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第2章.横暴な言動。
6.困惑。
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6.困惑。
私の気持ちとは逆に、 レイカルド様は動いてしまった。
レイカルド様は、胡座を解き、腰を起こして両膝を立てると、自分の大きな両手で私の両頬を挟んでしまう。
これ以上触れないで欲しいのに。
なぜ触れてくる?
「いいねえ。気丈な黒真珠の瞳といい、僕好みかも」
「な、何を仰っているのですか?」
突拍子のない言葉に、私はいっそう目を吊り上げた。
それでも声は、震えている。
震えずにはいられない。
「それに怯まず僕を助けてくれようと言ったその度胸、気に入ったよ」
「だ、だから、何を仰っているのですか? 人助けとは至極当たり前のことでしょう? 違いますか?」
私自身、風雅な美貌のレイカルド様に、まじかに覗き込まれては戸惑いを隠しきれない。
それでも怯んでは、レイカルド様に、今の状況に負けてしまいそうで、気丈に言い放つ。
「……確かにそうだけどねえ。それでもリアン、怖くはなかったの? あの状況が危険すぎたのはわかっていただろうし」
「こ、怖かったけど、逃げようにも、すぐにはなかなか無理だったし」
「もしかして、逃げるつもりではいたの? ハレットから逃げられるとでも思っていたわけ?」
「逃げようと思えば、何とか出来ましたよ。落ち着けば。それでもあのまま放っておくには、心が痛むわけで。それならば、最善を尽くすもの。そうでしょう?」
顔を顰めた私は、レイカルドの左右違う瞳をじっと見つめる。
見つめるより、睨んでいるのに近いのに。
レイカルド様は、心配そうに優しげに言うくせに、私の様子を面白げに見ているだけ。
それが手に取るようにわかる。
全然、睨みが効かない。
私と違い、平然としているのがとても悔しい。
妙な苛立ちが募る。
「そうかもね。本当、はっきりしていていいかも」
レイカルドは、ふっと鼻先で笑う。
何か言いかけた私の唇に、自分の唇を合わせてきた。
※お読みいただき、ありがとうございます。
私の気持ちとは逆に、 レイカルド様は動いてしまった。
レイカルド様は、胡座を解き、腰を起こして両膝を立てると、自分の大きな両手で私の両頬を挟んでしまう。
これ以上触れないで欲しいのに。
なぜ触れてくる?
「いいねえ。気丈な黒真珠の瞳といい、僕好みかも」
「な、何を仰っているのですか?」
突拍子のない言葉に、私はいっそう目を吊り上げた。
それでも声は、震えている。
震えずにはいられない。
「それに怯まず僕を助けてくれようと言ったその度胸、気に入ったよ」
「だ、だから、何を仰っているのですか? 人助けとは至極当たり前のことでしょう? 違いますか?」
私自身、風雅な美貌のレイカルド様に、まじかに覗き込まれては戸惑いを隠しきれない。
それでも怯んでは、レイカルド様に、今の状況に負けてしまいそうで、気丈に言い放つ。
「……確かにそうだけどねえ。それでもリアン、怖くはなかったの? あの状況が危険すぎたのはわかっていただろうし」
「こ、怖かったけど、逃げようにも、すぐにはなかなか無理だったし」
「もしかして、逃げるつもりではいたの? ハレットから逃げられるとでも思っていたわけ?」
「逃げようと思えば、何とか出来ましたよ。落ち着けば。それでもあのまま放っておくには、心が痛むわけで。それならば、最善を尽くすもの。そうでしょう?」
顔を顰めた私は、レイカルドの左右違う瞳をじっと見つめる。
見つめるより、睨んでいるのに近いのに。
レイカルド様は、心配そうに優しげに言うくせに、私の様子を面白げに見ているだけ。
それが手に取るようにわかる。
全然、睨みが効かない。
私と違い、平然としているのがとても悔しい。
妙な苛立ちが募る。
「そうかもね。本当、はっきりしていていいかも」
レイカルドは、ふっと鼻先で笑う。
何か言いかけた私の唇に、自分の唇を合わせてきた。
※お読みいただき、ありがとうございます。
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