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第107話 おまけSS⑤ 紗哩(シャーリー)の憂鬱②
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「さて、まずどうする」
アニエスが言った。
「うーん、そうだね、まず今、紗哩ちゃんは刺激に飢えてる。で、ギャンブルにはまりかけてる」
「もう十分はまってると思うが……」
「いや、まだ大丈夫! で、依存先を変えてあげよう」
「なるほど。じゃあまたダンジョン探索やるか?」
「それもいいけど、危険だから……。お兄ちゃんとアニエスさんが揃っているパーティで刺激のある探索やろうとするとほんとに命がけになっちゃう。別の依存先を用意しよう」
「ふむ。で、その依存先とは?」
「…………男だよっ!」
「まじか」
★
「へー、おしゃれな飲み屋さんだねー。個室かあ」
紗哩は周りをきょろきょろしながら言った。
「なんで私まで……」
ローラが呆れたように言う。
こそっとみっしーがローラにささやく。
「だってだって私とアニエスさんだけじゃ不安なんだもん! お願いだよ、ローラさん」
「まあしゃあないかあ……」
ため息をつくローラ。
みっしーはニコニコと笑顔で紗哩を席につかせる。
「紗哩ちゃんはこないだ誕生日だったからもう二十歳! お酒も飲めるんだもんね!」
「うん……でもあんま飲めないよ? 正直あんまりおいしく感じないし……」
「うんうん、それはいいこと。お酒にはまっても困るし!」
「今日はお兄ちゃんはいないの?」
「今日に限っては基樹さんは邪魔……じゃなかった、今日は税理士の先生と打ち合わせの後どっかでごちそうになるって言ってた」
「えーー! ずるい、私たちもそっちのがよかったんじゃない?」
「ここもおしゃれでいい店だから! じゃ、紗哩ちゃんはそこに座って!」
「あれ? なんか座り方、おかしくない? こんな大きいテーブルでなんで私たちみんなこっち側に座ってるの?」
不思議そうに紗哩が言ったときだった。
「あ、きたきたきた!」
そこに並んで入ってくる男たち。
「どうもー」
「おお、本物だ」
「すごい、あのパーティの女性たち!」
「みっしー、今日はセッティングありがとね。みっしーは絶対男の誘いにのらないので有名なのに、なんと合コンセッティングしてくれるとは」
どいつもこいつも超イケメンである。
それはそうだ、なにしろみっしーが厳選した芸能人の二十代のいい男をそろえたのだ。
人選は万全で、番組の女性共演者や女性ADに噂を聞きまくって見た目はもちろん、中身も紳士なやつを取り揃えている。
もちろん全員現在フリーなのも確認済み。
ローラなどは目をキラキラ……いやギラギラさせて男たちを品定めしている。
みっしーはそれを見て、ローラにも彼氏ができたらそれはそれでいいと思うのだった。
……実際はローラはこの男たちを使って脳内BLを楽しんでいるだけだったが。
さすがにこれだけの超絶イケメンをそろえたら、紗哩も一人くらいは好みの男がいていいだろう。
そう思ったのだが……。
★
「えー……もうあたし、飲めませんよぉ……ゴクゴクゴク……うーん、このカクテル、ちょっと薄いかな?」
上機嫌にジョッキのお酒を飲む紗哩。
「Shirley、それはカクテル違う……。ウィスキーのロック……」
げっそりした顔でアニエスが言うが、それを無視して、
「ゴクゴクゴク。ぷっはぁ~~~~っ。おいしーーーー!」
空になったジョッキを振ってカラカラと氷を鳴らす紗哩。
ローラはペースについていけずに部屋の端っこで倒れている。シャツの裾がはだけて褐色の肌が露わになっているけど、心配はいらなかった。
なにしろ男たちもほとんど潰れて突っ伏している。
みっしーはまだ未成年なのでウーロン茶を飲んでいたが、すでにこの作戦の失敗を確信していた。
「紗哩ちゃん、お酒よりも男の人とおしゃべりしたらいいのに……」
「へぁ~? だって男の人なんてお兄ちゃんみたいに寡黙な方がかっこいいもん。あーあ、お兄ちゃんもこっちに来たらよかったのに。こんなに楽しいのに……」
「合コンに自分のお兄ちゃん連れてきたらドン引きでしょ……」
「ほぁ~~~? お兄ちゃんといちゃいちゃしたいもん。お兄ちゃんとお酒飲みたいなー。いつもみっしーの配信とか見ながら缶ビール飲んでるあのわびしい姿がかっこいいんだよー」
それを聞いたみっしーの顔がピカッと明るくなり、アニエスはぶすーっとしてつまみのたこわさをかっこんでむせている。
「私も配信、始めようかな」
ぶつくさ言っているアニエス。
無駄だとは思うが、一応聞いておくか、とみっしーは思って尋ねてみる。
「ところで紗哩ちゃん、今日いた男の人で……っていうかそこに四人転がってるけど……好みの人、いた?」
「ひぁ~~~? 男の人なんて、いたっけ? ……ここに転がってる人たちのこと? ……うーん、お兄ちゃんよりかっこいい人はいないなあ……。あ、もう一杯飲もうっと。ジュルジュル! ゴクゴクゴクゴクゴク……ぷっはぁぁぁ~~~~~!!」
カラカラと氷が鳴る。
うん、次の手を考えようか、とみっしーは思った。
――――――――――
新作も始めてます!
よろしくお願いします!
アニエスが言った。
「うーん、そうだね、まず今、紗哩ちゃんは刺激に飢えてる。で、ギャンブルにはまりかけてる」
「もう十分はまってると思うが……」
「いや、まだ大丈夫! で、依存先を変えてあげよう」
「なるほど。じゃあまたダンジョン探索やるか?」
「それもいいけど、危険だから……。お兄ちゃんとアニエスさんが揃っているパーティで刺激のある探索やろうとするとほんとに命がけになっちゃう。別の依存先を用意しよう」
「ふむ。で、その依存先とは?」
「…………男だよっ!」
「まじか」
★
「へー、おしゃれな飲み屋さんだねー。個室かあ」
紗哩は周りをきょろきょろしながら言った。
「なんで私まで……」
ローラが呆れたように言う。
こそっとみっしーがローラにささやく。
「だってだって私とアニエスさんだけじゃ不安なんだもん! お願いだよ、ローラさん」
「まあしゃあないかあ……」
ため息をつくローラ。
みっしーはニコニコと笑顔で紗哩を席につかせる。
「紗哩ちゃんはこないだ誕生日だったからもう二十歳! お酒も飲めるんだもんね!」
「うん……でもあんま飲めないよ? 正直あんまりおいしく感じないし……」
「うんうん、それはいいこと。お酒にはまっても困るし!」
「今日はお兄ちゃんはいないの?」
「今日に限っては基樹さんは邪魔……じゃなかった、今日は税理士の先生と打ち合わせの後どっかでごちそうになるって言ってた」
「えーー! ずるい、私たちもそっちのがよかったんじゃない?」
「ここもおしゃれでいい店だから! じゃ、紗哩ちゃんはそこに座って!」
「あれ? なんか座り方、おかしくない? こんな大きいテーブルでなんで私たちみんなこっち側に座ってるの?」
不思議そうに紗哩が言ったときだった。
「あ、きたきたきた!」
そこに並んで入ってくる男たち。
「どうもー」
「おお、本物だ」
「すごい、あのパーティの女性たち!」
「みっしー、今日はセッティングありがとね。みっしーは絶対男の誘いにのらないので有名なのに、なんと合コンセッティングしてくれるとは」
どいつもこいつも超イケメンである。
それはそうだ、なにしろみっしーが厳選した芸能人の二十代のいい男をそろえたのだ。
人選は万全で、番組の女性共演者や女性ADに噂を聞きまくって見た目はもちろん、中身も紳士なやつを取り揃えている。
もちろん全員現在フリーなのも確認済み。
ローラなどは目をキラキラ……いやギラギラさせて男たちを品定めしている。
みっしーはそれを見て、ローラにも彼氏ができたらそれはそれでいいと思うのだった。
……実際はローラはこの男たちを使って脳内BLを楽しんでいるだけだったが。
さすがにこれだけの超絶イケメンをそろえたら、紗哩も一人くらいは好みの男がいていいだろう。
そう思ったのだが……。
★
「えー……もうあたし、飲めませんよぉ……ゴクゴクゴク……うーん、このカクテル、ちょっと薄いかな?」
上機嫌にジョッキのお酒を飲む紗哩。
「Shirley、それはカクテル違う……。ウィスキーのロック……」
げっそりした顔でアニエスが言うが、それを無視して、
「ゴクゴクゴク。ぷっはぁ~~~~っ。おいしーーーー!」
空になったジョッキを振ってカラカラと氷を鳴らす紗哩。
ローラはペースについていけずに部屋の端っこで倒れている。シャツの裾がはだけて褐色の肌が露わになっているけど、心配はいらなかった。
なにしろ男たちもほとんど潰れて突っ伏している。
みっしーはまだ未成年なのでウーロン茶を飲んでいたが、すでにこの作戦の失敗を確信していた。
「紗哩ちゃん、お酒よりも男の人とおしゃべりしたらいいのに……」
「へぁ~? だって男の人なんてお兄ちゃんみたいに寡黙な方がかっこいいもん。あーあ、お兄ちゃんもこっちに来たらよかったのに。こんなに楽しいのに……」
「合コンに自分のお兄ちゃん連れてきたらドン引きでしょ……」
「ほぁ~~~? お兄ちゃんといちゃいちゃしたいもん。お兄ちゃんとお酒飲みたいなー。いつもみっしーの配信とか見ながら缶ビール飲んでるあのわびしい姿がかっこいいんだよー」
それを聞いたみっしーの顔がピカッと明るくなり、アニエスはぶすーっとしてつまみのたこわさをかっこんでむせている。
「私も配信、始めようかな」
ぶつくさ言っているアニエス。
無駄だとは思うが、一応聞いておくか、とみっしーは思って尋ねてみる。
「ところで紗哩ちゃん、今日いた男の人で……っていうかそこに四人転がってるけど……好みの人、いた?」
「ひぁ~~~? 男の人なんて、いたっけ? ……ここに転がってる人たちのこと? ……うーん、お兄ちゃんよりかっこいい人はいないなあ……。あ、もう一杯飲もうっと。ジュルジュル! ゴクゴクゴクゴクゴク……ぷっはぁぁぁ~~~~~!!」
カラカラと氷が鳴る。
うん、次の手を考えようか、とみっしーは思った。
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