29 / 86
第二章 聖メディアーノ学園編
29 薬学院のアリア
しおりを挟む
放課後になると、マナはユリカが心配するのを知りつつも、メラメラを抱いて一人で校舎の庭園を歩いていた。昨日の一件に、昼間はアルカードが怒るのを初めて見て衝撃を受けた。それに加えて、ティア姫の存在が常にマナを苦しくさせる。嫌な思いが複雑に絡み合って、どうしても一人になりたい気分だった。
マナが思考を空にして庭園を歩いていると、
「マナ~、きれいなお花があるよ」
メラメラの差す垣根の向こうに、色鮮やかな草花が見えた。ふらりとそれに向かって歩き、人が通れるように作ってある垣根の隙間から隣の敷地に入った。それからは花壇の前に蹲って、じっと紫色の小さな草花を見つめていた。
メラメラが腕を伸ばして、小さな花を指でつついていると、籠を持った女性が現れて、マナから少し離れた場所に同じように蹲った。だいぶ年配の女性だが、赤味がかった銀髪が斜陽に輝く美しい人であった。彼女は白いローブ姿で、マナの感覚では、聖職者のようにも魔法使いのようにも見えた。
マナが何となく女性の方を見ていると、彼女は草花を摘んで籠の中に入れ始める。そして、少しずつマナの方に寄ってきて、ついにマナが見ていた紫色の花を引っこ抜いた。
「あ~っ、とった~」
メラメラが声を出すと、女性が振り向いた。その時に、彼女の肩の上で切りそろえた髪がさらりと揺れる。
「まあ、可愛らしいフェアリーね」
「あの、どうして花を摘んでいるんですか?」
女性の籠に入っている草花は、飾るにしては小ぶりだった。
「この花壇にあるものは、全部薬草なのよ」
微笑んで言う女性を見ると、マナは懐かしいような切ないような不思議な気持ちになった。
「あなたはお隣の生徒さんね、薬草に興味がおあり?」
「あの、すみません、この花壇にあるのが薬草だなんて、全然分かりませんでした……」
一応、マナはシャルの教えの下で薬草の勉強をしている。けれど、花壇の花たちが薬草と分らず、少しショックだった。
「何か悩みでもあるのかしら?」
「え!?」
急に確信を突かれて、マナは声を上げてしまった。
「マナね、怒られたの」
「あら、そうなの」
メラメラの説明に、女性が笑いを含みながら答える。マナは穴があったら入りたい気持ちになった。そして彼女は、マナを優し気に見つめて言った。
「わたしの娘も何かあると、あなたのように一人で悩んでいました」
マナは、目の前にいるこの人に、自分の悩みを聞いてほしいと心底思った。けれど、マナにそれを口に出す勇気はなかった。マナが俯いていると、彼女が言った。
「良かったら、わたしの部屋にいらっしゃいな、とっておきのハーブティーをご馳走しますよ」
「は、はい、行きたいです」
女性はマナの心を知っているかのようであった。
マナは女性に付いて薬学院の校舎に足を踏み入れた。石造りのビルともいえるこの学校は、ロディスでは先進的な建造物だ。校内の雰囲気は、聖メディアーノ学園とは全く違っていた。放課後なので残っている生徒は少なかったが、彼らの醸す空気に、マナは親しみを感じる。それに、学園にいる時よりも心が安らいだ。
――ここは、普通の学校なんだ。
薬学院の雰囲気は、マナが知っている学校とよく似ている。薬学院は貴族もいるが、平民も多い。全ての生徒が薬師を目指して勉強する同志であり、校内において身分の上下は排除されていた。校則にも、身分の上下は認めず、全ての生徒が平等であると記される。破った者は例え王族でも処罰される。それほどに薬師の権威は強大なのだ。
女性は階段で、どんどん上に行って、マナは黙って付いていく。やがて最上階の三階の一部屋の前に着いた。その部屋の扉がとても立派で、明らかに教室などとは違う。
女性は観音開きの扉の片方を押し開いて入っていく。
「さあ、お入りなさい」
マナは入った瞬間、その部屋のあまりの広さに呆然とした。正面は全てガラス張りで、たっぷりと日が射して明るい。入り口に近い隅の方に客をもてなすソファーとテーブルがあり、壁際は本棚が隙間なく並んでいた。窓から少し離れたところに、ぽつんと机があって、端の方に書類が積んであった。
「お茶を用意する間、そこのソファーで休んでいてね」
「はいぃっ」
マナは変に緊張した声を出して、ぎこちない動きでソファーの方に歩いた。
「マナ、歩くの変だぞ」
メラメラが目ざとく突っ込んできて、マナは苦笑いしてしまうのであった。
女性は本棚の間にある隙間に入り込んで姿を消す。マナがよく見ると、本棚と本棚の間に小さな扉があり、奥に様々な実験器具のようなものが見える。
ソファーに落ち着いて部屋を見渡して、マナはもしやと思う。しばらくして、女性がトレイに茶器を乗せて現れ、それをテーブルの上に乗せた時に、マナは思わず聞いてしまった。
「おばさんって、もしかして、すごく偉い人ですか?」
マナは聞いてしまってから、失礼な事を言ったかもしれないと、内心冷やりとする。すると、女性は上品に笑って言った。
「偉いかどうかは分からないけれど、薬学院の院長をやっているわ。アリア・フェローナよ」
マナは無意識に立ち上がって頭を下げていた。
「申し遅れました、マナ・シーリングと申します」
「うふふ、変わった子ねぇ。わたしなんて、ただのおばさんよ、そんなに緊張しないでちょうだい」
