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21:取り調べ②
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葉月国際美術館、秘密の展示室の檻の中。
脱獄を諦めた弥生は、少しでも体力を回復させるためにマットの上で横になっていた。
身体は泥のように疲れている。
しかしわずかにまどろんだだけで、あまり眠ることができない。
(こんな場所にいると、嫌なことを思い出すな)
目を瞑る弥生の頭に浮かぶのは、幼い頃の悪夢。
火の海、真っ黒い煙、そして友人たちの騒ぐ声と絶叫。
部屋の周りが炎に包まれ天井が崩れる中、弥生は泣いて逃げ回っていた。
「助けて、ママ! 返事をして、どこにいるの!」
そう叫んで炎の中を駆けずり回る記憶の自分に、弥生は思わず失笑する。
(そういえばあの時の私は、まだあの女を母親と認識していたのね。あんな目に合いながらママの役に立てると思って、必死に日本語を覚えて辛い事にも耐えて……ほんと健気なバカ!)
冷ややかな笑みを浮かべていると、展示室の扉が開く音がした。
弥生はすぐに頭を上げて、鉄格子の前に現れた男を見据える。
「やあアクアちゃん、元気そうじゃないか、檻の居心地はどうだったかね?」
葉月の嘲るような口調に、弥生はプイと顔をそむけた。
「決まっているでしょう、最低よ」
「はは、そいつは済まなかったね。だけどこうでもしないと、君を私のコレクションにすることはできないだろう?」
すると鉄格子の一部がせり上がり、檻の中へ人型ロボットが入ってきた。
弥生は逃げる間もなく両腕を電磁石の枷で縛められ、檻の外へと連れ出された。
「ご覧の通り君は私の手の中だ、もう逃げることはできないよ。大人しく私のモノになると誓いなさい。そうすれば私の妻として何不自由ない生活を保障してあげよう」
「あんたみたいな変態の妻? 冗談じゃないわ、そんなの絶対にごめんよ!」
「わははは、取り付くしまもないな」
嫌悪と怒りを剥き出しにした女怪盗を前に、葉月は頭を描いた。
「だけど私は本気だよ、君を不幸には絶対にさせない。美術品でも宝石でも、欲しいものは何でも与えると約束する。泥棒なんて危険なことはもう二度とする必要は無いんだ。悪い話では無いと思うのだがね」
葉月は女怪盗の肩を掴むと、真剣な眼差しで言った。
言葉に偽りがない事はすぐにわかったが、それでも弥生は申し出を拒絶する。
「悪いけど、私は物欲で泥棒をやっている訳じゃないの。お金や物で釣られると思ったら大間違いよ」
「ほぅ、それは興味深い話だ」
その声に、弥生は思わず半歩後ろへと下がる。
口を滑らせた、顔にはそう書かれていた。
「怪盗アクアが盗みをする理由、是非とも教えて欲しいね。安心してくれ、警察やマスコミに言うなんて野暮は絶対にしないよ」
「いやよ!」
拒絶する弥生の肩を、背後から人型ロボットの手が掴んだ。
その冷たさ、そして握力の強さに極薄レオタードに包まれた体に汗が流れる。
「その気が強い所は好みではあるが、そろそろ自分の立場を弁えていただきたいな。君は捕まった犯罪者で、何をされても文句は言えない立場なのだよ」
弥生の豊かに実った乳房を、葉月の右手が薄布の上からギュッと掴む。
左手は股間に浮き出ているスリットを、下からすくうようにして撫で上げる。
何をされても抵抗一つできない無力感に、女怪盗はただ唇を噛むしかできない。
「くっ……」
「よし、今日の遊びは決まったな。泥棒に対する『取り調べ』を行うとしよう。怪盗アクアの秘密について、いろいろ教えてもらうよ」
言葉が終わると同時に、乳房を揉む葉月の手に力が入る。
その苦痛にレオタード姿の身体がビクッと震える。
(こんな変態に屈してたまるものですか。あの地獄を味わってきた私が、簡単に吐くと思ったら大間違いよ)
女怪盗は苦痛と屈辱を闘志に代えて、葉月を睨み続けた。
脱獄を諦めた弥生は、少しでも体力を回復させるためにマットの上で横になっていた。
身体は泥のように疲れている。
しかしわずかにまどろんだだけで、あまり眠ることができない。
(こんな場所にいると、嫌なことを思い出すな)
目を瞑る弥生の頭に浮かぶのは、幼い頃の悪夢。
火の海、真っ黒い煙、そして友人たちの騒ぐ声と絶叫。
部屋の周りが炎に包まれ天井が崩れる中、弥生は泣いて逃げ回っていた。
「助けて、ママ! 返事をして、どこにいるの!」
そう叫んで炎の中を駆けずり回る記憶の自分に、弥生は思わず失笑する。
(そういえばあの時の私は、まだあの女を母親と認識していたのね。あんな目に合いながらママの役に立てると思って、必死に日本語を覚えて辛い事にも耐えて……ほんと健気なバカ!)
冷ややかな笑みを浮かべていると、展示室の扉が開く音がした。
弥生はすぐに頭を上げて、鉄格子の前に現れた男を見据える。
「やあアクアちゃん、元気そうじゃないか、檻の居心地はどうだったかね?」
葉月の嘲るような口調に、弥生はプイと顔をそむけた。
「決まっているでしょう、最低よ」
「はは、そいつは済まなかったね。だけどこうでもしないと、君を私のコレクションにすることはできないだろう?」
すると鉄格子の一部がせり上がり、檻の中へ人型ロボットが入ってきた。
弥生は逃げる間もなく両腕を電磁石の枷で縛められ、檻の外へと連れ出された。
「ご覧の通り君は私の手の中だ、もう逃げることはできないよ。大人しく私のモノになると誓いなさい。そうすれば私の妻として何不自由ない生活を保障してあげよう」
「あんたみたいな変態の妻? 冗談じゃないわ、そんなの絶対にごめんよ!」
「わははは、取り付くしまもないな」
嫌悪と怒りを剥き出しにした女怪盗を前に、葉月は頭を描いた。
「だけど私は本気だよ、君を不幸には絶対にさせない。美術品でも宝石でも、欲しいものは何でも与えると約束する。泥棒なんて危険なことはもう二度とする必要は無いんだ。悪い話では無いと思うのだがね」
葉月は女怪盗の肩を掴むと、真剣な眼差しで言った。
言葉に偽りがない事はすぐにわかったが、それでも弥生は申し出を拒絶する。
「悪いけど、私は物欲で泥棒をやっている訳じゃないの。お金や物で釣られると思ったら大間違いよ」
「ほぅ、それは興味深い話だ」
その声に、弥生は思わず半歩後ろへと下がる。
口を滑らせた、顔にはそう書かれていた。
「怪盗アクアが盗みをする理由、是非とも教えて欲しいね。安心してくれ、警察やマスコミに言うなんて野暮は絶対にしないよ」
「いやよ!」
拒絶する弥生の肩を、背後から人型ロボットの手が掴んだ。
その冷たさ、そして握力の強さに極薄レオタードに包まれた体に汗が流れる。
「その気が強い所は好みではあるが、そろそろ自分の立場を弁えていただきたいな。君は捕まった犯罪者で、何をされても文句は言えない立場なのだよ」
弥生の豊かに実った乳房を、葉月の右手が薄布の上からギュッと掴む。
左手は股間に浮き出ているスリットを、下からすくうようにして撫で上げる。
何をされても抵抗一つできない無力感に、女怪盗はただ唇を噛むしかできない。
「くっ……」
「よし、今日の遊びは決まったな。泥棒に対する『取り調べ』を行うとしよう。怪盗アクアの秘密について、いろいろ教えてもらうよ」
言葉が終わると同時に、乳房を揉む葉月の手に力が入る。
その苦痛にレオタード姿の身体がビクッと震える。
(こんな変態に屈してたまるものですか。あの地獄を味わってきた私が、簡単に吐くと思ったら大間違いよ)
女怪盗は苦痛と屈辱を闘志に代えて、葉月を睨み続けた。
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