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八百万 斗真の一日とか色々

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 八百万は昼営業、そして休み時間を挟んでの夜営業。 
 
 昼には毎回出来るだけ違う料理を出す様に、休日も利用しながら魔道具や商業ギルドなど色々な人たちの手と魔法を駆使して、料理をストック貯蔵しながら、最初の頃こそ調理でお客さんを待たせることもあったが、時間の経過がないアイテムボックスが手に入ってからは、急いでドタバタと用意を急ぐこともなく、余裕をもって出す事が出来るようになった。 
 
 更には空間のエスメラルダ、魔道具師兼薬師兼錬金術師のフラメル・トリスメギストス、星詠みの図書館 マーリン・アンブロシウスの三人が合作する事によって、斗真のアイテムボックスを起点に、番号を割り振ったアイテムボックスに斗真が料理を入れるという離れ業が可能に、八百万宿や別館、冒険者ギルド、商業ギルドなどのギルドに設置する事で出前が可能となった。 
 
 長時間煮込みが必要な物も魔道具で一瞬!煮込み具合、圧力の入り方も調理人顔負けの現代調理器具すら軽く超越する料理道具を異世界でもたった一人だけ使う事が許されている。 
 
 夜の部の内臓料理や現代では生食禁止になったレバー、寄生虫が怖い生の魚、ノロウィルスが怖いカキなどなどの様々な美味いけど危ない食材も異世界人特典のスキルによって無害無毒、もしくは完全に綺麗に除去する加護があり、王族や貴族が真っ先に欲しそうな猛毒なども完全無毒にする加護を保有している。 
 
 八百万以外にも夜の部で店をみながら、ノートPCで在宅の仕事もこなし、月々の収入もあるが、現代世界でする事といったら現代の食材の発注やアルコールの大量購入などで、異世界の物を現代で売って現代世界の物を異世界で売って儲けようなどとは今の所考えてはいない。 
 
 ただ、酒に関しては瓶の美しさもあり欲しいと言う人が絶えない為、代理購入もしている。 
 
 八意斗真の区画整理能力や建物、外壁など街自体の拡張能力により、一大テーマパークといってもいい程巨大な宿や遊戯場があり、王都と港町に近くウェールズの街の奥は森が広がって他に街はないのだが、斗真の拡張機能により大陸自体が少し大きくなっている可能性もあるが、今の所は微々たるもので済んでいる。 
 
 八百万自体も大きく拡張され、大勢のお客様が一回で沢山来店する為、今ではリリ、ねねだけではなく街の孤児達にもお給料を払って配膳の手伝いをしてもらっている。 
 
 前よりも楽になった!確実に楽になったはずなのだが、斗真には暇がない。 
 
 3~5歳くらいのリンネ、子猫のキャス子、子龍のアリスがいる。 
 
 5歳くらいと言えば、もっと言葉も喋っていいと思うのだが、リンネは喋らない、あ~とかぅ~とか意思の疎通は出来て言るっぽいけど、教えても教わる気がないみたいに喋らない、子龍はどうかわからないが、子猫のキャス子も異常に成長しない、ず~っと子猫のまま、そしてこの二匹も俺の言葉を確実に理解している。 
 
 不思議の子組だ・・・・・・・・。 
 
 朝起きると、三人がべったり、朝ご飯もべったり、昼ご飯は手が空いてきたらみんなで食べるのだが、店に出る時は三人には居間で遊んでてもらう。 
 
 でも毎回離れる時が大変なのだ。 
 
 「リンネもあと二人もそろそろお昼だから離れて?」 
 
 ぐいぐいとしがみ付くリンネを引きはがそうとすると。 
 
 「いや!!!」 
 
 喋れるやないかい!?と思いつつも。 
 
 「仕事だから、三人で遊んでて」 
 
 「いあ!!!!」 
 
 「もうリンネは毎回しかたないなぁ」 
  
 そういってねねに引きはがしてもらうと、顔を真っ赤にして。 
 
 「ままあああああああああああああああああああああああああああ!!!!まんまああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」 
 
 リンネの絶叫が家の中に響き渡る。 
 
 あとママじゃない、せめてパパと呼ばそうとしたが、ままと言って譲らなかった。 
 
 他二匹、二人?は聞き訳も良く、離れると泣き叫ぶリンネを必死にあやし始める。 
 
 昼も終わって、居間に戻るとスンスンいいながらも二匹と遊んでいたリンネは走ってきて俺にしがみ付く。 
 
 「おやつにしようか?何食べたい?」 
 
 「はぁ・・・(にっこり)ぷちん」 
 
 「プリンか、リンネはプリン好きだなぁ」 
 
 鳳凰の卵と宝石砂糖を使ったプリン、これが美味い!!!何度食っても常識が覆る音が脳内に響いて、寒気が出た時みたいに体がぶるっと震えるほど美味い!!!そこに宝石砂糖のキャラメリゼしたカラメルソースが死ぬほど美味い!!!何度も食った大人の俺でさえ美味いと思うのだ。 
 
 リンネの感動はきっと俺以上なのだろう。 
 
 最近では記録の魔道具にニーアさんが斗真が作ってくれたおやつ!!!っていってインスタ映えみたいな記録とって冒険者ギルドやクリスタさんに自慢しているらしい、クリスタさんの分は後でちゃんとお渡ししてる。 
 
 その後、夜の部がはじまり、店のお客にメニューを一通りだしたら、店側はほったらかしにして俺達の晩御飯が始まる。 
 
 だからこの間はメニューやお酒の追加は受け付けてないし、最初の頃はお代を払わず逃げるお客さんもいたけど、そんな客は二度とうちの飯も酒も飲めないし、何度もやろうものなら他の冒険者が俺より先に黙っていないのである。 
 
 その後リンネと二匹とお風呂にはいり、店に戻ってメニューと酒の追加注文を受け、ノーパソ広げ在宅の仕事しつつ店を見る。 
 
 リンネが眠りそうになったら、部屋に寝かせにいって夜の9時10時くらいには、もう客はちらほら、中には座敷で寝ている客が何人か・・・・・・・毛布と枕をとお水をもって酔いつぶれ組を介抱しながら、その人達は八百万の座敷に雑魚寝でおやすみ。 
 
 4~5人、多い時には10人くらいが、まだ飲みたいといってくるので、それに付き合う。 
 
 冒険者は過酷な職業だ。 
 
 最近では死人なんて出ない安全なダンジョンで通ってるけど、そうなるまでに沢山の人が亡くなった。 
 
 割と安全になったといっても、殺し合いの世界、いつイレギュラーな事が起こるか分からない油断できない世界。 
 
 遅くまで飲みたくなる時だってある。 
 
 泣き出したくなる時だってある。 
 
 寂しくって辛い夜もある。 
 
 思い出して悲しい時だってある。 
 
 ひとしきり話聞いて、さてお開きにするかってなったら、今日は別館に泊まって朝風呂でも浴びていきなって一言言って、朝には朝飯用意しといてやるから今日はのんびりしていきなって声をかけ。 
 
 宿側に通す。 
 
 少しでも慰めになればいいと、そして朝には酔いつぶれ組も起こして、なんてことはない朝の定食を出して、送り出す。 
 
 最近の俺の毎日は中々に充実している。
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