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第13章 永遠の別れ編
第77話 初恋の人達の想いを胸に
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「テツ!! 俺と一緒に『ダブルス』頑張ろうぜっ!!」
『前の世界』でどうしても俺が受け入れられなかったこと……
幼稚な考えしか無かった俺だった為にどうしても認めることができなかったこと……
でも『この世界』で嫌な気持ちは変わらなくても自分の感情を捨て、それ受け入れることができれば、それは『努力』と認めてもらえるのだろうか?
そしてその『努力』が『前の世界の未来』を少しだけでも変えることができるのだろうか?
そう思った俺は大石と『ダブルス』を組む決断をした。
「はっ、はぁぁあああ!? なっ、何で俺が隆なんかと『ダブルス』を組まないといけないんだよ!? 俺は『シングルス』で試合に出たいんだ!! おっ、お前もそうだろ!? だったらAチームの『ダブルス』は七位の吉井と八位の坂本にやってもらって、俺達はBチームの『シングルス』に出たら良いじゃないか!?」
やはり大石は『前の世界』と同じセリフを言ってきた。
しかし今回の俺は『前の世界』の俺とは違う。
俺は『大人』だ……
「そりゃあ俺も本当は『シングルス』に出たいのはやまやまだけどさ……」
「だったら俺の案で……」
「いやダメだ!! 俺は『シングルス』以前に何が何でも優勝したいんだ!! そして優勝する為には俺とテツがAチームの『ダブルス』で出場する方が絶対に良いと思う!!」
「そこまでAチームにこだわるんなら吉井か坂本どちらかとお前が組めば良いじゃねぇか!?」
俺と大石の言い合いが気になり、他の部員達も俺達の周りに集まって来る。
そのうちの一人、森重が口を挟んできた。
「おい隆~、テツがそこまで『ダブルス』を嫌がっているんだから、テツの言う通り隆と他の奴が組めば良いじゃないか? 隆だけでもAチームにいてくれれば俺は良いと思うぞ……」
俺は森重を睨みつけた。
そして森重の表情をジッと見て確信した。
こいつは『本心』で言ってない。
だって『前の世界』の森重は大会終了後に俺に『お前達がダブルスでAチームにいてくれたら優勝できたかもしれないのに……』と言ったんだ。
「テツ!! 優勝する為には俺とテツが『ダブルス』で出ないとダメだ!!」
「何でそこまで俺にこだわるんだよ!? 俺はお前と相性が悪いんだ。絶対に息の合ったプレイなんか出来ないに決まっているじゃないか!!」
怒り気味の大石に俺は笑顔でこう言った。
「でもさ、そんな俺達がもし息の合ったプレイができたらどうなる? 『最強のコンビ』になると思わないか? 優勝候補の青葉二中の『ダブルス』にも勝てると思わないか? いや、俺は負ける気がしないぞ!!」
「・・・・・・・・・・・・」
俺の言葉に大石が黙ってしまった。
少し気持ちが揺らいだように思える。
すると村瀬がこう言う。
「僕も隆とテツの『最強コンビ』を見てみたいなぁ……もしかしたら本当に青葉二中に勝てるかもしれないよ……」
続いてキャプテンの下田も話し出す。
「村瀬の言う通りだよ。テツの『即効型』と隆の『守備型』が合わさった『ダブルス』ってさ、ある意味理想の形だと思うんだ。きっと『最強コンビ』になるよ。だからさテツ……一緒にAチームで優勝を目指そうよ」
ずっと下を向き考え込んでいた大石がゆっくりと顔を上げて俺にこう言った。
「わ、分かったよ……Aチームで『ダブルス』をやってやるよ。でも隆、絶対に俺の足を引っ張るんじゃねぇぞ!!」
俺より『総当たり戦』の順位が下のテツが何を偉そうなこと言ってるんだ!?
本当にこいつとは気が合わないなぁと思ったが俺は笑顔でこう言った。
「ハハ……分かった、気を付けるよ。それと『ダブルス』をするって決断してくれてありがとな……」
「うっ……フンッ、別にお礼なんて言われたか無いぜ……」
「ハハハ、ほんとテツは『ツンデレ』だなぁ?」
「はあ? 何だ、その『ツンデレ』ってのは? たまにお前、変な言葉をつかうことがあるよなぁ?」
後で聞いた話だが、俺達のやり取りを黙って見ていた副キャプテンの藤木が横にいた高山に小声で『ほんと、隆って前から思ってたけど大人だよな?』と言っていたらしく、それに対して高山は笑いながら『ああ、腹が立つくらいあいつは大人だ』と返事をしたそうだ。
こうして俺と大石は『最強コンビ』を目指し、約一ヶ月間、猛特訓をすることとなる。部活以外でも塾が休みの時は『市民体育館』で一日中練習をしていた。勿論、他のAチームメンバーも一緒に……
そして遂に俺達の『最後の大会』が始まった。
個人戦は村瀬のベスト8が最高に終わったが俺達の目標はあくまでも『団体戦優勝』石田に『優勝』をプレゼントする為に全員真剣だ。
『前の世界』でBチームの経験しかない俺は結構緊張はしているが、どこか心は晴れやかだ。やはり石田が『生きている』ということが俺にとっては大きかった。
『前の世界』では石田が死んで一週間後の大会だったことを考えると、これは雲泥の差だ。
俺達Aチームは快進撃をする。
『最強コンビ』と思い込んでいる俺達は1セットも落とさずに勝ち進んだ。
他の学校の奴等もかなり驚いた顔で俺達のプレイを見ている。
そして遂に俺達は『決勝戦』を迎えることとなる。
相手は予想通り、優勝候補筆頭の『青葉二中』
この中学からは過去に『オリンピック選手』も数名、輩出されていると聞いた事がある。
今まで何度か『練習試合』をしたことがあるが一度も、それも誰一人、勝ったことが無いという『最強軍団』だ。しかし、前の『練習試合』からは半年が経っている。
その間、俺達だって成長しているんだ……
俺達が決勝戦前の最後の打ち合わせをしていると俺の名前を呼ぶ男性の声がする。
「隆君!!」
「えっ?」
「やぁ、久しぶりだね……」
「お疲れ様、隆君……」
「のっ、昇さん!? それに佳子さんまで……どうしてここに!?」
「ハッハッハッハ。決まってるじゃないか、隆君の応援に来たんだよ。でも良かったよ。決勝戦まで残っていてくれて。もし早めに敗退していたら応援に間に合わないところだったからねぇ。でも姉さんが『絶対に決勝戦まで勝ち進む』って言うからさ、だから用事を済ませて車を飛ばして来たんだ」
「あ、有難うございます。そ、それで……あのぉぉ……先生は……」
「ああ、勿論来るよ!! 本当は朝から応援に来る予定にしていたらしいけど急に仕事が入ったみたいでさ……それで僕に先に隆君の応援に行って欲しいって頼まれたんだ」
『つねちゃん』が来る!!
俺は今までの試合の疲れが一瞬にして消えた感覚になった。
『つねちゃん』は俺にとって最高の『エネルギー』である。
「今度こそ……今度こそ、つねちゃんに勝つところを見せたい……」
「隆、何か言ったか?」
「いや、何でもないよ……」
「ふーん……」
「テツ……」
「何だよ?」
「絶対に勝つぞ……」
「フンッ、当たり前だ……」
石田に『優勝』をプレゼントをする為に……
つねちゃんに俺の『雄姿』を見て貰う為に……
初恋の人の想いを感じながら俺は勝つ……
そして決勝戦が始まる……
――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
ついに隆達にとって中学生最後の試合、決勝戦が始まる。
まだ応援に来れて居ない『つねちゃん』だが隆の雄姿を見る事ができるのか?
