64 / 83
第10章 激動編
第64話 異変!?
しおりを挟む
私は『この世界』でも『前の世界』同様に中一から塾に通っている。
どうせ『前の世界』と同じ運命なら高校へ進学する事は出来ないし、塾に行っても意味が無いと一瞬思ってしまったけど、塾のお陰で別の小学校で中学から仲良くなる友達が数名出来た事を思い出し、やはり塾に通う事にした。
それに中二から彼も同じ塾に通う事になるはずだし……
そう思っていると彼は五月のゴールデンウイーク二日目の夜から塾に通いだしたのだ。
『前の世界』の時よりも一年も早いじゃない!? な、何で?
それに私の席の右隣りに座るだなんて……
「石田、よろしくな?」
「え? う、うん……よろしく……」
順子が言っていた通り、なんだか彼の様子がここ数ヶ月とは違う気がする。
っていうか去年の夏以前の雰囲気に戻っている様な……
彼に何かあったのかしら?
「しかし、ここの塾の椅子も机も相変わらず小さいよな? なんか、腰が痛くなってきたぞ」
「フフフ……それは仕方ないわ。我慢するしかないよぉ……えっ? 相変わらず?」
「い、いや……言い間違えた。凄く小さいよな!?」
「フフフ……変な五十鈴君……」
やはり彼の雰囲気は前とは違う気がするなぁ……
私達が通っている塾の名前は『コスモス学習塾』……
実はここの塾は昼間は保育園で本当の名前は『コスモス保育園』という。
だから椅子も机も保育園児用の物だから小さくて当たり前なのだ。
まさか、彼が中一から同じ塾に通う事になるとは思っていなかった私は内心、『前の世界』通りに塾に通って良かったと思った。
すると私の左隣から小声で、
「ねぇねぇ、浩美ぃぃ?」
「えっ? 何、いなっち?」
「今日からうちの塾に来る様になった……えっとぉぉ、名前は五十鈴君だっけ? その五十鈴君と浩美って凄く仲良しに見えるよね?」
「えっ? そ、そうかなぁ……」
「うん、そうだよぉぉ……もしかして二人は付き合っているのかなぁ?」
「ま、ま、まさか……付き合っている訳無いじゃん!!」
私に変な質問をしてきた子はいなっちと言って本名は『稲田絵里』
学校では同じクラスだ。
身長は小さいけど何故か羨ましいくらいに胸の大きい子で性格はおっとりしているというか、少し天然なところがある。
いずれにしてもとても可愛らしい子で私が中学生になって初めて友達になった一人で部活はテニス部に所属している。
「ふーん、そうなんだぁ……良かったぁ……」
「えっ? な、何が良かったの!?」
「べ、別にぃぃ……」
私はいなっちを今後『監視対象』にする事に決めた瞬間だった。
すると私の席の後ろに座っている子がシャーペンで背中をツンツンしてきた。
「ヒエッ!?」
私は驚きとくすぐったさで思わず大きな声をだしてしまった。
「石田さん? 今は授業中ですよ。静かにしてくださいね?」
塾長兼講師の武田先生に注意されてしまった。
「す、すみません……」
私は恥ずかしさで顔が熱くなってしまう。
まぁ、本当に恥ずかしかった理由は彼の入塾初日に恥ずかしいところを見られてしまったからだけど……
そして私は後ろを振り向きツンツンしてきた子を睨んだ。
しかし、彼女は悪びれる様子も無く笑顔でペロッと舌を出している。
「川ちゃん、後で覚えてなさいよ……?」
「えっ? 私、何かしたかな?」
川ちゃん……本名は『川田洋子』といって彼女も中学では同じクラスだ。
いなっちと同じ小学校に通っていて中学から友達になった。
ちなみに彼女は私と同じ『女子バレーボール部』である。
川ちゃんは明るい性格で話しやすい子だけど、少しいたずら好きなところがあってたまに私にちょっかいをかけてくる。
本当の私が年上だとも知らずに平気でちょっかいをかけてきてこの子は!!
