2 / 93
第1章 片思い編
第2話 運命の出会い/加奈子
しおりを挟む
平成14年8月12日……
私は夏休みに家族で遊園地に遊びに来ていた。
しかし私はその日、迷子になってしまう。
ここの遊園地で一番人気の絶叫系アトラクション近くのお手洗いにお母さんと一緒に行っていたけど、私が先に終え、外に出てお母さんを待っていた。
するとお母さんらしき人がお手洗いから出て来たけど、私に気付かずにアトラクションの方へ歩いていったので私は慌ててお母さんを追いかけた。
そして、ようやくお母さんに追いついたので「お母さん!!」と声をかけたらその人は全然、知らないおばさんだった。私は急いでお手洗いに戻ろうとしたけど、その時に若いカップルとぶつかってしまい、転んでしまった。
カップルは私を助けるどころか私が転んだのを気付かないフリをして向こうの方へと足早に去って行く。
私は転んだ時に擦りむいた膝の痛みに耐えながらゆっくりと起き上がり、そして辺りを見渡してお母さんを探した。
しかし、どこを見渡してもお母さんの姿は見当たらない。そんな中、アトラクションに向かう大勢の客が私の前に押し寄せてきて、その波に私は押される様な形で数メートル程、進んでしまい、いつの間にか私も絶叫系アトラクションの前まで来てしまっていた。
私は完全に両親の姿を見失ってしまった。
お母さん、お父さん、どこにいるの……?
早く私を見つけてちょうだい……
アトラクションの前で茫然と立ち尽くす私は徐々に自分が置かれている状況に気付き、どんどん悲しくなっていく。
私の頭の上を大勢の大人の人がジロジロと見ながら歩いている姿が怖くなってきた。
私は前からずっと欲しくてお父さんにおねだりして買ってもらった遊園地のマスコットキャラのぬいぐるみ、『エキサイト君』を大事に落とさないように小さな手で強く抱いていたけど、疲れと悲しみで涙が溢れてきた。
「お母さん、どこに行ったの? お父さん、助けて……グスン……」
今までこんなに不安で、こんなにも怖い思いをしたことが無かったので私にとってはとてつもない恐怖の時間だった。
まぁ、幼稚園児の私だから無理も無いのだけど……
おそらく数分間は泣いていたと思う。
しかし大人達は相変わらず素通りして誰も助けてくれない。誰も声すらかけてくれない。その時の私にはこんな言葉は知らなかったけど今思えば『絶望』という言葉がピッタリな状況だった
そんな絶望の中、突然、希望の光が私を照らしたのだ。
「お嬢ちゃん、どうしたの? 迷子になったのかな?」
全然、知らないお兄ちゃんが、とても優しい言葉と笑顔で私に声をかけてくれたのだ。その時のお兄ちゃんは光り輝いていた。
私は泣きながら小さく頷くと、お兄ちゃんは少し考えた後、一緒に来ていた友達に私を案内所まで連れて行くからと友達のブーイングを気にすることなく笑顔で大きな手を私に差し伸べてくれた。
その時、友達の一人であるとても綺麗な女の人がお兄ちゃんに「一緒に行こうか?」と言ってくれていたけど、何故だか分からないけど私はお兄ちゃんと二人で行きたいという気持ちになってしまった。
その気持ちがお兄ちゃんに伝わったのかは分からないけど、その人に「俺一人で行くから」と断ってくれた時はホッとしたのを今でも覚えている。
道中、私はお兄ちゃんの顔ばかり見てしまっていた。するとお兄ちゃんも私の視線に気づき「どうしたの? お兄ちゃんのお顔に何かついているかい?」って聞いてきたので私は慌てて視線を逸らし「ううん、何もついていないよ……」とだけ答えるのだった。
無事に案内所にたどり着き、室内へ入った途端にお母さんとお父さんの私を呼ぶ声がした。その瞬間、私は安堵し、そして治まっていた涙が再び流れてきたのだった。
お兄ちゃんは自分の役目は終わったと思ったのか友達のところへ戻ろうと背中を向けた時、私は咄嗟にお兄ちゃんの太ももに抱き着いてしまった。
まだ行かないで、お兄ちゃん!!
「ど、どうしたんだい、カナちゃん?」
心の中でそう叫びながら抱き着いている私にお兄ちゃんが優しく聞いてくれたので再び泣きそうなのを我慢しながらこう言った。
「お兄ちゃんのお名前を教えて?」
「え? お兄ちゃんの名前?」
お兄ちゃんはどうも名乗らずに帰ろうとしていたみたいで少し困惑した表情をしている。でも直ぐに笑顔で「ハハハ、お兄ちゃんのお名前はねぇ、鎌田亮二っていうんだ」
「かまた りょうじ?」
「そう、鎌田亮二だよ。でも、もう会う事は無いと思うからお兄ちゃんの名前は忘れてくれてもいいからねぇ?」と言ってきたので私は思わず「やだ……」と言ってしまった。
「へ?」
「絶対に忘れたくない!!」
私は目に大粒の涙を溜めながらお兄ちゃんの顔をジッと見つめていた。
そんな私と困惑しているお兄ちゃんにお母さんがフォローをしてくれた。
「ゴメンなさいね? カナがこんなにも私達以外になつくのは珍しいのよ」
「そうなんですね。それじゃぁ……」
お兄ちゃんはそう言うと背負っているリュックにつけていた小さなペンギンのぬいぐるみを外すと、しゃがみ込んだ。そして私の頭を優しく撫でながら笑顔でそのペンギンのぬいぐるみを差し出してきた。
「はい、どうぞ」
私ははキョトンとしていたけど、お兄ちゃんが「あげる」と言ってくれたので私は涙目のまま受け取った。
そしてお兄ちゃんは私に付け加えてこう言った。
「このぬいぐるみの本当の名前はペンちゃんなんだけどさ、お兄ちゃんの名前を忘れたくないのなら、ペンちゃんのことをこれから『りょう君』って呼んでくれないかな? そうすれば忘れないだろ?」
「りょう君……うん、分かった。これからこの子のことをりょう君って呼ぶね?」
「ハハハ、大事にしてね? それじゃぁお兄ちゃんはそろそろ……」
お兄ちゃんが再び案内所から出ようとするとまたしても私は咄嗟にお兄ちゃんを引き留めた。そして……
「これ、お兄ちゃんにあげる」
私もおねだりして買ってもらった『エキサイト君』をお兄ちゃんに差し出した。
「え? でも、これはカナちゃんの大切なぬいぐるみだろ?」
「だからあげるの。それでお兄ちゃんはこのぬいぐるみの名前をカナちゃんと呼んでちょうだい?」
なかなか受け取ってくれないお兄ちゃんの横でニコニコしながら見ていたお母さんが「もらってあげてくれないかな?」と言ってくれたので、ようやくお兄ちゃんはぬいぐるみを受け取ってくれた。
「カナちゃん、ありがとね? お兄ちゃん、このぬいぐるみ大事にするからね?」
「うん、私もこの『りょう君』大切にするね?」
お兄ちゃんは案内所の外に出て私達に軽く会釈をすると立ち去って行った。
私はそんなお兄ちゃん、いえ、りょう君に手を振りながら大きな声で「お兄ちゃん、バイバーイ」と何度も何度もお兄ちゃんの姿が見えなくなるまで叫んでいた。
「カナちゃん、あのお兄ちゃんの事をとても気に入ったんだねぇ?」
「うん、大好き!!」
私がそう返事をするとお父さんが慌てた声で「オイオイ、カナはお父さんよりもあのお兄ちゃんの方が好きだっていうのかい?」って聞いてきたので「お父さんと同じくらい大好き」と答えたけどお父さんは何となく複雑な顔をしていた。
「でもあの子の雰囲気、とても似ているのよねぇ……カナちゃんが好きになるのも良く分かるわぁ……」
「え? 君まで何だよぉ? って、ああ、そっか、そう言われるとそうだねぇ……どうりであの子を見てどことなく懐かしさを感じたわけだ。ほんと『彼』に似ているよなぁ……」
私にはその時の両親の会話の意味はよく分からなかったけど、お兄ちゃんが両親の知り合いに似ているんだという事だけは理解できた。
そんな出会いから約5年の月日が経ち、私『三田加奈子』は10歳、ちょっとおませな小学5年生になっていた。
――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
私は夏休みに家族で遊園地に遊びに来ていた。
しかし私はその日、迷子になってしまう。
ここの遊園地で一番人気の絶叫系アトラクション近くのお手洗いにお母さんと一緒に行っていたけど、私が先に終え、外に出てお母さんを待っていた。
するとお母さんらしき人がお手洗いから出て来たけど、私に気付かずにアトラクションの方へ歩いていったので私は慌ててお母さんを追いかけた。
そして、ようやくお母さんに追いついたので「お母さん!!」と声をかけたらその人は全然、知らないおばさんだった。私は急いでお手洗いに戻ろうとしたけど、その時に若いカップルとぶつかってしまい、転んでしまった。
カップルは私を助けるどころか私が転んだのを気付かないフリをして向こうの方へと足早に去って行く。
私は転んだ時に擦りむいた膝の痛みに耐えながらゆっくりと起き上がり、そして辺りを見渡してお母さんを探した。
しかし、どこを見渡してもお母さんの姿は見当たらない。そんな中、アトラクションに向かう大勢の客が私の前に押し寄せてきて、その波に私は押される様な形で数メートル程、進んでしまい、いつの間にか私も絶叫系アトラクションの前まで来てしまっていた。
私は完全に両親の姿を見失ってしまった。
お母さん、お父さん、どこにいるの……?
