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第4章 勉強会編

第50話 将来について

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 【前回からの引き続き・ネガティ部部室内】

「ところで皆さんは将来何になりたいとか、夢はあるんですか?」

「夢ですかぁ……うーん、そうですねぇ……」

 みんなネガティブな性格だから人前に出るような仕事はキツイかもしれないけど、逆に言えばネガティブな人達の気持ちもよく分かるだろうし……

「皆さんとても優しくて頭も良いんですし、ここは教師を目指すなんてどうでしょうか?」

「ひ、一矢君!? バ、バカな事を言わないでよ!! 私とすれば教師という職業は『悩み事の巣窟そうくつ』みたいな職業よ!! 生徒からの相談事、教師間での確執、保護者達からのクレーム……」ああっ、想像しただけで悩み事が増えそうだわ!!」

 予想通りの反応ですね、菜弥美先輩……

「でも菜弥美先輩が教師になったら美人教師として人気も出るだろうし、もしかしたら生徒から告白されるかもしれませんよ。ハハハ……」

「なっ、なっ、何て事を言うのよ一矢君は!? わっ、わっ、私が美人教師!? 生徒に告白される!? そ、そ、そんな事あり得ないわよ!! それに私は全然美人なんかじゃ無いんだからね!! 一矢君、私をからかうのは止めてちょうだい!? 私……ちょっとお手洗いに行って来るわっ!!」

 ガラッ、ガラガラッ、ピシャンッ!!

 あらぁ……

 菜弥美先輩、顔をめちゃくちゃ赤くしながら逃げるようにトイレに行ってしまったぞ。俺、言い過ぎたのかなぁ?

 でも、本当の事を言ったんだけなんだけどなぁ……

「そ、それじゃあテルマ先輩はどうですか? 教師とかに興味ありますか?」

「そうねぇ……私は菜弥美と違って少しは興味あるけど……でも教師は私の性格では絶対に無理ね。だって教壇に立つと目の前には生徒が何十人も居るのよ。そして一斉に見なくてもいいのい絶対に私の方を見るのよ? 一矢君、私が毎日生徒達の視線に耐えられると思う? 1時限目も持たない自信があるわ……」

 そんな自信はいらないですよ。

「そっ、そうですね。今のテルマ先輩でしたらちょっと厳しいかもしれませんねぇ。それにテルマ先輩だったら恐らく生徒に向かって『何ジロジロ見てるのよ!?』って理不尽な事を言いかねないし……」

「わ、私がそんな理不尽な事を言う訳無いじゃない!! 一矢君、私をバカにしているわね?」

 いや、俺はテルマ先輩と初めて出会った時にそう言われましたよ。

「バ、バカになんかしてませんよ。そ、それじゃぁせっかく教師に興味があるんでしたら、それを克服するためのトレーニングとしてしばらくの間は俺がテルマ先輩の事をジーッと見つめますよ」

「えっ!? ひ、一矢君が私の事をジーッと見つめるですって!?(ポッ)……わっ、私もちょっとお手洗いに行って来るわね!?」

 ガラッ、ガラガラッ、ピシャンッ!!

 あっれ~?

 テルマ先輩まで顔を赤くしてトイレに行ってしまったぞ。
 またしても俺は余計な事言ってしまったのか?
 後でちゃんと謝らないと……

「一矢君、僕も教師は無理だよ!! ずっと横を向いて授業をする訳にはいかないからね!!」

「そんな事は分かってるよ!! それよりも早くその人見知りと顔の角度を克服しろ!!」

 しまった!! またしてもタメグチで突っ込んでしまった~!!

「ひ、一矢君……最近、君の突っ込みが僕に対してだけタメグチになる時があるけどさ、最初は戸惑ったけど何だか最近は慣れてきたというか、とても気持ち良くなってきたというか、僕だけ特別感を感じるんだよぉ。これからも僕に対しての突っ込みは是非ともタメグチでお願いするよ!!」

「お断りします。俺は絶対、子龍先輩が気持ち良くなる事はしたくありませんので!!」

 特別扱いなんてした覚えがないぜ!!
 いや、特別に人一倍子龍先輩に対しては冷たく接しているけどな。

「そっ、そんなぁ~っ!! それはあんまりだよ~っ!! 僕もお手洗いに行かざる負えなくなったよ~!!」

 ガラッ、ガラガラッ、ピシャンッ!!

