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第12章 アルバイト編
第68話 行列のできる教室
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アルバイトを始めてから一週間が経った。
今週は土日のバイトは休みだったが、次の土日は朝から晩までバイト漬けになる予定だ。
休日の徳川がどんな生活をしているのかが分かるけど俺は別にそこは気にしていない。
先日、その事を徳川に言うと少し顔が怒っていた様な気がしたけど、俺はおかしなことを言ったのだろうか?
徳川の休日がどんなものかめちゃくちゃ気になるぜ!! って言われた方が普通は嫌じゃ無いのか?
まぁ、そんな事はどうでもいいのだが、最初はとても厳しかった春日さんも徐々にではあるが俺に対しての口調がマシになってきている。
まぁ、そうなる為に俺も必死で頑張ったんだけどな。
元々、俺は『引きこもり時代』に自分の部屋でジッとしている訳では無かった。
両親や詩音に迷惑をかけている事は分かっていたし、それに対して家族は否定的な事を何一つ言わないでいてくれたので俺は感謝の気持ちもあり毎日、炊事、洗濯、そしてたまに料理を率先してやっていたのだ。
そして元々、『陽キャ』で身体を動かすのが好きだった俺は勉強と並行して筋トレもやっており、見た目は『陰キャ』だが体力には自信があった。
まぁ、そのお陰で力もつき怪力の本多が俺の手を強く握ってもびくともせず、また織田会長と武田さんに同時に殴られても倒れない頑丈な身体にいつの間にかなっていたのだ。
という事で俺は春日さんの指示する仕事を上手い下手は別として遅れる事無くやり遂げていたので、さすがの春日さんも少しだけではあるが俺を認めてくれたみたいだ。
「た、竹中君……あれから一週間が経ったけど……うーん、そうねぇ……思っていたよりもなかなかやるわね? み、見直したわ……」
「あ、有難うございます!!」
俺は春日さんに初めて褒めてもらえたのが嬉し過ぎて思いっきり頭を下げた。
するとその勢いでメガネが外れて春日さんの方に飛んでしまった。
「あっ!! す、すみません!!」
「フフフ……竹中君、大事なメガネを飛ばしてしまうだなんて、喜び過ぎよ……これからまだまだ色々と覚えなきゃいけない事の方が多いんだからね!! よっと……はい、メガネ……ん!?」
「あ、有難うございます。俺、メガネが無いとほとんど見えなくて……」
「た、竹中君は何故コンタクトにしないのかな?」
「えっ? ああ、コンタクトですか? いや、まぁコンタクトをするのは怖いっていうのもありますが……この『瓶底メガネ』にはちょっとこだわりがあるというか……」
「ふーん、こだわりねぇ……勿体ないわね……」
「えっ?」
「いえ、何でも無いわ。で、伊緒奈お嬢様はメガネを外した時の君の顔は見た事があるのかしら?」
「え? はい、一度だけ近くで見た事はあると思いますが……それが何か?」
「いえ、別になんでも無いわ。今の会話は全て忘れてちょうだい!! これは命令よ!!」
「えーーーっ!?」
【次の日の昼休み】
俺は徳川達と昼飯を食べ終わるといつもの様に図書室に行こうと思ったが今日はそうもいかない状況になっていた。
教室にいるクラスメイト達も俺の方を見ながらざわつきだす。
「おいおい、何だアレは?」
「一体、何が起こったのかしら?」
「竹中君って見た目は地味なのに……なんか凄いよね?」
クラスメイトがざわついている理由……それは……
俺の座席に行列ができているのだ。
そして、その行列の先頭には織田会長が立っていた。
「お、織田会長? こ、これは一体どういうことでしょうか? な、何で俺の前にこんなにも行列ができているのでしょうか?」
「竹中君、どうして教えてくれなかったのかしら!?」
「えっ? な、何の事ですか?」
「た、竹中君がスマホを持つようになった事よ!!」
「えっ? な、何でそれを……?」
「ひ、陽菜ちゃんから聞いたのよ!!」
えっ? 羽柴副会長から?