早く私を見つけてちょうだい……
アトラクションの前で茫然と立ち尽くす私は徐々に自分が置かれている状況に気付き、どんどん悲しくなっていく。
私の頭の上を大勢の大人の人がジロジロと見ながら歩いている姿が怖くなってきた。
私は前からずっと欲しくてお父さんにおねだりして買ってもらった遊園地のマスコットキャラのぬいぐるみ、『エキサイト君』を大事に落とさないように小さな手で強く抱いていたけど、疲れと悲しみで涙が溢れてきた。
「お母さん、どこに行ったの? お父さん、助けて……グスン……」
今までこんなに不安で、こんなにも怖い思いをしたことが無かったので私にとってはとてつもない恐怖の時間だった。
まぁ、幼稚園児の私だから無理も無いのだけど……
おそらく数分間は泣いていたと思う。
しかし大人達は相変わらず素通りして誰も助けてくれない。誰も声すらかけてくれない。その時の私にはこんな言葉は知らなかったけど今思えば『絶望』という言葉がピッタリな状況だった
そんな絶望の中、突然、希望の光が私を照らしたのだ。
「お嬢ちゃん、どうしたの? 迷子になったのかな?」
全然、知らないお兄ちゃんが、とても優しい言葉と笑顔で私に声をかけてくれたのだ。その時のお兄ちゃんは光り輝いていた。
私は泣きながら小さく頷くと、お兄ちゃんは少し考えた後、一緒に来ていた友達に私を案内所まで連れて行くからと友達のブーイングを気にすることなく笑顔で大きな手を私に差し伸べてくれた。
その時、友達の一人であるとても綺麗な女の人がお兄ちゃんに「一緒に行こうか?」と言ってくれていたけど、何故だか分からないけど私はお兄ちゃんと二人で行きたいという気持ちになってしまった。
その気持ちがお兄ちゃんに伝わったのかは分からないけど、その人に「俺一人で行くから」と断ってくれた時はホッとしたのを今でも覚えている。
道中、私はお兄ちゃんの顔ばかり見てしまっていた。するとお兄ちゃんも私の視線に気づき「どうしたの? お兄ちゃんのお顔に何かついているかい?」って聞いてきたので私は慌てて視線を逸らし「ううん、何もついていないよ……」とだけ答えるのだった。
無事に案内所にたどり着き、室内へ入った途端にお母さんとお父さんの私を呼ぶ声がした。その瞬間、私は安堵し、そして治まっていた涙が再び流れてきたのだった。
お兄ちゃんは自分の役目は終わったと思ったのか友達のところへ戻ろうと背中を向けた時、私は咄嗟にお兄ちゃんの太ももに抱き着いてしまった。
まだ行かないで、お兄ちゃん!!