そして隆達は石田に『優勝』をプレゼントできるのか?
どうぞ次回もお楽しみに!!
『前の世界』でどうしても俺が受け入れられなかったこと……
幼稚な考えしか無かった俺だった為にどうしても認めることができなかったこと……
でも『この世界』で嫌な気持ちは変わらなくても自分の感情を捨て、それ受け入れることができれば、それは『努力』と認めてもらえるのだろうか?
そしてその『努力』が『前の世界の未来』を少しだけでも変えることができるのだろうか?
そう思った俺は大石と『ダブルス』を組む決断をした。
「はっ、はぁぁあああ!? なっ、何で俺が隆なんかと『ダブルス』を組まないといけないんだよ!? 俺は『シングルス』で試合に出たいんだ!! おっ、お前もそうだろ!? だったらAチームの『ダブルス』は七位の吉井と八位の坂本にやってもらって、俺達はBチームの『シングルス』に出たら良いじゃないか!?」
やはり大石は『前の世界』と同じセリフを言ってきた。
しかし今回の俺は『前の世界』の俺とは違う。
俺は『大人』だ……
「そりゃあ俺も本当は『シングルス』に出たいのはやまやまだけどさ……」
「だったら俺の案で……」
「いやダメだ!! 俺は『シングルス』以前に何が何でも優勝したいんだ!! そして優勝する為には俺とテツがAチームの『ダブルス』で出場する方が絶対に良いと思う!!」
「そこまでAチームにこだわるんなら吉井か坂本どちらかとお前が組めば良いじゃねぇか!?」
俺と大石の言い合いが気になり、他の部員達も俺達の周りに集まって来る。
そのうちの一人、森重が口を挟んできた。
「おい隆~、テツがそこまで『ダブルス』を嫌がっているんだから、テツの言う通り隆と他の奴が組めば良いじゃないか? 隆だけでもAチームにいてくれれば俺は良いと思うぞ……」
俺は森重を睨みつけた。
そして森重の表情をジッと見て確信した。
こいつは『本心』で言ってない。
だって『前の世界』の森重は大会終了後に俺に『お前達がダブルスでAチームにいてくれたら優勝できたかもしれないのに……』と言ったんだ。
「テツ!! 優勝する為には俺とテツが『ダブルス』で出ないとダメだ!!」
「何でそこまで俺にこだわるんだよ!? 俺はお前と相性が悪いんだ。絶対に息の合ったプレイなんか出来ないに決まっているじゃないか!!」
怒り気味の大石に俺は笑顔でこう言った。
「でもさ、そんな俺達がもし息の合ったプレイができたらどうなる? 『最強のコンビ』になると思わないか? 優勝候補の青葉二中の『ダブルス』にも勝てると思わないか? いや、俺は負ける気がしないぞ!!」
「・・・・・・・・・・・・」
俺の言葉に大石が黙ってしまった。
少し気持ちが揺らいだように思える。
すると村瀬がこう言う。
「僕も隆とテツの『最強コンビ』を見てみたいなぁ……もしかしたら本当に青葉二中に勝てるかもしれないよ……」
続いてキャプテンの下田も話し出す。
「村瀬の言う通りだよ。テツの『即効型』と隆の『守備型』が合わさった『ダブルス』ってさ、ある意味理想の形だと思うんだ。きっと『最強コンビ』になるよ。だからさテツ……一緒にAチームで優勝を目指そうよ」
ずっと下を向き考え込んでいた大石がゆっくりと顔を上げて俺にこう言った。
「わ、分かったよ……Aチームで『ダブルス』をやってやるよ。でも隆、絶対に俺の足を引っ張るんじゃねぇぞ!!」
俺より『総当たり戦』の順位が下のテツが何を偉そうなこと言ってるんだ!?
本当にこいつとは気が合わないなぁと思ったが俺は笑顔でこう言った。
「ハハ……分かった、気を付けるよ。それと『ダブルス』をするって決断してくれてありがとな……」
「うっ……フンッ、別にお礼なんて言われたか無いぜ……」
「ハハハ、ほんとテツは『ツンデレ』だなぁ?」
「はあ? 何だ、その『ツンデレ』ってのは? たまにお前、変な言葉をつかうことがあるよなぁ?」
後で聞いた話だが、俺達のやり取りを黙って見ていた副キャプテンの藤木が横にいた高山に小声で『ほんと、隆って前から思ってたけど大人だよな?』と言っていたらしく、それに対して高山は笑いながら『ああ、腹が立つくらいあいつは大人だ』と返事をしたそうだ。
こうして俺と大石は『最強コンビ』を目指し、約一ヶ月間、猛特訓をすることとなる。部活以外でも塾が休みの時は『市民体育館』で一日中練習をしていた。勿論、他のAチームメンバーも一緒に……
そして遂に俺達の『最後の大会』が始まった。
個人戦は村瀬のベスト8が最高に終わったが俺達の目標はあくまでも『団体戦優勝』石田に『優勝』をプレゼントする為に全員真剣だ。
『前の世界』でBチームの経験しかない俺は結構緊張はしているが、どこか心は晴れやかだ。やはり石田が『生きている』ということが俺にとっては大きかった。
『前の世界』では石田が死んで一週間後の大会だったことを考えると、これは雲泥の差だ。
俺達Aチームは快進撃をする。
『最強コンビ』と思い込んでいる俺達は1セットも落とさずに勝ち進んだ。
他の学校の奴等もかなり驚いた顔で俺達のプレイを見ている。
そして遂に俺達は『決勝戦』を迎えることとなる。
相手は予想通り、優勝候補筆頭の『青葉二中』
この中学からは過去に『オリンピック選手』も数名、輩出されていると聞いた事がある。
今まで何度か『練習試合』をしたことがあるが一度も、それも誰一人、勝ったことが無いという『最強軍団』だ。しかし、前の『練習試合』からは半年が経っている。
その間、俺達だって成長しているんだ……
俺達が決勝戦前の最後の打ち合わせをしていると俺の名前を呼ぶ男性の声がする。
「隆君!!」
「えっ?」
「やぁ、久しぶりだね……」
「お疲れ様、隆君……」
「のっ、昇さん!? それに佳子さんまで……どうしてここに!?」
「ハッハッハッハ。決まってるじゃないか、隆君の応援に来たんだよ。でも良かったよ。決勝戦まで残っていてくれて。もし早めに敗退していたら応援に間に合わないところだったからねぇ。でも姉さんが『絶対に決勝戦まで勝ち進む』って言うからさ、だから用事を済ませて車を飛ばして来たんだ」
「あ、有難うございます。そ、それで……あのぉぉ……先生は……」
「ああ、勿論来るよ!! 本当は朝から応援に来る予定にしていたらしいけど急に仕事が入ったみたいでさ……それで僕に先に隆君の応援に行って欲しいって頼まれたんだ」
『つねちゃん』が来る!!
俺は今までの試合の疲れが一瞬にして消えた感覚になった。
『つねちゃん』は俺にとって最高の『エネルギー』である。
「今度こそ……今度こそ、つねちゃんに勝つところを見せたい……」
「隆、何か言ったか?」
「いや、何でもないよ……」
「ふーん……」
「テツ……」
「何だよ?」
「絶対に勝つぞ……」
「フンッ、当たり前だ……」
石田に『優勝』をプレゼントをする為に……
つねちゃんに俺の『雄姿』を見て貰う為に……
初恋の人の想いを感じながら俺は勝つ……
そして決勝戦が始まる……
――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
ついに隆達にとって中学生最後の試合、決勝戦が始まる。
まだ応援に来れて居ない『つねちゃん』だが隆の雄姿を見る事ができるのか?
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