上 下
15 / 111
第4章 仙石集会編

第15話 学園の人気者達

しおりを挟む
 俺は油断していた。

 クラスのことは徳川に任せっきりだったので一学期はこのままの感じで終わると思っていたんだ。俺は何もしない間に二学期が来て、そこで再び『人気著票』があり『クラス副委員長』とはおさらばできると思っていた。

 それなのに俺は今、学園にある『大会議室』という部屋に設置されている椅子に徳川と横並びで座っている。

 周りを見渡すと各学年、各クラスの『クラス委員長』と『副委員長』が勢ぞろいしていた。

 総勢六十名……各クラスの『人気投票』で選ばれた奴等が勢ぞろいしているのだ。

 さすがは『人気投票』で選ばれた人達だ。

 男子はイケメンだし、女子は皆、綺麗な顔立ちをしている。

 それに比べて俺は奇跡的に選ばれた『瓶底メガネオタク野郎』……

 居心地が悪過ぎて今にも吐きそうだ。

 それに一番キツイのは俺と徳川は一年一組ということで最前列に座らされている。

 左から一組の委員長、副委員長、二組の委員長、副委員長という順だ。
 
 そして更にキツイのは目の前に『生徒会役員』の人達がこちらに向かって座っているからだ。

 中央には勿論、生徒会長の『織田乃恵瑠おだのえる』が堂々とした表情で座っていて、その右横には前に教室に顔を出して来たことのある副会長の『羽柴陽菜はしばひな』も何やらニコニコしながら座っている。

 織田会長の左横の人が書記なのかな?

 名前は……『平手真子ひらてまこ』っていうのか。

 ん? でも待てよ。あの平手っていう人はネクタイの色からして三年生だな。

 たしか副会長や書記は会長が任命できるって聞いているけど、織田会長は年上の平手さんを任命したってことなんだよなぁ?

 なるほどな。

 同級生で固めるんじゃなくて先輩も役員に入れるところはなかなかの策士だな……うんうん、なるほどなぁ……

「竹中君? さっきから何を頷いているの?」

「えっ? い、いや別に……」

 ヤバイヤバイ、俺はいつの間にか勝手に頷いていたのか?

 あまり変な動きをしていると生徒会役員の人達に目をつけられる恐れがあるからな。

 き、気をつけなくては……


「えー、皆さん、揃われたようですので只今より『仙石集会』を開催させて頂きます。私は本日、司会を務めさせていただきます、『投票部部長』で三年の『後醍郷ごだいごう』と申します。どうぞ宜しくお願い致します」

 パチパチパチ パチパチパチ

 えっ? 投票部の部長さんが『仙石集会』の司会をやるのか?
 ってか、『ごだいごう』って……面白い名前だな。
 
 それに『人気投票』を取り仕切る部の部長の割に顔は普通だよな。

 身長は高いけど華が無いというか俺が言うのは絶対におかしいが地味な男だな……


「それではまず、織田乃恵瑠会長より集会開催にあたりご挨拶を頂きます。織田会長宜しくお願い致します」

 司会の後醍さんがそう言うと、織田さんが立ち上がりマイクを持つ。

 そして俺達に挨拶を始めた。

「皆さん、今日はお忙しい中、お集まりいただき有難うございます。仙石学園生徒会長の織田乃恵瑠です。一年生の人達とは入学式以来ですね? どうぞよろしくね? それでは今日の集会のメインテーマについてお話させていただきますね」

 相変わらず、堂々としながらも滑らかで聞き心地の良いしゃべり方だな。

 さすがは一年生の時に生徒会長に選ばれただけのことはあるな。

 非の打ち所がないぜ……

 それに小学生の頃にイジメられていたあの弱々しい面影は今は全然残っていないしな……

 ほんと人間、変われば変わるんだな。

 まぁ、俺も違う意味で色々と変わっちまったけども……

「今日の集会のメインテーマですが、今後出来るであろう新たな『人気投票』について皆さんのご意見をお聞きしたいと思っています。本日は新学期最初の集会です。皆様との顔合わせも兼ねていますので一人でも多くの御意見をお聞かせくださいね?」

 えーっ!? まだ他に『人気投票』を増やす気なのか!?

 はぁ……勘弁してくれよな。

 ザワザワザワザワ……

 ほら見て見ろ。俺だけがそう思っているみたいじゃ無いみたいだぞ。

 他の人達も困惑して会場内がザワザワしだしたじゃないか。

「皆さん、お静かに!! 意見のある方は挙手をお願いしまーす。あっ、織田会長はお座りください。それと後醍さん、引き続き司会進行の方、宜しくお願いします」

 ん? 今の声は羽柴副会長か……?

 相変わらず笑顔を絶やさない人だな。

 それにアニメ声だし……

「はい!! 意見を言わせていただいてもよろしいでしょうか?」

 ……え?

 え――――――っ!?

 と、徳川!? お前が……いきなり意見を言うのかよ!?




――――――――――――――――――――
お読み頂き有り難うございましたm(__)m

学園人気者が集まる『仙石集会』に出席した颯だが、場違い過ぎて落ち着かない。
そんな中、意見を求められた参加者の中で一番に手をあげたのはまさかの徳川だった。颯に緊張が走る!

ということで次回もお楽しみに(^-^)/
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について

ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに…… しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。 NTRは始まりでしか、なかったのだ……

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

処理中です...