っていた。
夜に真音やスタッフの目を盗み、船で落ち合うことは容易ではないだろうけれど。
陽気な南の空が心も体も開放させる。
しがらみも喧騒も全部忘れて出し切ったあとは、言葉もいらず日常に戻るだけ。
気を縛るものは何もなく、愉しめるのは仲間の元へ帰るまで。
結斗と大河がパーソナリティーを務めるラジオ番組は、数々の改編期を乗り越え、放送三年目を迎えていた。
テレビでもふたりが揃って出演する機会も多く、世間的にはグループの中でも何かとコンビ扱いされることが多い。
結斗も大河を相棒、と表現するのがしっくりくるし、それは自他共に認めていることだと思う。
「本日のお相手は、ミッドガルズの楠結斗と!」
「大河に代わって、水越望でした」
珍しくコンビを組んだふたりの名乗りで締め括り、今夜の大河が不在のラジオは無事に収録を終えた。
先日から大河は仕事で海外に発ち、代わりとしてパーソナリティーの相方に望が指名されたのだ。
デビュー前から大河を知っている望のおかげで、話題は必然的に各々の出会いのエピソードが中心となり、すでに懐かしく感じる結成当初の思い出話に花が咲く放送となった。
収録中に結斗は「とらちゃんがいなくて寂しい~!」などと大袈裟に泣き真似をして、望が、「僕も少しつまらないな」と同意をする一幕もあった。
隣にいることが当たり前だと思っていた大河がいないと、結斗は自分の中のどこかにぽっかり穴が空いてしまった気がして、だから「寂しい」と自然に口をついたのだ。
「大河に会えなくて寂しいっていうのは本音なの?」
収録後にスタジオを出て、ひと気がなくなったところで望が尋ねた。
まっすぐ結斗を見つめる望の目は、憂いを帯びている。
結斗は思わず苦笑いを返した。
「嘘に聞こえちゃうのかな」
仕事では変わらず共にいることが多い大河と、結斗が恋愛関係を解消してから、半年が経っていた。
結斗から別れを切り出したのだから、大河に対する想いを疑われても無理はない。
「ううん、本当に寂しそうだから。ごめんね、やっぱり気になっちゃって」
申し訳なさそうに眉を寄せた望は、結斗と大河が恋人同士だった頃から、何かとふたりの恋を気にかけている。
望にとって大河は大切な仲間だ。傷ついて欲しいはずがない。
けれど、結斗だって大河を傷つけたくなくて、ずっと苦しんでいた。
ただ見守るしかできなかった望も歯痒い想いも抱えていたところ、結局、恋はうまく噛み合わなくて、結斗は大河との別れを選んだ。
「寂しいよ。ずっと一緒にいたんだもん」
望が興味本位などではなく、純粋な気持ちで心配してくれていると知っているからこそ、結斗も率直に答えた。
嫌いになったわけではなく、むしろ、結斗は出会った頃から大河が好きだった。
ただそれが、恋愛感情ではなかっただけだ。
別れた、と言っても大河が結斗から離れることはなかった。
恋人ではなくなったけれど、大河は結斗と共に、グループとして歌い続ける道を選んでくれた。
四人の音楽で結ばれた縁は、結斗の何より守りたいものだった。
変わったことも当然ある。
例えば大河のアパートの鍵を返したこと。
もうひとりで行く理由もなければ、狭い台所に並んで料理をすることも、小さなローテーブルに向かい合ってごはんを食べることもないんだな、と手渡す瞬間に考えてしまって、寂しかった。
一緒に過ごした二年と少しの時間があったから、今がある。
ふたりだけの思い出が消えることはないし、恋心を抱いてあげられないとしても、大事な存在には変わらない。
恋人関係を解消した直後には、これまでのように居られないのだと覚悟していた。
けれど、大河は変わらず真っ直ぐに想いを結斗に伝えている。
ずっとおまえが好きだ、と。
痛いくらいに鋭く熱い言葉は、結斗の胸を焼き続けた。
恋人として接していた頃から、このまま大河の時間をやみくもに奪って良いのかと考えて苦しかった。
恋情に応えられないと気づいた時点で、早く別れを決断するべきだったと思う。
未来のない関係に、大河を縛り続けたのは結斗のエゴに他ならない。
想いの形は違ってもそばにいたいと願う気持ちは互いにあり、結斗は大河と積み重ねた絆を失いたくなかった。
最初から付き合うべきじゃなかったと後悔することもあったけれど、今になって振り返れば、大切な時間だったのだと思えるまでになっていた。
「恋人には戻れないし、友達、とも違うけど……特別な人だから」
結斗の大河を想う気持ちに嘘はないということくらい、望にだってわかっている。
