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第三章 隕石が産まれるの
54 狂乱の始まり
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話の内容はともかく、こいつらいつの間にこんなに仲良くなったんだ? まだ少しギスギス感はあるけど、普通に会話している。
お互い仇敵同士だったはずなのに。
でもさ。そっか。
俺は、ヴェルを助けられたのだ。
傷跡は残ったらしいけど、まあ仕方がないだろう。
周りにいる人間全員のマナと、国家の秘宝マゼグロンクリスタルの力を結集し、直接的には俺が、この俺が一人の女の子の命を助けることができたのだ。
うーん、満足。
生まれて初めて自分で自分を褒めてやりたい気分。
「さ、もう手を離してもいいわよ、シュシュ」
ヴェルの声に、シュシュは、
「うん!」
と元気よく返事をして俺の目から手を離す。
あれ。
ヴェルがシュシュの名前を呼んだのはこれが初めてだよなあ。
俺が寝ている間に仲良くなってるなあ。
しかし、まじで目が開かん。
俺はまぶたを動かそうとするが、ピクピクするばかりで、全然目が開かない。
それよりもさ。
「水……のど、かわいた……」
「ああ、そうね。キッサ、水を」
ヴェル、キッサのことまで名前で呼んでるなあ。うん。仲よきことは美しきかな。
キッサが水の入った水筒らしきものを俺の口許に運ぶ。
だけど、俺の身体は口や喉まで動かないみたいで、うまく飲み込むことができない。だらだらとこぼしてしまう。
「エージ様、飲めないですか? ……仕方がないですねえ、じゃあ、私が口移しで飲ませてあげましょう、ついでですから」
「あ、こら、勝手に抜け駆けを……」
「まあまあ騎士様、いいじゃないですか、ついでですし」
ついでって、何がついでなんだ? それに抜け駆けってなんだよ……?
と、誰かの、いや、キッサの顔が近づいてくる気配があった。香りでわかる。安心させてくれるような、どこか暖かな心地よい香り。
別に香水とかはつけてないはずだけど、キッサとはあまりにも身体をくっつけてることが多かったので、彼女の身体の匂いを覚えてしまった。
額と顎をふんわりとキッサの手で支えられる。
そして。
ふ、と俺の唇にキッサの唇が合わさる。
キッサの舌が押し出すようにして、俺の口の中に水を運ぶ。
ゴクリ。
うまい……。
ただの水が、こんなにも美味しいと思ったのは初めてだ。
……もしかしたらキッサの唾液も混じっているからかもしれないけど。
Iカップ美少女奴隷の唾液。
もう水いらないからそれだけでいいや。……俺はこの期に及んで何をいってるのだろう。
「キッサ、もっとくれ……」
「はいはい」
素直に返事をしてくれる俺の女奴隷、キッサと、
「あー! またキッサばっかり! ちょっとあんた……」
咎めるような口調の女騎士ヴェル。
「いいじゃないですか、エージ様は私を名指しでご指名です。さ、もう一口いきますよ。んー」
再び、キッサの控えめな唇が俺に水を運ぶ。
ゴクリ、ゴクリ。
ふはあ。
生き返った。
やっと、目が開く。
俺の顔を覗きこんでいる、三つの顔。
キッサと、ヴェル、それにシュシュ。
みんな疲れた顔をしている。
キッサとヴェルは闘いを通じてできた傷が顔にまであって、とても痛々しい。
ああ、でも。
女騎士の顔を見る。
ヴェル。
「助かったんだな……よかった……」
「あんたのおかげよ、エージ。ほんとにもう、死んだと思ったのに、生きながらえちゃったわ。……ありがとうね」
ちょっと潤んだ瞳で、俺をじっと見つめる碧い瞳。口許にはかすかな笑み。
金色の長い髪もぼさぼさ、着ているものは奴隷の粗末な服、それに奴隷用の首輪。今は逃亡中だから、有名な騎士であるヴェルは奴隷に変装してるんだろう。
ヴェル自身のものだろう血のあとが、顎の下にまだ残っている。
きったない格好だけど。
それでもこいつ、美人だよなあ。
うんうん、よかった。苦労したかいがあった。
「で、ここは……?」
ぱっと見た感じ、昔交通誘導警備員のバイトしたときに乗ったハイエースをさらに一回りか二回り大きくした程度の車内。
天井は幌でできていて、幌の間から外の景色が流れていくのが見える。
どうやら、今は森林地帯の道を走っているようだ。
「馬車、か……?」
「そうよ。もともと荷物運びのための馬車だし、乗り心地最悪だけどさ。みんなで乗れるサイズのがヘルッタの家にはこれしかなかったから、我慢しなさいよ」
「でっけえ馬車だな……」
「スターク種の六頭引きよ。速度は遅いけど、大陸の端から端までわずかな飼葉で走ってくれる種だから、もうこのまま街道をあたしの領地まで行くわ」
「運転手……いや、御者は、ヘルッタか?」
「いえ、ヘルッタは南の親戚の家に避難したわ。御しているのはほら、あんたの新しい方の奴隷よ」
ああ、夜伽三十五番か。あいつ、馬車の操縦までできるのか……。
ヴェルに、キッサに、シュシュに、夜伽三十五番。
あれ。
なんか、一人足りないような。
それも、この国の最重要人物が。
俺たちが今こうしている目的、そのものの人が。
ふと見ると、車内の隅っこの方に、でかい芋虫がいた。
そいつは床に転がり、もぞもぞと動いて、「んーんー」という鳴き声を発している。
あれ、芋虫って鳴くもんだっけか?
いや待て、これ、でかい芋虫じゃない、……小さい人間の女の子だ……!
「おい、ヴェル……」
「なによ」
「俺の見間違えじゃなければだけど」
「うん」
「あそこにおわすお方は、ヴェルの親友にして、俺たちが最も敬愛し尊敬しお守りしなければならない、聖なるお方のような気がするが」
「あれは芋虫よ」
「いやいや、俺には毛布で簀巻きにされてる皇帝陛下にしか見えないぞ!? しかも目隠しと猿轡!? なんでこんなことになってんだよっ!? お前、まさか反乱して傀儡にしようと……」
「んんーんーんー」
芋虫……じゃなかった、毛布でぐるぐる巻きにされたロリ女帝陛下、ミーシアがその小さな身体をくねらせている。苦しそう。かわいそう。
「どうなってんだよ、これ」
「エージ、よく聞きなさい……」
ヴェルが、真剣な顔で言った。
「帝国では完全禁止、辺境の地でさえも限られた時期、限られた関係のもの同士でなければ許可されていない、粘膜直接接触法の副作用……。これが、禁断の法力移転法を使ってしまった私たちが、甘受しなければならない苦痛なのよ」
サスペンションもない馬車が、ひときわ大きく跳ねた。
幌の向こう側から、風が森の香りを運んでくる。
じぃっと俺を見つめる碧い瞳。
そして、女騎士の顔が突然近づいてきて。
俺にキスをした。
お互い仇敵同士だったはずなのに。
でもさ。そっか。
俺は、ヴェルを助けられたのだ。
傷跡は残ったらしいけど、まあ仕方がないだろう。
周りにいる人間全員のマナと、国家の秘宝マゼグロンクリスタルの力を結集し、直接的には俺が、この俺が一人の女の子の命を助けることができたのだ。
うーん、満足。
生まれて初めて自分で自分を褒めてやりたい気分。
「さ、もう手を離してもいいわよ、シュシュ」
ヴェルの声に、シュシュは、
「うん!」
と元気よく返事をして俺の目から手を離す。
あれ。
ヴェルがシュシュの名前を呼んだのはこれが初めてだよなあ。
俺が寝ている間に仲良くなってるなあ。
しかし、まじで目が開かん。
俺はまぶたを動かそうとするが、ピクピクするばかりで、全然目が開かない。
それよりもさ。
「水……のど、かわいた……」
「ああ、そうね。キッサ、水を」
ヴェル、キッサのことまで名前で呼んでるなあ。うん。仲よきことは美しきかな。
キッサが水の入った水筒らしきものを俺の口許に運ぶ。
だけど、俺の身体は口や喉まで動かないみたいで、うまく飲み込むことができない。だらだらとこぼしてしまう。
「エージ様、飲めないですか? ……仕方がないですねえ、じゃあ、私が口移しで飲ませてあげましょう、ついでですから」
「あ、こら、勝手に抜け駆けを……」
「まあまあ騎士様、いいじゃないですか、ついでですし」
ついでって、何がついでなんだ? それに抜け駆けってなんだよ……?
と、誰かの、いや、キッサの顔が近づいてくる気配があった。香りでわかる。安心させてくれるような、どこか暖かな心地よい香り。
別に香水とかはつけてないはずだけど、キッサとはあまりにも身体をくっつけてることが多かったので、彼女の身体の匂いを覚えてしまった。
額と顎をふんわりとキッサの手で支えられる。
そして。
ふ、と俺の唇にキッサの唇が合わさる。
キッサの舌が押し出すようにして、俺の口の中に水を運ぶ。
ゴクリ。
うまい……。
ただの水が、こんなにも美味しいと思ったのは初めてだ。
……もしかしたらキッサの唾液も混じっているからかもしれないけど。
Iカップ美少女奴隷の唾液。
もう水いらないからそれだけでいいや。……俺はこの期に及んで何をいってるのだろう。
「キッサ、もっとくれ……」
「はいはい」
素直に返事をしてくれる俺の女奴隷、キッサと、
「あー! またキッサばっかり! ちょっとあんた……」
咎めるような口調の女騎士ヴェル。
「いいじゃないですか、エージ様は私を名指しでご指名です。さ、もう一口いきますよ。んー」
再び、キッサの控えめな唇が俺に水を運ぶ。
ゴクリ、ゴクリ。
ふはあ。
生き返った。
やっと、目が開く。
俺の顔を覗きこんでいる、三つの顔。
キッサと、ヴェル、それにシュシュ。
みんな疲れた顔をしている。
キッサとヴェルは闘いを通じてできた傷が顔にまであって、とても痛々しい。
ああ、でも。
女騎士の顔を見る。
ヴェル。
「助かったんだな……よかった……」
「あんたのおかげよ、エージ。ほんとにもう、死んだと思ったのに、生きながらえちゃったわ。……ありがとうね」
ちょっと潤んだ瞳で、俺をじっと見つめる碧い瞳。口許にはかすかな笑み。
金色の長い髪もぼさぼさ、着ているものは奴隷の粗末な服、それに奴隷用の首輪。今は逃亡中だから、有名な騎士であるヴェルは奴隷に変装してるんだろう。
ヴェル自身のものだろう血のあとが、顎の下にまだ残っている。
きったない格好だけど。
それでもこいつ、美人だよなあ。
うんうん、よかった。苦労したかいがあった。
「で、ここは……?」
ぱっと見た感じ、昔交通誘導警備員のバイトしたときに乗ったハイエースをさらに一回りか二回り大きくした程度の車内。
天井は幌でできていて、幌の間から外の景色が流れていくのが見える。
どうやら、今は森林地帯の道を走っているようだ。
「馬車、か……?」
「そうよ。もともと荷物運びのための馬車だし、乗り心地最悪だけどさ。みんなで乗れるサイズのがヘルッタの家にはこれしかなかったから、我慢しなさいよ」
「でっけえ馬車だな……」
「スターク種の六頭引きよ。速度は遅いけど、大陸の端から端までわずかな飼葉で走ってくれる種だから、もうこのまま街道をあたしの領地まで行くわ」
「運転手……いや、御者は、ヘルッタか?」
「いえ、ヘルッタは南の親戚の家に避難したわ。御しているのはほら、あんたの新しい方の奴隷よ」
ああ、夜伽三十五番か。あいつ、馬車の操縦までできるのか……。
ヴェルに、キッサに、シュシュに、夜伽三十五番。
あれ。
なんか、一人足りないような。
それも、この国の最重要人物が。
俺たちが今こうしている目的、そのものの人が。
ふと見ると、車内の隅っこの方に、でかい芋虫がいた。
そいつは床に転がり、もぞもぞと動いて、「んーんー」という鳴き声を発している。
あれ、芋虫って鳴くもんだっけか?
いや待て、これ、でかい芋虫じゃない、……小さい人間の女の子だ……!
「おい、ヴェル……」
「なによ」
「俺の見間違えじゃなければだけど」
「うん」
「あそこにおわすお方は、ヴェルの親友にして、俺たちが最も敬愛し尊敬しお守りしなければならない、聖なるお方のような気がするが」
「あれは芋虫よ」
「いやいや、俺には毛布で簀巻きにされてる皇帝陛下にしか見えないぞ!? しかも目隠しと猿轡!? なんでこんなことになってんだよっ!? お前、まさか反乱して傀儡にしようと……」
「んんーんーんー」
芋虫……じゃなかった、毛布でぐるぐる巻きにされたロリ女帝陛下、ミーシアがその小さな身体をくねらせている。苦しそう。かわいそう。
「どうなってんだよ、これ」
「エージ、よく聞きなさい……」
ヴェルが、真剣な顔で言った。
「帝国では完全禁止、辺境の地でさえも限られた時期、限られた関係のもの同士でなければ許可されていない、粘膜直接接触法の副作用……。これが、禁断の法力移転法を使ってしまった私たちが、甘受しなければならない苦痛なのよ」
サスペンションもない馬車が、ひときわ大きく跳ねた。
幌の向こう側から、風が森の香りを運んでくる。
じぃっと俺を見つめる碧い瞳。
そして、女騎士の顔が突然近づいてきて。
俺にキスをした。
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