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第5章 デート編
第21話 初恋の人の『大好きな俺』
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俺は『青春時代の思い出の地』である遊園地内を懐かしさのあまり、キョロキョロしながら見ているので、その様子を『つねちゃん』は俺が遊園地に遊びに来れて喜んでいるんだと思っているだろう……
まぁ、俺は実際とても喜んでいる。
夢にまで見た『つねちゃん』とデートに来ているんだから、嬉しいに決まっているし、当初、思っていた『周りの目』も、いつの間にか気に成らなくなっていた。
それプラス、俺はこの懐かしい光景を楽しんでいた。
「隆君……とても楽しそうで良かったわ」
「あっ、うん……とても楽しいよ。つねちゃん、今日は連れて来てくれて有難う……」
俺は何とも言えない笑顔で言ってくる『つねちゃん』にお礼を言った。
すると『つねちゃん』も俺に……
「隆君、お礼を言うのは先生の方よ。最近ずっと仕事が忙しくて、先生ちょっと疲れ気味だったの……だから今日は『大好きな隆君』と一緒に遊園地に来れて先生もとても嬉しいのよ。疲れが一気に吹き飛びそうだわ。ホント、今日は一緒に来てくれて有難うね……」
『大好きな隆君』……
この言葉をあっさり言うって事はやはりまだ俺の事は『ラブ』では無く『ライク』なんだろうな……
いや、それは当然だろう。
まだ俺は小六だし、仕方の無い事なんだけども……
でも実際の俺は『つねちゃん』よりも『中身』は遥かに年上だという事もあり、少しだけ複雑な気持ちになってしまう俺もいる。
そんな複雑な心境である俺の事など何も知らない『つねちゃん』は『お化け屋敷に行かない!? でも隆君はお化け屋敷は大丈夫なのかな?』と、無邪気な少女の様な笑顔で俺を誘ってくれている。
それに対し俺は『お化け屋敷は苦手だけど、つねちゃんと一緒なら大丈夫かな……』と答えると、『つねちゃん』はとても嬉しそうな顔をし、俺の腕をギュっと握りながら、お化け屋敷へ向かうのであった。
俺は『過去の世界』で『日本一怖くないお化け屋敷』だと思っていた所へ久しぶりに『つねちゃん』と一緒に行く事となる。
ここのお化け屋敷は自動で動いて行く乗り物に乗って移動していくタイプのもので、お化けも全て自動で動く人形だ。
だから怖ければ乗り物の中に顔を隠せばいいだけなので、お化け屋敷としては物足りない。やはりお化け屋敷は自分の足で歩いて、そして驚かすお化けも人間がやるのが一番怖いと俺は思っている。まぁ、どうでもいい事ではあるが……
「キャー!! キャー!!」
そんな『日本一怖くないお化け屋敷』で『つねちゃん』は一人怖がり、叫び、そして俺に抱き着いてくる。
『つねちゃん』の怖がって叫ぶ姿に一瞬、『へっ、これが怖いの?』と思ってしまったが、俺に抱き着いて来てくれるので、俺は今までバカにしていた『お化け達』に対して『グッジョブ!!』と心の中で親指を立てていた。
でも実際、俺はお化け屋敷どころでは無かった。
『つねちゃん』が怖がる度に俺に抱き着いて来るので俺は込みあげて来る興奮を抑えるので必死だった。とても『幸せ』な時間であった。
でも、そんな俺の『幸せ』な時間も数分で終わってしまい、少し残念な気持ちの俺と叫び疲れた感じの『つねちゃん』はお化け屋敷から出て来た。
はぁぁ……もう一周したかったな……
そんな事を思っていた俺に
「ここのお化け屋敷、とても怖かったわね!? 隆君は大丈夫だった?」
怖さのあまり何度も体を動かしていたせいか、少し髪が乱れ、青白い顔をした、それはそれで魅力的な『つねちゃん』が俺に聞いてきた。
「お、俺もとても怖かったけど、つねちゃんが隣にいてくれたから、何とか大丈夫だったよ……」
「えっ、そうなの? 隆君も怖かったのね? あぁ、良かったぁ……大人の私だけが怖がっていたらおかしいものね……?」
「えっ? いや、まぁ……ア、アハハハ……」
俺はまたしても『大人の対応』をしてしまった。
少し心が痛かった……
そんな俺の『大人の対応』など何も知らない『つねちゃん』は乱れた髪を整えながら「次は隣にある乗り物に乗ろうか?」と指を差した。
『つねちゃん』が指差した先にある乗り物……
それこそが、俺が『過去の世界』の高校生時代にアルバイトをしていた乗り物だった。
今は俺が高校生になる四年前にあたる。
根津さんはいるかな? 西野さんや三田さんもこの年にはここで働いているんだろうか?
俺は当時一緒に働いていた人達にこんな形で会えると思うと少し緊張はするが、ワクワク感の方が勝っていた。
そして俺と『つねちゃん』がその乗り物に近づくと俺は少し違和感を感じる。
あれ? 俺が働いていた乗り物って、こんな乗り物だったか……?
「隆君、首を傾げているけど、どうかしたの?」
『つねちゃん』が不思議そうな顔をしながら俺に聞いてきた。
「い、いや……別に何でもないんだけど……」
―――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
デート編はもう少し続きます。
隆が感じた違和感とは?
そして『過去の世界』で一緒に働いていた人達とは再会出来るのか?
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
まぁ、俺は実際とても喜んでいる。
夢にまで見た『つねちゃん』とデートに来ているんだから、嬉しいに決まっているし、当初、思っていた『周りの目』も、いつの間にか気に成らなくなっていた。
それプラス、俺はこの懐かしい光景を楽しんでいた。
「隆君……とても楽しそうで良かったわ」
「あっ、うん……とても楽しいよ。つねちゃん、今日は連れて来てくれて有難う……」
俺は何とも言えない笑顔で言ってくる『つねちゃん』にお礼を言った。
すると『つねちゃん』も俺に……
「隆君、お礼を言うのは先生の方よ。最近ずっと仕事が忙しくて、先生ちょっと疲れ気味だったの……だから今日は『大好きな隆君』と一緒に遊園地に来れて先生もとても嬉しいのよ。疲れが一気に吹き飛びそうだわ。ホント、今日は一緒に来てくれて有難うね……」
『大好きな隆君』……
この言葉をあっさり言うって事はやはりまだ俺の事は『ラブ』では無く『ライク』なんだろうな……
いや、それは当然だろう。
まだ俺は小六だし、仕方の無い事なんだけども……
でも実際の俺は『つねちゃん』よりも『中身』は遥かに年上だという事もあり、少しだけ複雑な気持ちになってしまう俺もいる。
そんな複雑な心境である俺の事など何も知らない『つねちゃん』は『お化け屋敷に行かない!? でも隆君はお化け屋敷は大丈夫なのかな?』と、無邪気な少女の様な笑顔で俺を誘ってくれている。
それに対し俺は『お化け屋敷は苦手だけど、つねちゃんと一緒なら大丈夫かな……』と答えると、『つねちゃん』はとても嬉しそうな顔をし、俺の腕をギュっと握りながら、お化け屋敷へ向かうのであった。
俺は『過去の世界』で『日本一怖くないお化け屋敷』だと思っていた所へ久しぶりに『つねちゃん』と一緒に行く事となる。
ここのお化け屋敷は自動で動いて行く乗り物に乗って移動していくタイプのもので、お化けも全て自動で動く人形だ。
だから怖ければ乗り物の中に顔を隠せばいいだけなので、お化け屋敷としては物足りない。やはりお化け屋敷は自分の足で歩いて、そして驚かすお化けも人間がやるのが一番怖いと俺は思っている。まぁ、どうでもいい事ではあるが……
「キャー!! キャー!!」
そんな『日本一怖くないお化け屋敷』で『つねちゃん』は一人怖がり、叫び、そして俺に抱き着いてくる。
『つねちゃん』の怖がって叫ぶ姿に一瞬、『へっ、これが怖いの?』と思ってしまったが、俺に抱き着いて来てくれるので、俺は今までバカにしていた『お化け達』に対して『グッジョブ!!』と心の中で親指を立てていた。
でも実際、俺はお化け屋敷どころでは無かった。
『つねちゃん』が怖がる度に俺に抱き着いて来るので俺は込みあげて来る興奮を抑えるので必死だった。とても『幸せ』な時間であった。
でも、そんな俺の『幸せ』な時間も数分で終わってしまい、少し残念な気持ちの俺と叫び疲れた感じの『つねちゃん』はお化け屋敷から出て来た。
はぁぁ……もう一周したかったな……
そんな事を思っていた俺に
「ここのお化け屋敷、とても怖かったわね!? 隆君は大丈夫だった?」
怖さのあまり何度も体を動かしていたせいか、少し髪が乱れ、青白い顔をした、それはそれで魅力的な『つねちゃん』が俺に聞いてきた。
「お、俺もとても怖かったけど、つねちゃんが隣にいてくれたから、何とか大丈夫だったよ……」
「えっ、そうなの? 隆君も怖かったのね? あぁ、良かったぁ……大人の私だけが怖がっていたらおかしいものね……?」
「えっ? いや、まぁ……ア、アハハハ……」
俺はまたしても『大人の対応』をしてしまった。
少し心が痛かった……
そんな俺の『大人の対応』など何も知らない『つねちゃん』は乱れた髪を整えながら「次は隣にある乗り物に乗ろうか?」と指を差した。
『つねちゃん』が指差した先にある乗り物……
それこそが、俺が『過去の世界』の高校生時代にアルバイトをしていた乗り物だった。
今は俺が高校生になる四年前にあたる。
根津さんはいるかな? 西野さんや三田さんもこの年にはここで働いているんだろうか?
俺は当時一緒に働いていた人達にこんな形で会えると思うと少し緊張はするが、ワクワク感の方が勝っていた。
そして俺と『つねちゃん』がその乗り物に近づくと俺は少し違和感を感じる。
あれ? 俺が働いていた乗り物って、こんな乗り物だったか……?
「隆君、首を傾げているけど、どうかしたの?」
『つねちゃん』が不思議そうな顔をしながら俺に聞いてきた。
「い、いや……別に何でもないんだけど……」
―――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
デート編はもう少し続きます。
隆が感じた違和感とは?
そして『過去の世界』で一緒に働いていた人達とは再会出来るのか?
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
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