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第5章 誘惑編
第19話 生徒会室での密談
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「は、羽柴副会長、大丈夫ですか? 保健室に行きましょうか?」
俺はマズイと思った。本来なら羽柴副会長を助けるのは、そこらへんに歩いている『陽キャ』で良かったんだ。羽柴副会長も俺なんかに助けられても全然、嬉しくないだろう……
それに羽柴副会長の良い香りと共に大きな胸が俺の身体に密着していてめちゃくちゃ恥ずかしいけど……
でも俺は元々、困っている人を見ると放っておけない性格なんだ。
『中等部』の時も数名だが地味に助けたことはあった。
『陰キャオタク』になってもその性格だけはなかなか治せないでいた。
「あ、ありがとう竹中君……。でも私は大丈夫よ。昨日、徹夜で勉強をしていたから少し寝不足で……保健室には一人で行けるから大丈夫……昼休みの時間、寝かせてもらうわ……」
「で、でも……」
「それにあなたは生徒会室に行くところでしょ? 私のせいであなたが生徒会室に行けなくなったら、織田会長に申し訳がたたないしね。だから私のことは気にしないで早く生徒会室に行ってちょうだい」
織田会長に申し訳がたたない?
ってことは俺を呼び出したのは織田会長ってことか?
「竹中君……?」
「は、はい……」
「そろそろ私の身体を離してくれないかな?」
「えっ? あっ!! すみません!!」
「フフフ、いいのよ。本当にありがとね? 助かったわ。このお礼はまた改めてさせてもらうから……」
「お、お礼だなんていいですよ」
「フフフ、それと……はい、メガネ。あなたの『本当の顔』を間近で見れて良かったわ。ウフ……」
羽柴副会長は俺にそう言うと一人で保健室の方に向かって行った。
俺の身体は羽柴副会長の良い香りと胸の感触が残ったままだった。
昨日の『仙石集会』では羽柴副会長のことを少し怖い人だとビビっていたけど、案外、優しい人なのかもしれないなぁと思うのだった。
【生徒会室前】
俺は今、めちゃくちゃ緊張している。
どんな顔で入ればいいのだろうか?
一体、俺は何を言われるのだろうか?
コンコン……
「はーい、どうぞ~」
この声は織田会長……
ガラッ…ガラガラッ
「し、失礼します……」
「いらっしゃい、竹中君……。待っていたわ。とりあえず、そこのソファーに座ってちょうだい」
生徒会室は思った以上に広く、部屋の一番奥にとても高級そうな会長用のデスクがあり、そこに織田会長は座っていた。
俺は恐る恐る生徒会室に入り、織田会長が指さすソファーに座った。
俺が座ると同時に織田会長は立ち上がり俺が座っているソファーの真向かいに座ると思っていたら……
な、何で俺の横に座るんだ!?
それもめちゃくちゃ近いんですけど!?
こ、これはどういうことなんだ……
「昨日はゴメンね?」
「えっ?」
織田会長がいきなり謝ってきたので俺が困惑した顔をすると、
「昨日、私から竹中君にメガネを外してって言ったのに何も言わずに集会を再開させたことよ……」
ああ、そのことか……
「い、いえ別に俺は気にしてません……」めっちゃ気にしていたけどな。
「私ね、昨日の集会は後半、誰の意見も頭に入っていないのよ。後で平手さんが書いてくれた議事録を読み直そうと思っているわ……」
「は、はぁ……」
「頭に入らなかった理由分かるかな?」
「い、いえ……」分かる訳無いだろう。
「生徒会長らしい姿を変えずに自分の感情を抑えるのに必死だったの……」
感情を抑える? どういうことだ?
ガバッ
「えーーーっ!!??」
突然、織田会長が俺に抱き着いて来た。
な、な、何事だーっ!?
俺はこの数分の間に二人の女子と身体が触れてしまったぞ!!
これは奇跡か!?
俺、もうすぐ死ぬのか!?
それも生徒会長と副会長……恐ろし過ぎる……
「お、織田会長……ど、どうされたんですか……?」
「グスン……まだ分からない? まだ思い出してくれないの……? やっと見つけた……やっと会えたのに……」
さすがの俺も今の会長のセリフで理解ができた。
「お、俺のこと覚えてくれていたんですね……」
「う、うん……ずっとあなたに会いたかったの。ずっとあなたにお礼を言いたかったの。そしてあなたに……あなたも私のこと覚えてくれていたのね?」
「え、ええ……まぁ……」
何だ、この『ラブコメ展開』は!?
それも学園一番人気の織田会長に抱き着かれるというイベント……
「お、織田会長……く、苦しいのでそろそろ離してもらえませんか……?」
「はっ!? ご、ゴメンなさい!! 私としたことが……あなたがこんなに近くにいると欲望を抑えることができなかったわ……」
よ、欲望って……
でも、会長の表情は集会の時の表情とは全然違って、どう見てもアニメのヒロインが恋をしている時の表情だぞ……
こ、これは色々な意味でヤバいんじゃないのか!?
――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
羽柴陽菜を助けた颯だが意外と陽菜は優しい女性だった。
そして緊張しながら生徒会室に入る颯。
颯を呼び出したのは織田会長でソファーに座る颯の真横に座り突然抱き着いてきた。
そう、織田乃恵瑠は颯が昔、助けてくれた少年だということに気付いていたのだった。
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
俺はマズイと思った。本来なら羽柴副会長を助けるのは、そこらへんに歩いている『陽キャ』で良かったんだ。羽柴副会長も俺なんかに助けられても全然、嬉しくないだろう……
それに羽柴副会長の良い香りと共に大きな胸が俺の身体に密着していてめちゃくちゃ恥ずかしいけど……
でも俺は元々、困っている人を見ると放っておけない性格なんだ。
『中等部』の時も数名だが地味に助けたことはあった。
『陰キャオタク』になってもその性格だけはなかなか治せないでいた。
「あ、ありがとう竹中君……。でも私は大丈夫よ。昨日、徹夜で勉強をしていたから少し寝不足で……保健室には一人で行けるから大丈夫……昼休みの時間、寝かせてもらうわ……」
「で、でも……」
「それにあなたは生徒会室に行くところでしょ? 私のせいであなたが生徒会室に行けなくなったら、織田会長に申し訳がたたないしね。だから私のことは気にしないで早く生徒会室に行ってちょうだい」
織田会長に申し訳がたたない?
ってことは俺を呼び出したのは織田会長ってことか?
「竹中君……?」
「は、はい……」
「そろそろ私の身体を離してくれないかな?」
「えっ? あっ!! すみません!!」
「フフフ、いいのよ。本当にありがとね? 助かったわ。このお礼はまた改めてさせてもらうから……」
「お、お礼だなんていいですよ」
「フフフ、それと……はい、メガネ。あなたの『本当の顔』を間近で見れて良かったわ。ウフ……」
羽柴副会長は俺にそう言うと一人で保健室の方に向かって行った。
俺の身体は羽柴副会長の良い香りと胸の感触が残ったままだった。
昨日の『仙石集会』では羽柴副会長のことを少し怖い人だとビビっていたけど、案外、優しい人なのかもしれないなぁと思うのだった。
【生徒会室前】
俺は今、めちゃくちゃ緊張している。
どんな顔で入ればいいのだろうか?
一体、俺は何を言われるのだろうか?
コンコン……
「はーい、どうぞ~」
この声は織田会長……
ガラッ…ガラガラッ
「し、失礼します……」
「いらっしゃい、竹中君……。待っていたわ。とりあえず、そこのソファーに座ってちょうだい」
生徒会室は思った以上に広く、部屋の一番奥にとても高級そうな会長用のデスクがあり、そこに織田会長は座っていた。
俺は恐る恐る生徒会室に入り、織田会長が指さすソファーに座った。
俺が座ると同時に織田会長は立ち上がり俺が座っているソファーの真向かいに座ると思っていたら……
な、何で俺の横に座るんだ!?
それもめちゃくちゃ近いんですけど!?
こ、これはどういうことなんだ……
「昨日はゴメンね?」
「えっ?」
織田会長がいきなり謝ってきたので俺が困惑した顔をすると、
「昨日、私から竹中君にメガネを外してって言ったのに何も言わずに集会を再開させたことよ……」
ああ、そのことか……
「い、いえ別に俺は気にしてません……」めっちゃ気にしていたけどな。
「私ね、昨日の集会は後半、誰の意見も頭に入っていないのよ。後で平手さんが書いてくれた議事録を読み直そうと思っているわ……」
「は、はぁ……」
「頭に入らなかった理由分かるかな?」
「い、いえ……」分かる訳無いだろう。
「生徒会長らしい姿を変えずに自分の感情を抑えるのに必死だったの……」
感情を抑える? どういうことだ?
ガバッ
「えーーーっ!!??」
突然、織田会長が俺に抱き着いて来た。
な、な、何事だーっ!?
俺はこの数分の間に二人の女子と身体が触れてしまったぞ!!
これは奇跡か!?
俺、もうすぐ死ぬのか!?
それも生徒会長と副会長……恐ろし過ぎる……
「お、織田会長……ど、どうされたんですか……?」
「グスン……まだ分からない? まだ思い出してくれないの……? やっと見つけた……やっと会えたのに……」
さすがの俺も今の会長のセリフで理解ができた。
「お、俺のこと覚えてくれていたんですね……」
「う、うん……ずっとあなたに会いたかったの。ずっとあなたにお礼を言いたかったの。そしてあなたに……あなたも私のこと覚えてくれていたのね?」
「え、ええ……まぁ……」
何だ、この『ラブコメ展開』は!?
それも学園一番人気の織田会長に抱き着かれるというイベント……
「お、織田会長……く、苦しいのでそろそろ離してもらえませんか……?」
「はっ!? ご、ゴメンなさい!! 私としたことが……あなたがこんなに近くにいると欲望を抑えることができなかったわ……」
よ、欲望って……
でも、会長の表情は集会の時の表情とは全然違って、どう見てもアニメのヒロインが恋をしている時の表情だぞ……
こ、これは色々な意味でヤバいんじゃないのか!?
――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
羽柴陽菜を助けた颯だが意外と陽菜は優しい女性だった。
そして緊張しながら生徒会室に入る颯。
颯を呼び出したのは織田会長でソファーに座る颯の真横に座り突然抱き着いてきた。
そう、織田乃恵瑠は颯が昔、助けてくれた少年だということに気付いていたのだった。
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
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