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バレンタイン2
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ちょっと過ぎてしまいました。すみません……。
ちらっとだけキスシーンがあります。
――――――――†
「遊紗……これどうしたらいいんだ?」
「ん? ああ、それは温度がもうちょっと下がるまで待って」
マンションのくせに何故か存在する広いアイランドキッチンで、僕と有栖はチョコ作りに勤しんでいた。
去年のバレンタインは僕が有栖に手作りのチョコをあげたのだけど、今年は有栖が『一緒に作りたい』と言うのでそうすることにしたのだ。
一緒に作って、一緒に片付けして、一緒に食べて。贈り物として見れば一見意味のない行為だけど、その”一緒に過ごす時間”というものが、僕たちにとっては大切だった。
有栖はまた少しずつ忙しくなってきているから、こういう時間も減っていくだろう。その中でこうしてのんびり過ごせるのは、とても幸せなことだった。
レシピを見ながら試行錯誤しているのを、冴木さんは微笑ましげに眺めている。彼も手伝ってくれるのかと思ったけれど、それはせずに家事などをしてくれている。今は休憩時間なのか、紅茶を片手にテーブルで優雅にくつろいでいた。後でお茶菓子に試作品を味見してもらおう。
有栖が苦戦していた湯煎の温度が丁度良くなり、湯煎用のボウルの上に砕いたチョコが入ったボウルを重ねる。
「どうしてこんな面倒くさいことをするんだろうな。鍋で煮ても良さそうなものだが」
「うん。僕も最初はそう思ったけど。鍋だと弱火でも火力が強くて、すぐ溶けるけど焦げやすくもあるんだ。焦げ味が入っちゃったら勿体ないし、だから湯煎するんだと思う」
「なるほどな」
有栖は納得した様子でゴムべらを持ち、溶け始めたチョコをかき回した。
全部溶けたら、そこにバターやら生クリームやらを入れて混ぜる。
「”常温バター”って、料理でも厄介者だよな」
「分かる。使うなら、レシピの最初に”バターを常温に戻しておく”って書いといて欲しいよね」
レシピの途中で突然現れる”常温に戻したバター”は、先に気付いておかないと後々面倒くさいことになる。今すぐに入れなければならないときに、用意したのが冷たいままのバターだった時の絶望感は大きい。
今回はちゃんとレシピを先に最後まで読んで、それから始めたので大丈夫だ。
「溶けた。……味見するか?」
ほい、と差し出されたスプーンに、とろとろのチョコが乗っていた。美味しいものしか入っていないし、溶かしただけだから絶対美味しいと思うけど、せっかくだからとスプーンにかぶりついた。
うん、美味しい。
美味しいよ、と言おうと有栖を見上げると、彼はこちらをじっと見ていた。
「どうしたの?」
「…………あ、いや……美味しそうだな、と思って」
「うん、美味しいよ。有栖も食べる?」
「……あ、うん」
有栖は一瞬気まずそうにチラッと冴木さんを見て、それから自分でスプーンを用意して味見した。美味しい、と呟く。
冴木さんにだけあげてないのが気まずいのかな。僕はそう考えて、冴木さんにもチョコを乗せたスプーンを持って行った。
溶けたチョコを、店で買ってきたタルト生地に流し込み、固まるまで冷やせばできあがりだ。去年は小さいタルトをいくつか作ったけど、今年はホールの生地を買ってきたから、固まったら三人で切って食べるつもりだ。
生チョコは有栖のお勧めを買ってきてくれたので、作ることはしない。
流し込んでいる間に、冴木さんはふらりと何処かへ行ってしまった。
「なあ、遊沙」
「ん、何?」
チョコの表面が平らになるようにトントンと振動を与えていると、有栖が声をかけてきた。聞き返したが、返事がない。
