10 / 133
第3章 再会編
第10話 初恋の人が住む街
しおりを挟む
ガタンゴトン ガタンゴトン ガタンゴトン
俺は志保さんと一緒に電車に乗っている。
そして志保さんは少しテンションが高くなっている感じで一人しゃべっている。
一応、俺に向かってしゃべってはいるのだが……
しかしこの人は『現実世界』も『今の世界』も本当によくしゃべる人だ……
大人しくしていたら凄く清楚に見えて美人さんなんだけどなぁ……
――――――――――――――――――――――
俺の自宅の最寄駅から三つ目が目的の駅である。
だから時間にして約十五分程度だが、俺は少し緊張していたので時間は長く感じていた。
勿論、志保さんの話も右から左だ……
『青葉北~青葉北に到着致しました~』
遂に『つねちゃん』が住んでいる街の最寄り駅に着いた。
『青葉北駅』……この駅の近くには『青葉大学』という『大学』も有り、沢山の学生が乗り降りしている。
しかし今日は日曜日という事でどちらかといえば家族連れの乗客が目立っていた。
「私、この大学に通っているのよ」
「えっ? そうなの!? 志保姉ちゃん、頭凄く良いんだね?」
俺は志保さんが通っていた大学がレベルの高い『青葉大学』だというのを『現実世界』でも知らなかったので本当に驚いてしまった。
「隆君、小学一年生なのに、うちの大学のレベル知ってるの? 凄いわねぇ……」
しまった!!
俺は余計な事につい反応してしまった自分を反省した。
そして、あまり志保さんと話をし過ぎると『ぼろが出る』と思い、極力話さない様にしようと思うのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――
『現実世界』の話だが、この街には俺が高校生の頃によく通っていた。
友人がこの街に住んでいたって事もあったが、駅周辺は学生街という事で『カラオケボックス』『ファーストフード』『レンタルビデオ屋』『喫茶店』『ゲームセンター』『ビリヤード場』『ボーリング場』など、学生が好む店が沢山あったからだ。
しかし何かおかしい……俺の知っている街並みとなんだか違う。
街にあまり派手さが無いのだ。
そっ…そうだった。この世界は俺が高校生の頃よりも更に前の時代だった。
恐らく『インベーダーゲーム』ですら、来年くらいに流行り出すんじゃなかったか?
「はぁぁぁ……」
俺はなんだか複雑な心境になり、思わずため息をついた……
「どうしたの隆君? ため息なんかついて。もしかして緊張してるのかな?」
「えっ? まぁ、そんな感じかな……」
――――――――――――――――――――――
二週間ぐらい前に母さんがいつも大事なものをしまっているタンスの引き出しから、前に『つねちゃん』が自宅の住所を書いた紙を『どうか母さんにバレませんように』とお祈りをしながら俺は持ち出していた。
そして今、その住所が書かれている紙を見ながら俺と志保さんは『つねちゃん』の住んでいるアパートに向かっている。
「あっ!! ここじゃないかしら!? そうよ、きっとこのアパートだわ!!」
「あっ!?」
俺は『つねちゃん』が住んでいると思われるアパートを見て驚いた。
なんと、そのアパートは俺の高校時代の友人が住んでいたアパートだったのだ……
まさか俺は当時、知らず知らずのうちに、何度も何度も『つねちゃん』が住んでいた街に通い、そして『つねちゃん』が住んでいたアパートにも何度も何度も足を踏み入れてたのかよ……
うっ、何だこの胸の苦しみは……?
「ふぅぅぅ……」
「フフフ。隆君、緊張が最高潮に達したのかな? 今度は深呼吸なんかしちゃってさ……さあ、グズグズしないで早く行くわよ!! 『常谷先生』のお部屋は三階の『303号室』よ!!」
ピンポーン ピンポーン
志保さんがインターホンを押す。
ドキドキ……ドキドキ……ドキドキ……
緊張のあまり俺の心臓の鼓動が早くなっているのが分かる。そして……
「はーい、どちらさまですかぁぁ?」
いた!! 家にいてくれた!!
そして相変わらず、なんて優しい声なんだ!!