 イヤ、別に無理してトイレに行かなくても……

 まぁ別にどうでも良いんだけどな。
 しばらく戻って来なくてもいいくらいだな。

「ひっ、一矢!? 私は絶対にお手洗いには行かないからね!!」

「何の宣言をしているんだ、舞奈? 別に無理に行かなくてもいいよ」
 
 ん? 舞奈にも何か言った方が良かったのかな?
 実は先輩達と同じようにトイレに行きたかったとか……
 まぁ、どうでもいっか。

 それよりも最後は美代部長に……

「それで、美代部長はどうなんですか? っていうか美代部長は3年生ですから『進路希望』は提出されてるんですよね?」

「はい、提出しています……」

「ですよね。では美代部長は進学されるんですか? それとも就職ですか? 学年1位の美代部長ですから勿論進学されるんですよね?」

「はい、一応進学で考えているのですが、どの学校に行くかで悩んでいます」

「へぇ、そうなんですね? もし宜しければどの学校で悩んでいるのか教えていただけませんか?」

 俺も進学するつもりだからもう少し勉強頑張れば美代部長と同じところへ行けるかもしれないしな。

「いいですよ。私が悩んでいる学校は全部で3校ありまして、いずれも来年春開校の新設校なんです。それもこの学園の隣に建設中の3つの学校なんです」

「そうなんですかっ! 隣の土地にいきなり3校も開校するなんて凄いですね? で、その3校ってどんな学校なんですか?」

「まず1つ目が『名染伊太なぞめいた学園大学』、2つ目が『名染伊太なぞめいた学園女子短期大学』、そしてもう1校が『名染伊太なぞめいた学園介護福祉専門学校』の3校です」

 へっ? 何それ? もしかしてその3校って……

「どの学名も名染伊太がついていますけどもしかして名染伊理事長が経営する学校ってことですか?」

「はい、そうなんです。でも今まで無かったのが不思議なくらいなんです。だってうちの学園は私学ですし、普通は中等部があったり、付属大学があったりしますから……昔、色々とあってなかなか実現する事が出来なかったと聞いています」

「そうなんですね? そう言えばうちの両親もこの学園卒業生ですけど大学は親父の地元にある大阪の大学に進学したそうですしね」

 たしか、がめ……がめなんちゃらっていう名前の大学だったけか?

「私が1年生の時に全校集会の場で名染伊学園長がおっしゃっていました。『遂に学園創設者で私の祖父、名染伊太助なぞめいたすけの夢が叶う時が来た』と……なので大学などを創るのは名染伊家にとって悲願だったんだと思います」

 夢が叶う時が来た……か……
 なんかカッコイイよな。

「ちなみに来年からこの学園の名前も『名染伊太学園高等学校なぞめいたがくえんこうとうがっこう』から『名染伊太大学付属名染伊太学園高等学校なぞめいただいがくふぞくなぞめいたがくえんこうとうがっこう』に変更されるそうですよ」

 が、学園名、めちゃくちゃ長過ぎないか?
 学園名が長過ぎるという理由で新入生があまり来なかったらどうするんだ!?
 いや、それはないか。

 そんな事より今日は先輩達に『なぞめいた合宿』について色々と聞こうと思っていたのに2年生達全員トイレに行ってしまって誰一人いないじゃないか。

 とりあえずまずは美代部長に聞いてみるか?

「ひ、一矢……うう……」

「ん? どうした舞奈?」

「わ、私……」

「ど、どうしたんだ!?」

 なにモジモジしているんだ?

「お、お、お……」

「お?」

「お手洗いに行きたいのよ!!」

「早く行けよ!!」

 ガラッ、ガラガラッ、ピシャンッ!!

 ってか、最初から舞奈はトイレに行きたかったんじゃないのか!?



――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
皆さんのお陰で区切りの50話到着です。

そしてこの回で『勉強会編』は終了となり、次回から『なぞめいた合宿編』をお送りいたします。どうぞお楽しみに(^_-)-☆
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