不思議に思って顔を上げると、何故か耳まで真っ赤にしてそっぽを向いていた。
「有栖?」
「いや、そ、その」
「…………なに?」
「き、ききき、キス、しても?」
「え、いいけど……。どこに?」
「く、口」
「え」
どうしてこの状況で口にキスをしたくなるのかが分からなかったけど、別に嫌な気分でもなかった。かといって急に許可は出来ない。だって心の準備がいるから。
「えっと、どうして急に?」
「急というか、割とずっとしたかった」
その顔で言われると心臓に悪いんだけど。
「あのな、普通こういうイベントはイチャイチャするものだろ? 遊沙は浮かれない所も可愛くて好きだけど、俺はそうもいかなくて、ちょっと浮かれていて、だな」
「うん……?」
「そもそも、エプロン着て横で一緒に料理……とか、俺が差し出したスプーンでそのまま食べる……とか、もう恋人以上っていうか結婚っていうか」
「?」
もごもご何か言っているけど、正直何を言っているのか全然分からない。
「よく分かんないけど、したいの?」
「うん」
「えーっと、ちょっと待って」
今まであちこちに散々されてきたし、きっと口でも大丈夫なはずだ。多分。
何とか気持ちを落ち着かせて有栖に向き合う。
「はい、良いよ」
「…………」
有栖は黙って目を細めて、顔をゆっくり近付けた。
唇に暖かい何かがコツンと当たって、それを柔らかいなと感じるか否かの短い時間。
「…………はあぁ。ごめん、キャパ、無理」
すぐに顔が離れて僕の肩に有栖の頭が乗る。
情報処理中のパソコン並みに熱い顔は、先程よりも数倍赤くなっていた。
「わっ」
そのまま抱きしめられて、くっついたまま離れなくなってしまった。ちょっと重いし痛いんだけど、まあいいか。肩に乗っている頭を撫でると、頭で肩をぐりぐりされる。なんか面白いなあ。口も、緊張したけど嫌ではなかったし。
ああ、だけど。
タルト、冷蔵庫に入れられなくなっちゃったな。
後で冴木さんに頼もうか。
さらさらした彼の髪を梳きながら、大きな猫みたいだなぁ、と微笑ましくなった。
ちらっとだけキスシーンがあります。
――――――――†
「遊紗……これどうしたらいいんだ?」
「ん? ああ、それは温度がもうちょっと下がるまで待って」
マンションのくせに何故か存在する広いアイランドキッチンで、僕と有栖はチョコ作りに勤しんでいた。
去年のバレンタインは僕が有栖に手作りのチョコをあげたのだけど、今年は有栖が『一緒に作りたい』と言うのでそうすることにしたのだ。
一緒に作って、一緒に片付けして、一緒に食べて。贈り物として見れば一見意味のない行為だけど、その”一緒に過ごす時間”というものが、僕たちにとっては大切だった。
有栖はまた少しずつ忙しくなってきているから、こういう時間も減っていくだろう。その中でこうしてのんびり過ごせるのは、とても幸せなことだった。
レシピを見ながら試行錯誤しているのを、冴木さんは微笑ましげに眺めている。彼も手伝ってくれるのかと思ったけれど、それはせずに家事などをしてくれている。今は休憩時間なのか、紅茶を片手にテーブルで優雅にくつろいでいた。後でお茶菓子に試作品を味見してもらおう。
有栖が苦戦していた湯煎の温度が丁度良くなり、湯煎用のボウルの上に砕いたチョコが入ったボウルを重ねる。
「どうしてこんな面倒くさいことをするんだろうな。鍋で煮ても良さそうなものだが」
「うん。僕も最初はそう思ったけど。鍋だと弱火でも火力が強くて、すぐ溶けるけど焦げやすくもあるんだ。焦げ味が入っちゃったら勿体ないし、だから湯煎するんだと思う」
「なるほどな」
有栖は納得した様子でゴムべらを持ち、溶け始めたチョコをかき回した。
全部溶けたら、そこにバターやら生クリームやらを入れて混ぜる。
「”常温バター”って、料理でも厄介者だよな」
「分かる。使うなら、レシピの最初に”バターを常温に戻しておく”って書いといて欲しいよね」
