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仕入れと試食

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 定食屋?飯屋を始めるにどんなメニューがいいだろうか?その日既にメニューが決まっていて、どんな料理ならスムーズに俺でも出せるだろうか?朝仕入れて、昼までにある程度仕込んで、お昼から3時くらいまでの短い間だけ飯屋を開く、こんなもんでいいだろう。 
 
 次は何作るかだ、ほぼ捨て値で手に入るのは、魚ならイール、うなぎだ肉なら内臓類だが内臓の仕込みは結構手間がかかる、それでももし出すなら牛タンのステーキ定食とか牛タンシチューになるな。 
 
 でも折角ならこの前のクリスピーポークみたいに、異世界のお肉を仕入れて調理したいって気持ちもある。 
 
 まぁここで悩んでいても仕方がないかも、朝の仕入れの段階でどんな食材を手に入れるかわからないし、でも最初はやっぱり肉かな?フィガロさんのお店で仕入れよう。 
 
 「よう!いらしゃい!今日から昼営業なんだってな!俺も寄らせてもらうよ!」 
 
 「ありがとうございます。お待ちしております。安くていい肉なんかないですか?」 
 
 「だっはっははっきり聞くなぁ!安くていい肉かぁ」 
 
 そんな都合のいい肉なんて中々ないとは思いつつも、俺よりやっぱり本職のフィガロさんに聞いた方がいいもの仕入れられると思って聞いて見た。 
 
 「こいつなんかどうだ?マッスルボア、こいつはでかくて肉の部分がよく捕れるんだが名前の通り筋肉が多くてな、ただ焼いただけだと恐ろしく硬い」 
 
 マッスルボアか、う~ん玉ねぎで柔らかくなるかな? 
 
 「他にはレッドクリスタルボア、こいつもデカく体内に赤いクリスタルを精製する魔物でな、もちろんクリスタルは回収済みだ、肉は見てみろ、肉もクリスタルの様に透き通った赤だ、一見見た目は美しいが味は平凡でな、キャラメル豚などに比べると一段二段落ちる肉だな、元々肉には期待されてないからこいつも安いぞ10キロで銀貨3枚でいい、斗真だから原価でいいぞ」 
 
 10キロで銀貨三枚!安い!三千円じゃん!見た目も綺麗だしこれに決めた!
 
 「買います!」 
 
 「毎度!昼楽しみしてるぜ!」 
 
 これでトンカツを作ろう!トンカツ定食なら、ご飯に味噌汁、キャベツの千切りにレモンに漬物、きんぴらの小鉢をつけて、トンカツは注文が入ったら揚げるだけ、これなら俺もでも簡単にだせるな、きんぴらも漬物も俺が簡単に用意したものだけどないよりはましだし、キャベツの千切りに至っては、手動でくるくるハンドルを回すと千切りが出来るやつを使っている。 
 
 リリとねねも手伝ってくれていたので、下ごしらえの作業が結構楽しく出来ていたりする、朝弱いのか、今日は起こさないで俺一人で出てきた、帰った頃には起きてるかな? 
 
 家に帰ると、起きてるっぽい気配がする。 
 
 「ただいま~」 
 
 「お兄ちゃん!どうしてねねを置いていったの!ねねも行きたかった!」 
 
 「ごめんなさい、斗真さん、朝はどうにも最近心地よくて」 
 
 「ごめんごめん、二人とも寝てるみたいだったから」 
 
 「明日はねねも起きる!」 
 
 「今日はどんなもの仕入れて来たんですか?」 
 
 「レッドクリスタルボアのお肉を仕入れて来たよ。格安だった」 
 
 「レッドクリスタルボアですか?あまりどんな味だったか覚えてないです」 
 
 フィガロさんが面白みのない平凡な味と言っていたからなぁ、確かにこの世界で普通の肉だったらあんまり印象に残らないかも。 
 
 俺はリリから借りたアイテムボックスからレッドクリスタルボアの肉を出す。 
 
 「わぁ!綺麗な色、お肉じゃないみたい!」 
 
 「なんだか透き通って、本当にお肉に見えませんね」 
 
 「綺麗な色だろ、これでトンカツ作ったら映えるんじゃないかと思ってさ」 
 
 まずは肉をトンカツサイズに切り分けていき、玉ねぎのすりおろしに漬ける、1時間から2時間が一番いいと思われる、漬けすぎると柔らかくなりすぎたりして舌ざわりが悪いお肉になってしまうので注意が必要だ、レッドクリスタルボアは見た目の大事なので1時間だけ漬ける、それ以上だと肉の色も変色してしまう可能性があるからだ。 
 
 次に衣をつけていく、小麦粉、卵に長芋のすりおろしを混ぜたものにつけ、パン粉につける、衣を厚くするためにもう一度同じ事を繰り返し、これであとは揚げるだけ。 
 
 揚げ油のラードを作る為の脂もフィガロさんの所どっさり購入した。 
 
 小鉢の準備もできている、漬物も大丈夫、キャベツは開店一時間前に切り水に晒しざるにあげて置く、味噌汁の寸胴もOK、米はまだ炊いてない、スプーンとフォーク、お盆の準備も出来ている。 
 
 どれ試しに、一枚揚げてみる、一度揚げて、少し休ませたらもう一度揚げる。 
 
 「味見?味見するの?」 
 
 「そうそうどんなのか気になって」 
 
 ざくざくざくと切っていく、デカめのトンカツに憧れていたから大き目にしたけど、これは迫力もボリュームもあるなぁ、一応肉に温度計を刺して確認したけど、うんしっかり火が入ってる温度だ、切った断面からは火がはいっているかはわからない見た目だ、ちょっと濁った色だけどしっかりクリスタルって感じで、肉ってよりお菓子のグミでも揚げたのか?って見た目だが、香ばしい匂いはうまそうだ。 
 
 「サックサクの衣にお肉にきゅっと歯が入り、なんじゃぁ!めちゃうまいじゃん!」 
 
 「ねねも!ねねにも頂戴!」 
 
 俺は新しいお肉をねねにあ~んしてあげる。 
 
 「ふわぁサックサクのお肉もっちもち!脂の甘味とお肉の味がしっかりしてて美味しい!」 
 
 「はい、リリも」 
 
 「あう~いただきます。あれ!?こんなに美味しかったら覚えてるはずなんだけどなぁ~、柔らかく、くにくにしてどっしりとした旨味が口の中に広がりますね!」 
 
 ほろっと溶ける感覚ではなく、しっかり繊維立っていて、噛むごとに弾力が程よく合って、衣のサクサク感ともちっとした肉の旨味が丁度いい、お得すぎる!こりゃ売れるだろ!
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