『つねちゃん』と離れ離れになって、まだ数ヶ月しか経っていないのだが、俺には『つねちゃん』の優しいその声がとても懐かしく思えるのであった……
俺は志保さんと一緒に電車に乗っている。
そして志保さんは少しテンションが高くなっている感じで一人しゃべっている。
一応、俺に向かってしゃべってはいるのだが……
しかしこの人は『現実世界』も『今の世界』も本当によくしゃべる人だ……
大人しくしていたら凄く清楚に見えて美人さんなんだけどなぁ……
――――――――――――――――――――――
俺の自宅の最寄駅から三つ目が目的の駅である。
だから時間にして約十五分程度だが、俺は少し緊張していたので時間は長く感じていた。
勿論、志保さんの話も右から左だ……
『青葉北~青葉北に到着致しました~』
遂に『つねちゃん』が住んでいる街の最寄り駅に着いた。
『青葉北駅』……この駅の近くには『青葉大学』という『大学』も有り、沢山の学生が乗り降りしている。
しかし今日は日曜日という事でどちらかといえば家族連れの乗客が目立っていた。
「私、この大学に通っているのよ」
「えっ? そうなの!? 志保姉ちゃん、頭凄く良いんだね?」
俺は志保さんが通っていた大学がレベルの高い『青葉大学』だというのを『現実世界』でも知らなかったので本当に驚いてしまった。
「隆君、小学一年生なのに、うちの大学のレベル知ってるの? 凄いわねぇ……」
しまった!!
俺は余計な事につい反応してしまった自分を反省した。
そして、あまり志保さんと話をし過ぎると『ぼろが出る』と思い、極力話さない様にしようと思うのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――
『現実世界』の話だが、この街には俺が高校生の頃によく通っていた。
友人がこの街に住んでいたって事もあったが、駅周辺は学生街という事で『カラオケボックス』『ファーストフード』『レンタルビデオ屋』『喫茶店』『ゲームセンター』『ビリヤード場』『ボーリング場』など、学生が好む店が沢山あったからだ。
しかし何かおかしい……俺の知っている街並みとなんだか違う。
街にあまり派手さが無いのだ。
そっ…そうだった。この世界は俺が高校生の頃よりも更に前の時代だった。
恐らく『インベーダーゲーム』ですら、来年くらいに流行り出すんじゃなかったか?
「はぁぁぁ……」
俺はなんだか複雑な心境になり、思わずため息をついた……
「どうしたの隆君? ため息なんかついて。もしかして緊張してるのかな?」
「えっ? まぁ、そんな感じかな……」
――――――――――――――――――――――
二週間ぐらい前に母さんがいつも大事なものをしまっているタンスの引き出しから、前に『つねちゃん』が自宅の住所を書いた紙を『どうか母さんにバレませんように』とお祈りをしながら俺は持ち出していた。
そして今、その住所が書かれている紙を見ながら俺と志保さんは『つねちゃん』の住んでいるアパートに向かっている。
「あっ!! ここじゃないかしら!? そうよ、きっとこのアパートだわ!!」
「あっ!?」
俺は『つねちゃん』が住んでいると思われるアパートを見て驚いた。
なんと、そのアパートは俺の高校時代の友人が住んでいたアパートだったのだ……
まさか俺は当時、知らず知らずのうちに、何度も何度も『つねちゃん』が住んでいた街に通い、そして『つねちゃん』が住んでいたアパートにも何度も何度も足を踏み入れてたのかよ……
うっ、何だこの胸の苦しみは……?
「ふぅぅぅ……」
「フフフ。隆君、緊張が最高潮に達したのかな? 今度は深呼吸なんかしちゃってさ……さあ、グズグズしないで早く行くわよ!! 『常谷先生』のお部屋は三階の『303号室』よ!!」
ピンポーン ピンポーン
志保さんがインターホンを押す。
ドキドキ……ドキドキ……ドキドキ……
緊張のあまり俺の心臓の鼓動が早くなっているのが分かる。そして……
「はーい、どちらさまですかぁぁ?」
いた!! 家にいてくれた!!
そして相変わらず、なんて優しい声なんだ!!
『つねちゃん』と離れ離れになって、まだ数ヶ月しか経っていないのだが、俺には『つねちゃん』の優しいその声がとても懐かしく思えるのであった……
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?
石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。
ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。
ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。
「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。
扉絵は汐の音さまに描いていただきました。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
粗暴で優しい幼馴染彼氏はおっとり系彼女を好きすぎる
春音優月
恋愛
おっとりふわふわ大学生の一色のどかは、中学生の時から付き合っている幼馴染彼氏の黒瀬逸希と同棲中。態度や口は荒っぽい逸希だけど、のどかへの愛は大きすぎるほど。
幸せいっぱいなはずなのに、逸希から一度も「好き」と言われてないことに気がついてしまって……?
幼馴染大学生の糖度高めなショートストーリー。
2024.03.06
イラスト:雪緒さま
一夜限りのお相手は
栗原さとみ
恋愛
私は大学3年の倉持ひより。サークルにも属さず、いたって地味にキャンパスライフを送っている。大学の図書館で一人読書をしたり、好きな写真のスタジオでバイトをして過ごす毎日だ。ある日、アニメサークルに入っている友達の亜美に頼みごとを懇願されて、私はそれを引き受けてしまう。その事がきっかけで思いがけない人と思わぬ展開に……。『その人』は、私が尊敬する写真家で憧れの人だった。R5.1月
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる