14 / 18
その14
鬼岩城攻略戦Ⅳ
しおりを挟む
戦いが有利に進む中、勇者アルファポリスは仲間であるパーティーメンバーたちを引き連れて鬼岩城の指揮官黒騎士バーンのいる中央部の司令塔を目指します。
ナロー姫とシールズもその後に続きます。
混乱した城内を一気に駆け抜けた彼らはついに鬼岩城の中枢である背の高い司令塔の前にたどり着きました。
彼らは塔の入り口までたどり着くと見張り番の三つ首の魔犬(ケルベロス)をあっと言う間に倒し塔の中に突入しました。
塔の内部には螺旋階段があり勇者たちはそれを駆け上がりながら途中で待ち受ける魔族の戦士たちを次々に倒していきます。
そしてついに彼らは黒騎士バーンのいる最上階の部屋まで辿り着きました。
巨大な観音扉が音も無く開きます。
そしてその中には黒騎士バーンが鉄の玉座に座り少数の部下と共に待ち構えていました。
部屋の中に踏み込んで黒騎士バーンと対峙する勇者一行とナロー姫たち。
勇者アルファポリスは神剣を振りかざし黒騎士バーンに対決を迫ります。
「鬼岩城はもう終わりだ。黒騎士バーンよ。潔く降伏するなら貴公と部下の生命は保証しよう」
黒騎士バーンは玉座からゆっくりと立ち上がって周りの部下に指示を出します。
「お前たちは下がっていろ。万が一俺が敗れたら他の兵と共に降伏するように」
「し、しかしー」
抗議しようとした部下たちを片手の一振りで黙らせ彼らを部屋の奥まで下がらせます。
そして自分自身は勇者達の方へゆっくりと歩み寄り腰から長剣をスラリと抜き放ち構えを取りました。
「お主と戦うのはこれで3度目か。だが今回が最後になりそうだな」
アルファポリスを始め勇者一行の面々もそれぞれの武器を構えて彼に対峙します。
勇者アルファポリスが言いました。
「望むところ」
一方ナロー姫は少し離れた場所で騎士シールズに守られて彼らの戦いの様子を固唾を飲んで見守っていました。
今まさに戦いのクライマックスが始まろうとしていたのです。
「ウオォーッ!!」
剣を構えた黒騎士バーンは掛け声と共にマントを翻しながらジャンプして勇者アルファポリスに襲いかかります。
神剣を振りかざしそれを受け止める勇者アルファポリス。
二人の間合いは一気に縮まり剣と剣がぶつかり激しく火花を散らしました。
部屋の中央で身体と剣を密着させつばぜり合いをする勇者と黒騎士。
しかしー。
「ムンッ!!」
黒騎士バーンの気合いと共に勇者アルファポリスの身体は空中に浮いて部屋の隅まで弾き飛ばされました。
「うわぁーっ!!」
床に激突してゴロゴロと転がる勇者アルファポリス。
「勇者さまっ!!」
「アルファポリス!!」
「おのれっ!!」
勇者の後衛を守っていた彼の3人のパーティーメンバーたち。
エルフの弓使いジーナ姫と傭兵剣士オグマそれに大賢者サマナーの3人は倒れたアルファポリスをかばう様に前に出て黒騎士バーンを次々と攻撃します。
しかし彼らの剣や弓そして魔法による攻撃はバーンにことごとく防がれてしまいます。
そしてー。
「オリャッ!!」
バーンの持つ魔剣の一振りで彼ら3人は身体を一斉に吹き飛ばされ勇者と同じく床上に次々と倒れこんでしまいました。
「勇者様ーっ!!みんなーっ!!」
シールズと共に事態を見守っていたナロー姫が叫びます。
黒騎士バーンは床に倒れている勇者一行をぐるっと見回してから剣を持っていない方の腕を上げて呪文を詠唱し始めます。
殲滅魔法で勇者たちにとどめを刺すつもりなのです。
彼の指先に光が走り急激に魔法の力が集まっていきます。
その時でしたー。
「お待ちなさいっ!!」
シールズが止める暇もなくナロー姫が黒騎士バーンの前に飛び出しました。
魔法の詠唱を中止しいきなり自分の前に飛び出して来たその少女を訝しげな視線で見つめる黒騎士バーン。
彼は今まで全く眼中に無かった彼女に対して探る様な口調で尋ねます。
「お主は何者だ?命が惜しければ下がっておれ」
ナロー姫は黒騎士バーンの顔を睨みつけながら答えました。
「わたくしはナロー・ショー・セツカニ。カスニート王国の第一王女にして大魔法使いマーリンの一番弟子ですわ」
[続く]
ナロー姫とシールズもその後に続きます。
混乱した城内を一気に駆け抜けた彼らはついに鬼岩城の中枢である背の高い司令塔の前にたどり着きました。
彼らは塔の入り口までたどり着くと見張り番の三つ首の魔犬(ケルベロス)をあっと言う間に倒し塔の中に突入しました。
塔の内部には螺旋階段があり勇者たちはそれを駆け上がりながら途中で待ち受ける魔族の戦士たちを次々に倒していきます。
そしてついに彼らは黒騎士バーンのいる最上階の部屋まで辿り着きました。
巨大な観音扉が音も無く開きます。
そしてその中には黒騎士バーンが鉄の玉座に座り少数の部下と共に待ち構えていました。
部屋の中に踏み込んで黒騎士バーンと対峙する勇者一行とナロー姫たち。
勇者アルファポリスは神剣を振りかざし黒騎士バーンに対決を迫ります。
「鬼岩城はもう終わりだ。黒騎士バーンよ。潔く降伏するなら貴公と部下の生命は保証しよう」
黒騎士バーンは玉座からゆっくりと立ち上がって周りの部下に指示を出します。
「お前たちは下がっていろ。万が一俺が敗れたら他の兵と共に降伏するように」
「し、しかしー」
抗議しようとした部下たちを片手の一振りで黙らせ彼らを部屋の奥まで下がらせます。
そして自分自身は勇者達の方へゆっくりと歩み寄り腰から長剣をスラリと抜き放ち構えを取りました。
「お主と戦うのはこれで3度目か。だが今回が最後になりそうだな」
アルファポリスを始め勇者一行の面々もそれぞれの武器を構えて彼に対峙します。
勇者アルファポリスが言いました。
「望むところ」
一方ナロー姫は少し離れた場所で騎士シールズに守られて彼らの戦いの様子を固唾を飲んで見守っていました。
今まさに戦いのクライマックスが始まろうとしていたのです。
「ウオォーッ!!」
剣を構えた黒騎士バーンは掛け声と共にマントを翻しながらジャンプして勇者アルファポリスに襲いかかります。
神剣を振りかざしそれを受け止める勇者アルファポリス。
二人の間合いは一気に縮まり剣と剣がぶつかり激しく火花を散らしました。
部屋の中央で身体と剣を密着させつばぜり合いをする勇者と黒騎士。
しかしー。
「ムンッ!!」
黒騎士バーンの気合いと共に勇者アルファポリスの身体は空中に浮いて部屋の隅まで弾き飛ばされました。
「うわぁーっ!!」
床に激突してゴロゴロと転がる勇者アルファポリス。
「勇者さまっ!!」
「アルファポリス!!」
「おのれっ!!」
勇者の後衛を守っていた彼の3人のパーティーメンバーたち。
エルフの弓使いジーナ姫と傭兵剣士オグマそれに大賢者サマナーの3人は倒れたアルファポリスをかばう様に前に出て黒騎士バーンを次々と攻撃します。
しかし彼らの剣や弓そして魔法による攻撃はバーンにことごとく防がれてしまいます。
そしてー。
「オリャッ!!」
バーンの持つ魔剣の一振りで彼ら3人は身体を一斉に吹き飛ばされ勇者と同じく床上に次々と倒れこんでしまいました。
「勇者様ーっ!!みんなーっ!!」
シールズと共に事態を見守っていたナロー姫が叫びます。
黒騎士バーンは床に倒れている勇者一行をぐるっと見回してから剣を持っていない方の腕を上げて呪文を詠唱し始めます。
殲滅魔法で勇者たちにとどめを刺すつもりなのです。
彼の指先に光が走り急激に魔法の力が集まっていきます。
その時でしたー。
「お待ちなさいっ!!」
シールズが止める暇もなくナロー姫が黒騎士バーンの前に飛び出しました。
魔法の詠唱を中止しいきなり自分の前に飛び出して来たその少女を訝しげな視線で見つめる黒騎士バーン。
彼は今まで全く眼中に無かった彼女に対して探る様な口調で尋ねます。
「お主は何者だ?命が惜しければ下がっておれ」
ナロー姫は黒騎士バーンの顔を睨みつけながら答えました。
「わたくしはナロー・ショー・セツカニ。カスニート王国の第一王女にして大魔法使いマーリンの一番弟子ですわ」
[続く]
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
【完結】後妻に入ったら、夫のむすめが……でした
仲村 嘉高
恋愛
「むすめの世話をして欲しい」
夫からの求婚の言葉は、愛の言葉では無かったけれど、幼い娘を大切にする誠実な人だと思い、受け入れる事にした。
結婚前の顔合わせを「疲れて出かけたくないと言われた」や「今日はベッドから起きられないようだ」と、何度も反故にされた。
それでも、本当に申し訳なさそうに謝るので、「体が弱いならしょうがないわよ」と許してしまった。
結婚式は、お互いの親戚のみ。
なぜならお互い再婚だから。
そして、結婚式が終わり、新居へ……?
一緒に馬車に乗ったその方は誰ですか?
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる