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第5章 誘惑編
第22話 前田俊哉の秘密
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「な、なんで颯がこんなところにいるんだ?」
「ま、前田こそなんで……?」
それに『陽菜ちゃん』?
も、もしかして二人は知り合いなのか?
俺は保健室に突然入って来た前田に対して驚きが隠せないでいた。
まぁ、前田も俺と同じで驚いてはいるけど……
それに前田の顔はいつも教室で見せている顔とは全然違う。
簡単に言うと羽柴副会長を見つめている前田の表情が『イケメン』に見える。
保健室に入って来た時の口ぶりを考えれば、前田はどこで聞いたのかは謎だが、羽柴副会長が保健室に行ったということを聞き、体調が悪いと思い慌てて飛んで来たのだろう。
そうなると前田は羽柴副会長のことを……
「もう、俊哉!! 何で保健室に来たのよぉぉ? せっかく竹中君と良い雰囲気だったのにさぁ……」
はっ、羽柴副会長!! なんて事を言うんだアンタは!?
前田が誤解するじゃねぇか!!
「ひ、陽菜ちゃん……っていうか、颯!? お、お前はマジで陽菜ちゃんと……」
「ご、誤解だ、前田……俺は生徒会室に行く途中で倒れそうだった羽柴副会長を助けて……」
まぁ、羽柴副会長の胸が俺の身体に触れて少しだけ興奮してしまったのは間違いないが……す、少しだけだからな。
「ハハハ、俊哉のその焦った顔を見るのは久しぶりよね? とても面白いわ」
な、何だ!?
この人は『小悪魔』なのか!?
「えっ? 今のは冗談なのか!? はぁ……陽菜ちゃん、勘弁してくれよぉぉ……ほんと陽菜ちゃんは昔から俺をからかうのが好きだよなぁ……」
なんか、この二人は俺の前でイチャイチャしてないか?
べ、別にヤキモチを妬いている訳ではないけどな。
「そ、それでさ前田……お前達二人の関係は……」
「え? ああ、そうだな。本当はまだ言いたくなかったんだが、ここで出くわしちまったし言わざるを負えないよな? まぁ、簡単に言えば俺と陽菜ちゃんは幼馴染なんだよ」
やはりそうか……
そんな感じはしていたから別に驚きはしないけど……
「私と俊哉は姉弟みたいなものなの。フフフ、それでね竹中君、聞いて聞いて?」
「えっ?」
「この俊哉はね、勉強があまり得意じゃなくてさ、私が『仙石学園中等部』を受験するって決めた時、私と離れ離れになるのが嫌で『陽菜ちゃん、お願いだから地元の公立中学に行ってくれよぉぉ!?』って言いながら泣き叫んでいたのよ。フフフ、面白い子でしょ?」
えっ? お、面白いのか? だって前田は……
「ひっ、陽菜ちゃん!! それは言わない約束だろ!? それに姉弟ってさ……」
「フフフ、別にいいじゃない? それに俊哉は中学で凄く勉強を頑張って『仙石学園高等部』に外部入学したんだし……お姉ちゃんの私としては鼻高々よ」
「だ、だから……お姉ちゃんって……」
前田、今のお前の気持ちは痛いほど分かるぞ。
『鈍感』な幼馴染がいるのも大変なんだな……
ガラッ…ガラガラッ
ん? またしても誰か来たぞ!?
「あなた達、保健室で何をしているの? もうすぐ五時限目が始まるから早く出なさい!! それで羽柴さんはもう大丈夫なの?」
「はい、蒲生先生……お陰様ですっかり元気になりました」
「そうなの? それは良かったわ。いずれにしても早く教室に戻りなさい」
「 「 「はーい」 」 」
俺達は慌てて保健室を出た。
「竹中君、今日はありがとね?」
「い、いえ……どういたしまして……」
「もし何か困ったことがあればいつでも相談にのるから言ってちょうだいね?」
「あ、はい……ありがとうございます」
いや、俺はなるべくあんた達生徒会とは関わりたく無いんだけどな……
それに前田の気持ちを考えると羽柴副会長、特にあんたには……
「ウフ、それじゃまたねー……あっ、それと……」
羽柴副会長は俺の耳元でこう言った。
「徳川さんは『タヌキ』よ。気を付けてね?」
「えっ? タヌキ……?」
羽柴副会長は俺にそう言うと笑顔で教室に戻って行った。
はぁ……疲れたな。保健室に顔を出したのは間違いだったかな?
それに徳川のことを『タヌキ』って、どういう事なんだ?
「は、颯……?」
「ん? なんだ?」
「さっき保健室で話したことは誰にも言わないでくれないか? 特に伊緒奈ちゃんや太鳳ちゃんに陽菜ちゃんとの関係を知られるとマズい様な気がするんだよ……」
「え? 何でだ? まぁ、別に俺は誰にも言うつもりは無いけど……」
俺だって今日の織田会長や羽柴副会長とのやり取りを徳川達には絶対に言いたくは無いからな。
「これも内緒にして欲しいことなんだけどさぁ……」
「いや、もうこれ以上はお腹一杯だから……」
「いや、颯には知っておいてもらいたい気がするから聞いてくれ?」
どんな気だよ? 前田、俺を信用し過ぎだぞ!
「俺が『仙石学園』に外部入学したのには理由があるんだよ」
「えっ? 羽柴副会長と同じ高校に行きたかったからだろ?」
他に何の理由があると言うんだ?
「ま、まぁそうなんだけどさ……でも俺がこの学園に入学したのは陽菜ちゃんを『生徒会長』にする為なんだよ」
えっ? どういうことだ?
――――――――――――――――――――
お読み頂き有り難うございました。
前田と羽柴副会長が幼馴染ということを知り、驚く颯
そして前田が外部入学してまで仙石学園に来た理由は羽柴副会長を生徒会長にする為と聞かされた颯は更に驚く!
ということで次回もお楽しみに(^-^)/
「ま、前田こそなんで……?」
それに『陽菜ちゃん』?
も、もしかして二人は知り合いなのか?
俺は保健室に突然入って来た前田に対して驚きが隠せないでいた。
まぁ、前田も俺と同じで驚いてはいるけど……
それに前田の顔はいつも教室で見せている顔とは全然違う。
簡単に言うと羽柴副会長を見つめている前田の表情が『イケメン』に見える。
保健室に入って来た時の口ぶりを考えれば、前田はどこで聞いたのかは謎だが、羽柴副会長が保健室に行ったということを聞き、体調が悪いと思い慌てて飛んで来たのだろう。
そうなると前田は羽柴副会長のことを……
「もう、俊哉!! 何で保健室に来たのよぉぉ? せっかく竹中君と良い雰囲気だったのにさぁ……」
はっ、羽柴副会長!! なんて事を言うんだアンタは!?
前田が誤解するじゃねぇか!!
「ひ、陽菜ちゃん……っていうか、颯!? お、お前はマジで陽菜ちゃんと……」
「ご、誤解だ、前田……俺は生徒会室に行く途中で倒れそうだった羽柴副会長を助けて……」
まぁ、羽柴副会長の胸が俺の身体に触れて少しだけ興奮してしまったのは間違いないが……す、少しだけだからな。
「ハハハ、俊哉のその焦った顔を見るのは久しぶりよね? とても面白いわ」
な、何だ!?
この人は『小悪魔』なのか!?
「えっ? 今のは冗談なのか!? はぁ……陽菜ちゃん、勘弁してくれよぉぉ……ほんと陽菜ちゃんは昔から俺をからかうのが好きだよなぁ……」
なんか、この二人は俺の前でイチャイチャしてないか?