と、たまに心の中で葛藤している自分がいる。
とはいうものの私は川ちゃんもいなっちも大好きだ。
あと数ヶ月で親友と呼べるような間柄になる。
『前の世界』の死ぬ寸前にこの二人の顔も直ぐに出てきて、色々と思いや感謝を伝えたかったと凄く後悔したよなぁ……
なんとか『この世界』ではそんな後悔をせずに済めばいいのだけれど……
「クスッ」
私と離れた席に座っている順子が私の方を見て笑っている。
順子、あなたは私の大親友よ……
こうして私の塾通いは一年生からとても有意義な時間となるはずであった。
塾が終わり自転車で帰宅途中……
私は彼が一年も早く入塾して来た事が嬉し過ぎて鼻歌まじりでペダルをこいでいた。
しかし、そんなご機嫌な私に突然、襲い掛かる。
「うっ!?」
私は身体に何か違和感を感じ、自転車を止めた。
何かだるい様な少し痛い様な変な感覚……
こ、この感覚は……
はぁ……これは風邪などの症状じゃ無いわ……
この感覚には覚えがある。
『前の世界』と同じ症状……
私は確信した。
遂に私の身体に異変が起こってしまったと……
またしても家族たちの悲しい顔を見なくてはいけないのかと思うと一度経験している事だとはいえ、私の胸はとても苦しくなった……
神様お願い!!
『前の世界』とは少しだけ違う未来を私にください……
―――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
塾通いも楽しみになった浩美に突然、病が襲い掛かる!?
果たして浩美の運命は!?
どうぞ次回もお楽しみに。
どうせ『前の世界』と同じ運命なら高校へ進学する事は出来ないし、塾に行っても意味が無いと一瞬思ってしまったけど、塾のお陰で別の小学校で中学から仲良くなる友達が数名出来た事を思い出し、やはり塾に通う事にした。
それに中二から彼も同じ塾に通う事になるはずだし……
そう思っていると彼は五月のゴールデンウイーク二日目の夜から塾に通いだしたのだ。
『前の世界』の時よりも一年も早いじゃない!? な、何で?
それに私の席の右隣りに座るだなんて……
「石田、よろしくな?」
「え? う、うん……よろしく……」
順子が言っていた通り、なんだか彼の様子がここ数ヶ月とは違う気がする。
っていうか去年の夏以前の雰囲気に戻っている様な……
彼に何かあったのかしら?
「しかし、ここの塾の椅子も机も相変わらず小さいよな? なんか、腰が痛くなってきたぞ」
「フフフ……それは仕方ないわ。我慢するしかないよぉ……えっ? 相変わらず?」
「い、いや……言い間違えた。凄く小さいよな!?」
「フフフ……変な五十鈴君……」
やはり彼の雰囲気は前とは違う気がするなぁ……
私達が通っている塾の名前は『コスモス学習塾』……
実はここの塾は昼間は保育園で本当の名前は『コスモス保育園』という。
だから椅子も机も保育園児用の物だから小さくて当たり前なのだ。
まさか、彼が中一から同じ塾に通う事になるとは思っていなかった私は内心、『前の世界』通りに塾に通って良かったと思った。
すると私の左隣から小声で、
「ねぇねぇ、浩美ぃぃ?」
「えっ? 何、いなっち?」
「今日からうちの塾に来る様になった……えっとぉぉ、名前は五十鈴君だっけ? その五十鈴君と浩美って凄く仲良しに見えるよね?」
「えっ? そ、そうかなぁ……」
「うん、そうだよぉぉ……もしかして二人は付き合っているのかなぁ?」
「ま、ま、まさか……付き合っている訳無いじゃん!!」
私に変な質問をしてきた子はいなっちと言って本名は『稲田絵里』
学校では同じクラスだ。
身長は小さいけど何故か羨ましいくらいに胸の大きい子で性格はおっとりしているというか、少し天然なところがある。
いずれにしてもとても可愛らしい子で私が中学生になって初めて友達になった一人で部活はテニス部に所属している。
「ふーん、そうなんだぁ……良かったぁ……」
「えっ? な、何が良かったの!?」
「べ、別にぃぃ……」
私はいなっちを今後『監視対象』にする事に決めた瞬間だった。
すると私の席の後ろに座っている子がシャーペンで背中をツンツンしてきた。
「ヒエッ!?」
私は驚きとくすぐったさで思わず大きな声をだしてしまった。
「石田さん? 今は授業中ですよ。静かにしてくださいね?」
塾長兼講師の武田先生に注意されてしまった。
「す、すみません……」
私は恥ずかしさで顔が熱くなってしまう。
まぁ、本当に恥ずかしかった理由は彼の入塾初日に恥ずかしいところを見られてしまったからだけど……
そして私は後ろを振り向きツンツンしてきた子を睨んだ。
しかし、彼女は悪びれる様子も無く笑顔でペロッと舌を出している。
「川ちゃん、後で覚えてなさいよ……?」
「えっ? 私、何かしたかな?」
川ちゃん……本名は『川田洋子』といって彼女も中学では同じクラスだ。
いなっちと同じ小学校に通っていて中学から友達になった。
ちなみに彼女は私と同じ『女子バレーボール部』である。
川ちゃんは明るい性格で話しやすい子だけど、少しいたずら好きなところがあってたまに私にちょっかいをかけてくる。
本当の私が年上だとも知らずに平気でちょっかいをかけてきてこの子は!!
