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第71話 NGワード
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さて、サキュバスはやっつけた。
夢の中で、俺が魔法をぶっぱして殺したんだけど、これって俺自身にはダメージがこないみたいでよかったわ。
夢世界全部を爆破したみたいなもんだから、それに応じて俺の精神がどうかなるとかありえなくもなかったよなー。
で、確認してみたら、きちんとGaagle Adsenseの残高が減っていた。
意識の中だけでもマネーインジェクションできるのがわかったのは、大きな発見ではあった。
それはそれとして。
ちょっとこれは言っておこうかな。
「えー、お知らせがあります。これ以降、このチャンネルにおいて、次の言葉をNGワードに入れます。発言してもコメント欄に表示されなくなります」
〈ん、なんだ突然〉
〈まあNGワードなんてふつうどこのチャンネルでも設定してあるし……〉
〈まさか「耳」だったりしないよね? それはやめて!〉
〈草〉
〈耳は許してやれw〉
〈耳をNGワードにするなんて! なんてひどいことを!〉
「えー、耳ではありません。いいですか、一度しかいいませんからよくお聞きください。
『淫魔』『夢魔』『インキュバス』『サキュバス』『催淫』『淫夢』……これらの言葉になります。いいですか、みなさん。さっきのは、なかったことにしてください。俺とローラだけならいいけど、ほかの子たちのあんな乱れた姿は忘れてやってください」
「私はいいんかーい!」
あの化粧水のビンで人の妹の純潔を奪おうとしたくせに。
「みっしーも紗哩もまだ若いし、子供だ。アニエスさんも……まあほら、見た目こどもだし……」
「私、年齢、24。結婚できる」
あ、アニエスさん、起きてたのか。
まあ24歳には見えん幼児体型だし……。
「と、とにかくだな、アーカイブからも消した。みんなも、わすれてやってくれ。あれは、モンスターの精神攻撃が悪いんだから……」
〈まあそこまでいうなら忘れてあげる〉
〈みっしーなんてまだ十六歳だもんな〉
〈ちゃんとこういうふうにできるのはお兄ちゃん信用できる人だな〉
〈耳はセーフだった!〉
と、そこにみっしーが暗い顔をしておれのところへやってきた。
「基樹さん……」
やはり、日本トップクラスの配信者として、自分のあんな醜態をさらしてしまったのがこたえているのだろうか。
しかもまだ十六歳なのだ、恥ずかしくて死にそうとか思っているかも。
元気づけてやりたいけど、俺、女の子にうまいことなんて言えないしな。
俺はつとめて笑顔を作って、
「みっしー、大丈夫だ、あれはあの淫魔が全部悪いんだから。俺がやっつけたからもう大丈夫だ。なんか食ったか? これから探索続けるんだ、腹ごしらえは大事だからな。そうだ、コカトリスの肉がまだいっぱいあるぞ」
「そうじゃないの! 基樹さん、もう、あんなこと……やめてよ!?」
あんなことってどんなことだ?
なんかサキュバス戦はいろいろあったから思い当たることはけっこうあるけど……。
「夢の中でマネーインジェクションなんて! しかも本当にお金減ってるとか! もう絶対にやっちゃダメ! SSSSS級モンスター、国税庁に隙を見せちゃ駄目だよ!」
あ、そっち?
……まあ確かになあ。
カメラに写っていないところでマネーインジェクションすると、領収書があるわけでもなし、経費になる証拠もないからそのまま税金で持っていかれるな……。
900万円かあ……半分近く持って行かれるかも? でかいなあ……。
それだけあれば、紗哩と二人、三年くらいはつつましく暮らせるよなー。
まあ、納税は国民の義務だから払うもんは払うけどさー。
「法令で認められた範囲の節税は国民の権利だから! ちゃんと国税庁の通達とかも勉強しないと……」
みっしー、納税関係でどんな修羅場を見てきたって言うんだ……。
「わかった、もうあんなことはしない……」
「もー! ほんとにだよ! でも、ありがとね、基樹さんのおかげでまた助けられたよ。こんなおっかないダンジョンの中だけど、いつもすごく怖くなるんだけど、基樹さんがいるもんなあ、と思うとね。うん、基樹さんがいるから安心だ、がんばるぞっ! って気持ちになれるの。いつも、ありがとね。帰ったら一億二千万円返さなきゃなんでしょ? ……もし、もし、大変だったら私も手伝ったげるから! ね!」
そういってみっしーは紗哩のところへ走り寄っていった。
そして二人で笑顔でおしゃべりしながら石化したアニエスさんの身体を拭いたり服装を整えたりしている。
……あ、これあっち向いておこうっと。アニエスさんにあとでおこられるかもしれんし。
「たのむから顎のキャラと目が合わないように風呂敷巻いてくれよ」
そう声をかけて、俺はコカトリスの肉をかじった。
うまい。
冷めてるのに、かじると肉汁がじゅわっと出てきてジューシーでやわらかい。
これ、いくらでも食えるなー。
ニワトリ部分の方が好みだな。
蛇部分のところはちょっと歯ごたえが強い。
おっとクラーケンの肉もまだあったな、これもくっておこう。
とにかく食わないと体力の消耗が激しすぎて体が動かなくなっちまうぞ。
夢の中で、俺が魔法をぶっぱして殺したんだけど、これって俺自身にはダメージがこないみたいでよかったわ。
夢世界全部を爆破したみたいなもんだから、それに応じて俺の精神がどうかなるとかありえなくもなかったよなー。
で、確認してみたら、きちんとGaagle Adsenseの残高が減っていた。
意識の中だけでもマネーインジェクションできるのがわかったのは、大きな発見ではあった。
それはそれとして。
ちょっとこれは言っておこうかな。
「えー、お知らせがあります。これ以降、このチャンネルにおいて、次の言葉をNGワードに入れます。発言してもコメント欄に表示されなくなります」
〈ん、なんだ突然〉
〈まあNGワードなんてふつうどこのチャンネルでも設定してあるし……〉
〈まさか「耳」だったりしないよね? それはやめて!〉
〈草〉
〈耳は許してやれw〉
〈耳をNGワードにするなんて! なんてひどいことを!〉
「えー、耳ではありません。いいですか、一度しかいいませんからよくお聞きください。
『淫魔』『夢魔』『インキュバス』『サキュバス』『催淫』『淫夢』……これらの言葉になります。いいですか、みなさん。さっきのは、なかったことにしてください。俺とローラだけならいいけど、ほかの子たちのあんな乱れた姿は忘れてやってください」
「私はいいんかーい!」
あの化粧水のビンで人の妹の純潔を奪おうとしたくせに。
「みっしーも紗哩もまだ若いし、子供だ。アニエスさんも……まあほら、見た目こどもだし……」
「私、年齢、24。結婚できる」
あ、アニエスさん、起きてたのか。
まあ24歳には見えん幼児体型だし……。
「と、とにかくだな、アーカイブからも消した。みんなも、わすれてやってくれ。あれは、モンスターの精神攻撃が悪いんだから……」
〈まあそこまでいうなら忘れてあげる〉
〈みっしーなんてまだ十六歳だもんな〉
〈ちゃんとこういうふうにできるのはお兄ちゃん信用できる人だな〉
〈耳はセーフだった!〉
と、そこにみっしーが暗い顔をしておれのところへやってきた。
「基樹さん……」
やはり、日本トップクラスの配信者として、自分のあんな醜態をさらしてしまったのがこたえているのだろうか。
しかもまだ十六歳なのだ、恥ずかしくて死にそうとか思っているかも。
元気づけてやりたいけど、俺、女の子にうまいことなんて言えないしな。
俺はつとめて笑顔を作って、
「みっしー、大丈夫だ、あれはあの淫魔が全部悪いんだから。俺がやっつけたからもう大丈夫だ。なんか食ったか? これから探索続けるんだ、腹ごしらえは大事だからな。そうだ、コカトリスの肉がまだいっぱいあるぞ」
「そうじゃないの! 基樹さん、もう、あんなこと……やめてよ!?」
あんなことってどんなことだ?
なんかサキュバス戦はいろいろあったから思い当たることはけっこうあるけど……。
「夢の中でマネーインジェクションなんて! しかも本当にお金減ってるとか! もう絶対にやっちゃダメ! SSSSS級モンスター、国税庁に隙を見せちゃ駄目だよ!」
あ、そっち?
……まあ確かになあ。
カメラに写っていないところでマネーインジェクションすると、領収書があるわけでもなし、経費になる証拠もないからそのまま税金で持っていかれるな……。
900万円かあ……半分近く持って行かれるかも? でかいなあ……。
それだけあれば、紗哩と二人、三年くらいはつつましく暮らせるよなー。
まあ、納税は国民の義務だから払うもんは払うけどさー。
「法令で認められた範囲の節税は国民の権利だから! ちゃんと国税庁の通達とかも勉強しないと……」
みっしー、納税関係でどんな修羅場を見てきたって言うんだ……。
「わかった、もうあんなことはしない……」
「もー! ほんとにだよ! でも、ありがとね、基樹さんのおかげでまた助けられたよ。こんなおっかないダンジョンの中だけど、いつもすごく怖くなるんだけど、基樹さんがいるもんなあ、と思うとね。うん、基樹さんがいるから安心だ、がんばるぞっ! って気持ちになれるの。いつも、ありがとね。帰ったら一億二千万円返さなきゃなんでしょ? ……もし、もし、大変だったら私も手伝ったげるから! ね!」
そういってみっしーは紗哩のところへ走り寄っていった。
そして二人で笑顔でおしゃべりしながら石化したアニエスさんの身体を拭いたり服装を整えたりしている。
……あ、これあっち向いておこうっと。アニエスさんにあとでおこられるかもしれんし。
「たのむから顎のキャラと目が合わないように風呂敷巻いてくれよ」
そう声をかけて、俺はコカトリスの肉をかじった。
うまい。
冷めてるのに、かじると肉汁がじゅわっと出てきてジューシーでやわらかい。
これ、いくらでも食えるなー。
ニワトリ部分の方が好みだな。
蛇部分のところはちょっと歯ごたえが強い。
おっとクラーケンの肉もまだあったな、これもくっておこう。
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