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1.始まりの地
ろく、名付け親
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拠点に戻るとちらほらと光る綿毛がハンカチの側でふよふよ行ったり来たり。
「あなた達、お仲間が心配なの?この子たちは大丈夫なの?」
返事はなくても行動がなんだか心配してる様子なので、ついつい話しかけてしまう。
もちろん返事はないので、光る綿毛を眺めるだけ。
「不思議な場所ね。ここで物語の主人公だったらこの綿毛ちゃんたちと言語は通じて、そして魔法も使えるようになっちゃって、あー、あとスローライフとかもあるわよね。何にせよ私には無縁の世界だけど、スローライフも文明あってこそやりたいものよ。あーあ、これからどうなっちゃうのかしら。ほーんとあの神もどき、気が利かないんだから。転生じゃなくて転移だし、そもそも勝手に人を転移させるなんてありえないわ。神隠しにしたって確率高くないわよ。交通事故のほうがよっぽど気をつけなきゃならないことだわ」
ぶつぶつと文句を言っているとハンカチの上にいた綿毛ちゃんたちが少し動いた。
「あ、気がついたかしら。おはよう。君たち大丈夫かな?お腹減ってる?これ食べてみる?」
職場で食べてるドライフルーツをハンカチの上に置いてみると様子を伺っていた綿毛ちゃんたちまでおりてきた。
「餌付けみたい。ふふ、面白いわ。でも食べるのかしら。様子見かな、かわいい」
綿毛たちの様子をみていると触ってはいるものの食べてるという感じではなさそうね。あれ、ほんの少しだけれども減っていっているような。
「えっ、君たちどこから食べてるの。触れてるだけで、減っているということは溶かしてるのかな。やだ、消化液がどこからかでてるのかしら。私も溶かさせる可能性があるってことよね。結構凶悪ね!?私を食べても美味しくないわよ、というよりハンカチは溶かさないでね、食べ物じゃないわよ。その実みたいなものだけよ、食べていいものは」
通じないとは思いつつも一応牽制をしておく。そして、距離を少しとっておく。
「食べたらまた戻っていいからね、私は溶かさないでね」
時間をかけつつも全部綺麗になくなった。
途中で食べなくなった綿毛ちゃんは私のそばまでやってきて、ふわふわ挨拶をしてからどこかに飛んでいったりしている。
「案外通じているのかしら。挨拶してくれるなんて律儀ね」
溶かされる危険があるものの沢山の光る綿毛に囲まれたら助かることはなさそうなので考えないことにした。
「考えても仕方ないことは考えなーい、だって女の子だもん♪ふふ、女の子って歳でもないけどね」
そろそろ全部なくなりそうなのでまた近くまでよってみる。
「綺麗に食べるものね、君たち。お口に合うといいのだけれども。ハンカチ、溶かさずにいてくれてありがとうね」
迂闊に触らないようにしつつも、ふわふわ揺れる光をみて和むこと数十分。
ようやく全部食べ終わったようだ。
「お粗末様でした。みんなまたね」
拾ってきた2つ、いや、2匹の綿毛ちゃんたちを残してみんな去っていた。
「君たちは残っているのね、どうしたのかしら」
ふわふわと私の周りをうろうろとしている。何かを話しかけてるようだけど、全くわからない。
「んー、こういうときのセオリーは、なんだっけ。あ、契約?契約をするのよね!名前をつけてあげて、あとは血やその人の血肉が必要だったりするのかしら。そうすると物語がはじまるのよね、相棒ができるの!よくそういうのを読んだわあ」
一人で考えに耽っていると目の前に綿毛ちゃんたちがきて視界の邪魔をしてくる。
「なあに、綿毛ちゃんたち。本当に契約みたいなことしたいってこと?そんな方法があるの?お話ができたりするのかな」
光が強くなったり弱くなったりして綿毛ちゃんがチカチカしていて何かを主張している。
