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A級冒険者 ラウド グラナダファミリア所属

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 -A級冒険者 ラウド グラナダファミリア所属ー 
 
 最近グラナダ領から引っ越してきて、リナリア嬢も拠点をウェールズに移すって言うからクランは大騒ぎ、なんでウェールズ?まぁ近いのが唯一の救いなんだけど。 
 
 お嬢は八百万って宿屋と飯屋がそれは気に入ったみたいで、八百万の店主のあの旦那もお嬢を知っている様でVIP客扱いしてくれてた、流石はお嬢だと思ったね。 
 
 それに確かにあの設備は凄いわ、面白いもんが沢山あって、来たばかりの俺達は遊びつくして、風呂まで堪能した。 
 
 お嬢はあの旦那をグラナダまでどうにか招待したいって話だったな。 
 
 それに料理も美味いこと美味い事!初めて食った時の飯の衝撃、あれは忘れられない、冒険者ギルドにいると、ギルドマスターが今日の飯がどんな飯か告知してくれるんだ。 
 
 今日の定食はとろけサバだって聞いた時、俺は肩を落とした。 
 
 魚はグラナダ領の名産で、色んな魚をそりゃ食べたもんだ、グラナダに限らず港町の人間はほとんど毎日魚を食う、今日も魚かよってくらい魚を食う、だからこそ外で飯を食う時はみんな肉を注文するもんなんだ。 
 
 どうする?今日は他の店いくか?でもなぁ・・・・・そんな事考えながら八百万の店に行くと。 

 いつもよりは並びがちょっと緩いかな?なんて感じの人入りだった。 
 
 なんとはなしに俺も流れで列に並ぶ、とろけサバやとろけイワシなんかは安くて美味い、まさに庶民の味方って魚で、食った事ない奴を探す事の方が難しいくらいだ。 
 
 そんな滅茶滅茶一般的で、超庶民の味方の魚。 
 
 話し声に耳を傾けると、八百万の事だから俺達が知らない調理法で出してくるかもしれないとか、八百万だからなぁ、ただの塩焼きって事はないだろうとか、色々聞こえてくる。 
 
 普通思いつくのは、塩焼きだろ後はスパイスで煮込むとか、生は怖くて食えねぇ・・・そんなもんだよなぁ。 
 
 ここの店は腹痛にならずに魚が食えるのが自慢って話も聞いた事があるから、もしかしたら生で出てくるかもしれない!それはそれで面白いよなぁ、流石に港町でも生で食うって事はない、昔っから注意されてる事だし、大人が口酸っぱくしながら何度も言うくらい、生ではくうなって躾けられてんだから、それを安全に食えるなんて面白いしどんな味か興味がつきない。 
 
 お嬢が酒の席でよく語るんだよ、八百万の寿司はそれはもう夢みたいな美味さで、色んな魚達が出てきて、しっかり仕事がしてあってとても美味しかった!私はあの料理に、港町の我が領が名物となって人々で賑わう夢をみた!ってそれは嬉しそうに語るんだ。 
 
 生で出すなんてある意味で料理とは言えないんじゃないか?とかも思ったりもしたんだが、お嬢がそれほど感動したのなら、味は本物なんだろうなと思う。 
 
 あれこれ考えてると俺の番が来た、とろけサバかぁ・・・・。 
 
 まっていると、店はいい匂い、食欲をそそる匂いだ。 
 
 「は~い、今日はとろけサバの味噌煮にサバの押し寿司もついてあるよ!ウェールズの隣にある港町で大量だったんだ!脂がのってて美味しいよ!」 
 
 味噌煮?味噌って調味料で煮たのか?それに寿司!これかぁお嬢が言ってたの!まさに米の上にサバが乗ってるだけ、こんなん美味いのか?俺でも作れそうだぞ?。 
 
 まずは味噌煮を一口、もぐもぐうん!こいつはうめぇ!なんじゃあこりゃあ!俺の知らないサバの味!甘くてとろっとしてて身はしっかりとホクホクなのに甘いタレと良くなじむ! 
 
 なるほど!ここで米か!味噌煮と米!滅茶苦茶美味い!。 
 
 ハラミの脂の乗ってる所が強暴的にやばい!とろける濃厚な脂に甘味噌が絡んで、噛みたいけどあっと言うまに飲み込んじまった!マジでとろとろでやばい!美味すぎる!。 
 
 ジャガイモとこんにゃく、それに肉が入った煮物もいい味がして、紫蘇の塩漬けのキャベツがまたサクサクと爽やかな酸味、ごぼうと人参のきんぴらのジャキジャキ感もいい。 
 
 出汁巻き卵もふわふわしっとりで美味い!わかめのサラダ、程よい酸味で癖になる美味さ! 
 
 なんだ!このボリューム!こんなにいっぱいメイン以外にもついてくるのかよ! 
 
 そんでサバの押し寿司・・・・うほほほ!なんじゃこりゃ!極上にうめぇ!しっとりの程よい酸味に脂がじゅんわり出るのにさっぱりしていくらでも食えそうな爽やかさ!酸味もあるのに尖った酸っぱさじゃない!優しくまろやかで俺でも食える!何個でも食えちゃう!!!。 
 
 「味噌煮も美味い!押し寿司もやばい!!こりゃ美味すぎる!」 
 
 「お兄さん、押し寿司半分炙ってやろうか?」 
 
 「炙る?」 
 
 「火で炙ると脂がまたじゅわっと出てまるで違う食べ物みたいに美味いよ!」 
 
 「頼む!炙ってくれ!」 
 
 「こっちもだ!ねねちゃん頼む!」 
 
 「リリちゃ~ん!俺のも炙ってくれぇ!」 
 
 「こっちもだ!」 
 
 「俺のも頼む!」 
 
 「「はいは~い」」 
 
 目の前で炙ってもらうと、パチパチと皮に焦げがつき、じゅわじゅわと脂が溢れる。 
 
 炙りを思い切ってもぐもぐ!うぉ!炙る前のはしっとりとしてむちむちっとした感じから、ほろほろと簡単に崩れる感じに変わった、脂がまたじゅわじゅわでうめぇ!こんなに脂が出んのに酢飯が受け止めて、さっぱり食持ちよく喉奥に消えていく。 
 
 なんちゅう美味さじゃ!生の方はしっとりムチムチそれでいて脂の旨味も感じる、炙るとほろほろとして脂がじゅわじゅわっと噴き出るようじゃ、それでいて米と混ざり合うともう美味さの大爆発!どっちもいい所がありすぎて、どっちが好きとか言えないレベルだ!。 
 
 味噌煮は味噌煮でちょっとの量で米を沢山食ってしまう!まさにサバ祭り!スパイスで煮た奴も嫌いじゃないけど、どっちが好きか聞かれたら断然味噌煮だ!まろやかでとろとろ、天国みたいな味しやがって!!食べ慣れたサバがこんなに美味いだなんて、誰が考え付く? 
 
 サバの味噌煮!押し寿司!どれも極上だった・・・・最近バタバタしてたけど、なんか落ち着いたなぁ。 
 
 ちょっとした街並みを見て、俺今かなり幸せかもしれないとニヤニヤしちゃうのだった。
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