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第6章 痛い編
第26話 校門前での戦い
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『噂通りの学校』って何だよ?
遅刻しそうだったから母さんにそれについて聞けなかったけどさ……
それと、詩音や母さんは俺が学校で楽しくやっているような言い方をしていたよな?
俺のどこを見て楽しそうに見えるんだ?
それでなくても俺はどんどん学校の校門に近づいているのが嫌でたまらないのに。
俺は毎日自転車で通学している。
自宅から学園までは本来なら電車で通学した方が良い距離だが、俺はお金をあまり使いたくないのと、運動不足解消の為に自転車で通学している。
親父は普通のサラリーマンだから収入には限界がある。それなのに俺が自宅に引きこもっていた時に家庭教師を雇ってくれたし私立の中学、高校にも通わせてくれている。
両親には苦労をかけっぱなしだからな。少しでも家計の手助けをしたいんだ。
それに高校生生活が慣れて来たらアルバイトも考えている。
そして約三十分かけて自転車をこいでいると学園の校門が見えてきた。
ん?
あ、あれは……!?
な、何で校門の前に織田会長や羽柴副会長、平手書記が立っているんだ!?
何かあったのか!?
ってか、いきなり俺にとっては試練じゃねぇか!!
今日はこっそりと教室に入って、昼休みも屋上あたりに隠れて、帰りもこっそりと帰ろうと思っていたのに……
最初からつまずいてしまったぞ。
そして織田会長は真っ先に俺に気付き、校門よりも数メートル前で自転車を止めている俺のところに一目散に駆け寄って来る。
うわっ、どうしよう!?
に、逃げるか……
と、思ったのが遅すぎた。というより織田会長の足が速すぎた。
「お、おはよう竹中君!!」
昨日逃げたことをいきなり言われると思っていたけど、普通に挨拶をしてきたので逆に俺は慌ててしまう。
「お、お、おはよう……ございます……」
「竹中君、昨日はゴメンなさいね? 久しぶりに出会った人にいきなり『付き合って』なんて言ってしまって……そりゃぁ、逃げ出したくなるのも分かるわ。本当にゴメンね?」
「い、いえ……こちらこそ……すみません……俺も逃げ出してしまって……」
「いいの、いいの。悪いのは私の方なんだから。でも昨日言った事は本当よ。本当の気持ちなの。だから直ぐに返事はいいからゆっくり考えてくれると嬉しいなぁ……」
な、何だ、このめちゃくちゃキュートな人は!?
もっと責められると思っていたのに……まさか、こんなに可愛らしく話しかけてもらえるなんて……俺が『陰キャオタク』じゃなかったら、とっくに堕ちているところだぞ!!
「わ、分かりました……お、俺……女子に告白とかされたことが無いので……どうしたら良いのかも全然分からなくて……考える時間を頂けるのは助かります……」
「うん、それでいいよ。私はいつまでも待っているから。それとこれだけは言わせて? 私は竹中君と付き合えるのなら『生徒会長の座』を失ってもいいくらいにあなたが好きだってことだけ知っていて欲しいなぁ……ウフッ」
な、何でそこまでのことを俺みたいな『陰キャ』に言えるんだ?
俺は小学生の頃に一度助けただけじゃないか……
それなのに、この学園の頂点でもある『生徒会長の座』を失ってもいいだなんて……
「織田会長!! 戻って来てくださーい!! 緊急事態でーす!!」
「えっ?」今の声は羽柴副会長?
「緊急事態ですって?」
俺と織田会長が校門前にいる羽柴副会長の方を見ると赤髪で羽柴副会長よりもはるかに身長の高いナイスバディな女子中心に数名が立っている。
というか、羽柴副会長と平手書記が絡まれている様な感じにも見えるぞ!!
俺がそう思っている間に織田会長は直ぐに校門前まで戻っていた。
しかし、めちゃくちゃ足が速い人だな。
そして俺も自転車から降りて押しながら校門へと向かう。
どうやら赤髪の人が羽柴副会長から織田会長へとターゲットを変えたようだ。
「織田会長さん、なんで今日は朝から校門の前に生徒会役員達が立っているのかしら?」
「はい、たまには学園の生徒皆さんと挨拶をするのも良いかなと思いまして……」
「フン、どうせ次の選挙の為の人気取りでやっているだけじゃないの?」
「そんなことありませんよ。武田さんの考え過ぎですよ」
武田……?
ああ、武田さんって『仙石集会』の時に徳川の提案に対して後ろから賛成していた人か。
そういえばあの時も『生徒会』に対して何か敵意みたいなものがあったよな……
俺は小声で羽柴副会長に話しかけてみた。
「は、羽柴副会長……おはようございます……」
「おはよう、竹中君。昨日はありがとね」
「それはいいんですが、なんか絡まれているよに見えるんですが、大丈夫なんですか?」
「ハハハ、大丈夫よ。よくあることだから……」
よくあるのか?
生徒会ってマジで大変なところなんだな。
「あの人は三年の『武田静香』さんといってね、去年の『生徒会長選挙』で二位だった人なの……」
――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
自転車通学の颯は校門近くまで来るが、校門の前には何故か織田会長達の姿が?
颯に気付いた乃恵瑠は颯のところにすっ飛んでいき昨日のことを謝ってきた。
そんな中、校門前では羽柴副会長に因縁をつける女子達の姿が……
それは昨年、生徒会長選挙で二位の武田静香を中心とした三年生の女子達だった。
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
遅刻しそうだったから母さんにそれについて聞けなかったけどさ……
それと、詩音や母さんは俺が学校で楽しくやっているような言い方をしていたよな?
俺のどこを見て楽しそうに見えるんだ?
それでなくても俺はどんどん学校の校門に近づいているのが嫌でたまらないのに。
俺は毎日自転車で通学している。
自宅から学園までは本来なら電車で通学した方が良い距離だが、俺はお金をあまり使いたくないのと、運動不足解消の為に自転車で通学している。
親父は普通のサラリーマンだから収入には限界がある。それなのに俺が自宅に引きこもっていた時に家庭教師を雇ってくれたし私立の中学、高校にも通わせてくれている。
両親には苦労をかけっぱなしだからな。少しでも家計の手助けをしたいんだ。
それに高校生生活が慣れて来たらアルバイトも考えている。
そして約三十分かけて自転車をこいでいると学園の校門が見えてきた。
ん?
あ、あれは……!?
な、何で校門の前に織田会長や羽柴副会長、平手書記が立っているんだ!?
何かあったのか!?
ってか、いきなり俺にとっては試練じゃねぇか!!
今日はこっそりと教室に入って、昼休みも屋上あたりに隠れて、帰りもこっそりと帰ろうと思っていたのに……
最初からつまずいてしまったぞ。
そして織田会長は真っ先に俺に気付き、校門よりも数メートル前で自転車を止めている俺のところに一目散に駆け寄って来る。
うわっ、どうしよう!?
に、逃げるか……
と、思ったのが遅すぎた。というより織田会長の足が速すぎた。
「お、おはよう竹中君!!」
昨日逃げたことをいきなり言われると思っていたけど、普通に挨拶をしてきたので逆に俺は慌ててしまう。
「お、お、おはよう……ございます……」
「竹中君、昨日はゴメンなさいね? 久しぶりに出会った人にいきなり『付き合って』なんて言ってしまって……そりゃぁ、逃げ出したくなるのも分かるわ。本当にゴメンね?」
「い、いえ……こちらこそ……すみません……俺も逃げ出してしまって……」
「いいの、いいの。悪いのは私の方なんだから。でも昨日言った事は本当よ。本当の気持ちなの。だから直ぐに返事はいいからゆっくり考えてくれると嬉しいなぁ……」
な、何だ、このめちゃくちゃキュートな人は!?
もっと責められると思っていたのに……まさか、こんなに可愛らしく話しかけてもらえるなんて……俺が『陰キャオタク』じゃなかったら、とっくに堕ちているところだぞ!!
「わ、分かりました……お、俺……女子に告白とかされたことが無いので……どうしたら良いのかも全然分からなくて……考える時間を頂けるのは助かります……」
「うん、それでいいよ。私はいつまでも待っているから。それとこれだけは言わせて? 私は竹中君と付き合えるのなら『生徒会長の座』を失ってもいいくらいにあなたが好きだってことだけ知っていて欲しいなぁ……ウフッ」
な、何でそこまでのことを俺みたいな『陰キャ』に言えるんだ?
俺は小学生の頃に一度助けただけじゃないか……
それなのに、この学園の頂点でもある『生徒会長の座』を失ってもいいだなんて……
「織田会長!! 戻って来てくださーい!! 緊急事態でーす!!」
「えっ?」今の声は羽柴副会長?
「緊急事態ですって?」
俺と織田会長が校門前にいる羽柴副会長の方を見ると赤髪で羽柴副会長よりもはるかに身長の高いナイスバディな女子中心に数名が立っている。
というか、羽柴副会長と平手書記が絡まれている様な感じにも見えるぞ!!
俺がそう思っている間に織田会長は直ぐに校門前まで戻っていた。
しかし、めちゃくちゃ足が速い人だな。
そして俺も自転車から降りて押しながら校門へと向かう。
どうやら赤髪の人が羽柴副会長から織田会長へとターゲットを変えたようだ。
「織田会長さん、なんで今日は朝から校門の前に生徒会役員達が立っているのかしら?」
「はい、たまには学園の生徒皆さんと挨拶をするのも良いかなと思いまして……」
「フン、どうせ次の選挙の為の人気取りでやっているだけじゃないの?」
「そんなことありませんよ。武田さんの考え過ぎですよ」
武田……?
ああ、武田さんって『仙石集会』の時に徳川の提案に対して後ろから賛成していた人か。
そういえばあの時も『生徒会』に対して何か敵意みたいなものがあったよな……
俺は小声で羽柴副会長に話しかけてみた。
「は、羽柴副会長……おはようございます……」
「おはよう、竹中君。昨日はありがとね」
「それはいいんですが、なんか絡まれているよに見えるんですが、大丈夫なんですか?」
「ハハハ、大丈夫よ。よくあることだから……」
よくあるのか?
生徒会ってマジで大変なところなんだな。
「あの人は三年の『武田静香』さんといってね、去年の『生徒会長選挙』で二位だった人なの……」
――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
自転車通学の颯は校門近くまで来るが、校門の前には何故か織田会長達の姿が?
颯に気付いた乃恵瑠は颯のところにすっ飛んでいき昨日のことを謝ってきた。
そんな中、校門前では羽柴副会長に因縁をつける女子達の姿が……
それは昨年、生徒会長選挙で二位の武田静香を中心とした三年生の女子達だった。
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
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