「ま、いいわ。とりあえずやってみましょう。血と名前でいいのかな、これで何もなかったらただの痛い人よね。もう厨二病は卒業してるのよ、これでも」
ブツブツ言いながら鞄からソーイングセットの中にある針をだしておく。
「綿毛ちゃんたち、性別とかあるのかな。安直なんだけど、ケサランとパサランはどうかしら。私には見分けがつかないけれど、こっちにいる子がケサランでこっちにいる子がパサランね!忘れないようにメモしておこ。さ、血をどうぞ」
針で自分の人差し指を指して、綿毛ちゃんに差し出してみる。
「いったいわね。針で指をさすとこんなにも痛かったんだっけ。絆創膏あったかしら」
血が出ている指を差し出してもなかなか綿毛ちゃんたちは近寄ってこない。
「あれ、もしかしてそういうことではない?恥ずかしすぎない、私。えー、せっかく痛い思いしてドキドキしてたのに違ったのね!恥ずかしいわ!!」
思わず早口になってしまう。なんて、恥ずかしいの。血が他につかないように急いでティッシュに吸い取らせ、、、え、止まらない。深く指しすぎたようね、通りで痛いはずだわ。
「えーっと、絆創膏は…って何よ」
絆創膏を探そうとしている目の前に綿毛ちゃんたちがチカチカしながら邪魔してくる。
「もー、一体何なのよ。違ったのでしょ。邪魔しないで頂戴、汚れちゃうわ」
振り払おうとしても目の前に寄ってきて何かを訴えているようだ。
「んー、もう、なんなの。ケサランとパサラン!名前つけたけど、姿が一緒に見えてどっちだか分からなくなっちゃったわよ。あ、自己紹介がまだだったわね、私はるみよ。よろしくね。まあ、契約できなかったみたいだけどね?ふふ」
恥ずかしいので契約できなかったのを誤魔化すように笑いながら喋っているといきなり血が出ている指先に2人がおりてきた。
「ちょっと血で汚れるわよ、いきなりどうしたのよ。もう」
構わずに鞄から絆創膏を探して、出しておく。
「先に出しておけばよかったわね、失敗したわ」
絆創膏を取り出して、指先を見てみると綿毛が人の形になっていた。どうしてこうなった。
「あなた達、お仲間が心配なの?この子たちは大丈夫なの?」
返事はなくても行動がなんだか心配してる様子なので、ついつい話しかけてしまう。
もちろん返事はないので、光る綿毛を眺めるだけ。
「不思議な場所ね。ここで物語の主人公だったらこの綿毛ちゃんたちと言語は通じて、そして魔法も使えるようになっちゃって、あー、あとスローライフとかもあるわよね。何にせよ私には無縁の世界だけど、スローライフも文明あってこそやりたいものよ。あーあ、これからどうなっちゃうのかしら。ほーんとあの神もどき、気が利かないんだから。転生じゃなくて転移だし、そもそも勝手に人を転移させるなんてありえないわ。神隠しにしたって確率高くないわよ。交通事故のほうがよっぽど気をつけなきゃならないことだわ」
ぶつぶつと文句を言っているとハンカチの上にいた綿毛ちゃんたちが少し動いた。
「あ、気がついたかしら。おはよう。君たち大丈夫かな?お腹減ってる?これ食べてみる?」
職場で食べてるドライフルーツをハンカチの上に置いてみると様子を伺っていた綿毛ちゃんたちまでおりてきた。
「餌付けみたい。ふふ、面白いわ。でも食べるのかしら。様子見かな、かわいい」
綿毛たちの様子をみていると触ってはいるものの食べてるという感じではなさそうね。あれ、ほんの少しだけれども減っていっているような。
「えっ、君たちどこから食べてるの。触れてるだけで、減っているということは溶かしてるのかな。やだ、消化液がどこからかでてるのかしら。私も溶かさせる可能性があるってことよね。結構凶悪ね!?私を食べても美味しくないわよ、というよりハンカチは溶かさないでね、食べ物じゃないわよ。その実みたいなものだけよ、食べていいものは」
通じないとは思いつつも一応牽制をしておく。そして、距離を少しとっておく。