大河が結斗に恋をしていると知っているからこそ、どうにもならないことも。
「特別なのに恋人にはなれないの?」
「それは、ぼくもとらちゃんも、男の子だしね」
ふたりだけのセンシティブな問題に、望はこれ以上の口出しはできない。
恋愛対象の好みなんて他人にとやかく言われたくないと、望も実体験からよく知っている。
「それに、別れてからの方がうまくやってるよ。とらちゃん、昔より丸くなったし」
フラストレーションを持て余した大河に、怒鳴られてばかりだった恋人時代に比べれば、今の関係は結斗が望んでいたものと言えるだろう。
相変わらずぶっきらぼうなところはあるし、仕事仲間に遠慮のない物言いはするけれど、後輩アーティストとの関わりも重ねて態度は軟化していった。
自分ばかりに執着されていた頃よりずっと、結斗の心は軽い。
なのに少しだけ、寂しいと感じることに、わがままだな、と結斗は自嘲してしまう。
それでも大河は相変わらずルカとだけ折り合いが悪い様子で、今回はMVの撮影で真音と共に揃って日本を発った。
海外に行ってまでつまらない喧嘩などしていないかと、普段のふたりが口論ばかりしていることを思い出して気に掛かる。
結斗が心配するのは同じグループのメンバーとしてであり、大河にはきっと、余計な世話だとまた怒られてしまうのだろうけれど。
「……大河は今も楠くんのことが好きなんじゃないかな」
「あはは。なんでこんなのがいいんだろうねえ」
大河の機嫌を損ねるばかりの自身を顧みて苦笑う。
なのになぜ、大河は結斗に腹を立てながらも、その想いは好意だと言い張るのだろうか。
答えを望は知っている。こんなの、だから好きなんだよ。思えど、結斗には言えない。
大河の恋心を感じるたび、応えてあげられないことに胸を傷ませている結斗は、優しいけれど残酷だ。
このところ、結斗は大河と、程良い距離で接することができている。
物理的距離が近づいたとしても、身構えたりはしなくなった。
以前なら大河に触れられることを恐れて、さりげなく距離を取ろうとしていたし、目を合わせてしまわないように視線を泳がせた。
鋭く澄んだアンバー色の瞳にまっすぐ見つめられ、抱きしめられでもしたなら、結斗には逃げることなどできないのだから。
自身が欲情の対象にされていると、大河を傷つけずに拒否する方法がわからない。
結斗に受け入れられないことで何より大河は傷つくのだから、根本的にどうにもならない。
大河にその気がなくなったのならそれがいちばん良いのだけど、我慢をしてくれているのではないか、と思い至れば申し訳なく、だとしても熱情を纏った手との接触が避けられることに、ほっと安堵してしまう。
一緒にいて楽しいと思うし、大河の音楽に対する姿勢は素直に尊敬できる。
結斗にとっては、誰よりも隣にいて安心できる相手だ。
もう大河には自身の何も、隠す必要がない気がするからだろうか。
この数年間ずっと、一度も顔を合わせない週はなかった。
別れたあとも仕事で共に過ごすことが多い。
付き合っている間は、暇があれば連絡をくれた。
大河は仕事を詰め込みがちで休みのあまりない男だから、毎日と言うわけではなかったけれど、数日放っておかれるようなことはなかった。
お互いにまだ仕事が忙しいと言えなかった頃は、大河の家で夕飯の準備をして帰りを待つことも、結斗には日常だった。
そばにいた頃の記憶がやけにフラッシュバックする。
やはり大河が隣にいない現状は、さびしい、のだ。
手放したのは自らなのに、結斗はどこかで、今でも大河は自分のものなのだと思っている。
手を伸ばせば触れる権利があり、大河の心を掴んで離さないのは、自分だけ、なのだと。
それじゃあまたね、と言い合って望と別れ、ひとりになると、ふと、声が聴きたいな、と胸が疼いた。
秋口の夜はそろそろ風が冷たく、余計に寂しさを増長させる。
いつもの呆れた声で叱ってよ。
あの頃は大河の辛辣な物言いがどうにも苦しかったのに、今は無性に恋しいとさえ感じた。
大河の言動の裏には、不器用な愛情しかなかったのだとわかっている。
携帯電話を手に取って、結斗は暫し逡巡した。
海外にいる大河へ、電話をかけてみたなら、どうなるだろうか。
(用事もないのにおかしいって思われちゃうかな。いつ帰って来るのって予定を聞くとか? なんでって怪しまれるかな。……期待、させちゃうかな)
この寂しさに恋愛感情は存在しない。結斗にははっきりと自覚があった。
大河の恋心を弄ぶような真似は避けるべきなのだと、頭では理解している。
今の自分たちは元恋人という危うい関係の、同じグループのメンバーという立ち位置だ。
共に並び立つことが自然だと思えるように、なるだろうか。そうありたいと結斗は願う。
数年でグループとして軌道に乗り始め、世間にも認知されてきた。
長年、アーティストとして思うように活動できず燻っていた結斗は、三人のおかげに他ならないと自覚がある。
いつか、今度は自分たちの曲を海外で撮影できるくらい、グループでの活動を大きくする努力も惜しまないと誓った。
(歌だけじゃなくてさ。もっとたくさんのこと、一緒にできたらいいなって思うよ)
初めて大河と出会った頃から、結斗が抱く想いはいまだ変わらない。
恋をなくしただけで、これまでのすべてを捨て、これからの可能性を諦めてしまうなんてできなかった。
咄嗟に大河の電話番号を探して、今度は迷わず通話ボタンを押した。
端末を耳に当て、大河を呼び出すコール音を聞きながら、結斗の心臓がどくん、どくんとゆっくり跳ねる。
繋がったところで、何を言えば良いのかなんて考えていない。
ただ、声が聴きたい。隣にいて欲しい。
この胸の隙間を今すぐ埋めてもらいたかった。
しばらく鳴らし続けた呼び出し音に、大河が応えることはなかった。
結斗は残念というより、緊張が解けて胸を撫でおろしてしまう。
冷静とは言えない思考回路のまま、大河と話すべきではない。
せっかく築き直したふたりの距離を、身勝手な寂寥で壊してしまうところを踏みとどまれた。
(ふたりとも、早く帰って来ないかなあ)
遠い国まで繋がる空を見上げ、結斗は胸の内で独りごちた。
空は高く、雲ひとつない天色がどこまでも広がる。
頭のすぐそばにある手摺りの向こうは、緩やかに波打つ深い青。
ここは地中海、東京から約一万四千キロメートル離れた空の下。
大河は同じ音楽レーベル所属の三宅真音がリリースする新曲のMV撮影のために渡欧して、数日間海外に滞在していた。
海上のクルーズ船で爽やかに真音が歌う映像に、バンドメンバーとして大河も出演してほしいというオファーを受けての仕事である。
真音はレーベル主催のボーカリストオーディションで審査員特別賞を勝ち取り、ソロデビューを果たして二年目になる後輩だ。
大河は真音のデビュー曲からサポートメンバーを務めていて、レコーディングやライブに参加していた。
あくまで仕事として交流が始まったが、四つ歳下の真音は人懐こく、大河の演奏を気に入って、スケジュールが合えば優先的に呼ばれている。
デビュー当時から注目されていた真音だからか、海外でMVの撮影なんてさせてもらえるという待遇に、大河は同じレーベル所属でありながら己との扱いの差を何とも思わないわけではなかった。
とは言え、自身は自分の音楽をやれるなら別にどこでだってかまわないので、単純にすげぇなと真音の人気ぶりに感心するくらいだ。
大河は真音のMV撮影に無関係のルカが同行することを、行きの空港で知った。
なんでおまえがいるんだ、と怪訝な顔で口を開いた大河にルカがつんと顔を背けて答えずにいると、真音が「ルカ先生はオレたちの通訳なんだよ!」と無邪気に笑った。
確かにルカは母国語と英語、日本語の他にいくつかの言語を習得している。
しかしそもそも真音とルカに接点があることを知らなかった大河は、なんでそんなことになったんだ、と聞きたい。
ルカもルカで、同行するなら事前に言ってくれても良いではないか、と大河は呆れた。
自分たちはそれなりに顔を合わせているというのに、ルカは大事なことすら大河には伝えず戸惑わせる。
文筆家でもあるルカを真音は先生と呼ぶが、そんな敬意を込めるに値する相手だと大河には思えなかった。
それでも、意思の疎通程度の英語しか喋れない大河には、慣れない南欧の言葉に対応するルカが少し、いや、悔しいが、随分と頼もしい存在であることは事実だ。
なんでそんなにいろんな国の言葉を知ってるんだと大河が尋ねたら、お前には関係ない、と冷たくつれない態度で、神経を逆撫でされたけれど。
やっぱりこいつ腹立つな、と改めて実感した初日から、数日が経つ。
乾いた風に燻んだ灰色の髪が揺らされ、甲板へ現れた気配を感じて大河は眠りから目が覚めた。
足音などは立てていないはずなのに、さすが野生の犬だと近づいたルカが感心する。
「どうした? なんか用かよ」
まだ寝足りないと言いたげな顔で上半身を起こし、ラフなドレスシャツとスラックスという出で立ちのルカを怪訝そうに大河が睨んだ。
