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第5章 嫉妬編
第53話 結婚します/亮二
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打ち上げ開始から数時間が経ち、現在は6時半……そろそろカナちゃんは時間だな。家まで送らないといけないな……
「カナちゃん? 7時までには家に帰らないといけないからそろそろ帰る準備をした方がいいんじゃないかな? あ、それと俺が家まで送るからね」
「え? ここから家まで直ぐだし別に送らなくても私は大丈夫だよ」
「ダメダメ、外はだいぶ暗くなってきているし、夜道に女の子を一人で帰らせる訳にはいかないから。ちゃんと家に送り届けないと俺も心配だしね」
「う、うん……ありがとう。それじゃぁお言葉に甘えてお願いします」
そして俺達は部員やマスター達に挨拶をして店の外に出ようとした矢先、入り口のドアが開き、見覚えのある人達が入って来たので俺とカナちゃんは立ち止まった。
「あれ? お客さん凄く多いわね? もしかして今日は貸し切りなのかしら?」
「そうみたいだね。ん? ああ、外のドアに張り紙がしているよ。何々……ああ、そうだったのか。今日は7時まで貸し切りなんだだねぇ」
「ふーん、そうなんだ。それじゃぁ、どこかで時間を潰してからまた来る?」
「そうだね。出直そうか……」
店に入って来たのは男女のカップル……そのうちの男性は俺がよく知っている人……
そして女性はカナちゃんがよく知っている人……
俺達は同時に大きな声を出す。
「根津さん!?」「桜ちゃんのお母さん!?」
「おーっ!?」「あらぁああ!?」
「根津さん、お久しぶりです!! お元気そうで良かったです!!」
「ほんと、久しぶりだね、鎌田君!! まさか、ここで君に会えるとは思わなかったよ。エキサイトランドのバイトを辞めた後にこのお店のアルバイトも辞めたと聞いていたから……」
「そうですね。一度は辞めましたが大学生になってからマスターにお願いして復活させていただいたんですよ。あ、でも今日は部活の打ち上げでお店を貸し切らせていただいているんでお客なんですけどね」
まぁ、ほとんど店の手伝いをしていたけどな。
「ハハハ、そうだったのかぁ……」
根津さんに久しぶりに会えて嬉しいけど、まさか一緒にいる人が大塚さんだなんて意外だよなぁ……いや、そうでもないかも……
「根津さんと大塚さんはよく一緒に飲みに行かれているんですか?」
俺は根津さんに聞いたつもりだったが、大塚さんが大きな声で返事をする。
「そうなのよぉ。前にあなたとエキサイトランドで出会った日に私も根津さんと久しぶりに再会したでしょう? その時にお互いの連絡先を交換したんだけどね、それから月1くらいで一緒に飲みに行くようになったのよ」
「そうだったんですね。前に会った時もお二人は気が合いそうな感じでしたし……」
「おっ、わかる~? さすがは加奈子ちゃんの『彼氏』ね? 良い観察力ね!!」
「かっ、彼氏では無いですよ!! それに大学生の俺が彼氏っていうのはマズいでしょ?」本当は彼氏になりたい気持ちだけども……
「えっ!? か、彼氏……」
ほら、カナちゃんも顔を真っ赤にしながら驚いてるじゃないか!!
「別に私は愛があって健全な付き合いさえすればマズいとは思わないけどさ。ただいつまでも健全でいられるかどうかは難しいけどね……最近の桜と翔太君を見ていたら特にそう思うわ。まぁこれは山田さん夫婦の前では言えないけどね。っていうか、そんな話はどうでもいいのよ……」
ど、どうでもいいってなんだよ? あんたが言ってきた事じゃないか!!
それに俺にとってはめちゃくちゃ大事な話なんですけど。
しかし大塚さんは前に会った時もそう思ったけど何でもハッキリ言う人だよな?
「大塚さん? そこに立ってないでカウンター席に座ってよ? 貸し切りも間もなく終わる時間だし……それに今、翔太の話をしていなかった?」
「え? していないわよ。気のせいじゃないかしら。い、いずれにしても山田さん、ありがとう。カウンター席に座らせていただくわ。あなた達ご夫婦にも大事なお話があるしね」
大事な話? 何だろう? もしかして桜ちゃんと翔太君の話なのかな?
めちゃくちゃ気になるけど、俺は今からカナちゃんを家まで送らないといけないし……仕方無い、諦めよう……
「よし、それじゃぁカナちゃん帰ろうか? 早く帰らないと7時になってしまうよ」
「う、うん……そうだね……」
カナちゃんも大塚さんが言っていた大事な話が気になるって感じだな? 気持ちは分るけど後でマスター達に聞けばいいことだしな。カナちゃんに言える様な話しだったらいいんだけども……
「それでは皆さん、お先に失礼します。それと根津さん、大塚さんもさようなら」
「そっかぁ、鎌田君達はもう帰るのか……残念だなぁ……」
え? なんだか根津さん、俺達が帰るのが寂しいみたいだな?
それとも俺に何か言いたい事でもあったのかな?
するとまたしても大塚さんが大きな声で俺達を呼び止めてきた。
「ちょっと待って、鎌田君!!」
「え? な、何でしょうか大塚さん?」
「せっかくだからあなた達にも伝えておくわ。あなた達、急いでいるみたいだから単刀直入に言うわね?」
「 「は、はい……」 」
「実は私達、結婚することになったの!!」
「 「えーっ、結婚!?」 」
「 「 「 「 「えーーーっ!!??」 」 」 」 」
何故か俺達だけではなく他のボランティア部の人達も驚きの声をあげている。
「おめでとうございます!!」「素敵です!!」「幸せになってください!!」「熟年結婚万歳!!」
そして酔っているせいか、全然知らないであろう二人にお祝いの言葉を言っている人達もいる。
「うわぁ、あなた達、ありがとねぇ!! 若い子達に祝福されておばさん、とっても嬉しいわぁ!!」
大塚さんはそう言いながらボランティア部の人達と握手をしている。
二人が結婚するって……
お互いにバツイチ同士で気が合いそうだなとは思っていたけど、マジで結婚するなんて……めちゃくちゃ驚いたぞ。
そう思いながら俺はカナちゃんの方をチラッと見てみると俺以上に驚いた表情をしていたが徐々に不安な表情へと変化していった。
そして……
「あ、あのぉ……桜ちゃんはお二人が結婚するというのは……」
「勿論、知っているわよ。それに根津さんとの結婚は桜も大賛成してくれているわよ!!」
「そ、そうですか。それなら良かったです……ふぅ……」
カナちゃんは桜ちゃんが賛成していると聞いてとても安心した表情になっている。まぁ、そうだよな。桜ちゃんが反対しているのに結婚なんてされたら桜ちゃんの親友であるカナちゃんも辛いだろうしな。
「根津さん、大塚さん、本当におめでとうございます!! 根津さん、今日は俺帰りますがまた機会を作って結婚までの経緯を教えてくださいね? 第二の人生、お幸せに!!」
「ハハハ……鎌田君、ありがとね。また会おうねぇ」
こうして俺達はお祝いムード一色になった『焼き鳥やまだ』を後にした。
「カナちゃん、今日は本当にお疲れ様。内容の濃い一日だったけど疲れてない? 大丈夫?」
本当に今日一日だけで色々とあり過ぎなぐらいあったよな?
「うん、少しは疲れていたけど、桜ちゃんのお母さん達の結婚話があまりにも衝撃過ぎて一気に疲れが消えちゃったみたい。フフフ……」
「そうだね。俺も同じだよ。マジで驚いたなぁ……そう言えば……」
「え? どうしたの?」
「いや、何でもないよ……」
そう言えば根津さんって大塚さんよりも一回りくらい年上じゃなかったっけ?
これはまた『大型歳の差夫婦』の誕生だな。
俺にとってもこれは凄く良いニュースだよなぁ……
健全な付き合いかぁ……そうだな。あと数年、頑張れば俺達だって……
俺達は山田さんの家の前を通り過ぎようとしたが、薄暗くて分かりにくいが家の前に人が二人いるみたいだ。
「桜ちゃん……?」
小声でカナちゃんがそう言っているので、おそらくもう一人は翔太君だろう。
二人はお互いに向き合っている感じで俺達の事には気付いていない。
そして翔太君らしき人影が桜ちゃんの両肩に手を置きお互いの顔がくっついたように見える。
そう、恐らく、いや、間違いなく二人はキスをしているのだろう。
そんな二人を横目に俺達は何とも言えない感覚になりながら黙って通り過ぎる。
俺にとって今日一日最後の衝撃的な出来事となったのは言うまでもない。
「カナちゃん? 7時までには家に帰らないといけないからそろそろ帰る準備をした方がいいんじゃないかな? あ、それと俺が家まで送るからね」
「え? ここから家まで直ぐだし別に送らなくても私は大丈夫だよ」
「ダメダメ、外はだいぶ暗くなってきているし、夜道に女の子を一人で帰らせる訳にはいかないから。ちゃんと家に送り届けないと俺も心配だしね」
「う、うん……ありがとう。それじゃぁお言葉に甘えてお願いします」
そして俺達は部員やマスター達に挨拶をして店の外に出ようとした矢先、入り口のドアが開き、見覚えのある人達が入って来たので俺とカナちゃんは立ち止まった。
「あれ? お客さん凄く多いわね? もしかして今日は貸し切りなのかしら?」
「そうみたいだね。ん? ああ、外のドアに張り紙がしているよ。何々……ああ、そうだったのか。今日は7時まで貸し切りなんだだねぇ」
「ふーん、そうなんだ。それじゃぁ、どこかで時間を潰してからまた来る?」
「そうだね。出直そうか……」
店に入って来たのは男女のカップル……そのうちの男性は俺がよく知っている人……
そして女性はカナちゃんがよく知っている人……
俺達は同時に大きな声を出す。
「根津さん!?」「桜ちゃんのお母さん!?」
「おーっ!?」「あらぁああ!?」
「根津さん、お久しぶりです!! お元気そうで良かったです!!」
「ほんと、久しぶりだね、鎌田君!! まさか、ここで君に会えるとは思わなかったよ。エキサイトランドのバイトを辞めた後にこのお店のアルバイトも辞めたと聞いていたから……」
「そうですね。一度は辞めましたが大学生になってからマスターにお願いして復活させていただいたんですよ。あ、でも今日は部活の打ち上げでお店を貸し切らせていただいているんでお客なんですけどね」
まぁ、ほとんど店の手伝いをしていたけどな。
「ハハハ、そうだったのかぁ……」
根津さんに久しぶりに会えて嬉しいけど、まさか一緒にいる人が大塚さんだなんて意外だよなぁ……いや、そうでもないかも……
「根津さんと大塚さんはよく一緒に飲みに行かれているんですか?」
俺は根津さんに聞いたつもりだったが、大塚さんが大きな声で返事をする。
「そうなのよぉ。前にあなたとエキサイトランドで出会った日に私も根津さんと久しぶりに再会したでしょう? その時にお互いの連絡先を交換したんだけどね、それから月1くらいで一緒に飲みに行くようになったのよ」
「そうだったんですね。前に会った時もお二人は気が合いそうな感じでしたし……」
「おっ、わかる~? さすがは加奈子ちゃんの『彼氏』ね? 良い観察力ね!!」
「かっ、彼氏では無いですよ!! それに大学生の俺が彼氏っていうのはマズいでしょ?」本当は彼氏になりたい気持ちだけども……
「えっ!? か、彼氏……」
ほら、カナちゃんも顔を真っ赤にしながら驚いてるじゃないか!!
「別に私は愛があって健全な付き合いさえすればマズいとは思わないけどさ。ただいつまでも健全でいられるかどうかは難しいけどね……最近の桜と翔太君を見ていたら特にそう思うわ。まぁこれは山田さん夫婦の前では言えないけどね。っていうか、そんな話はどうでもいいのよ……」
ど、どうでもいいってなんだよ? あんたが言ってきた事じゃないか!!
それに俺にとってはめちゃくちゃ大事な話なんですけど。
しかし大塚さんは前に会った時もそう思ったけど何でもハッキリ言う人だよな?
「大塚さん? そこに立ってないでカウンター席に座ってよ? 貸し切りも間もなく終わる時間だし……それに今、翔太の話をしていなかった?」
「え? していないわよ。気のせいじゃないかしら。い、いずれにしても山田さん、ありがとう。カウンター席に座らせていただくわ。あなた達ご夫婦にも大事なお話があるしね」
大事な話? 何だろう? もしかして桜ちゃんと翔太君の話なのかな?
めちゃくちゃ気になるけど、俺は今からカナちゃんを家まで送らないといけないし……仕方無い、諦めよう……
「よし、それじゃぁカナちゃん帰ろうか? 早く帰らないと7時になってしまうよ」
「う、うん……そうだね……」
カナちゃんも大塚さんが言っていた大事な話が気になるって感じだな? 気持ちは分るけど後でマスター達に聞けばいいことだしな。カナちゃんに言える様な話しだったらいいんだけども……
「それでは皆さん、お先に失礼します。それと根津さん、大塚さんもさようなら」
「そっかぁ、鎌田君達はもう帰るのか……残念だなぁ……」
え? なんだか根津さん、俺達が帰るのが寂しいみたいだな?
それとも俺に何か言いたい事でもあったのかな?
するとまたしても大塚さんが大きな声で俺達を呼び止めてきた。
「ちょっと待って、鎌田君!!」
「え? な、何でしょうか大塚さん?」
「せっかくだからあなた達にも伝えておくわ。あなた達、急いでいるみたいだから単刀直入に言うわね?」
「 「は、はい……」 」
「実は私達、結婚することになったの!!」
「 「えーっ、結婚!?」 」
「 「 「 「 「えーーーっ!!??」 」 」 」 」
何故か俺達だけではなく他のボランティア部の人達も驚きの声をあげている。
「おめでとうございます!!」「素敵です!!」「幸せになってください!!」「熟年結婚万歳!!」
そして酔っているせいか、全然知らないであろう二人にお祝いの言葉を言っている人達もいる。
「うわぁ、あなた達、ありがとねぇ!! 若い子達に祝福されておばさん、とっても嬉しいわぁ!!」
大塚さんはそう言いながらボランティア部の人達と握手をしている。
二人が結婚するって……
お互いにバツイチ同士で気が合いそうだなとは思っていたけど、マジで結婚するなんて……めちゃくちゃ驚いたぞ。
そう思いながら俺はカナちゃんの方をチラッと見てみると俺以上に驚いた表情をしていたが徐々に不安な表情へと変化していった。
そして……
「あ、あのぉ……桜ちゃんはお二人が結婚するというのは……」
「勿論、知っているわよ。それに根津さんとの結婚は桜も大賛成してくれているわよ!!」
「そ、そうですか。それなら良かったです……ふぅ……」
カナちゃんは桜ちゃんが賛成していると聞いてとても安心した表情になっている。まぁ、そうだよな。桜ちゃんが反対しているのに結婚なんてされたら桜ちゃんの親友であるカナちゃんも辛いだろうしな。
「根津さん、大塚さん、本当におめでとうございます!! 根津さん、今日は俺帰りますがまた機会を作って結婚までの経緯を教えてくださいね? 第二の人生、お幸せに!!」
「ハハハ……鎌田君、ありがとね。また会おうねぇ」
こうして俺達はお祝いムード一色になった『焼き鳥やまだ』を後にした。
「カナちゃん、今日は本当にお疲れ様。内容の濃い一日だったけど疲れてない? 大丈夫?」
本当に今日一日だけで色々とあり過ぎなぐらいあったよな?
「うん、少しは疲れていたけど、桜ちゃんのお母さん達の結婚話があまりにも衝撃過ぎて一気に疲れが消えちゃったみたい。フフフ……」
「そうだね。俺も同じだよ。マジで驚いたなぁ……そう言えば……」
「え? どうしたの?」
「いや、何でもないよ……」
そう言えば根津さんって大塚さんよりも一回りくらい年上じゃなかったっけ?
これはまた『大型歳の差夫婦』の誕生だな。
俺にとってもこれは凄く良いニュースだよなぁ……
健全な付き合いかぁ……そうだな。あと数年、頑張れば俺達だって……
俺達は山田さんの家の前を通り過ぎようとしたが、薄暗くて分かりにくいが家の前に人が二人いるみたいだ。
「桜ちゃん……?」
小声でカナちゃんがそう言っているので、おそらくもう一人は翔太君だろう。
二人はお互いに向き合っている感じで俺達の事には気付いていない。
そして翔太君らしき人影が桜ちゃんの両肩に手を置きお互いの顔がくっついたように見える。
そう、恐らく、いや、間違いなく二人はキスをしているのだろう。
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