「食べたらまた戻っていいからね、私は溶かさないでね」
時間をかけつつも全部綺麗になくなった。
途中で食べなくなった綿毛ちゃんは私のそばまでやってきて、ふわふわ挨拶をしてからどこかに飛んでいったりしている。
「案外通じているのかしら。挨拶してくれるなんて律儀ね」
溶かされる危険があるものの沢山の光る綿毛に囲まれたら助かることはなさそうなので考えないことにした。
「考えても仕方ないことは考えなーい、だって女の子だもん♪ふふ、女の子って歳でもないけどね」
そろそろ全部なくなりそうなのでまた近くまでよってみる。
「綺麗に食べるものね、君たち。お口に合うといいのだけれども。ハンカチ、溶かさずにいてくれてありがとうね」
迂闊に触らないようにしつつも、ふわふわ揺れる光をみて和むこと数十分。
ようやく全部食べ終わったようだ。
「お粗末様でした。みんなまたね」
拾ってきた2つ、いや、2匹の綿毛ちゃんたちを残してみんな去っていた。
「君たちは残っているのね、どうしたのかしら」
ふわふわと私の周りをうろうろとしている。何かを話しかけてるようだけど、全くわからない。
「んー、こういうときのセオリーは、なんだっけ。あ、契約?契約をするのよね!名前をつけてあげて、あとは血やその人の血肉が必要だったりするのかしら。そうすると物語がはじまるのよね、相棒ができるの!よくそういうのを読んだわあ」
一人で考えに耽っていると目の前に綿毛ちゃんたちがきて視界の邪魔をしてくる。
「なあに、綿毛ちゃんたち。本当に契約みたいなことしたいってこと?そんな方法があるの?お話ができたりするのかな」
光が強くなったり弱くなったりして綿毛ちゃんがチカチカしていて何かを主張している。
「ま、いいわ。とりあえずやってみましょう。血と名前でいいのかな、これで何もなかったらただの痛い人よね。もう厨二病は卒業してるのよ、これでも」
ブツブツ言いながら鞄からソーイングセットの中にある針をだしておく。
「綿毛ちゃんたち、性別とかあるのかな。安直なんだけど、ケサランとパサランはどうかしら。私には見分けがつかないけれど、こっちにいる子がケサランでこっちにいる子がパサランね!忘れないようにメモしておこ。さ、血をどうぞ」
針で自分の人差し指を指して、綿毛ちゃんに差し出してみる。
「いったいわね。針で指をさすとこんなにも痛かったんだっけ。絆創膏あったかしら」
血が出ている指を差し出してもなかなか綿毛ちゃんたちは近寄ってこない。
「あれ、もしかしてそういうことではない?恥ずかしすぎない、私。えー、せっかく痛い思いしてドキドキしてたのに違ったのね!恥ずかしいわ!!」
思わず早口になってしまう。なんて、恥ずかしいの。血が他につかないように急いでティッシュに吸い取らせ、、、え、止まらない。深く指しすぎたようね、通りで痛いはずだわ。
「えーっと、絆創膏は…って何よ」
絆創膏を探そうとしている目の前に綿毛ちゃんたちがチカチカしながら邪魔してくる。
「もー、一体何なのよ。違ったのでしょ。邪魔しないで頂戴、汚れちゃうわ」
振り払おうとしても目の前に寄ってきて何かを訴えているようだ。
「んー、もう、なんなの。ケサランとパサラン!名前つけたけど、姿が一緒に見えてどっちだか分からなくなっちゃったわよ。あ、自己紹介がまだだったわね、私はるみよ。よろしくね。まあ、契約できなかったみたいだけどね?ふふ」
恥ずかしいので契約できなかったのを誤魔化すように笑いながら喋っているといきなり血が出ている指先に2人がおりてきた。
「ちょっと血で汚れるわよ、いきなりどうしたのよ。もう」
構わずに鞄から絆創膏を探して、出しておく。
「先に出しておけばよかったわね、失敗したわ」
絆創膏を取り出して、指先を見てみると綿毛が人の形になっていた。どうしてこうなった。
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