上 下
45 / 74
第4章 勉強会編

第45話 集中できるはずがない

しおりを挟む
 く、くそーっ!!
 子龍先輩の言っていた『なぞめいた合宿』がめっちゃ気になるぞ!!

 でも勉強しないといけないし……やっと皆の座る場所も決まったし……
 そうだ。合宿の事は夕飯の時に聞けば良いじゃないか……うん、そうしよう。

 ちなみに皆の座席位置だが色々と話し合った結果、あみだくじで決める事になり多少のブーイングはあったが何とか決まった。

 俺の部屋中央に長方形のテーブルがあるのだが、窓側の長い方に俺と美代部長が並んで座り、俺の迎え側に菜弥美先輩、その隣に舞奈、そして俺に近い方の短い側にテルマ先輩、美代部長に近い方に子龍先輩という座席位置で落ち着いた。

 ほんと座る場所を決めるだけで数十分もかかるなんて面倒くさい人達だよ。

 しかし美代部長が隣に座っているというのは嬉しいけど緊張もする。テーブルもそんなに大きくないから俺の右腕と美代部長の左上がくっつきそうなくらいに近いし……ただ残念なのことに美代部長は正座をしているが、スカートが長い為に膝まで隠れていてほとんど生足が見えない。ああ、非常に残念だよなぁ……って、俺はなんてエロい事を考えている!?

 テ、テスト勉強に集中しなければ!!


 ジーッ……

 さっきから左斜め前の方より熱い視線を感じるのだけど……

 テ、テルマ先輩、なんでそんな俺の方に身体を寄せてジッと見つめているんですか!? 顔が近すぎますよっていうかほぼ目の前に可愛い顔があるし!!

 めちゃくちゃ気になって勉強が進まないじゃないですか!!

「あっ?」

 焦り過ぎて思わず消しゴムを床に落としてしまった。はぁ……とりあえず消しゴムを拾わないと……

 フガーッ!!

 ヤバい、ヤバい、ヤバいぞーっ!!

 迎えに座っている菜弥美先輩と舞奈のスカートはかなり短めだから生足どころか……パン……

「一矢どうしたの? 床に何か落としたの?」

「ピ、ピンク!?」

「は? 何がピンクなの?」

「い、いや、何でもない……け、消しゴムを落としただけだから……」

 マズイな。早く拾わないと……

「ん? 一矢君、消しゴム見つからないのかい? 私も探してあげようか?」

「し、白!?」

「え? な、何が白なの? 私に早くしろって言ったの?」

「ま、まさか、菜弥美先輩にそんな失礼な事を言うはず無いじゃないですか!! じ、自分に言ったんですよ!! 誤解させてしまってすみません……い、今、消しゴム拾いましたからご心配なく……」

 さようなら……ピンクと純白の……

(ボソッ)「私は黒よ……」

「へげっ!?」

 テ、テルマ先輩……なに小声で黒って……はっ!?

「フフフ……」

 テルマ先輩には俺が今、何を見ていたのか思いっきりばバレているぞ……
 2人にチクりでもすれば大惨事間違い無しだ!!

 そ、それに黒って……小柄な小動物の様なテルマ先輩が大人の黒だと!?
 そんな超ギャップの黒を見てみたい……って言ってる場合じゃないよな!?

 こ、これは何とかして誤魔化さないと非常にマズいことになりそうだ!!

「と、と、ところで皆さんは得意な教科とかはあるんですか?」

「わ、私は数学が得意です……」

 ほっ……
 何とか誤魔化せたかもしれないぞ。

 しかし美代部長は数学が得意ってのは羨ましいな。

「私は国語と保険体育かな!!」

 保健体育って……

「菜弥美先輩、今日は残念ながら保健体育は関係ないかと……」

「私は社会が得意だよ!! 特に日本史が得意かな。あと家庭科も得意だわ!!」

 家庭科も関係ないだろ!?

「だから舞奈、今日は家庭科はいいからさ!! それなら後で夕飯の支度をしている母さんの手伝いでもしてやってくれよ?」

「え、いいの? それって……」(ポッ)

 舞奈の奴、何顔を赤くしているんだ?


「私は英語と……書道が得意かな……」

 テルマ先輩も書道は関係ない……
 でも、ここはテルマ先輩のご機嫌を取っておかないと……

「え―――っ!? テルマ先輩は勿論英語は得意だとは思ってましたが、まさか書道も得意だとは驚きです!! ま、また今度、テルマ先輩が書いた作品を見せてくださよぉぉ!?」

 どうだ、俺の会心の演技は?

「フフフ……別に良いけどさ……書道って奥が深いから一矢君に私の書いた作品が理解できるかしら……」

「が、頑張って理解しますよ、テルマ先輩!!」

 ほぉ、テルマ先輩の機嫌は取れたようだな。

「一矢君、なんでテルマの書道だけは食いついたのかな? 私の保険体育と舞奈ちゃんの家庭科は軽く流したのにさぁ。はぁ……私の悩み事が増えそうだわ……」

「すっ、すみません菜弥美先輩!! 別に悪気があって軽く流した訳じゃ無くて……まさかテルマ先輩がこの容姿で書道をされてると思ったら少し驚いてしまって、思わず食いついてしまったんですよ!!」

「でも菜弥美先輩? 私は、一矢から夕飯の手伝いをしろって言われたので、それだけで大満足ですよ。一矢のお母さんのお手伝いが出来るなんて、何だかアレみたいだし……」(ポッ)

 アレって何だよ? それにまた顔が赤くなっているぞ。

 っていうか舞奈のクセにそんな前向きな事を言うんじゃないよ!!
 ほら見てみろ。菜弥美先輩の顔がドンドン赤くなってきたじゃないか!!

「ひっ、一矢君!! 実は私さ、保険体育と同じくらいに家庭科も得意なの!! だ、だから私も夕飯のお手伝いをしても構わないかな!?」

「え? は、はい……べ、別に構わないですけど菜弥美先輩にまで夕飯の手伝いをさせるなんてなんか申し訳ないんですが……」

「ぜ、全然、申し訳なくなんか無いわ!! 私も一矢君のお母さんと一緒に夕飯を作りたいわ!!」

「それなら良いんですけど……」

 ん? なんか変な展開になってきたような気がするぞ。

「ひ、一矢君ちょっと良いでしょうか?」

 え? 今度は美代部長ですか?

「は、はい何でしょう?」

「先程、私は数学が得意だと言いましたが、実は2番目に得意なのが『肉じゃが』なんです……」 

 美代部長!数学の次に得意なのが『肉じゃが』って何!?

 何で教科じゃなくて『料理名』を言うかなぁ!?

 それも世の中の男性の胃袋をわし掴みに出来ると言われている男が好きな料理の王様『肉じゃが』をチョイスするなんて……

 美代部長って大人しくてネガティブな性格で恋愛なんて縁が無いように見せかけているだけで本当は男心を知り尽くしている『モテ女子』なのか!?

 いや、そうじゃ無い事を願いたい!!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について

ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに…… しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。 NTRは始まりでしか、なかったのだ……

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?

さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。 私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。 見た目は、まあ正直、好みなんだけど…… 「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」 そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。 「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」 はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。 こんなんじゃ絶対にフラれる! 仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの! 実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。 

処理中です...