1 / 8
1
しおりを挟む
「どうせ堀は毎日寝てたんでしょ?」
冬休み明けの初日。二週間ぶりの再会に教室はいつもの朝よりも五月蝿いけど、自分の席で机につっぷす蒼のテンションはいつもの朝と変わらない。
落ち着いているというか達観しているというか。体育で走った後も、教科書を忘れてもプリンを食べていても。小学校の時からそれは変わっていない。
「そう、毎日ゴロゴロしてた」
冬休み、毎日ゴロゴロとして過ごすのは私も小学校から変わらない。だから蒼もよく知っている。
「やっぱり」
「でもナンパされた」
「はぁ!?」
私の一言でテンションがあがったことが嬉しい。報告すべき冬休みの出来事ナンバーワンはやはりこれで間違いなかった。
「昨日なんだけどさ」
「え?ちょっと待って、ナンパ?堀がナンパされたってこと?」
「そう、万代橋の上で」
「ほんとうにナンパなの?宗教の勧誘とかじゃないの?」
猫背の蒼の背筋が伸びて前のめりになっているし、早口になっている。
「ナンパされてコーヒー飲んだよ、おごってくれたから美味しいやつ。なんか古そうな喫茶店。あとケーキも。チーズケーキ美味しかったし今度行こうよ?」
「いやいやいやケーキとかどうでもいいからナンパの話し聞かせろよ」
「なに?嫉妬?もしかして嫉妬してる?それとも私だけ前に進んでしまって置いてかれた、みたいな?」
蒼のこんなテンションは後にも先にもないかもしれないと思い、つい煽ってしまった。
「脳みそがツルツルだから心配しただけだし。だって、変な男とかいるでしょ。堀って突然ナゾの行動力発揮するから、チャラい男とか変な勧誘に連れて行かれちゃったんじゃないかって。それでどんな男なの?」
「男じゃないよ、女の子」
「え?ちょっと待って、女?女の子ってそれナンパじゃないじゃん」
蒼の声のトーンも、伸びた背筋も目の輝きも一気に元に戻ってしまった。
「声かけたらナンパでしょ?ナンパじゃないの?ナンパって言ってたよ、望実ちゃんが」
「はあぁ」
冬休み明けの初日。二週間ぶりの再会に教室はいつもの朝よりも五月蝿いけど、自分の席で机につっぷす蒼のテンションはいつもの朝と変わらない。
落ち着いているというか達観しているというか。体育で走った後も、教科書を忘れてもプリンを食べていても。小学校の時からそれは変わっていない。
「そう、毎日ゴロゴロしてた」
冬休み、毎日ゴロゴロとして過ごすのは私も小学校から変わらない。だから蒼もよく知っている。
「やっぱり」
「でもナンパされた」
「はぁ!?」
私の一言でテンションがあがったことが嬉しい。報告すべき冬休みの出来事ナンバーワンはやはりこれで間違いなかった。
「昨日なんだけどさ」
「え?ちょっと待って、ナンパ?堀がナンパされたってこと?」
「そう、万代橋の上で」
「ほんとうにナンパなの?宗教の勧誘とかじゃないの?」
猫背の蒼の背筋が伸びて前のめりになっているし、早口になっている。
「ナンパされてコーヒー飲んだよ、おごってくれたから美味しいやつ。なんか古そうな喫茶店。あとケーキも。チーズケーキ美味しかったし今度行こうよ?」
「いやいやいやケーキとかどうでもいいからナンパの話し聞かせろよ」
「なに?嫉妬?もしかして嫉妬してる?それとも私だけ前に進んでしまって置いてかれた、みたいな?」
蒼のこんなテンションは後にも先にもないかもしれないと思い、つい煽ってしまった。
「脳みそがツルツルだから心配しただけだし。だって、変な男とかいるでしょ。堀って突然ナゾの行動力発揮するから、チャラい男とか変な勧誘に連れて行かれちゃったんじゃないかって。それでどんな男なの?」
「男じゃないよ、女の子」
「え?ちょっと待って、女?女の子ってそれナンパじゃないじゃん」
蒼の声のトーンも、伸びた背筋も目の輝きも一気に元に戻ってしまった。
「声かけたらナンパでしょ?ナンパじゃないの?ナンパって言ってたよ、望実ちゃんが」
「はあぁ」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
殿下には既に奥様がいらっしゃる様なので私は消える事にします
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のアナスタシアは、毒を盛られて3年間眠り続けていた。そして3年後目を覚ますと、婚約者で王太子のルイスは親友のマルモットと結婚していた。さらに自分を毒殺した犯人は、家族以上に信頼していた、専属メイドのリーナだと聞かされる。
真実を知ったアナスタシアは、深いショックを受ける。追い打ちをかける様に、家族からは役立たずと罵られ、ルイスからは側室として迎える準備をしていると告げられた。
そして輿入れ前日、マルモットから恐ろしい真実を聞かされたアナスタシアは、生きる希望を失い、着の身着のまま屋敷から逃げ出したのだが…
7万文字くらいのお話です。
よろしくお願いいたしますm(__)m
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
【完結】忘れてください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。
貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。
夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。
貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。
もういいの。
私は貴方を解放する覚悟を決めた。
貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。
私の事は忘れてください。
※6月26日初回完結
7月12日2回目完結しました。
お読みいただきありがとうございます。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
彼女の母は蜜の味
緋山悠希
恋愛
ある日、彼女の深雪からお母さんを買い物に連れて行ってあげて欲しいと頼まれる。密かに綺麗なお母さんとの2人の時間に期待を抱きながら「別にいいよ」と優しい彼氏を演じる健二。そんな健二に待っていたのは大人の女性の洗礼だった…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる