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第七章 巫女養成施設

9.戸惑い

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9.戸惑い




「わ、私は三年ほど巫女養成施設にいましたが、管理者が幾度となく変わっても卑下する言動に変化はなかったですよ? どんなに幼姫であっても過酷な労働を強いられていること。それは事実でした」

 私は、それが現実だったので、レイカルド様に怯むことなく言い返した。

「リアン、僕が責任持って改善させる。世継ぎの君にである兄上も僕と同じ意見だろうね。厳格で行動力のある彼の力を借りれば、早めに片付くはずだよ」

「……良かったです」

 感銘を受けた私はそう言い、自分の両手を伸ばして、レイカルド様に思わず抱きついていた。

「!?」

「これで、みな安心して、日々を暮らせるのですね? 私は村育ちだから労働には慣れていますが、来たばかりの姫君たちは、本当に可哀想で」

 私は、言葉を詰まらせると、そのままレイカルド様の暗紫色の装束にしがみつく。

「……リアンは、本当に優しいな」

  レイカルド様は、愛おしげに言って、白金の髪を優しく梳く。

「あ、当たり前のことですって」

 震える声音でそう言ったリアンの白い頬からは、一筋の涙が溢れていた。

「優しいよ。大丈夫、僕がどうにかするから、任せて」

 レイカルド様は、私の両肩を捉えると、自分にしがみつく彼女の上体を起こす。

 私の瞳に溢れる雫を、自分の唇で拭い取った。

 レイカルド様の行為に呆気として見ていた私だが、思わず瞼を閉じる。

 小さな唇へ重ねてきた彼の唇に、私は少し肩を震わせた。

 いつもの性急な誘いではない。

 レイカルド様は、労わるように私に触れてくる。

 私の両肩にあった自分の手を小さな手を包み込むように、レイカルド様は自分の左手で握りしめてもきた。

「!?」

 瞬時に、レイカルド様の手から、柔らかな波動が注ぎ込まれてくる。

 処女膜が破れた時に感じたから激痛を、自らの儀式にで行いながら癒してくれた、あの感覚と同じものだと、私は気付いた。

 横暴で意地悪だけど、優しいところがあるレイカルド様のこと。

 私は、心底戸惑っていた。
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