撮影場所に出番のないルカが船に乗ることはまずありえない。
今日の撮影は午前中に船上でのシーンだけで終了しており、すでに衣装から着替えている大河も上はTシャツ、下はハーフパンツと楽な格好で寛いでいた。
秋口の南欧はまだ気温が高く、日差しも強い。
さすがにジャケットは着用していないが、北欧諸国の出身で暑さに弱いくせに、ルカは堅苦しい服装を着崩すことがない。見ているだけで暑いと大河は勝手を思う。
「三宅がスタッフと共に街へ出た。夕食を済ませてくると伝言だ」
十人ほどが滞在できる中型のクルーズ船は撮影期間中ずっと貸し切っていて、常に数人のスタッフが交代でついていたが、どうやら昼寝をしている間に自分以外の人間が船を降りたらしい。
「おまえだけ残ったのか?」
「ああ。のうのうと寝こけている駄犬への伝言役を買って出てやったんだ。感謝するといい」
恩着せがましくふんぞり返って、意地の悪そうな顔で笑うルカ越しに見上げる空は、どこまでも続く澄んだ青。
波の音だけが響く広大なロケーションに、大河は心の底から清々しく開放的な気分だ。
「へぇ、じゃあ、」
さあっと吹き抜けた風がルカの金髪を煽る。
大河は足を投げ出して座ったまま、にやりと笑った。
「乗れよ。そのつもりで来たんだろ?」
片手で髪を押さえたルカの口角が、大河の言葉を肯定するように上がる。
「そろそろ野良犬にも餌を恵んでやらないとな」
「遊んで欲しいのはどっちだか」
減らず口を叩き合いながら、大河は太ももに跨って膝立ちになったルカのシャツを掴む。
裾を引き出すと、そのまま両手を差し入れ脇腹を撫であげた。
撮影に参加していないルカとは日中に顔を合わせる機会は少なく、別行動を取ることが多い。
夜になると海に近い陸の宿でそれぞれの部屋があてがわれているが、健康的な若い男の体に欲は勝手に溜まるもので、隙を見つけてはときおり大河は自身の部屋を抜け出し、ルカと熱を交わしていた。
旅先での特別な情事ではなく、日常的にそれが互いに暗黙の了解となっている。
愛だの恋だのを抜きにして、大河がルカと体だけを繋げるようになってから、もう半年が経っていた。
シャツの中で胸板をまさぐり、突起を見つけて親指の腹でくにくにと捏ねまわす。
関係を始めた当初は弄ろうとすると、余計なことをするなと触れた手を叩き落とされていたのがすでに懐かしい。
フラストレーションの発散が目的と位置づけただけのセックスで、無駄なことだとルカは不快感を露わにしていた。
けれど大河は、ルカのからだに欲情しているのだ。
触らせろと半ば強引にそこの感触を味わうと、そのうちにルカは抵抗をやめて大河の好きにさせるようになった。
大河がシャツのボタンに手を掛けても、ルカはおとなしくそれを見つめている。
数日の滞在で、大河の肌は少し焼けていた。
日常から離れた南欧の空と海に挟まれる船上で、いつもより野生的な手がルカの衣服を乱していくと、非現実感がどちらの心も少なからず高揚させる。
上から三つ外すと白い肌が覗き、前立てを開いて胸元を露出させた。
晒された突起は、先ほど少し触れてやっただけで、微かに芯を持ち始めている。
太陽光の元で目の前にする薄く色づいた乳暈はなまめかしく、中心にぷくりと膨らむ鴇色の粒が大河を誘っていた。
それに伸ばした舌先で、ちろちろと舐めて遊ぶ。
自らの口元を手の甲で押さえつけながら、大河を見つめるルカの瞳が細められて潤んだ。
「ふ、」
突起に吸いつくと、耐えていた声が小さく漏れる。
嫌がるどころか、乳頭への刺激にすっかり慣れたルカの吐息は甘い。
自分の手で、ルカのからだが快感に震えている。
それだけで大河の心はざわめき、腰が疼いた。
熱を溜め始めた股ぐらを、ルカの下肢に擦りつける。
口に含んだ突起に軽く歯を立てると、ルカは身じろいで眉を寄せた。
すっかり性感帯に変えてしまったそこを舌で押し潰したり、乳暈ごと吸引すると、中心はこりこりと硬く勃ち上がる。
もう片方も指先で同じように弄りながら、大河はルカのベルトを外しにかかった。
スラックスのジッパーをおろし、下着の中で熱が緩く頭をもたげ始めていると知れる。
下衣を脱がしきると、シャツの裾が薄紅色の性器を半分ほど隠す格好になった。
うつくしく淫猥なそれに鼓動を高ぶらせ、腹まで捲った裾をルカの手に掴ませる。
ルカが自身の手で性器を露出させる姿は悩ましく、大河は無意識に生唾を飲み込んで、ごくんと喉が鳴った。
もう何度も見ているものなのに、白日の下で晒されたそれは色まで鮮明に網膜へ焼きついて、己のものとの違いに熱が上がる。
