上 下
6 / 111
第2章 クラス委員長選挙編

第6話 人気投票

しおりを挟む
 クラスの自己紹介も無事に終わった。

 当然、俺は『竹中颯です。よろしくお願いします』としか言っていない。

 『陰キャ』の俺が気の利いた事を言うはずないからな。

 しかし他の奴等はさすがだ。
 さすが『人気取り集団』だ。

 気の利いた事を言いまくっていたよな。

 お陰で自己紹介だけで一体、どれだけの時間を費やしたんだ!?

 特に前田俊哉まえだとしやの野郎は自己紹介が長すぎだ。

 生い立ちまで話そうとしていて黒田先生に止められたくらいだからな。

 まぁ、外部入学で友達が一人もいないから他の奴よりもアピールをして自分を知ってもらうことは大事だろう。でも余計な事をしゃべり過ぎだ。

 ただ、クラスの奴等にそれなりにウケていたのは事実だから、前田はそんなに時間をかけることなく友達は沢山できるだろう。

 そうなれば俺はお役御免だな……

 もう少し我慢をすれば俺は理想通りの学園生活をおくれるはずだ。


「最後に一つだけ皆さんにお伝えする事がありますよ~」

「颯!! 何だろな!?」

 うるせぇし、しつこいし、前を向け!!

 どうせ俺に話しかけてくるのは今だけだろうが!?

「一週間後にクラス内で『人気投票』を行いますよぉぉ。そして見事、一番票が多かった人に栄えある『クラス委員長』になってもらいま~す!! この『クラス委員長』というのは生徒会とのパイプ役にもなる大事な役になりますよぉぉ」

 黒田先生、今とても軽く言いましたよね?

 たった一週間で早くも『人気投票』をするのかよ?
 
 それも一番人気の人が『クラス委員長』になるなんて……

 誰もそんな面倒くさい役なんてやりたくないだろ?

「颯!! 俺、委員長やりたいから俺に一票入れてくれよな!?」

 前田俊哉、お前は変わった奴だな?

 よくもまぁ、そんな役を好き好んで……

「わぁ、私……委員長やりたいなぁ……」

「ぼ、僕も委員長をやりたいよ……」

 何なんだ、このクラスは!?

 『人気取り』にも程があるだろ!?

「みんな『クラス委員長』になることに前向きみたいで先生、とても嬉しいわ。さすがは『仙石学園』の生徒さん達ね。そして、さすが先生の後輩達だわぁぁ」

 えっ? 黒田先生はこの学園のOGなのか?

「黒田先生、一つ質問させていただいてもよろしいですか?」

 えっ? 俺の右隣りの女子が黒田先生に何か質問するみたいだぞ。

 ってか、前の席の前田俊哉ばかりに気を取られていたし、自己紹介の時は窓の外を見ていたから俺の右隣りが女子ってことに全然、気付いていなかったぞ。

 それにしても、なかなかの美少女だな。

 座っているからスタイルは分かりにくいけど、顔は丸顔で目は大きくて口は小さくて、髪型は桃色がかったセミロング……そして俺が見た限り、この女子はクラスの中で一番『品』のある女子に見える。

 で、この女子の名前は何だったかな……?

「はい、えっと……あなたは『徳川伊緒奈とくがわいおなさんだったわね? 質問をどうぞぉぉ』

 ふーん、この女子の名前は徳川伊緒奈って言うのか……

「投票のことでご質問をさせていただきます。その投票は無記名で行われるのでしょうか? (ニコッ)」

 えっ!?

 何だ、何故、質問の最後に怪しげな微笑みを俺に向けたんだ!?

「徳川さん、とても良い質問だわ。実はこの学園での全ての投票は無記名ではありません。全て投票者の名前を記入してもらいますよぉぉ。理由は簡単です。自分自身に投票させない為ですよぉぉ」

 なるほどな。

 『人気取り』の事ばかりを考えている奴等が多い学園だからな。そりゃぁ一票でも多く自分に票が欲しい奴は自分に投票するだろうな。でも……

「でも、それでは誰が誰に投票したかがバレてしまい、投票する側としてはあまり良い気持ちでは無いですね? ねっ?」

 えっ? 

 何でこの子は最後に俺の顔を見ながら『ねっ?』って問いかけるんだ!?

 でも、さすがは徳川伊緒奈だ。的を得た質問だよな。

 まぁ、今日初めて知った女子だから何がさすがかは分からないけど……

「フフフ、徳川さんの気持ちもよく分かるわ。でも大丈夫ですよぉぉ。この学園の『投票部』と教師達は口が堅い事が取柄ですから!!」

 口が堅いのが取柄だと言われても信用できないし、誰も安心なんてできる訳無いだろ!?

「へぇ、そうなんですねぇ? それはとても安心ですね……ねっ?」

 そんな説明だけであんたは安心できるのか!?

 ってか、何で最後は俺に問いかけてくるんだよ!?



――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。

遂に颯達、一年生にとって初めての『人気投票』が始まる。
それも一番票が多いものが『クラス委員長』になるということらしい。

そんな中、颯の右隣りの美少女が黒田先生に質問をするが、颯いわくクラスで一番品がある美少女。
そして、この美少女の名前は『徳川伊緒奈』というらしい。
果たして彼女はどんな女子なのか?

どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~

メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」 俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。 学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。 その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。 少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。 ……どうやら彼は鈍感なようです。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 【作者より】 九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。 また、R15は保険です。 毎朝20時投稿! 【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

処理中です...