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第15章 デート編

第86話 次のデートに向けて

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【次の日の月曜日】

 はぁ……昨日は疲れたなぁ……

 でも、俺にとっては良い経験になったんだろうなぁ……

 そ、それにしてもファミレスにうちの家族が来るとは思わなかったぞ。

 まさか、静香さんが詩音と仲良くなったり……伊緒奈にいたっては家族全員と仲良くなるなんて考えもしなかったことだ。

 あの後、帰宅して詩音達に伊緒奈とどんな話をしたのか問い正しても大した回答をしてもらえなかったのは何故なんだ?

 母さんにいたっては『伊緒奈ちゃんって、可愛くてとても良い子ねぇ? あの子なら良いが築けると思うわ』って意味不明な事を言っていたし……

 こうなったら伊緒奈本人に聞くしかないよな?


「おはよう、颯君」

「あっ? お、おはよう伊緒奈……」

「ん? 颯君、なんかお疲れ気味みたいね?」

「そ、そりゃぁそうさ……昨日は俺にとって人生初めてのデートだったし、それも二回も……って、そんな事よりもファミレスで伊緒奈はうちの家族と一体、何の話をしていたんだ?」

 四人共、凄く楽しそうに話しをしていたからめちゃくちゃ気になって静香さんに集中するのが大変だったんだからな!!

「別に普通のお話よ。たわいのない話しかなぁ……」

「ほ、本当かい?」

「本当よ。颯君の小さい頃のお話とか、詩音ちゃんが仙石学園に外部入学する為のアドバイスとか……あっ、颯君のお父さんとのお話の中でとても驚いた事があったなぁ……」

「えっ? な、何を驚いたんだい?」

 父さん、伊緒奈に何を言ったんだ?

「あのね、颯君のお父さんが勤めている会社と私のお爺ちゃんの会社が同じ『グループ会社』だったのよ。だから私、竹中家とは縁があったんだなぁって思っちゃって……それが驚いた事かなぁ……」

 ん? グループ会社?

 伊緒奈の爺ちゃんのあんなデカい会社の上にまだ他の会社があるって事なのか?

「たしか、父さんの会社は『テンカイ開発』という名前だったと思うんだけど……」

「そうらしいね。実はね、うちの『トクガワキヨシ』は数年前に経営危機があって、それでテンカイグループに凄く援助してもらった事があったの……それでそのままテンカイグループの子会社になったんだよ。お陰で今は経営状態も良好らしいわよ」

「えっ、そうだったのか!? って事はお互いに世界的に有名な企業『テンカイ』の子会社って事なのかぁ……」

 これは驚いたな。

 伊緒奈の爺ちゃんの会社が経営危機になった事があったってのも驚きだけど、まさか父さんと同じ子会社だったとはな……

「まぁ、この話はこれくらいにして、今日も昼休みに自習室で『ちつてと反省会』を行うから颯君も参加してね?」

「えっ? は、反省会? 何の反省会なんだい?」

「フフフ……決まっているじゃない。昨日のデートについての反省会よ」

「えーっ!? お、俺も反省しないといけないのかい!?」

「違う違う。颯君はとっても頑張っていたし、反省する事なんて全然ないわよ。どちらかと言えば反省するのは私達かもね。ただ颯君には次のデートプランについても話し合いをしたいから参加して欲しいの」

「わ、分かった……次のデートの事なんて俺一人で考えられるとは思えないし、元々相談するつもりだったし……でも伊緒奈達が反省するってのはどういう意味なんだい?」

「ん? うーん、えっとねぇ……遊園地で八雲ちゃんが迷子になってしまった事や、華ちゃんが急遽、任務を後回しにして『忍者ショー』に出演してしまった事とかかなぁ……」

 高校生が遊園地で迷子になんてなるのか?

 それに服部さんが『忍者ショー』に出演しただと!?

 逆にそれは観てみたかったな。


「おはよう、颯に伊緒奈ちゃん。二人で何の話をしているんだい?」

「お、おお……俊哉、おはよう……」

 なんか、俊哉に会うのが久しぶりの感じがするのは何故だろうか?

「おはよう、俊哉君。別に大した話はしていないから気にしないで」

「えっ、そうなのかい!? まっいっか。それよりもさ、最近、颯を含めて伊緒奈ちゃんのグループだけで行動している事が多い様な気がするんだけど、颯の親友である俺も仲間にいれてくれないか?」

 は、颯の親友だなんて……

 ほんと、俊哉の奴は『クサいセリフ』をサラッと言うよな?

「ゴメンね、前田君? 今、私達が行動している中に前田君を入れる事はできないの」

「えっ、何でだよ? クラスメイトだし、良いじゃないか?」

「クラスメイトとかは関係ないの。だって前田君は羽柴グループの人だから……」

「!? 伊緒奈ちゃん達の動きって陽菜ちゃんと何か関係があるのかい!?」



 【ちつてと反省会】


「という事で、とりあえず反省会はこれくらいにしましょうか?」

「伊緒奈様、本当に申し訳ありませんでした……」
「私も……ゴメンなさい……」

「二人共、もう気にしないで。一応、次の時にミスをしない為に反省会をしただけだから……それに二人はその後のファミレスで良い働きをしてくれていたしね」

「ああ、颯さんの家族が来ているという情報ですよね?」

「うん、太鳳ちゃんの言う通りよ。颯君のご家族とお近づきになれて私はとても嬉しかったし、これからの行動に幅が出来た気持ちになったわ」

 これからの行動に幅が出来たってのはどういう意味だ?

 たまに伊緒奈は理解できない事を言うよな?

「伊緒奈ちゃん? それじゃぁ、そろそろ本題に入ろうよ?」

「そうね、知由ちゃん。次の土日のデートプランを考えましょうか……」

「私、水族館に行きたいわ!!」

「太鳳が行きたがってどうするんだ!?」

「何よ、直人!? 別に言ってみただけだし……」

 俺はみんなの意見を参考にした内容のラインを四人に送ってみた。

 ピコンッ ピコンッ ピコンッ ピコンッ

 四人共、返事早っ!!

 こうして俺は次の土曜日に上杉ケイト、伊達魔冬……
 日曜日は羽柴陽菜、毛利茂香とデートをする事になったのだ。

 連日の『ダブルヘッダーデート』……

 俺の身体がもつのかが心配になってきたぞ……



―――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。

次回、上杉ケイトとのデートから始まりますよ。
どうぞお楽しみに(^_-)-☆
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