と、たまに心の中で葛藤している自分がいる。
とはいうものの私は川ちゃんもいなっちも大好きだ。
あと数ヶ月で親友と呼べるような間柄になる。
『前の世界』の死ぬ寸前にこの二人の顔も直ぐに出てきて、色々と思いや感謝を伝えたかったと凄く後悔したよなぁ……
なんとか『この世界』ではそんな後悔をせずに済めばいいのだけれど……
「クスッ」
私と離れた席に座っている順子が私の方を見て笑っている。
順子、あなたは私の大親友よ……
こうして私の塾通いは一年生からとても有意義な時間となるはずであった。
塾が終わり自転車で帰宅途中……
私は彼が一年も早く入塾して来た事が嬉し過ぎて鼻歌まじりでペダルをこいでいた。
しかし、そんなご機嫌な私に突然、襲い掛かる。
「うっ!?」
私は身体に何か違和感を感じ、自転車を止めた。
何かだるい様な少し痛い様な変な感覚……
こ、この感覚は……
はぁ……これは風邪などの症状じゃ無いわ……
この感覚には覚えがある。
『前の世界』と同じ症状……
私は確信した。
遂に私の身体に異変が起こってしまったと……
またしても家族たちの悲しい顔を見なくてはいけないのかと思うと一度経験している事だとはいえ、私の胸はとても苦しくなった……
神様お願い!!
『前の世界』とは少しだけ違う未来を私にください……
―――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
塾通いも楽しみになった浩美に突然、病が襲い掛かる!?
果たして浩美の運命は!?
どうぞ次回もお楽しみに。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢エヴァンジェリンは静かに死にたい
小達出みかん
恋愛
私は、悪役令嬢。ヒロインの代わりに死ぬ役どころ。
エヴァンジェリンはそうわきまえて、冷たい婚約者のどんな扱いにも耐え、死ぬ日のためにもくもくとやるべき事をこなしていた。
しかし、ヒロインを虐めたと濡れ衣を着せられ、「やっていません」と初めて婚約者に歯向かったその日から、物語の歯車が狂いだす。
――ヒロインの身代わりに死ぬ予定の悪役令嬢だったのに、愛されキャラにジョブチェンしちゃったみたい(無自覚)でなかなか死ねない! 幸薄令嬢のお話です。
安心してください、ハピエンです――
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
大好きだったあなたはもう、嫌悪と恐怖の対象でしかありません。
ふまさ
恋愛
「──お前のこと、本当はずっと嫌いだったよ」
「……ジャスパー?」
「いっつもいっつも。金魚の糞みたいにおれの後をついてきてさ。鬱陶しいったらなかった。お前が公爵令嬢じゃなかったら、おれが嫡男だったら、絶対に相手になんかしなかった」
マリーの目が絶望に見開かれる。ジャスパーとは小さな頃からの付き合いだったが、いつだってジャスパーは優しかった。なのに。
「楽な暮らしができるから、仕方なく優しくしてやってただけなのに。余計なことしやがって。おれの不貞行為をお前が親に言い付けでもしたら、どうなるか。ったく」
続けて吐かれた科白に、マリーは愕然とした。
「こうなった以上、殺すしかないじゃないか。面倒かけさせやがって」
探さないでください。旦那様は私がお嫌いでしょう?
雪塚 ゆず
恋愛
結婚してから早一年。
最強の魔術師と呼ばれる旦那様と結婚しましたが、まったく私を愛してくれません。
ある日、女性とのやりとりであろう手紙まで見つけてしまいました。
もう限界です。
探さないでください、と書いて、私は家を飛び出しました。
【完結】あなたから、言われるくらいなら。
たまこ
恋愛
侯爵令嬢アマンダの婚約者ジェレミーは、三か月前編入してきた平民出身のクララとばかり逢瀬を重ねている。アマンダはいつ婚約破棄を言い渡されるのか、恐々していたが、ジェレミーから言われた言葉とは……。
2023.4.25
HOTランキング36位/24hランキング30位
ありがとうございました!
【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる