上 下
92 / 93
最終章 永遠の愛編

第91話 永遠の誓い/亮二

しおりを挟む
「俺がいるんだから大丈夫さ、カナちゃん……」

「カナちゃん……りょう君にそう呼ばれるのって凄く久しぶりというか……はっ!? りょ、りょう君もしかして……もしかして記憶が……」

「あ、ああ……全部、全部……カナちゃんとの出会いから事故までの記憶を全部思い出したよ……うっ……」

 遂に俺は思い出した。消えていた数年間の全ての記憶を思い出したのだ。
 
 凄い勢いで雷の音が鳴り響きカナちゃんが俺に抱きついた瞬間、どれくらいの時間だろうか、恐らく実際は数秒だろうけど俺の身体が何か違う世界へ飛んだ感じがした。

 そして俺の前に以前見た事のある人の形をした光……その光から一度だけ聞いた事のある声がした。そう、亮一兄さんの声だ。

「亮二、よく頑張ったね? それにあの子も……これで二人の試練は無事に終わったよ。もう大丈夫。全て終わったんだ。この世界で起きた反動は君達二人のお陰で全ておさまったよ。本当によく頑張ったね……これからは二人で力を合わせて幸せに……なって……」

 亮一兄さんの声が少しずつ小さくなると共に失っていた記憶が俺の頭の中に少しずつ戻ってきて、そして完全に兄さんの声が聞こえなくなり「亮一兄さん!!」と心の中で叫んだと同時に我に返り俺の身体がカナちゃんの前に戻った感じがした。

 俺の記憶が戻った事に驚きと不安が入り交ざっている表情をしているカナちゃん。きっとまだ本当に俺の記憶が戻ったのか心配なのだろう。だからそんなカナちゃんを安心させる為にこう言った。

「カナちゃんが幼稚園児で俺が中1の時にエキサイトランドであげたペンギンのぬいぐるみを今までずっと大事に持っていてくれていたんだね? ありがとうね、カナちゃん」

「あっ!! あっ!!」

 今の言葉でカナちゃんは俺が記憶を取り戻した事を確信したのだろう。目に涙を浮かべながら、何か言いたいようだけど言葉にならないみたいだ。

 だからそんなカナちゃんを俺は強く抱きしめる。そして……

「カナちゃん、長い時間、辛い思いをさせてゴメンね……」

「ううん、そんなことない……」

 俺は優しくカナちゃんの頭を撫でながら……

「こんな俺を見捨てずにいてくれてありがとね……」

「見捨てるわけない。私の記憶を失ったりょう君も前と変わらずとても優しい人だったし……だから見捨てるどころか、ますますりょう君のことが大好きになっていったし……」

 そっかぁ……そうなんだ。カナちゃんは本当に俺の事を……記憶を失ってしまった俺の事をずっと好きでいてくれたんだ。なんて俺は幸せ者なんだ。それなのに俺は一番大事な時にネガティブな事ばかり考えてしまって……

「こんなネガティブな俺の事をずっと好きでいてくれてありがとう……」

「りょう君のどこがネガティブなの? 私の方がネガティブだよ。だから今までりょう君がポジティブな性格のお陰でどれだけ私が救われたことか……」

 そうなんだ。俺はこんなしっかり者で健気で優しくて、いつも俺の事を心から慕ってくれるカナちゃんの事が気になりだし、意識しだしていつの間にか大好きになったんだっだ。

 だから俺の中にあった歳の差の不安なんて消えてしまい、俺の心はカナちゃんでいっぱいになった。

 俺はカナちゃんを更に強く抱きしめる。

「カナちゃん、苦しくない?」

「うん、大丈夫。こんなに強く抱きしめられたのは何年ぶりかなぁ……私、凄い幸せだよ」

「俺もだよ……俺も凄く幸せさ……あっ?」

「え? どうしたの、りょう君?」

 俺は何気に外を見ると窓越しに広美と岸本さんが満面の笑顔で手を振っている。

「外に広美と岸本さんがいるんだ。ということは……」

「もしかして私達、二週目に入ったってこと?」

「ハハハ……そうみたいだね。これも広美の演出かも……ほんとあいつは……」

 俺達に手を振っている広美の口元を見るとなんとなく「頑張って」と言っている様に思えた。はぁ、広美のお節介女め……でも、ありがとう……

 数十秒、俺達の間に沈黙が流れる。でもこの沈黙は居心地が悪い訳では無く、逆にカナちゃんの温もりが俺に伝わってきてとても癒される。

 でもいつまでもこのままって訳にはいかない。

 俺はカナちゃんに伝えなければいけないんだ。

 ただ、伝える内容に変更はあるけど……

「カ、カナちゃん?」

「なぁに、りょう君?」

「さっきカナちゃんからも俺に大事な話があるって言っていたけどさ」

「あっ、そうだった!! 私、すっかり言い忘れていたわ」

「いや、悪いんだけど先に俺からカナちゃんに大事な話をさせてもらえないかな?」

「え? う、うん……いいよ。りょう君からお話して」

 カナちゃんは顔を上げながらそう言ってくれたが表情が少し硬くなった気がする。多分、俺が何を言うのか不安なのだろう。

「実はさ、今日はカナちゃんに俺の想いを伝えたかったんだ」

「想い……?」

「うん。それでその想いっていうのは俺がカナちゃんと会っているうちにどんどん惹かれてしまい、カナちゃんを一人の女性として見る様になってしまっていて……そして日に日に歳の差があるのも忘れるくらいに恋愛感情が芽生えてしまって……だからもしカナちゃんさえ良ければ俺と付き合ってほしいって伝えようと思っていたんだ」

「りょ、りょう君……」

「でも、それは撤回する」

「えっ!?」

「記憶を取り戻した俺にそんな回りくどい伝え方はもう必要ない……だってそうだろ? もうとっくの昔に俺はカナちゃんに想いを伝えているし、約束している。だから今日は約束を果たさせてもらう」

「りょう君……グスン」

 俺は小さく深呼吸をする。そして……

「カナちゃん、絶対に幸せにするから……もうカナちゃんの事を忘れたりなんてしないから、カナちゃんを一生愛し続けるから……だからカナちゃんが高校を卒業したら俺と結婚してください!!」

 カナちゃんは俺のプロポーズの言葉を聞き、大粒の涙を流している。そして笑顔で……

「グスン……はい、こんな私ですがよろしくお願いします」

「ふわぁ、良かったぁ……」

 俺はホッとした。そしてカナちゃんの顔に近付き涙を拭ってあげる。そしてそのままの勢いで俺からキスをしようとしたが、カナちゃんの方から勢いよくキスをしてきたので俺は驚き身体が後ろに倒れそうになったが、壁と後頭部のお陰で痛みだけで済んだ。

「イテテテテ……まさかカナちゃんからキスをしてくるとは思っていなかったから驚いたよ。今の痛みでまたしても記憶が無くなるかと思ったよ」

「だ、だって私……今までずーっと、ずーっと、りょう君とキスがしたくてしたくて……この気持ちを抑えるのに大変だったから……だから思わず私の方から……でもゴメンね? 後頭部大丈夫? またいくつか記憶が無くなったりとか……」

「ハハハ、それは大丈夫さ。さっきカナちゃんの事を一生忘れないって宣言したばかりだしさ」

 ゴンドラが2回目の頂上付近に来たみたいだ。あれだけ激しい雷が鳴っていたとは思えないくらいに空は晴れ渡り青葉市の街並みが綺麗に見える、最高のシチュエーション……まるで俺達を祝福してくれているようだ。

 よし、今度こそ俺から……

 俺はカナちゃんを真っすぐに見つめ、両肩に手をやり、そして顔を近づける。
 俺の動きを見てカナちゃんは静かに目を閉じる。

 お互いの唇と唇が重なり、カナちゃんの両腕が俺の首を包み込む感じになっている。二人の唇は時には優しく、時には激しく重なり合い、俺達は数年分の愛を込めたキスをした。

 そしてお互いの唇が離れカナちゃんがトロンとした表情をしながら俺の耳元で呟く。

「りょう君……前にも言ったけど私は16歳で結婚してもいいんだよ」

「えっ!? い、いや、俺も前に言ったけどカナちゃんが18歳になってからだよ」

「もう、それは曲げないんだねぇ?」

「も、勿論さ。男に二言はないのさ」

「よーし、それじゃこれから、りょう君の気が変わる様に頑張っちゃおうかな~」

「えっ、な、何を頑張るんだい?」

「フフフ……それは秘密だよぉ」

 カナちゃん、俺は今すぐにでも君と結婚したいのを思いっきり我慢しているだけなんだぞ。何を頑張るのか気になるけど、俺が根負けしてしまいそうで不安だよ。

 それくらいカナちゃんは世界で一番魅力的な女性なんだから。

 愛してるよ、カナちゃん……

 俺は君を一生守り、一生愛し続ける……





――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
遂に結ばれた二人
永遠の愛を誓い合った二人
これから亮二と加奈子にはどんな運命が待っているのか?

次回、完結(エピローグ)となります。
どうぞ宜しくお願い致します。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

連れ子が中学生に成長して胸が膨らむ・・・1人での快感にも目覚て恥ずかしそうにベッドの上で寝る

マッキーの世界
大衆娯楽
連れ子が成長し、中学生になった。 思春期ということもあり、反抗的な態度をとられる。 だが、そんな反抗的な表情も妙に俺の心を捉えて離さない。 「ああ、抱きたい・・・」

【完結】「父に毒殺され母の葬儀までタイムリープしたので、親戚の集まる前で父にやり返してやった」

まほりろ
恋愛
十八歳の私は異母妹に婚約者を奪われ、父と継母に毒殺された。 気がついたら十歳まで時間が巻き戻っていて、母の葬儀の最中だった。 私に毒を飲ませた父と継母が、虫の息の私の耳元で得意げに母を毒殺した経緯を話していたことを思い出した。 母の葬儀が終われば私は屋敷に幽閉され、外部との連絡手段を失ってしまう。 父を断罪できるチャンスは今しかない。 「お父様は悪くないの!  お父様は愛する人と一緒になりたかっただけなの!  だからお父様はお母様に毒をもったの!  お願いお父様を捕まえないで!」 私は声の限りに叫んでいた。 心の奥にほんの少し芽生えた父への殺意とともに。 ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 ※「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※タイトル変更しました。 旧タイトル「父に殺されタイムリープしたので『お父様は悪くないの!お父様は愛する人と一緒になりたくてお母様の食事に毒をもっただけなの!』と叫んでみた」

男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る

電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。 女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。 「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」 純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。 「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

壁の薄いアパートで、隣の部屋から喘ぎ声がする

サドラ
恋愛
最近付き合い始めた彼女とアパートにいる主人公。しかし、隣の部屋からの喘ぎ声が壁が薄いせいで聞こえてくる。そのせいで欲情が刺激された両者はー

女の子にされちゃう!?「……男の子やめる?」彼女は優しく撫でた。

広田こお
恋愛
少子解消のため日本は一夫多妻制に。が、若い女性が足りない……。独身男は女性化だ! 待て?僕、結婚相手いないけど、女の子にさせられてしまうの? 「安心して、いい夫なら離婚しないで、あ・げ・る。女の子になるのはイヤでしょ?」 国の決めた結婚相手となんとか結婚して女性化はなんとか免れた。どうなる僕の結婚生活。

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

処理中です...