「ど、どうしたんだい、カナちゃん?」
心の中でそう叫びながら抱き着いている私にお兄ちゃんが優しく聞いてくれたので再び泣きそうなのを我慢しながらこう言った。
「お兄ちゃんのお名前を教えて?」
「え? お兄ちゃんの名前?」
お兄ちゃんはどうも名乗らずに帰ろうとしていたみたいで少し困惑した表情をしている。でも直ぐに笑顔で「ハハハ、お兄ちゃんのお名前はねぇ、鎌田亮二っていうんだ」
「かまた りょうじ?」
「そう、鎌田亮二だよ。でも、もう会う事は無いと思うからお兄ちゃんの名前は忘れてくれてもいいからねぇ?」と言ってきたので私は思わず「やだ……」と言ってしまった。
「へ?」
「絶対に忘れたくない!!」
私は目に大粒の涙を溜めながらお兄ちゃんの顔をジッと見つめていた。
そんな私と困惑しているお兄ちゃんにお母さんがフォローをしてくれた。
「ゴメンなさいね? カナがこんなにも私達以外になつくのは珍しいのよ」
「そうなんですね。それじゃぁ……」
お兄ちゃんはそう言うと背負っているリュックにつけていた小さなペンギンのぬいぐるみを外すと、しゃがみ込んだ。そして私の頭を優しく撫でながら笑顔でそのペンギンのぬいぐるみを差し出してきた。
「はい、どうぞ」
私ははキョトンとしていたけど、お兄ちゃんが「あげる」と言ってくれたので私は涙目のまま受け取った。
そしてお兄ちゃんは私に付け加えてこう言った。
「このぬいぐるみの本当の名前はペンちゃんなんだけどさ、お兄ちゃんの名前を忘れたくないのなら、ペンちゃんのことをこれから『りょう君』って呼んでくれないかな? そうすれば忘れないだろ?」
「りょう君……うん、分かった。これからこの子のことをりょう君って呼ぶね?」
「ハハハ、大事にしてね? それじゃぁお兄ちゃんはそろそろ……」
お兄ちゃんが再び案内所から出ようとするとまたしても私は咄嗟にお兄ちゃんを引き留めた。そして……
「これ、お兄ちゃんにあげる」
私もおねだりして買ってもらった『エキサイト君』をお兄ちゃんに差し出した。
「え? でも、これはカナちゃんの大切なぬいぐるみだろ?」
「だからあげるの。それでお兄ちゃんはこのぬいぐるみの名前をカナちゃんと呼んでちょうだい?」
なかなか受け取ってくれないお兄ちゃんの横でニコニコしながら見ていたお母さんが「もらってあげてくれないかな?」と言ってくれたので、ようやくお兄ちゃんはぬいぐるみを受け取ってくれた。
「カナちゃん、ありがとね? お兄ちゃん、このぬいぐるみ大事にするからね?」
「うん、私もこの『りょう君』大切にするね?」
お兄ちゃんは案内所の外に出て私達に軽く会釈をすると立ち去って行った。
私はそんなお兄ちゃん、いえ、りょう君に手を振りながら大きな声で「お兄ちゃん、バイバーイ」と何度も何度もお兄ちゃんの姿が見えなくなるまで叫んでいた。
「カナちゃん、あのお兄ちゃんの事をとても気に入ったんだねぇ?」
「うん、大好き!!」
私がそう返事をするとお父さんが慌てた声で「オイオイ、カナはお父さんよりもあのお兄ちゃんの方が好きだっていうのかい?」って聞いてきたので「お父さんと同じくらい大好き」と答えたけどお父さんは何となく複雑な顔をしていた。
「でもあの子の雰囲気、とても似ているのよねぇ……カナちゃんが好きになるのも良く分かるわぁ……」
「え? 君まで何だよぉ? って、ああ、そっか、そう言われるとそうだねぇ……どうりであの子を見てどことなく懐かしさを感じたわけだ。ほんと『彼』に似ているよなぁ……」
私にはその時の両親の会話の意味はよく分からなかったけど、お兄ちゃんが両親の知り合いに似ているんだという事だけは理解できた。
そんな出会いから約5年の月日が経ち、私『三田加奈子』は10歳、ちょっとおませな小学5年生になっていた。
――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
粗暴で優しい幼馴染彼氏はおっとり系彼女を好きすぎる
春音優月
恋愛
おっとりふわふわ大学生の一色のどかは、中学生の時から付き合っている幼馴染彼氏の黒瀬逸希と同棲中。態度や口は荒っぽい逸希だけど、のどかへの愛は大きすぎるほど。
幸せいっぱいなはずなのに、逸希から一度も「好き」と言われてないことに気がついてしまって……?
幼馴染大学生の糖度高めなショートストーリー。
2024.03.06
イラスト:雪緒さま
人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?
石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。
ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。
ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。
「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。
扉絵は汐の音さまに描いていただきました。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
10 sweet wedding
国樹田 樹
恋愛
『十年後もお互い独身だったら、結婚しよう』 そんな、どこかのドラマで見た様な約束をした私達。 けれど十年後の今日、私は彼の妻になった。 ……そんな二人の、式後のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる