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とろけサバ

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 ウェールズ近くの港町、そこで猟師を親子でやってる、フーガさんとマーサさん八百万亭に宿泊して、うちの料理を食べて満足して帰ってもらったのだが、その後フーガさん達から時々直接魚を購入したりするようになって、連絡をとりあっていたりする。 
 
 朝の段階で今日の漁の調子を聞いて、いい魚が入っているかを聞いて、中々良さそうな魚がいればアイテムボックス便と言う、アイテムボックスどうしが繋がっていて、遠い町ともやり取りができるボックスに投入されるので、それを回収に商業ギルドまでいくのだ。 
 
 フーガさんを紹介してくれたのは、何を隠そうこの街の魚の元締めルーカスさんで、いい魚を手に入れたい時にはこうやって連絡するんだとか、色々教わった。 
 
 今回手に入ったのは、とろけシリーズのとろけサバ、これが大漁も大漁だったらしく、嬉しい悲鳴と言いたい所なんだけど、あまりに大漁すぎると、自然と値段を下げないと売れなかったりするらしい、それに自分達が大漁と言う事は、他の漁船でも同じ魚が大漁なんて事が結構あるので、売る魚がかぶってしまうと、やはり値を下げて売るのは暗黙の了解となっている。 
 
 商会などに卸す分もあるし、安値といっても量が量なので赤字になる事はないし、結局かなり儲かっている。 
 
 個人だったら色々な魚が入った箱、一つで千円とかお得パックの奴があったりしていいのだが、こっちは料理屋なので、同じ魚を大量に入手しなきゃいけない。 
 
 とろけサバ、一匹銅貨三枚で、300匹以上購入した。 
 
 とろけサバは青魚だけど、臭くなく、美味しく食べれる。 
 
 塩焼きでもいいし、串焼きでも豪華でいい、地球の物より大ぶりの身をしているのに繊細で足が速いとよく言うが、とろけサバは時間がたっても悪い匂いなどしない、扱いさすく食べやすい魚だ。 
 
 サバを切り身にカットしたら、お湯で臭みをとり、味噌、醬油、砂糖、みりん、酒、水を入れた大鍋に入れて、大量に煮る、生姜スライスを入れるのを忘れずに。 
 
 サバの身が崩れない様に注意して、大量にサバを煮ていく、少量をフライパンで煮ても美味いサバの味噌煮が出来るが、大量にゆっくりことこと煮る事によって、しっかり身の奥まで甘味噌がしみ込み、臭みも一切なくまさにとろける食感を生み出す事ができる。 
 
 何故鍋を使って大量に煮た方が美味く出来るのかはわかっていない、きっと何かしら理由があるのだと思う。 
 
 つやつやの米に、ネギとわかめ、豆腐の味噌汁、大ぶりのとろけサバの切り身が二つ、どんどんと並ぶ、昆布と紫蘇の佃煮にサトイモと人参、タケノコがごろごろ入った煮物、ごぼうと人参のきんぴらに冷ややっこもつけて、出汁巻き卵と悩んだけど、冷ややっこにしてみた。 
 
 ほうれん草の胡麻和えとか海藻サラダなんかさっぱりしたものをつけてもよかったかな? 
 
 「みんな~ごはんだよ~」 
 
 トタトタと足音ならしながら、みんなが集まる。 
 
 「お腹すいた~、わぁお魚だぁ!」 
 
 「大ぶりの身が二つも!豪華ですね!」 
 
 「いい匂い!美味そう!」 
 
 「「「「いただきます」」」」 
 
 おお~とろけサバ、しっかり身に味噌がしみ込んで、まさにトロける食感!特にハラミの部分!脂も乗って、味噌に絡まって極上に美味い!とろける所を口に運ぶと、咀嚼する間もなく喉奥に運びたくなる、そして米!合わないわけがない!甘味噌とサバの旨味が米を食べる事を加速させる!
 
 「こんなにご飯に合うお魚初めてかも!美味しい!」 
 
 「はうぅぅとろっとろでお米と相性最高です!」 
 
 「やばい!美味すぎる!これすっごい美味い!!」 
 
 何より青魚だから、ちょっとでも手を抜くと皮の部分なんか生臭く感じるが、味噌につけてしっかり煮たから皮目もとろとろで極上に美味い!パリパリに香ばしい皮も美味いかもしれないけど、味噌煮の皮はとろっとろで血合いの部分も全然臭くない。 
 
 「毎回思うけど、煮物も佃煮も美味しいよね」 
 
 「今日はきんぴらまである!これもご飯に合う!」 
 
 「冷ややっこも好きだ!なんだかんだで豪華だよなぁ、色々ついてくるし」 
 
 「定食っていったら、小鉢が沢山ついてくるもんだと思って、流石に海藻サラダに、出汁巻きまでつけたらやりすぎかと思ってやめた。出汁巻きはつけてもよかったかな?」 
 
 「今でもサービス満点っていわれてるから、無理してつけなくてもいいんじゃないかな?」 
 
 「メインのサバも大ぶりの二切れもある時点で、茶わんいっぱいじゃ米がたんねぇ」 
 
 「うちはお替りも、サービスですからね」 
 
 「貰いすぎないように考えてるんだけど、頂き物なんか使ってると丸々儲けが入ってくるからなぁ、いっそ味噌汁もお替り自由にしようかなぁ」 
 
 「今のままでも十分だと思うけど」 
 
 「そうだな、今でも十分びっくり箱みたいなのばっかりだ」 
 
 「お兄ちゃんは大変じゃない?」 
 
 「なれたもんだよ、下ごしらえはみんな手伝ってくれるし、本業も問題ないしね、ただまた仕込みやる時は、商業ギルドから人雇いたいかな」 
 
 たまには手を抜いた料理でもいいかなっておもうんだけど、やきそばの時みたいに、美味いの作ったらどうなるんだろ?って考えが脳裏に浮かんで、結局麺まで特注で作る事になったりするからなぁ、牛丼の日を作るのもいいかも、丼ものは乗せるだけで楽できるし。
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