空のない世界(裏)

石田氏

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6章 空のない世界

05

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「ここは!?」
真紀達は、別エリアに来ていた。そこは、黄金色一色に染まった世界だった。
「ようこそ『黄金夢想卿』へ。うふふ」
そこに出迎えたのは黄金ににつかわない黒だった。
「黒の少女!?」
「どうして!?」
黒の少女は微笑みながら答えた。
「私も色ありの少女にしかすぎない。故にトリニティの王と呼ばれていますが、四天王の一人でもあります」
「こんなの聞いてないよ」
「流石に敵悪すぎかも・・・・」
「さぁさぁ、ぐちぐち言わないでかかって来なさい。お相手しますよ。ただし、ここまでたどり着いておいて期待外れだったら、ただでは殺しませんよ」
「くっ、やるしかないか」
「全く、勘弁してほしいよ」
「うふふ、やっとやる気出してくれましたか。そうこなくては」
黒の少女は構えた。
「ちょっと待ったぁー」
そこに突如、金髪の少女があらわれた。
「はぁ…はぁ…間に合った。ここ、テレポ妨害されてるから驚いたよ」
「チッ、レムですか。この裏切り者が」
「私は楽しい方につくの。あなた達、つまらないのよ」
「あら、言ってくれるじゃない。これだから気分屋の暴君は言うこと聞かないのが嫌なのよ」
「あなたこそ、ぐちぐち言わないでかかって来るなら来なさいよ」
「あら、ムカつくわね。なら、お望み通り相手をしてあげますわ。でも、後悔なさらないように。私はこれでもトリニティの王。暴君が相手だろうと私より強い色ありの少女はいない!」

ぐああああああアアアアアアーー!!

バキバキと体を変形しながら背中から黒い翼を広げた。

「天狗!?」
「あれが、空飛ぶ悪魔・・・・」
バサバサと空を高く飛ぶ黒の王と、金髪の暴君は睨み合った。
「真紀に山吹、この先に『嘆き姫』がいる。さぁ、行きな」
真紀と山吹は頷き、先に向かった。
「ふん、奴等が勝てると?」
「さぁね」
「ふふ、気分屋だとこと」 
「ふん」
「ではいきますか!」
黒の王は邪気を放った。

「  冷たい暗黒物質  」
  (アクシオン)

「破壊の蛇マサライ」

黒と水の蛇がぶつかり、周辺に衝撃波が響きわたる。




                               +  +  +


 その頃、真紀達は次のエリアに来ていた。
「真っ白だね」
「うん、何もないね」
今までのエリアと違い、風景何一つないただ真っ白が続く世界だった。
「なんか寂しいね」
「私はそれが悲しい感じがする」
「ふきちゃん?」

ぐすっ…

「来たね」
「うん」

ぐすっ…ぐすっぐすっ

ボトッ

突如、上から人形が落ちてきた。

ボトッ…

ボトッ…

いくつか落ちてきた人気はどれもよく見ると、今まで倒してきた色ありの少女達にそっくりだった。

ぐすっ…

人形は突然ひとりでに動き、メキメキと大きくなっていく。その際に、人形同士くっつき始め、とんでもない姿に変貌した。
「何あれ!?」
「あれが『嘆き姫』なの!?あれが神だって言うの!?」

人形同士はくっつき変貌した姿は、体から上は互いにの人形が潰れ合いながらも合体して、もはや外から見たら人形の足が無数にあちこっちに飛び出ているだけで、体と顔はない。唯一あるのは見知らぬ人形の姿が、上の方に顔を出してるぐらいである。
 しかも、その顔が不気味である。ピエロのような顔で目下には涙マークがついている。



 空中に浮遊するそれは、おかしな姿で、なぜそうなったのか知りたいぐらいだった。

ケケケケケケケケケケケケ

突然、ピエロは不気味な笑いをあげた。
「なに、こいつ。こんな奴が神だって?こんな奴が少女の嘆きを受け止めてたって?そんなの嘘!」
「真紀ちゃん!?」
「私、こいつが神だとは思わない。こいつは悲しみを背負った『嘆き姫』なんかじゃない。こいつはただ、少女の気持ちを利用した悪趣味な人形使いだ。そんな悪趣味な人形なんてぶっ壊してやる!!」
「真紀ちゃん・・・・」
真紀はピエロに向かって走った。

ケケケケケケケケケケケケ

真紀は破壊の金と灼熱業火の橙色を合わせ、無数の炎の刃を自身の周りに出現させた。

「  宮都徒の傀儡・千戦千刀阿修羅無双  」

真紀は無数の刀を手裏剣のように投げとばした。

ブスッ、ブスッ!

刃は人形達に刺さりこんだ。しかし、

ケケケケケケケケケケケケ

ピエロの笑いは止まらなかった。
「真紀ちゃん、多分あのピエロが本体だと思う。あいつを狙ってみて」
「うん・・・・」
「どうしたの?」
「さっきから狙ってるんだけど、当たらないんだよ。まるで、軌道を変えるみたいに」
「軌道を変えてる!?」

ケケケケケケケケケケケケ

「なら!」
山吹は念力でピエロの本体を他から引き抜こうとした。が、
「何で、能力が発動しないの?」
山吹が驚き、疑問に思ってると
「多分、あのピエロは能力を無効果する力があるんじゃないのかな」
「何ですって!?それじゃ、あいつに攻撃なんて出来ないじゃない」
「いや、実は似たのとアメリカで戦ったことがある。あれは周りの装甲が頑丈で苦戦したけど、相手が人形なら普通に能力なしでいけると思う。後は、あいつの周りにいる人形達をどうにかすれば」
「なんとかなるね。なら、大丈夫。ピエロ以外なら能力は通用するみたい。私は他の人形をやるから、真紀ちゃんはあのピエロをお願い」
「分かった」
二人は互いに見合い、そして『嘆き姫』に向かった。

ケケケケケケケケケ

突如、『嘆き姫』真下の影から無数の伏兵があらわれた。同じくピエロの形をした影が行進してやってくる。
「邪魔!」
真紀は炎刀から炎を吹き出し、ピエロの軍隊は壊滅させられた。
「ふきちゃん!」
「まかして」
山吹は、次々と風船を割るようにピエロの周りにいる人形を倒していく。
「覚悟しろ!!」
真紀はそのままピエロに刀を振りかざす。

ケケケケケケケケケ



                                  +  +  +


 その頃、レムと黒の王は派手に暴れていた。
「全く、往生際が悪いこと」
黒の王は翼を広げ、無数の羽を尖らせ放った。
「天狗のその邪魔な羽を一つずつ剥ぎ取ってやろう!」

グオオォォォーーーー!

水の蛇マサライは、尖らせ襲ってくる羽をそのまますり抜けさせ、ただ一点、翼を目指してその牙を向けた。


「あああぁぁぁぁーー!!」

グオオォォォーー

「おのれ!」
片方の翼を食いちぎられた黒の王・天狗は遂に怒り狂った。

「全てを滅却せよ、ブラック・ホール!」

マラサイの中心部に突然超重力があらわれ、水の蛇はそのまま重力に引き寄せられ、吸い込まれていった。

「北の業火・スルト」

「なっ!?」
突然、燃え盛る炎を間近に見る黒は驚いた。それが、自身が燃えている炎だと知るのは少しあとだった。




                               +  +  +



 グサッ!

ピエロの人形は確実に真紀の炎刀によって、胸を貫かれた。


ケケケケケケケケケケケケ


「な、何で」
それでも不気味に笑うピエロ。
「何がおかしいんだ!」
真紀は炎刀でグサグサに突き刺した。


ケケケケケケケケケケケケ


しかし、奴の笑いはとまらなかった。
「なんで、なんでよ」
真紀は奴の人形を今度は腕力で首と胴体を切り離した。


ケケケケケケケケケケケケ


「こいつ、首だけになっても笑いやがってる・・・・」


ケケケケケ……オマエラゼンインコノバデシネ


「!?」
「こいつ、しゃべりやがった」


ケケケケケケ、ケケケッ!ケ……ヴッ!!


突然、ピエロの人形の笑い声が止まった。そして、少し合間をあけてから、首だけになったピエロの頭から、なにかが飛び出そうと激しく動き出した。
「何!?何が始まろうとしてるの」
「わ・・・分からない」

ビリッ…ビリビリビリビリ

遂に耐えきれなくなった人形頭部は破れ、そこから黒い影が飛び出してきた。

ビュン!

「あれ、さっきの影みたいなのはどこいったの?」
「分からない・・・でも、さっきのはなんなの?なんか出てきたけど」
「さぁ?とにかくあれが本体だと思う。奴を探そう」
「うん」



                                   +  +  +



「いやあぁぁぁーーーー」
燃えるなか吠える黒に、金は笑っていた。
「なかなか派手な色になったじゃないか。黒一色なんて地味な色は、私気に入らなかったんだよ。これで少しは様になったじゃないか、黒の、王よ。ククッ」
「レムーーーー!」
「まだ、燃えながら踊るか、王よ!」

ビュン!

「!?」
素早く動く影がレムの視界に入った。それは黒の王の、燃え盛る悪魔の体内へと入っていった。

ドックン!

「あ・・ぁぁあああああああああああ!!」
バキバキと音を鳴らし、悪魔、黒の天狗は姿を変えていく。
 その姿にレムはいやな汗をかく。
「まだ姿を変えるか、黒の少女よ。お前はどこまで人間離れした姿になれば気がすむんだ」

グオオォォォーー!!

それはまさに、黒い巨体がいた

それは、神と恐れられたまことの怪物

その破壊力はまことの化物

その姿は黒きドラゴンだった

彼の遠吠えは滅びの合図

さぁ、始まる。世界の崩壊が
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