上 下
18 / 74
第2章.横暴な言動。

6.困惑。

しおりを挟む
6.困惑。

  

 私の気持ちとは逆に、 レイカルド様は動いてしまった。

レイカルド様は、胡座を解き、腰を起こして両膝を立てると、自分の大きな両手で私の両頬を挟んでしまう。

これ以上触れないで欲しいのに。

なぜ触れてくる?

「いいねえ。気丈な黒真珠の瞳といい、僕好みかも」

「な、何を仰っているのですか?」

突拍子のない言葉に、私はいっそう目を吊り上げた。

それでも声は、震えている。

震えずにはいられない。

「それに怯まず僕を助けてくれようと言ったその度胸、気に入ったよ」

 「だ、だから、何を仰っているのですか? 人助けとは至極当たり前のことでしょう? 違いますか?」

 私自身、風雅な美貌のレイカルド様に、まじかに覗き込まれては戸惑いを隠しきれない。

それでも怯んでは、レイカルド様に、今の状況に負けてしまいそうで、気丈に言い放つ。

「……確かにそうだけどねえ。それでもリアン、怖くはなかったの? あの状況が危険すぎたのはわかっていただろうし」

「こ、怖かったけど、逃げようにも、すぐにはなかなか無理だったし」

「もしかして、逃げるつもりではいたの? ハレットから逃げられるとでも思っていたわけ?」

「逃げようと思えば、何とか出来ましたよ。落ち着けば。それでもあのまま放っておくには、心が痛むわけで。それならば、最善を尽くすもの。そうでしょう?」

顔を顰めた私は、レイカルドの左右違う瞳をじっと見つめる。

見つめるより、睨んでいるのに近いのに。

レイカルド様は、心配そうに優しげに言うくせに、私の様子を面白げに見ているだけ。

それが手に取るようにわかる。

全然、睨みが効かない。

私と違い、平然としているのがとても悔しい。

妙な苛立ちが募る。

「そうかもね。本当、はっきりしていていいかも」

レイカルドは、ふっと鼻先で笑う。
 
何か言いかけた私の唇に、自分の唇を合わせてきた。






 ※お読みいただき、ありがとうございます。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生

花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。 女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感! イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

籠の鳥の啼く、

おじょく
恋愛
高校一年生になったばかりの小鳥遊 千鶴は交通事故により両親を亡くしてしまう。 頼れる身寄りはいないと思っていたが、そんな千鶴の元に母親の兄である伯父が現れる。 「君が千鶴ちゃんだね。よかったらうちに来ないかい?」 他に頼れる人が居なかった千鶴は伯父に着いて行くことに。 伯父が経営しているという旅館でバイトをしながら過ごす事になった千鶴であったが、彼女はこの新しい生活によって伯父の狂った愛をその身に受ける事になる……。 ーーーーーーーーーー 伯父(40代男)×養女(16歳元JK) 兄妹の近親相姦を仄めかす表現があり、今後描写する可能性があります。 性描写があるタイトルには*がつけられており、冒頭に要素の注釈が入ります。 基本的にはレイプ、強姦、望まない性行為を取り扱っております。 本作そのような犯罪行為を助長する目的で書かれているものではありません。あくまで娯楽としての読み物としてお楽しみ下さい。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

r18短編集

ノノ
恋愛
R18系の短編集 過激なのもあるので読む際はご注意ください

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

処理中です...