でも何で羽柴副会長が知っているんだ?
俺は言っていないぞ。
「あっ、もしかして……」
俺は俊哉の方を見た瞬間、
「あっ!! は、早くトイレに行かないとモレそうだ!! そ、それじゃぁ颯、俺はトイレに行って来るから!!」
俊哉はそう言うと逃げる様に教室から出て行ってしまった。
と、俊哉の奴……羽柴副会長に言いやがったな?
「颯君? 早く乃恵瑠とライン交換してくれないかしら? 私も順番待っているし、後ろもつかえているから」
羽柴副会長の後ろには平手書記や武田さんと武田一派の人達、その後ろには上杉さんと上杉一派の人達、そして伊達さんまでが俺が見た事も無い人達と一緒に並んでいる。
そして最後尾には何故か『風紀委員長』の毛利さんまでがニヤニヤしながら並んでいた。
い、一体何にが起こったんだ!?
「えっ? 『陽菜さん』も俺とライン交換するんですか?」
「フフフ、勿論よ」
「ちょっと待って、陽菜ちゃん? 今あなた達、お互いに下の名前で呼び合わなかった!?」
「ええ、そうよぉぉ。乃恵瑠が風邪で学校休んでいる時に少しだけ颯君とお話する機会があってさ、それでその時に『仲良し』になっちゃってねぇ……それでお互いに下の名前で呼び合う事になったのよぉぉ……ね、颯君?」
「あ、はい……」
「 「 「 「な、何だってーーーっ!!??」 」 」 」
えっ!? 織田会長以外の人達も凄い反応をしたぞ!!
「 「はーい、皆さーん、他の生徒に迷惑になりますから、ちゃんと一列に並んでくださいねぇ?」 」
と、徳川と本多!?
お前等、何、交通整理みたいなことをしているんだよ!?
―――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
今週は土日のバイトは休みだったが、次の土日は朝から晩までバイト漬けになる予定だ。
休日の徳川がどんな生活をしているのかが分かるけど俺は別にそこは気にしていない。
先日、その事を徳川に言うと少し顔が怒っていた様な気がしたけど、俺はおかしなことを言ったのだろうか?
徳川の休日がどんなものかめちゃくちゃ気になるぜ!! って言われた方が普通は嫌じゃ無いのか?
まぁ、そんな事はどうでもいいのだが、最初はとても厳しかった春日さんも徐々にではあるが俺に対しての口調がマシになってきている。
まぁ、そうなる為に俺も必死で頑張ったんだけどな。
元々、俺は『引きこもり時代』に自分の部屋でジッとしている訳では無かった。
両親や詩音に迷惑をかけている事は分かっていたし、それに対して家族は否定的な事を何一つ言わないでいてくれたので俺は感謝の気持ちもあり毎日、炊事、洗濯、そしてたまに料理を率先してやっていたのだ。
そして元々、『陽キャ』で身体を動かすのが好きだった俺は勉強と並行して筋トレもやっており、見た目は『陰キャ』だが体力には自信があった。
まぁ、そのお陰で力もつき怪力の本多が俺の手を強く握ってもびくともせず、また織田会長と武田さんに同時に殴られても倒れない頑丈な身体にいつの間にかなっていたのだ。
という事で俺は春日さんの指示する仕事を上手い下手は別として遅れる事無くやり遂げていたので、さすがの春日さんも少しだけではあるが俺を認めてくれたみたいだ。
「た、竹中君……あれから一週間が経ったけど……うーん、そうねぇ……思っていたよりもなかなかやるわね? み、見直したわ……」
「あ、有難うございます!!」
俺は春日さんに初めて褒めてもらえたのが嬉し過ぎて思いっきり頭を下げた。
するとその勢いでメガネが外れて春日さんの方に飛んでしまった。
「あっ!! す、すみません!!」
「フフフ……竹中君、大事なメガネを飛ばしてしまうだなんて、喜び過ぎよ……これからまだまだ色々と覚えなきゃいけない事の方が多いんだからね!! よっと……はい、メガネ……ん!?」
