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第5章 デート編
第23話 初恋の人の弟
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「のっ、昇!?」
「姉さんも来てたんだぁぁ……?」
俺は油断していた。
最初は周りの目を気にしていたはずだったのに、余りの『幸福感』ですっかりとその事を忘れていた。
そして俺は別に『つねちゃん』の弟さんに睨まれている訳では無いが『蛇に睨まれた蛙』の様に身体が硬直している。
『つねちゃん』の弟、昇さんは、さすが姉弟だと思うくらい『つねちゃん』に顔が少し似ている『爽やかイケメン』といった感じの人である。
そして、その『爽やかイケメン』の横には背は低めの髪型がポニーテールで目のパッチリとしたとても可愛らしい女性がいた。
「お姉さん、こんにちは。まさかお姉さんと遊園地でお会いできるとは思ってもいなかったのでビックリしましたよぉぉ」
「佳子ちゃん、私も驚いたわ……」
『つねちゃん』は少し苦笑いをしながら答えていた。
「で、姉さん。この子は誰?」
遂に来た!!
『つねちゃん』は弟さんに俺の事をどう答えるのだろうか?
「あっ、この子はね『五十鈴隆君』といって、私の『元教え子』なの。私、もうすぐ誕生日でしょ? それを隆君は覚えてくれていて、わざわざ家に尋ねて来てくれたの。それで私も凄く嬉しくなって、私から『今日は一緒に遊園地に行こう』って誘っちゃって……今、とても満喫しているところよ……」
もうすぐ『つねちゃん』の誕生日……
俺はその事を知っていた。だからゴールデンウイークに『つねちゃん』に会えて凄く嬉しかったんだ。
実は俺は『誕生日プレゼント』を用意している。
本当は『つねちゃん』の部屋でプレゼントを渡すつもりだったが、急遽、遊園地に行く事になったので渡すタイミングを逃してしまった。
だから俺は今、どのタイミングで『つねちゃん』に誕生日プレゼントを渡そうか思案しているところでもあったのだ。
「へぇ、そうなんだぁぁ……隆君、今日はこんな姉さんなんかに付き合ってくれて有難うね」
「昇!! 『こんな姉さんなんかに』って何よ!? アナタ、私にとても失礼じゃないの!?」
『つねちゃん』が昇さんに少し怒り口調で言い返すと、昇さんは『ハハハ』と笑いながら軽く受け流し、俺の方を向き話しかけてくるのであった。
「ところで隆君は今、何年生なのかな?」
「あっ、えっと……小六です……」
「小六かぁ……という事は今年で十二歳だね? もし隆君が十八歳になっても、うちの姉さんが独身だったら『結婚』してあげてよ?」
俺は昇さんのまさかの『お願い』に年甲斐も無く照れてしまい、顔が真っ赤になってしまった。
そんな照れている俺の姿を見てすかさず『つねちゃん』が口を挟む。
「のっ、昇!! アナタ、隆君に何て事言うの!? 隆君、とても困ってるじゃない!!」
「そうよ、昇さん。隆君にもだけど、お姉さんに失礼じゃない。歳が離れ過ぎじゃない!! お姉さんはとっても美人なんだから、これからお相手なんていくらでもいらっしゃると思うわ……」
昇さんは『つねちゃん』には失礼な事を言っているかもしれないが、俺にとっての昇さんは『最強の味方』だよ。それより佳子さんのセリフの方が俺にとっては聞き捨てならないぞ。
俺はその『歳の差』を気にせずに『つねちゃん』と結婚したいと思っているんだ。
それに、『つねちゃん』の前に『お相手』がいくらでもいたら俺が居ても立っても居られなくなるじゃないか!!
「ハハハ、二人共そんなに怒らないでよ。冗談だよ、冗談……俺は姉さんより弟の俺が先に結婚するのが申し訳ないなぁって思っているだけなんだからさ……」
そ、そうなんだ。昇さん達、結婚するのか……
「昇……そんなお気遣いは結構よ。だからあなた達は安心して結婚してちょうだい。さぁ、隆君!! こんな弟は放っておいて次は『観覧車』に行きましょうか?」
「あらっ、姉さん達も『観覧車』に行くのかい? 奇遇だね? 俺達も今から『観覧車』に行こうとしてたんだよ……」
「隆君!! 『観覧車』はもう少し後にしましょう!!隆君は他に乗りたい乗り物は無い?」
「えっ? まぁ……そ、それじゃぁ『急流すべり』に行ってみたいんだけど……」
俺が最後まで話し終わるのを待たずに、『つねちゃん』は再び俺の腕を強く握りしめ、昇さん達と大した挨拶も交わさずにその場を離れるのであった。
その時俺は、また『違う形』で昇さんと出会う事になるとは知る由も無かった……
――――――――――――――――――
お読み頂き有難うございました。
隆はどのタイミングで『つねちゃん』に誕生日プレゼントを渡すのでしょうか。
それでは次回もお楽しみに~(^-^)/
「姉さんも来てたんだぁぁ……?」
俺は油断していた。
最初は周りの目を気にしていたはずだったのに、余りの『幸福感』ですっかりとその事を忘れていた。
そして俺は別に『つねちゃん』の弟さんに睨まれている訳では無いが『蛇に睨まれた蛙』の様に身体が硬直している。
『つねちゃん』の弟、昇さんは、さすが姉弟だと思うくらい『つねちゃん』に顔が少し似ている『爽やかイケメン』といった感じの人である。
そして、その『爽やかイケメン』の横には背は低めの髪型がポニーテールで目のパッチリとしたとても可愛らしい女性がいた。
「お姉さん、こんにちは。まさかお姉さんと遊園地でお会いできるとは思ってもいなかったのでビックリしましたよぉぉ」
「佳子ちゃん、私も驚いたわ……」
『つねちゃん』は少し苦笑いをしながら答えていた。
「で、姉さん。この子は誰?」
遂に来た!!
『つねちゃん』は弟さんに俺の事をどう答えるのだろうか?
「あっ、この子はね『五十鈴隆君』といって、私の『元教え子』なの。私、もうすぐ誕生日でしょ? それを隆君は覚えてくれていて、わざわざ家に尋ねて来てくれたの。それで私も凄く嬉しくなって、私から『今日は一緒に遊園地に行こう』って誘っちゃって……今、とても満喫しているところよ……」
もうすぐ『つねちゃん』の誕生日……
俺はその事を知っていた。だからゴールデンウイークに『つねちゃん』に会えて凄く嬉しかったんだ。
実は俺は『誕生日プレゼント』を用意している。
本当は『つねちゃん』の部屋でプレゼントを渡すつもりだったが、急遽、遊園地に行く事になったので渡すタイミングを逃してしまった。
だから俺は今、どのタイミングで『つねちゃん』に誕生日プレゼントを渡そうか思案しているところでもあったのだ。
「へぇ、そうなんだぁぁ……隆君、今日はこんな姉さんなんかに付き合ってくれて有難うね」
「昇!! 『こんな姉さんなんかに』って何よ!? アナタ、私にとても失礼じゃないの!?」
『つねちゃん』が昇さんに少し怒り口調で言い返すと、昇さんは『ハハハ』と笑いながら軽く受け流し、俺の方を向き話しかけてくるのであった。
「ところで隆君は今、何年生なのかな?」
「あっ、えっと……小六です……」
「小六かぁ……という事は今年で十二歳だね? もし隆君が十八歳になっても、うちの姉さんが独身だったら『結婚』してあげてよ?」
俺は昇さんのまさかの『お願い』に年甲斐も無く照れてしまい、顔が真っ赤になってしまった。
そんな照れている俺の姿を見てすかさず『つねちゃん』が口を挟む。
「のっ、昇!! アナタ、隆君に何て事言うの!? 隆君、とても困ってるじゃない!!」
「そうよ、昇さん。隆君にもだけど、お姉さんに失礼じゃない。歳が離れ過ぎじゃない!! お姉さんはとっても美人なんだから、これからお相手なんていくらでもいらっしゃると思うわ……」
昇さんは『つねちゃん』には失礼な事を言っているかもしれないが、俺にとっての昇さんは『最強の味方』だよ。それより佳子さんのセリフの方が俺にとっては聞き捨てならないぞ。
俺はその『歳の差』を気にせずに『つねちゃん』と結婚したいと思っているんだ。
それに、『つねちゃん』の前に『お相手』がいくらでもいたら俺が居ても立っても居られなくなるじゃないか!!
「ハハハ、二人共そんなに怒らないでよ。冗談だよ、冗談……俺は姉さんより弟の俺が先に結婚するのが申し訳ないなぁって思っているだけなんだからさ……」
そ、そうなんだ。昇さん達、結婚するのか……
「昇……そんなお気遣いは結構よ。だからあなた達は安心して結婚してちょうだい。さぁ、隆君!! こんな弟は放っておいて次は『観覧車』に行きましょうか?」
「あらっ、姉さん達も『観覧車』に行くのかい? 奇遇だね? 俺達も今から『観覧車』に行こうとしてたんだよ……」
「隆君!! 『観覧車』はもう少し後にしましょう!!隆君は他に乗りたい乗り物は無い?」
「えっ? まぁ……そ、それじゃぁ『急流すべり』に行ってみたいんだけど……」
俺が最後まで話し終わるのを待たずに、『つねちゃん』は再び俺の腕を強く握りしめ、昇さん達と大した挨拶も交わさずにその場を離れるのであった。
その時俺は、また『違う形』で昇さんと出会う事になるとは知る由も無かった……
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お読み頂き有難うございました。
隆はどのタイミングで『つねちゃん』に誕生日プレゼントを渡すのでしょうか。
それでは次回もお楽しみに~(^-^)/
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