べ、別にヤキモチを妬いている訳ではないけどな。
「そ、それでさ前田……お前達二人の関係は……」
「え? ああ、そうだな。本当はまだ言いたくなかったんだが、ここで出くわしちまったし言わざるを負えないよな? まぁ、簡単に言えば俺と陽菜ちゃんは幼馴染なんだよ」
やはりそうか……
そんな感じはしていたから別に驚きはしないけど……
「私と俊哉は姉弟みたいなものなの。フフフ、それでね竹中君、聞いて聞いて?」
「えっ?」
「この俊哉はね、勉強があまり得意じゃなくてさ、私が『仙石学園中等部』を受験するって決めた時、私と離れ離れになるのが嫌で『陽菜ちゃん、お願いだから地元の公立中学に行ってくれよぉぉ!?』って言いながら泣き叫んでいたのよ。フフフ、面白い子でしょ?」
えっ? お、面白いのか? だって前田は……
「ひっ、陽菜ちゃん!! それは言わない約束だろ!? それに姉弟ってさ……」
「フフフ、別にいいじゃない? それに俊哉は中学で凄く勉強を頑張って『仙石学園高等部』に外部入学したんだし……お姉ちゃんの私としては鼻高々よ」
「だ、だから……お姉ちゃんって……」
前田、今のお前の気持ちは痛いほど分かるぞ。
『鈍感』な幼馴染がいるのも大変なんだな……
ガラッ…ガラガラッ
ん? またしても誰か来たぞ!?
「あなた達、保健室で何をしているの? もうすぐ五時限目が始まるから早く出なさい!! それで羽柴さんはもう大丈夫なの?」
「はい、蒲生先生……お陰様ですっかり元気になりました」
「そうなの? それは良かったわ。いずれにしても早く教室に戻りなさい」
「 「 「はーい」 」 」
俺達は慌てて保健室を出た。
「竹中君、今日はありがとね?」
「い、いえ……どういたしまして……」
「もし何か困ったことがあればいつでも相談にのるから言ってちょうだいね?」
「あ、はい……ありがとうございます」
いや、俺はなるべくあんた達生徒会とは関わりたく無いんだけどな……
それに前田の気持ちを考えると羽柴副会長、特にあんたには……
「ウフ、それじゃまたねー……あっ、それと……」
羽柴副会長は俺の耳元でこう言った。
「徳川さんは『タヌキ』よ。気を付けてね?」
「えっ? タヌキ……?」
羽柴副会長は俺にそう言うと笑顔で教室に戻って行った。
はぁ……疲れたな。保健室に顔を出したのは間違いだったかな?
それに徳川のことを『タヌキ』って、どういう事なんだ?
「は、颯……?」
「ん? なんだ?」
「さっき保健室で話したことは誰にも言わないでくれないか? 特に伊緒奈ちゃんや太鳳ちゃんに陽菜ちゃんとの関係を知られるとマズい様な気がするんだよ……」
「え? 何でだ? まぁ、別に俺は誰にも言うつもりは無いけど……」
俺だって今日の織田会長や羽柴副会長とのやり取りを徳川達には絶対に言いたくは無いからな。
「これも内緒にして欲しいことなんだけどさぁ……」
「いや、もうこれ以上はお腹一杯だから……」
「いや、颯には知っておいてもらいたい気がするから聞いてくれ?」
どんな気だよ? 前田、俺を信用し過ぎだぞ!
「俺が『仙石学園』に外部入学したのには理由があるんだよ」
「えっ? 羽柴副会長と同じ高校に行きたかったからだろ?」
他に何の理由があると言うんだ?
「ま、まぁそうなんだけどさ……でも俺がこの学園に入学したのは陽菜ちゃんを『生徒会長』にする為なんだよ」
えっ? どういうことだ?
――――――――――――――――――――
お読み頂き有り難うございました。
前田と羽柴副会長が幼馴染ということを知り、驚く颯
そして前田が外部入学してまで仙石学園に来た理由は羽柴副会長を生徒会長にする為と聞かされた颯は更に驚く!
ということで次回もお楽しみに(^-^)/
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