レシピの途中で突然現れる”常温に戻したバター”は、先に気付いておかないと後々面倒くさいことになる。今すぐに入れなければならないときに、用意したのが冷たいままのバターだった時の絶望感は大きい。
今回はちゃんとレシピを先に最後まで読んで、それから始めたので大丈夫だ。
「溶けた。……味見するか?」
ほい、と差し出されたスプーンに、とろとろのチョコが乗っていた。美味しいものしか入っていないし、溶かしただけだから絶対美味しいと思うけど、せっかくだからとスプーンにかぶりついた。
うん、美味しい。
美味しいよ、と言おうと有栖を見上げると、彼はこちらをじっと見ていた。
「どうしたの?」
「…………あ、いや……美味しそうだな、と思って」
「うん、美味しいよ。有栖も食べる?」
「……あ、うん」
有栖は一瞬気まずそうにチラッと冴木さんを見て、それから自分でスプーンを用意して味見した。美味しい、と呟く。
冴木さんにだけあげてないのが気まずいのかな。僕はそう考えて、冴木さんにもチョコを乗せたスプーンを持って行った。
溶けたチョコを、店で買ってきたタルト生地に流し込み、固まるまで冷やせばできあがりだ。去年は小さいタルトをいくつか作ったけど、今年はホールの生地を買ってきたから、固まったら三人で切って食べるつもりだ。
生チョコは有栖のお勧めを買ってきてくれたので、作ることはしない。
流し込んでいる間に、冴木さんはふらりと何処かへ行ってしまった。
「なあ、遊沙」
「ん、何?」
チョコの表面が平らになるようにトントンと振動を与えていると、有栖が声をかけてきた。聞き返したが、返事がない。
不思議に思って顔を上げると、何故か耳まで真っ赤にしてそっぽを向いていた。
「有栖?」
「いや、そ、その」
「…………なに?」
「き、ききき、キス、しても?」
「え、いいけど……。どこに?」
「く、口」
「え」
どうしてこの状況で口にキスをしたくなるのかが分からなかったけど、別に嫌な気分でもなかった。かといって急に許可は出来ない。だって心の準備がいるから。
「えっと、どうして急に?」
「急というか、割とずっとしたかった」
その顔で言われると心臓に悪いんだけど。
「あのな、普通こういうイベントはイチャイチャするものだろ? 遊沙は浮かれない所も可愛くて好きだけど、俺はそうもいかなくて、ちょっと浮かれていて、だな」
「うん……?」
「そもそも、エプロン着て横で一緒に料理……とか、俺が差し出したスプーンでそのまま食べる……とか、もう恋人以上っていうか結婚っていうか」
「?」
もごもご何か言っているけど、正直何を言っているのか全然分からない。
「よく分かんないけど、したいの?」
「うん」
「えーっと、ちょっと待って」
今まであちこちに散々されてきたし、きっと口でも大丈夫なはずだ。多分。
何とか気持ちを落ち着かせて有栖に向き合う。
「はい、良いよ」
「…………」
有栖は黙って目を細めて、顔をゆっくり近付けた。
唇に暖かい何かがコツンと当たって、それを柔らかいなと感じるか否かの短い時間。
「…………はあぁ。ごめん、キャパ、無理」
すぐに顔が離れて僕の肩に有栖の頭が乗る。
情報処理中のパソコン並みに熱い顔は、先程よりも数倍赤くなっていた。
「わっ」
そのまま抱きしめられて、くっついたまま離れなくなってしまった。ちょっと重いし痛いんだけど、まあいいか。肩に乗っている頭を撫でると、頭で肩をぐりぐりされる。なんか面白いなあ。口も、緊張したけど嫌ではなかったし。
ああ、だけど。
タルト、冷蔵庫に入れられなくなっちゃったな。
後で冴木さんに頼もうか。
さらさらした彼の髪を梳きながら、大きな猫みたいだなぁ、と微笑ましくなった。
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