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5:マクダ少尉
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「429番、出なさい」
死刑囚監房への移動の日の朝、ルイーゼ伍長の声が房内に響いた。
ソフィアは反射的に両手をルイーゼへと差し出す。
(女囚として両手を戒められるのにも、すっかり慣れたわね)
環境に順応しつつある自分が情けないと思い、ため息をつく。
「今日からは死刑囚用の監房です。担当する看守も交代しますので、その時に紹介します。きちんと挨拶するように」
「はい、よろしくおねがいします」
力のない声でソフィアは返事をする。
死刑囚として扱われるのは覚悟しているが、ルイーゼ伍長と離れるのはやはり心細い。
拘置所の暗く長い回廊を、手錠姿に縄を打たれて歩かされるソフィア。
その足取りは底の見えない泥沼に飲み込まれたかのように、鈍く、重い。
ソフィアが連れられてきたのは、拘置所内にある別の建物だった。
黒いゲールの軍服を着た女軍人が数名、ソフィアを待ち構えるかのように立っている。
「429番を連れ来ました、引継ぎお願いします」
「ご苦労」
前に歩み出たのは、長い黒髪と切れ長の目をした女将校だった。
その姿を視認したルイーゼ伍長が、ビクッと身体を震わせる。
「マ、マクダ少尉、どうして貴女がここに」
「配置換えでね、今日から私が死刑囚用監房の責任者よ」
そう言うとマクダ少尉は、手錠と腰縄で連行されてきた死刑囚をギロリと睨む。
その視線にソフィアは全身に汗が流れるのを感じた。
「ふぅん、アンタがバンナ島で爆撃機の搭乗員を殺した、高射砲部隊の淫乱中尉ね」
マクダ少尉は指でソフィアの顎を持ち上げられた。
いきなりの扱いに、ついソフィアは睨み返してしまう。
「おやおや、残虐非道なアルトリア人らしい顔つきになってきたじゃない」
マクダ少尉はフンと笑うと、ソフィアの腰縄を持って乱暴に部屋の真ん中へと引き立てた。
アルトリア人への偏見を隠しもしないその態度に、ソフィアは反発を覚える。
「429番、独房に入る前に身体検査よ、早く服を脱ぎなさい」
「はい」
語気を強めて返事をしたソフィアは、自由になった両手でオレンジ色の囚人服をゆっくりと脱いだ。
そして薄手のシャツとショーツだけの姿となる。
「何をしているの、下着も脱ぐのよ」
「!?」
マクダ少尉の声にソフィアが凍り付く。
それを見ていたルイーゼが、たまらず助け舟を出した。
「少尉、429番には逮捕時に身体検査を済ませています。所有物の監視も行っていますし、全裸検査は必要無いかと」
「あなたは黙ってなさい!」
マクダ少尉の一喝に、今度はルイーゼが凍り付いた。
「ルイーゼ伍長、あなたのやり方は甘いわ。だから裁判所で戦犯に自殺などさせるのよ。あの件で周りがどれだけ迷惑したか、わかっている?」
仕事の失敗を指摘されたルイーゼは、それ以上何も言えなくなってしまった。
唯一の味方を失ったソフィアは観念して、恐る恐るシャツを脱いでいく。
「へぇ、形のいい胸しているのね、その体でどれだけの男を誘惑してきたの?」
女将校によるストリップに、マクダ少尉は容赦ない侮蔑の言葉を投げる。
嘲笑するゲールの女兵士に囲まれる中、ソフィアは臀部を包み込むショーツにも手を掛けた。
(まるで見世物じゃない)
ショーツを脱いだソフィアは、遂に一糸纏わぬ姿となる。
たまらず両手で胸と股間を隠そうとすると、再びマクダ少尉の一喝が飛んだ。
「誰が隠して良いと言ったの! 429番、両手は頭の後ろで組んで、両足はがに股になって肩幅より広く開きなさい」
ギリッと奥歯を噛みしめつつ、全裸になったソフィアは両手を頭の後ろで組んで、両足を大きく開いた。
豊かで形のいい乳房、引き締まったウエスト、上品な茂みに覆われた股間とソフィアの全てが曝け出される。
(は、恥ずかしい)
ゲール兵の目が自分の裸に集まっていることに事に気が付く。
相手が同性ばかりとはいえ、全裸を見世物にされる屈辱。
視線とは本当に体に刺さるものだということを、ソフィアはこの時はじめて知った。
「さて、戦争犯罪人の体つきを調べさせてもらうわ」
マクダ少尉と2名のゲール兵が、身体を震わせるソフィアの肢体をあれこれ時間をかけて調べていく。
体を隠そうと少しでもよじろうとすると、ギュッと臀部を強く掴まれその動きを制圧される。
身もだえしたくなるほどの羞恥の中、ソフィアはただ時が過ぎるのを待った。
「ふぅん、アルトリアの雌豚も体だけは女の造りなのね。429番、楽にしていいわよ」
ソフィアの忍耐が限界に達しようとした時、ようやく女兵士たちは手を離した。
だがソフィアホッとする間もなく、さらなる残酷な命令が行われる。
「次はあそこに立ちなさい、429番」
マクダ少尉に命令されたソフィアは、よろめく足で壁に向かって歩いた。
リノリウム張りの床が裸足を冷たく責め立てる。
「床の足型に合わせて立ちなさい」
マクダ少尉の命令が続く。
ソフィアは肩幅より僅かに広い間隔の足型に合わせて、直立の姿勢をとらされた。
壁には赤い点がついていて、そこに目を合わせるよう命じられる。
「次は壁に手を付けるように」
ソフィアは言われるがまま指示に従う。
腰を落とすと最も恥ずかしい場所が後ろに向かって曝け出された。
(こ、これは、いやぁ)
羞恥で美貌を紅潮させるソフィア。
そんな彼女の背後には、ゴム手袋をはめたマクダ軍曹が立っていた。
「429番、これから直腸検査と膣内検査をするわ」
「ひっ!」
小さく悲鳴をあげたソフィアに、マクダ軍曹の指が挿入される。
太い指が中へ挿れたり、抜かれたりしてソフィアの中をかき回す。
「おやおや、人殺しの淫乱中尉のくせにここは綺麗じゃない」
「うぅ」
執拗な言葉と指による責めに、ソフィアは口を真一文字に結んで耐えた。
声を出したら負けだと思った。
だが突き上げるような鋭い痛みと猛烈な屈辱を感じる度に、どうしても声を漏らしてしまう。
「あぁ、うぐぅ、ひぃっ!」
苦しそうなソフィアの呻き声が響く。
それを見ていたルイーゼ伍長は、思わず顔をそむけた。
看守である彼女はこの検査の目的をよく知っている。
これは最も恥ずかしい部分を差し出すことによって、罪人に自分が囚人であることを思い知らせる儀式なのだ。
ソフィアの心を折り従順な囚人に生まれ変わらせる作業が、淡々と進められる。
「うっ、ひっ、あぁっ」
全てが終わりようやく指が引き抜かれると、ソフィアは力なく膝を折った。
そして壁にもたれかかるように崩れてしまう。
「異常はないみたいね。429番、これで検査は終了よ」
「はぁ……はぁ……はぁ……」
フラフラと壁に手を付いてソフィアは立ち上がる。
マクダ少尉の声がなぜだか遠く感じる。
しばらくの間、ソフィアは力なく両手をだらりと垂らしていた。
死刑囚監房への移動の日の朝、ルイーゼ伍長の声が房内に響いた。
ソフィアは反射的に両手をルイーゼへと差し出す。
(女囚として両手を戒められるのにも、すっかり慣れたわね)
環境に順応しつつある自分が情けないと思い、ため息をつく。
「今日からは死刑囚用の監房です。担当する看守も交代しますので、その時に紹介します。きちんと挨拶するように」
「はい、よろしくおねがいします」
力のない声でソフィアは返事をする。
死刑囚として扱われるのは覚悟しているが、ルイーゼ伍長と離れるのはやはり心細い。
拘置所の暗く長い回廊を、手錠姿に縄を打たれて歩かされるソフィア。
その足取りは底の見えない泥沼に飲み込まれたかのように、鈍く、重い。
ソフィアが連れられてきたのは、拘置所内にある別の建物だった。
黒いゲールの軍服を着た女軍人が数名、ソフィアを待ち構えるかのように立っている。
「429番を連れ来ました、引継ぎお願いします」
「ご苦労」
前に歩み出たのは、長い黒髪と切れ長の目をした女将校だった。
その姿を視認したルイーゼ伍長が、ビクッと身体を震わせる。
「マ、マクダ少尉、どうして貴女がここに」
「配置換えでね、今日から私が死刑囚用監房の責任者よ」
そう言うとマクダ少尉は、手錠と腰縄で連行されてきた死刑囚をギロリと睨む。
その視線にソフィアは全身に汗が流れるのを感じた。
「ふぅん、アンタがバンナ島で爆撃機の搭乗員を殺した、高射砲部隊の淫乱中尉ね」
マクダ少尉は指でソフィアの顎を持ち上げられた。
いきなりの扱いに、ついソフィアは睨み返してしまう。
「おやおや、残虐非道なアルトリア人らしい顔つきになってきたじゃない」
マクダ少尉はフンと笑うと、ソフィアの腰縄を持って乱暴に部屋の真ん中へと引き立てた。
アルトリア人への偏見を隠しもしないその態度に、ソフィアは反発を覚える。
「429番、独房に入る前に身体検査よ、早く服を脱ぎなさい」
「はい」
語気を強めて返事をしたソフィアは、自由になった両手でオレンジ色の囚人服をゆっくりと脱いだ。
そして薄手のシャツとショーツだけの姿となる。
「何をしているの、下着も脱ぐのよ」
「!?」
マクダ少尉の声にソフィアが凍り付く。
それを見ていたルイーゼが、たまらず助け舟を出した。
「少尉、429番には逮捕時に身体検査を済ませています。所有物の監視も行っていますし、全裸検査は必要無いかと」
「あなたは黙ってなさい!」
マクダ少尉の一喝に、今度はルイーゼが凍り付いた。
「ルイーゼ伍長、あなたのやり方は甘いわ。だから裁判所で戦犯に自殺などさせるのよ。あの件で周りがどれだけ迷惑したか、わかっている?」
仕事の失敗を指摘されたルイーゼは、それ以上何も言えなくなってしまった。
唯一の味方を失ったソフィアは観念して、恐る恐るシャツを脱いでいく。
「へぇ、形のいい胸しているのね、その体でどれだけの男を誘惑してきたの?」
女将校によるストリップに、マクダ少尉は容赦ない侮蔑の言葉を投げる。
嘲笑するゲールの女兵士に囲まれる中、ソフィアは臀部を包み込むショーツにも手を掛けた。
(まるで見世物じゃない)
ショーツを脱いだソフィアは、遂に一糸纏わぬ姿となる。
たまらず両手で胸と股間を隠そうとすると、再びマクダ少尉の一喝が飛んだ。
「誰が隠して良いと言ったの! 429番、両手は頭の後ろで組んで、両足はがに股になって肩幅より広く開きなさい」
ギリッと奥歯を噛みしめつつ、全裸になったソフィアは両手を頭の後ろで組んで、両足を大きく開いた。
豊かで形のいい乳房、引き締まったウエスト、上品な茂みに覆われた股間とソフィアの全てが曝け出される。
(は、恥ずかしい)
ゲール兵の目が自分の裸に集まっていることに事に気が付く。
相手が同性ばかりとはいえ、全裸を見世物にされる屈辱。
視線とは本当に体に刺さるものだということを、ソフィアはこの時はじめて知った。
「さて、戦争犯罪人の体つきを調べさせてもらうわ」
マクダ少尉と2名のゲール兵が、身体を震わせるソフィアの肢体をあれこれ時間をかけて調べていく。
体を隠そうと少しでもよじろうとすると、ギュッと臀部を強く掴まれその動きを制圧される。
身もだえしたくなるほどの羞恥の中、ソフィアはただ時が過ぎるのを待った。
「ふぅん、アルトリアの雌豚も体だけは女の造りなのね。429番、楽にしていいわよ」
ソフィアの忍耐が限界に達しようとした時、ようやく女兵士たちは手を離した。
だがソフィアホッとする間もなく、さらなる残酷な命令が行われる。
「次はあそこに立ちなさい、429番」
マクダ少尉に命令されたソフィアは、よろめく足で壁に向かって歩いた。
リノリウム張りの床が裸足を冷たく責め立てる。
「床の足型に合わせて立ちなさい」
マクダ少尉の命令が続く。
ソフィアは肩幅より僅かに広い間隔の足型に合わせて、直立の姿勢をとらされた。
壁には赤い点がついていて、そこに目を合わせるよう命じられる。
「次は壁に手を付けるように」
ソフィアは言われるがまま指示に従う。
腰を落とすと最も恥ずかしい場所が後ろに向かって曝け出された。
(こ、これは、いやぁ)
羞恥で美貌を紅潮させるソフィア。
そんな彼女の背後には、ゴム手袋をはめたマクダ軍曹が立っていた。
「429番、これから直腸検査と膣内検査をするわ」
「ひっ!」
小さく悲鳴をあげたソフィアに、マクダ軍曹の指が挿入される。
太い指が中へ挿れたり、抜かれたりしてソフィアの中をかき回す。
「おやおや、人殺しの淫乱中尉のくせにここは綺麗じゃない」
「うぅ」
執拗な言葉と指による責めに、ソフィアは口を真一文字に結んで耐えた。
声を出したら負けだと思った。
だが突き上げるような鋭い痛みと猛烈な屈辱を感じる度に、どうしても声を漏らしてしまう。
「あぁ、うぐぅ、ひぃっ!」
苦しそうなソフィアの呻き声が響く。
それを見ていたルイーゼ伍長は、思わず顔をそむけた。
看守である彼女はこの検査の目的をよく知っている。
これは最も恥ずかしい部分を差し出すことによって、罪人に自分が囚人であることを思い知らせる儀式なのだ。
ソフィアの心を折り従順な囚人に生まれ変わらせる作業が、淡々と進められる。
「うっ、ひっ、あぁっ」
全てが終わりようやく指が引き抜かれると、ソフィアは力なく膝を折った。
そして壁にもたれかかるように崩れてしまう。
「異常はないみたいね。429番、これで検査は終了よ」
「はぁ……はぁ……はぁ……」
フラフラと壁に手を付いてソフィアは立ち上がる。
マクダ少尉の声がなぜだか遠く感じる。
しばらくの間、ソフィアは力なく両手をだらりと垂らしていた。
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