息を荒げながらぎゅっと握るとすでに半分ほど勃起している状態で、薄い肌の色も、充分な体積も、柔い硬度も、何もかもが大河の興奮を煽った。
大河は上半身を後ろに倒し、甲板に寝転ぶとルカの尻を自分の胸元へ引き寄せた。
口を大きく開けると、ルカはびくりと体を強張らせ動きを止める。
顔を上げると潤んだ瞳が戸惑っていたけれど、その表情がさらに大河の加虐心を擽って、強引に腰を前に突き出させた。
弾力のあるにくを、開いた口内で受け止める。
つるつるとした先端が口蓋を擦り、広げた舌を裏筋に当ててくちくちと舐めしゃぶった。
「ん……ッ、」
握った手で陰茎を緩く圧迫しながら、亀頭を咥えた唇と動きを合わせて性器全体を扱くと、押さえた口元から喘ぎが溢れる。
誰も聴いていないのだから、好きに鳴いてしまえば良いのに。
快感で目元を歪ませるルカにもっと我を忘れさせてやりたくて、大河はさらに劣情を追い立てた。
ルカが他の誰にでもなく、大河に嬌声を聴かせたくなくて、ぎりぎりのところで耐えていることも知っている。
大河の手で性感を与えられ、悔しいに違いない。
普段は何かと張り合い、蔑む大河相手に肌を晒し、快楽に身を委ねているのだから。
目尻に滲む涙は、達する間際の証か、屈辱への抵抗か。
どちらにしても、大河がルカの表情に鼓動を速めるのは明白だった。
ぱんぱんに膨れた先端を口内で愛撫しながら、大河は自分のものを咥えるルカの姿をふと思い出す。
大河の欲情した熱を弄ぶ際のルカは、実に愉しそうな態度で口淫も厭わない。
自らの快楽になら、必要のない行為だろう。
けれどルカは、体の快感には逆らえずに精を吐き出す大河を、満足した愉悦の瞳で眺めるのだ。
大河に勝ち誇るのが目的かのように。
ならば大河は、何のためにルカを乱すのか。
心理は同じだ。
自らの手で乱れるルカの姿に欲望が刺激され、体が快楽で満たされるのと同じくらい興奮で頭が眩むから。
「ぁ……ッ、だ、だめ……っ」
「このまま出しちまえよ」
大河の唾液が伝って竿を扱くたびにぐちぐちと卑猥な音が立ち、片方の手で会陰を擽ると、きゅっと陰嚢が収縮してルカの熱が弾け出る。
「ぅあ、ん……っ、は、ぁ……ッ」
びゅうっと放たれた白濁液を舌で受け止め、見上げたルカの上気した頬に、なおのこと大河の欲は高まった。
口内の粘液をどろりと手に吐き出して、射精の余韻でひくついた窄まりに塗りたくる。
濡れたそこはぬるりと指先を招き入れ、穴を拡げるように動かせば、ぐちゅぐちゅと精液が絡んで柔く開いた。
尻穴に侵入する異物に反応して、一度達した性器がぴくりと震える。
先端に残った絶頂の跡がとろりと垂れて、大河が舐めとると、ルカは不愉快だと言いたげに目元を歪めた。
その顔は赤く、潤んだ瞳に睨まれたところで、大河の熱を加速させる要因にしかならない。
指を埋めた入口にきゅっと締めつけられるたび、これから自分のものが入るのだと思うと、大河の息は荒いでいく。
指先で内壁を擦られて、はあはあと吐息を漏らしながら雄を受け入れる準備に身を捩るルカは、何に熱を上げているのだろう。
来日以前の経験について詳しく聞いたことはないけれど、この国で女を抱くことはなく、大河の手で欲を解放して悦ぶものを、男に使う趣味などないと言う。
禁欲主義とも言えるルカの秘めた欲望は、雄に抱かれてだけ満たされているのだ。
こいつの貞操観念はよくわかんねぇな、と大河は首を捻るが、立場も文化も全く異なる男のことなのだから、簡単に理解などできるはずもない。
ただもう、大河の熱を受け入れるルカの理屈などどうでも良くて、この男を抱けるのだとそればかりに意識は支配され、目の前のくねるからだから目を離せなかった。
充分に解してから指を引き抜き、自らの性器を掴んで上を向かせる。
ルカは捲り上げたシャツを胸の下で押さえながら、ゆっくりと腰を落とした。
自重でずぶすぶとルカのからだを貫いていく。
奥まで飲み込みきるとぎちぎちに狭い入口が大河を締めつけ、一気に射精感が高められた。
ルカに腰を振らせるように促して揺さぶると、殺しきれない声が細かく漏れる。
自分のもので感じている証を聴き逃すまいと、大河は微かな声に神経を集中させて耳で拾った。
自身のからだに夢中で腰を打ちつける大河を見下ろしながら、ルカもまたぞくりと血が沸き立ち、自尊心が満たされていく。
欲望をルカにねじ込む大河は、ときに強引で、自分の劣情に嘘をつかない。
快楽を貪るように中を抉る抽送は手加減がなく、癖になるほど奥が疼いた。
ルカにだから、剥き出しの欲をさらけ出す。
だいじに愛するような、惚れた相手になら、自分が快楽を得るだけの行為など、できる男ではない。
遠慮のない律動が、だからこそルカは心地良かった。
滾った雄の眼は、ルカの中で果てることだけを望んでいる。
今、この時だけは、ルカとの行為が大河にとって、何よりも優先するべきことなのだ。
それ以外もう何も考えられず、繋がった箇所から伝う快感に、大河は無我夢中で奥を抉っていた、そのとき。
大河の下肢から小刻みに響いた振動音に、ハッとお互い急速に現実へ引き戻された。
ハーフパンツのポケットに無造作に突っ込んでいた大河のスマートフォンが着信を告げている。
この状況で意識を逸らすのは野暮な気がして、大河は無視を決めこもうとした。
しかし腹の上で息を熱くしているルカが、おもむろに大河のポケットへ手を伸ばす。
勝手に取り出した端末に表示されている番号を見たルカは発信者を悟って、スマートフォンの画面を大河に向けた。
見覚えのある数字の並びに大河は息を呑む。
過去に記憶したそれは、簡単に忘れられない。
結斗の電話番号だ。
ルカは中の体積が縮むのを感じて、このまま出ていくのだろうと思った。
しかし大河はルカの手からスマートフォンを取り返すと、傍らに置いてそれを見ないふりをした。
「いいのか」
「……出れるかよ」
確かに馬鹿正直な大河がこの状況で、何事もなかったことにして結斗と話せるはずがない。
大河は自身に苛立ちながら、ルカの腰を掴んで前後に揺らした。
色情に溺れて想い人の声を聴けるチャンスを逃すなんて本当に馬鹿で、なんとタイミングの悪い男だろう。
自分の中で質量を取り戻していく熱を感じながら、ルカは哀れみに近い呆れで大河を見つめる。
現実から逃避して己で欲を満たす大河に優越感すら抱きながら、ルカもまた全身を溶かされ、喘ぎ、乱れた。
奥に埋めたまま達すると、大河は眉を寄せて荒い呼吸を繰り返す。
ぎゅっと瞑ったまぶたと、歯を食いしばって絶頂の波に感じ入る表情は、ルカの胸をぞくぞくと震わせた。
はあはあと上がった息が徐々に落ち着いていくと、大河は平静を取り戻しながらルカを見上げる。
透き通るような白い肌に太陽の光が降り注ぎ、汗にきらきらと反射していた。
それが眩く、大河は思わずふっと笑った。
「あんまり似合わねぇなぁ」
「なに、が」
「青空」
まだ大河のものを中におさめたまま、ルカは熱の余韻で気怠げに返事をした。
健全な空の下で見る淫靡なからだは、アンバランスだけれどうつくしい。
「今度は夜に来いよ」
大河は汗で額に貼り付いたルカの髪を指先ですくう。
ルカの色香は星空の下が似合いな気がして、無意識にそれが見たいと思っていた。
夜に真音やスタッフの目を盗み、船で落ち合うことは容易ではないだろうけれど。
陽気な南の空が心も体も開放させる。
しがらみも喧騒も全部忘れて出し切ったあとは、言葉もいらず日常に戻るだけ。
気を縛るものは何もなく、愉しめるのは仲間の元へ帰るまで。
結斗と大河がパーソナリティーを務めるラジオ番組は、数々の改編期を乗り越え、放送三年目を迎えていた。
テレビでもふたりが揃って出演する機会も多く、世間的にはグループの中でも何かとコンビ扱いされることが多い。
結斗も大河を相棒、と表現するのがしっくりくるし、それは自他共に認めていることだと思う。
「本日のお相手は、ミッドガルズの楠結斗と!」
「大河に代わって、水越望でした」
珍しくコンビを組んだふたりの名乗りで締め括り、今夜の大河が不在のラジオは無事に収録を終えた。
先日から大河は仕事で海外に発ち、代わりとしてパーソナリティーの相方に望が指名されたのだ。
デビュー前から大河を知っている望のおかげで、話題は必然的に各々の出会いのエピソードが中心となり、すでに懐かしく感じる結成当初の思い出話に花が咲く放送となった。
収録中に結斗は「とらちゃんがいなくて寂しい~!」などと大袈裟に泣き真似をして、望が、「僕も少しつまらないな」と同意をする一幕もあった。
隣にいることが当たり前だと思っていた大河がいないと、結斗は自分の中のどこかにぽっかり穴が空いてしまった気がして、だから「寂しい」と自然に口をついたのだ。
「大河に会えなくて寂しいっていうのは本音なの?」
収録後にスタジオを出て、ひと気がなくなったところで望が尋ねた。
まっすぐ結斗を見つめる望の目は、憂いを帯びている。
結斗は思わず苦笑いを返した。
「嘘に聞こえちゃうのかな」
仕事では変わらず共にいることが多い大河と、結斗が恋愛関係を解消してから、半年が経っていた。
結斗から別れを切り出したのだから、大河に対する想いを疑われても無理はない。
「ううん、本当に寂しそうだから。ごめんね、やっぱり気になっちゃって」
申し訳なさそうに眉を寄せた望は、結斗と大河が恋人同士だった頃から、何かとふたりの恋を気にかけている。
望にとって大河は大切な仲間だ。傷ついて欲しいはずがない。
けれど、結斗だって大河を傷つけたくなくて、ずっと苦しんでいた。
ただ見守るしかできなかった望も歯痒い想いも抱えていたところ、結局、恋はうまく噛み合わなくて、結斗は大河との別れを選んだ。
「寂しいよ。ずっと一緒にいたんだもん」
望が興味本位などではなく、純粋な気持ちで心配してくれていると知っているからこそ、結斗も率直に答えた。
嫌いになったわけではなく、むしろ、結斗は出会った頃から大河が好きだった。
ただそれが、恋愛感情ではなかっただけだ。
別れた、と言っても大河が結斗から離れることはなかった。
恋人ではなくなったけれど、大河は結斗と共に、グループとして歌い続ける道を選んでくれた。
四人の音楽で結ばれた縁は、結斗の何より守りたいものだった。
変わったことも当然ある。
例えば大河のアパートの鍵を返したこと。
もうひとりで行く理由もなければ、狭い台所に並んで料理をすることも、小さなローテーブルに向かい合ってごはんを食べることもないんだな、と手渡す瞬間に考えてしまって、寂しかった。
一緒に過ごした二年と少しの時間があったから、今がある。
ふたりだけの思い出が消えることはないし、恋心を抱いてあげられないとしても、大事な存在には変わらない。
恋人関係を解消した直後には、これまでのように居られないのだと覚悟していた。
けれど、大河は変わらず真っ直ぐに想いを結斗に伝えている。
ずっとおまえが好きだ、と。
痛いくらいに鋭く熱い言葉は、結斗の胸を焼き続けた。
恋人として接していた頃から、このまま大河の時間をやみくもに奪って良いのかと考えて苦しかった。
恋情に応えられないと気づいた時点で、早く別れを決断するべきだったと思う。
未来のない関係に、大河を縛り続けたのは結斗のエゴに他ならない。
想いの形は違ってもそばにいたいと願う気持ちは互いにあり、結斗は大河と積み重ねた絆を失いたくなかった。
最初から付き合うべきじゃなかったと後悔することもあったけれど、今になって振り返れば、大切な時間だったのだと思えるまでになっていた。
「恋人には戻れないし、友達、とも違うけど……特別な人だから」
結斗の大河を想う気持ちに嘘はないということくらい、望にだってわかっている。
大河が結斗に恋をしていると知っているからこそ、どうにもならないことも。
「特別なのに恋人にはなれないの?」
「それは、ぼくもとらちゃんも、男の子だしね」
ふたりだけのセンシティブな問題に、望はこれ以上の口出しはできない。
恋愛対象の好みなんて他人にとやかく言われたくないと、望も実体験からよく知っている。
「それに、別れてからの方がうまくやってるよ。とらちゃん、昔より丸くなったし」
フラストレーションを持て余した大河に、怒鳴られてばかりだった恋人時代に比べれば、今の関係は結斗が望んでいたものと言えるだろう。
相変わらずぶっきらぼうなところはあるし、仕事仲間に遠慮のない物言いはするけれど、後輩アーティストとの関わりも重ねて態度は軟化していった。
自分ばかりに執着されていた頃よりずっと、結斗の心は軽い。
なのに少しだけ、寂しいと感じることに、わがままだな、と結斗は自嘲してしまう。
それでも大河は相変わらずルカとだけ折り合いが悪い様子で、今回はMVの撮影で真音と共に揃って日本を発った。
海外に行ってまでつまらない喧嘩などしていないかと、普段のふたりが口論ばかりしていることを思い出して気に掛かる。
結斗が心配するのは同じグループのメンバーとしてであり、大河にはきっと、余計な世話だとまた怒られてしまうのだろうけれど。
「……大河は今も楠くんのことが好きなんじゃないかな」
「あはは。なんでこんなのがいいんだろうねえ」
大河の機嫌を損ねるばかりの自身を顧みて苦笑う。
なのになぜ、大河は結斗に腹を立てながらも、その想いは好意だと言い張るのだろうか。
答えを望は知っている。こんなの、だから好きなんだよ。思えど、結斗には言えない。
大河の恋心を感じるたび、応えてあげられないことに胸を傷ませている結斗は、優しいけれど残酷だ。
このところ、結斗は大河と、程良い距離で接することができている。
物理的距離が近づいたとしても、身構えたりはしなくなった。
以前なら大河に触れられることを恐れて、さりげなく距離を取ろうとしていたし、目を合わせてしまわないように視線を泳がせた。
鋭く澄んだアンバー色の瞳にまっすぐ見つめられ、抱きしめられでもしたなら、結斗には逃げることなどできないのだから。
自身が欲情の対象にされていると、大河を傷つけずに拒否する方法がわからない。
結斗に受け入れられないことで何より大河は傷つくのだから、根本的にどうにもならない。
大河にその気がなくなったのならそれがいちばん良いのだけど、我慢をしてくれているのではないか、と思い至れば申し訳なく、だとしても熱情を纏った手との接触が避けられることに、ほっと安堵してしまう。
一緒にいて楽しいと思うし、大河の音楽に対する姿勢は素直に尊敬できる。
結斗にとっては、誰よりも隣にいて安心できる相手だ。
もう大河には自身の何も、隠す必要がない気がするからだろうか。
この数年間ずっと、一度も顔を合わせない週はなかった。
別れたあとも仕事で共に過ごすことが多い。
付き合っている間は、暇があれば連絡をくれた。
大河は仕事を詰め込みがちで休みのあまりない男だから、毎日と言うわけではなかったけれど、数日放っておかれるようなことはなかった。
お互いにまだ仕事が忙しいと言えなかった頃は、大河の家で夕飯の準備をして帰りを待つことも、結斗には日常だった。
そばにいた頃の記憶がやけにフラッシュバックする。
やはり大河が隣にいない現状は、さびしい、のだ。
手放したのは自らなのに、結斗はどこかで、今でも大河は自分のものなのだと思っている。
手を伸ばせば触れる権利があり、大河の心を掴んで離さないのは、自分だけ、なのだと。
それじゃあまたね、と言い合って望と別れ、ひとりになると、ふと、声が聴きたいな、と胸が疼いた。
秋口の夜はそろそろ風が冷たく、余計に寂しさを増長させる。
いつもの呆れた声で叱ってよ。
あの頃は大河の辛辣な物言いがどうにも苦しかったのに、今は無性に恋しいとさえ感じた。
大河の言動の裏には、不器用な愛情しかなかったのだとわかっている。
携帯電話を手に取って、結斗は暫し逡巡した。
海外にいる大河へ、電話をかけてみたなら、どうなるだろうか。
(用事もないのにおかしいって思われちゃうかな。いつ帰って来るのって予定を聞くとか? なんでって怪しまれるかな。……期待、させちゃうかな)
この寂しさに恋愛感情は存在しない。結斗にははっきりと自覚があった。
大河の恋心を弄ぶような真似は避けるべきなのだと、頭では理解している。
今の自分たちは元恋人という危うい関係の、同じグループのメンバーという立ち位置だ。
共に並び立つことが自然だと思えるように、なるだろうか。そうありたいと結斗は願う。
数年でグループとして軌道に乗り始め、世間にも認知されてきた。
長年、アーティストとして思うように活動できず燻っていた結斗は、三人のおかげに他ならないと自覚がある。
いつか、今度は自分たちの曲を海外で撮影できるくらい、グループでの活動を大きくする努力も惜しまないと誓った。
(歌だけじゃなくてさ。もっとたくさんのこと、一緒にできたらいいなって思うよ)
初めて大河と出会った頃から、結斗が抱く想いはいまだ変わらない。
恋をなくしただけで、これまでのすべてを捨て、これからの可能性を諦めてしまうなんてできなかった。
咄嗟に大河の電話番号を探して、今度は迷わず通話ボタンを押した。
端末を耳に当て、大河を呼び出すコール音を聞きながら、結斗の心臓がどくん、どくんとゆっくり跳ねる。
繋がったところで、何を言えば良いのかなんて考えていない。
ただ、声が聴きたい。隣にいて欲しい。
この胸の隙間を今すぐ埋めてもらいたかった。
しばらく鳴らし続けた呼び出し音に、大河が応えることはなかった。
結斗は残念というより、緊張が解けて胸を撫でおろしてしまう。
冷静とは言えない思考回路のまま、大河と話すべきではない。
せっかく築き直したふたりの距離を、身勝手な寂寥で壊してしまうところを踏みとどまれた。
(ふたりとも、早く帰って来ないかなあ)
遠い国まで繋がる空を見上げ、結斗は胸の内で独りごちた。
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