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アルテミスの森の魔女
その25
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翌日メデューサとレダは魔女マンスリーにある申し出をしました。
それは今は離れた場所に待機させているシュナン一行が移動する際に使っている運搬用の魔獣である「家獣」を泊りがけで見学して見ないかとの誘いでした。
魔女であるマンスリーは魔法生物である家獣に興味があるはずであり更に泊りがけで彼女を接待する事によって少しでもマンスリーに恩返しをしたいとメデューサたちは考えたのでした。
そしてそれはまた表向きの理由であり本当の目的はしばらくの間マンスリーに魔女の家を留守にさせその間にメデューサたちがマンスリーを助けるために考えたある作戦を決行するためでした。
マンスリーに正直に言おうかとも思いましたが自尊心の強い彼女はメデューサたちの提案を遠慮して断る可能性もありここは内密に事を進めた方がいいと考えたのでした。
マンスリーは最初、自宅兼店舗でもある魔女の家を留守にする事をためらいました。
けれど回復したシュナンと吟遊詩人デイスがしっかり留守を守るという事でようやく彼女は納得しメデューサたちの提案を受け入れて魔女の家を離れ森の窪地に佇む家獣の元へと赴く決心をしたのでした。
そんなわけである朝魔女の家の前には家獣の元へ赴くためにレダの変身したペガサスの上にまたがる老魔女マンスリーの姿がありました。
マンスリーの背後にはメデューサもおり二人乗りでレダのペガサスの上にまたがっています。
さらに彼女たちの前には杖を持ったシュナンと吟遊詩人デイスも見送りのために家の外に出て来ており玄関先で両者は向かい合っていました。
「それじゃ、行ってきます」
メデューサの言葉と共に蛇娘と魔女の二人をその背中に乗せたレダのペガサスはフワリと空中に舞い上がりました。
地上からシュナンとデイスが見送る中、二人を乗せた白いペガサスはやがて雲の狭間を駆け抜けて上昇しやがて青空の向こうへと吸い込まれるように消えていきます。
シュナンとデイスはその消えゆく姿を地上からしばしの間見つめていました。
さて、森の中に待機させている家獣の元に向かったマンスリーを魔女の前で見送ったシュナンとデイスはその後すぐにかねてより仲間たちと打ち合わせていた計画を実行するため行動を開始します。
まず、近くにある人間の村まで行った彼らはレダから提供された装飾品を売り払い軍資金を作りました。
それから村で営業している大工や塗装工、それに家具屋やなど必要な場所を次々と回りました。
翌日、二人が滞在している魔女の家に人間の業者たちが続々とやって来ました。
それは前日にシュナンたちに依頼された魔女の家の改修工事を行うためだったのです。
そうー。
これこそがメデューサが他の仲間たちに提案したマンスリーを助けるための計策でありそれは魔女の家を村人たちが気軽に訪ねる事の出来るファンシーなお店に改修して両者が仲良くなれるようお膳立てをするという作戦だったのです。
そして今まで魔女の家では主に薬の販売しか行っていなかったのですがあらたに喫茶コーナーや占いコーナーももうけ更にお菓子や土産物など色々な物産も販売する事にしたのです。
これは病気の人たちやその家族だけではなく老若問わず大勢の人間に魔女の家を訪ねて来て欲しいとメデューサたちが考えたからでした。
また、レダが族長をつとめるペガサス族の村と連携し運送業も始める事にしました。
それは天馬ペガサスの機動力を利用しマンスリーの魔女の家を中継点として近辺の住民と各地の商人との間の物品のやり取りを請け負い手数料をもらうという現在でいえば宅配業者みたいな仕組みのニュービジネスでした。
ペガサス族の長であるレダはこの事業を実現させるために故郷の村に伝書鳩を飛ばしてペガサス族の女の子を何人かこちらに呼び寄せました。
魔女の家に何人かペガサスの少女を常駐させ宅配便の仕事をさせるためです。
それに周りに若い女の子たちがいればマンスリーが孤独を感じる事も無くなるに違いありません。
この「ペガサス印の宅急便」計画と合わせて魔女の家のリフォームも人間の大工たちの手によって着々と完成に近づいていました。
今までのどちらかといえば陰鬱な雰囲気だった魔女の家に比べ今度のそれは明るい色彩の屋根を始めカラフルで暖かい印象を与える瀟洒な感じの一軒家に仕上がりつつありました。
そしてその家が完成した暁には一般に解放される予定の「花神」マンスリーが造り上げた美しい庭園と共に多くの人々の心を魅了し来訪者がひっきりなしに訪れるであろう事をメデューサたちは確信していました。
そんなこんなで主にメデューサがプロデュースする「魔女のお店リニューアル大作戦」は着々と進行していたのですがそんな様変わりする魔女の家の様子を少し離れた場所からじっと見つめている人物がいました。
その人物は魔女の家が建つ場所の周りに広がる林の中に身を潜め立木の陰から覗き込むように魔女の家の方を見つめていました。
シュナンとデイスの立会いのもと人間の大工たちの手によって魔女の家が徐々に生まれ変わっていく様子をその人物は忌々しげな態度で睨みつけます。
やがてその全身が黒ずくめの人物は魔女の家の前で大工たち指揮をとるシュナンとデイスの背中を遠くからもうひと睨みするとくるりと踵を返して森の木々の中に消えていきます。
そして憎しみのオーラをまとったその黒い影は人間の村へと通じている森の中を蛇行する裏道の方へ草を踏みにじる音を響かせながら歩み去っていったのでした。
[続く]
それは今は離れた場所に待機させているシュナン一行が移動する際に使っている運搬用の魔獣である「家獣」を泊りがけで見学して見ないかとの誘いでした。
魔女であるマンスリーは魔法生物である家獣に興味があるはずであり更に泊りがけで彼女を接待する事によって少しでもマンスリーに恩返しをしたいとメデューサたちは考えたのでした。
そしてそれはまた表向きの理由であり本当の目的はしばらくの間マンスリーに魔女の家を留守にさせその間にメデューサたちがマンスリーを助けるために考えたある作戦を決行するためでした。
マンスリーに正直に言おうかとも思いましたが自尊心の強い彼女はメデューサたちの提案を遠慮して断る可能性もありここは内密に事を進めた方がいいと考えたのでした。
マンスリーは最初、自宅兼店舗でもある魔女の家を留守にする事をためらいました。
けれど回復したシュナンと吟遊詩人デイスがしっかり留守を守るという事でようやく彼女は納得しメデューサたちの提案を受け入れて魔女の家を離れ森の窪地に佇む家獣の元へと赴く決心をしたのでした。
そんなわけである朝魔女の家の前には家獣の元へ赴くためにレダの変身したペガサスの上にまたがる老魔女マンスリーの姿がありました。
マンスリーの背後にはメデューサもおり二人乗りでレダのペガサスの上にまたがっています。
さらに彼女たちの前には杖を持ったシュナンと吟遊詩人デイスも見送りのために家の外に出て来ており玄関先で両者は向かい合っていました。
「それじゃ、行ってきます」
メデューサの言葉と共に蛇娘と魔女の二人をその背中に乗せたレダのペガサスはフワリと空中に舞い上がりました。
地上からシュナンとデイスが見送る中、二人を乗せた白いペガサスはやがて雲の狭間を駆け抜けて上昇しやがて青空の向こうへと吸い込まれるように消えていきます。
シュナンとデイスはその消えゆく姿を地上からしばしの間見つめていました。
さて、森の中に待機させている家獣の元に向かったマンスリーを魔女の前で見送ったシュナンとデイスはその後すぐにかねてより仲間たちと打ち合わせていた計画を実行するため行動を開始します。
まず、近くにある人間の村まで行った彼らはレダから提供された装飾品を売り払い軍資金を作りました。
それから村で営業している大工や塗装工、それに家具屋やなど必要な場所を次々と回りました。
翌日、二人が滞在している魔女の家に人間の業者たちが続々とやって来ました。
それは前日にシュナンたちに依頼された魔女の家の改修工事を行うためだったのです。
そうー。
これこそがメデューサが他の仲間たちに提案したマンスリーを助けるための計策でありそれは魔女の家を村人たちが気軽に訪ねる事の出来るファンシーなお店に改修して両者が仲良くなれるようお膳立てをするという作戦だったのです。
そして今まで魔女の家では主に薬の販売しか行っていなかったのですがあらたに喫茶コーナーや占いコーナーももうけ更にお菓子や土産物など色々な物産も販売する事にしたのです。
これは病気の人たちやその家族だけではなく老若問わず大勢の人間に魔女の家を訪ねて来て欲しいとメデューサたちが考えたからでした。
また、レダが族長をつとめるペガサス族の村と連携し運送業も始める事にしました。
それは天馬ペガサスの機動力を利用しマンスリーの魔女の家を中継点として近辺の住民と各地の商人との間の物品のやり取りを請け負い手数料をもらうという現在でいえば宅配業者みたいな仕組みのニュービジネスでした。
ペガサス族の長であるレダはこの事業を実現させるために故郷の村に伝書鳩を飛ばしてペガサス族の女の子を何人かこちらに呼び寄せました。
魔女の家に何人かペガサスの少女を常駐させ宅配便の仕事をさせるためです。
それに周りに若い女の子たちがいればマンスリーが孤独を感じる事も無くなるに違いありません。
この「ペガサス印の宅急便」計画と合わせて魔女の家のリフォームも人間の大工たちの手によって着々と完成に近づいていました。
今までのどちらかといえば陰鬱な雰囲気だった魔女の家に比べ今度のそれは明るい色彩の屋根を始めカラフルで暖かい印象を与える瀟洒な感じの一軒家に仕上がりつつありました。
そしてその家が完成した暁には一般に解放される予定の「花神」マンスリーが造り上げた美しい庭園と共に多くの人々の心を魅了し来訪者がひっきりなしに訪れるであろう事をメデューサたちは確信していました。
そんなこんなで主にメデューサがプロデュースする「魔女のお店リニューアル大作戦」は着々と進行していたのですがそんな様変わりする魔女の家の様子を少し離れた場所からじっと見つめている人物がいました。
その人物は魔女の家が建つ場所の周りに広がる林の中に身を潜め立木の陰から覗き込むように魔女の家の方を見つめていました。
シュナンとデイスの立会いのもと人間の大工たちの手によって魔女の家が徐々に生まれ変わっていく様子をその人物は忌々しげな態度で睨みつけます。
やがてその全身が黒ずくめの人物は魔女の家の前で大工たち指揮をとるシュナンとデイスの背中を遠くからもうひと睨みするとくるりと踵を返して森の木々の中に消えていきます。
そして憎しみのオーラをまとったその黒い影は人間の村へと通じている森の中を蛇行する裏道の方へ草を踏みにじる音を響かせながら歩み去っていったのでした。
[続く]
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