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第七章 巫女養成施設
6.左手
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6.左手
しばらくの間、私は羞恥に細かく身体を震わせていた。
それを尻目に仕事を終わらせた女官は、そのまま室の外へ出て行く。
案の定、レイカルド様は、扉が閉まる乾いた音を確認したのか。
すぐさま顔を上げたレイカルド様は、濡れてしまった唇を舌先で舐め、息を切らして熟れた唇を手の甲で拭う私を愉しげに見ていた。
「ルアン、久しぶりだね」
「……お久しぶりです」
別に会いたくなかったのに。
私は、心の内でぼやいている。
口に出さなくても私の表情に滲んでいる不機嫌さは、どうしても隠しきれずにいた。
「リアンは、どうして笑ってくれないのかねえ?」
「だ、だって、レイカルド様は意地悪すぎるから」
思わず私は毒づき、頬を膨らませてしまう。
「そんなことはないよ。それよりもリアン、左手を出してくれないかなあ?」
レイカルド様は、そう言って、私のか細い身体を自分の胸元から引き剥がす。
「え?」
「だから、左手を出して、リアン」
レイカルド様にそう言われても、困惑を隠しきれないルアンは俯いてしまう。
「わ、私の左手を見なくても、問題はないですよ? レイカルド様が思っているよりも、私自身魔術はそんなに扱えません」
第二の天性といっていい、あらゆる万物を感知する触手の左手と唇。
それを自在に操ることが出来るものや特殊なものは、左手からその力量を感知することも可能とされていた。
「リアンを調べるとかじゃない。ともかく左手を出して」
「で、でも」
「リアン」
従わない私に対し、レイカルド様は威圧するように低い声音で命じてきた。
しばらくの間、私は羞恥に細かく身体を震わせていた。
それを尻目に仕事を終わらせた女官は、そのまま室の外へ出て行く。
案の定、レイカルド様は、扉が閉まる乾いた音を確認したのか。
すぐさま顔を上げたレイカルド様は、濡れてしまった唇を舌先で舐め、息を切らして熟れた唇を手の甲で拭う私を愉しげに見ていた。
「ルアン、久しぶりだね」
「……お久しぶりです」
別に会いたくなかったのに。
私は、心の内でぼやいている。
口に出さなくても私の表情に滲んでいる不機嫌さは、どうしても隠しきれずにいた。
「リアンは、どうして笑ってくれないのかねえ?」
「だ、だって、レイカルド様は意地悪すぎるから」
思わず私は毒づき、頬を膨らませてしまう。
「そんなことはないよ。それよりもリアン、左手を出してくれないかなあ?」
レイカルド様は、そう言って、私のか細い身体を自分の胸元から引き剥がす。
「え?」
「だから、左手を出して、リアン」
レイカルド様にそう言われても、困惑を隠しきれないルアンは俯いてしまう。
「わ、私の左手を見なくても、問題はないですよ? レイカルド様が思っているよりも、私自身魔術はそんなに扱えません」
第二の天性といっていい、あらゆる万物を感知する触手の左手と唇。
それを自在に操ることが出来るものや特殊なものは、左手からその力量を感知することも可能とされていた。
「リアンを調べるとかじゃない。ともかく左手を出して」
「で、でも」
「リアン」
従わない私に対し、レイカルド様は威圧するように低い声音で命じてきた。
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