「あ、有難うございます。俺、メガネが無いとほとんど見えなくて……」
「た、竹中君は何故コンタクトにしないのかな?」
「えっ? ああ、コンタクトですか? いや、まぁコンタクトをするのは怖いっていうのもありますが……この『瓶底メガネ』にはちょっとこだわりがあるというか……」
「ふーん、こだわりねぇ……勿体ないわね……」
「えっ?」
「いえ、何でも無いわ。で、伊緒奈お嬢様はメガネを外した時の君の顔は見た事があるのかしら?」
「え? はい、一度だけ近くで見た事はあると思いますが……それが何か?」
「いえ、別になんでも無いわ。今の会話は全て忘れてちょうだい!! これは命令よ!!」
「えーーーっ!?」
【次の日の昼休み】
俺は徳川達と昼飯を食べ終わるといつもの様に図書室に行こうと思ったが今日はそうもいかない状況になっていた。
教室にいるクラスメイト達も俺の方を見ながらざわつきだす。
「おいおい、何だアレは?」
「一体、何が起こったのかしら?」
「竹中君って見た目は地味なのに……なんか凄いよね?」
クラスメイトがざわついている理由……それは……
俺の座席に行列ができているのだ。
そして、その行列の先頭には織田会長が立っていた。
「お、織田会長? こ、これは一体どういうことでしょうか? な、何で俺の前にこんなにも行列ができているのでしょうか?」
「竹中君、どうして教えてくれなかったのかしら!?」
「えっ? な、何の事ですか?」
「た、竹中君がスマホを持つようになった事よ!!」
「えっ? な、何でそれを……?」
「ひ、陽菜ちゃんから聞いたのよ!!」
えっ? 羽柴副会長から?
でも何で羽柴副会長が知っているんだ?
俺は言っていないぞ。
「あっ、もしかして……」
俺は俊哉の方を見た瞬間、
「あっ!! は、早くトイレに行かないとモレそうだ!! そ、それじゃぁ颯、俺はトイレに行って来るから!!」
俊哉はそう言うと逃げる様に教室から出て行ってしまった。
と、俊哉の奴……羽柴副会長に言いやがったな?
「颯君? 早く乃恵瑠とライン交換してくれないかしら? 私も順番待っているし、後ろもつかえているから」
羽柴副会長の後ろには平手書記や武田さんと武田一派の人達、その後ろには上杉さんと上杉一派の人達、そして伊達さんまでが俺が見た事も無い人達と一緒に並んでいる。
そして最後尾には何故か『風紀委員長』の毛利さんまでがニヤニヤしながら並んでいた。
い、一体何にが起こったんだ!?
「えっ? 『陽菜さん』も俺とライン交換するんですか?」
「フフフ、勿論よ」
「ちょっと待って、陽菜ちゃん? 今あなた達、お互いに下の名前で呼び合わなかった!?」
「ええ、そうよぉぉ。乃恵瑠が風邪で学校休んでいる時に少しだけ颯君とお話する機会があってさ、それでその時に『仲良し』になっちゃってねぇ……それでお互いに下の名前で呼び合う事になったのよぉぉ……ね、颯君?」
「あ、はい……」
「 「 「 「な、何だってーーーっ!!??」 」 」 」
えっ!? 織田会長以外の人達も凄い反応をしたぞ!!
「 「はーい、皆さーん、他の生徒に迷惑になりますから、ちゃんと一列に並んでくださいねぇ?」 」
と、徳川と本多!?
お前等、何、交通整理みたいなことをしているんだよ!?
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お読みいただきありがとうございました。
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
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