アリアはポットからカップにお茶を注ぎながら言った。
「さあ、めしあがれ、リラックスできるわよ。フェアリーちゃんは、こっちのキャンディーをどうぞ」
「うわぁ~い、あま~いキャンディーだ~」
マナがお茶を一口すすると、口の中に爽やかな風味が広がって、えも言われぬ香りが鼻を抜けていく。そして、胸の底からほっと一息吐くことができた。
「とっても美味しいです」
「そうでしょう、わたしのオリジナルブレンドよ」
アリアはマナの正面に座って、穏やかに微笑んでいた。見つめられたマナは、俯いて目を逸らしてしまう。
「よかったら、お話を聞きましょうか?」
「はい、お願いします」
そう言った時のマナは、まっすぐに前を向いて、アリアの目を見つめていた。余り物言わぬマナが、アリアの前ではすらすらと話をする事が出来た。アルメリアに激昂された事から始まり、ティア姫に対する気持ち、お昼休みの一件まで、悩んでいる事を何もかも全て打ち明けた。話を聞いたアリアは、優し気な眼差しをマナに向けて言った。
「アルメリアは、この学校の生徒だったので良く知っています。きっとあの子なりの考えがあって、あなたを叱ったのでしょう。確かに言えることは、アルメリアに悪意はないという事です」
マナはアリアの目をしっかり見て、真剣に話を聞いていた。メラメラはその横で、色とりどりのキャンディーに夢中である。
「その人に及ばないからと卑下する必要はありません。あなたはあなた、他人とは違うのです。マナ・シーリングらしく生きて、マナ・シーリングらしく努力して下さい、わたしはそれを望んでいます」
そして最後に、とアリアは続けた。
「殿下が神薬革命に強い反応を示すのは当然の事なのですよ。それは王妃から直接聞いてみても良いでしょう」
「え!? い、いいんですか、聞いちゃって?」
「いいですよ、わたしが許可します」
アリアの身分は分からないが、王妃より上なはずはない。それなのに、その言葉には異様な説得力があった。
アリアのおかげで、マナの溜飲はすっかり下がった。陰りのあった表情も明るくなり、話が終わるころには笑顔さえ見せた。
アリアは最後にこう言った。
「あなたにとって、この世界はどうですか?」
マナはその言葉に何の疑問も抱かずに、ただ胸の奥から湧いてくる清水のように濁りのない言葉を伝えた。
「とても、温かいです」
その時のアリアの微笑みは、マナの胸に深い郷愁をもたらす。
「また、いつでもいらっしゃい」
それはまるで母のように温かい言葉だった。
マナが薬学院の校舎を出る頃には、庭園に夕焼けが落ちていた。マナは名残惜しい気持ちがあって、校舎の三階の窓を見上げる。抱かれているメラメラは、キャンディーをお土産に貰って嬉しそうだった。
マナは誰も見ていないのならと、アリアの印象から受けた抑えきれない思いを声に出した。
「お母さん」
マナが思考を空にして庭園を歩いていると、
「マナ~、きれいなお花があるよ」
メラメラの差す垣根の向こうに、色鮮やかな草花が見えた。ふらりとそれに向かって歩き、人が通れるように作ってある垣根の隙間から隣の敷地に入った。それからは花壇の前に蹲って、じっと紫色の小さな草花を見つめていた。
メラメラが腕を伸ばして、小さな花を指でつついていると、籠を持った女性が現れて、マナから少し離れた場所に同じように蹲った。だいぶ年配の女性だが、赤味がかった銀髪が斜陽に輝く美しい人であった。彼女は白いローブ姿で、マナの感覚では、聖職者のようにも魔法使いのようにも見えた。
マナが何となく女性の方を見ていると、彼女は草花を摘んで籠の中に入れ始める。そして、少しずつマナの方に寄ってきて、ついにマナが見ていた紫色の花を引っこ抜いた。
「あ~っ、とった~」
メラメラが声を出すと、女性が振り向いた。その時に、彼女の肩の上で切りそろえた髪がさらりと揺れる。
「まあ、可愛らしいフェアリーね」
「あの、どうして花を摘んでいるんですか?」
女性の籠に入っている草花は、飾るにしては小ぶりだった。
「この花壇にあるものは、全部薬草なのよ」
微笑んで言う女性を見ると、マナは懐かしいような切ないような不思議な気持ちになった。
「あなたはお隣の生徒さんね、薬草に興味がおあり?」
「あの、すみません、この花壇にあるのが薬草だなんて、全然分かりませんでした……」
一応、マナはシャルの教えの下で薬草の勉強をしている。けれど、花壇の花たちが薬草と分らず、少しショックだった。
「何か悩みでもあるのかしら?」
「え!?」
急に確信を突かれて、マナは声を上げてしまった。
「マナね、怒られたの」
「あら、そうなの」
メラメラの説明に、女性が笑いを含みながら答える。マナは穴があったら入りたい気持ちになった。そして彼女は、マナを優し気に見つめて言った。
「わたしの娘も何かあると、あなたのように一人で悩んでいました」
マナは、目の前にいるこの人に、自分の悩みを聞いてほしいと心底思った。けれど、マナにそれを口に出す勇気はなかった。マナが俯いていると、彼女が言った。
「良かったら、わたしの部屋にいらっしゃいな、とっておきのハーブティーをご馳走しますよ」
「は、はい、行きたいです」
女性はマナの心を知っているかのようであった。
マナは女性に付いて薬学院の校舎に足を踏み入れた。石造りのビルともいえるこの学校は、ロディスでは先進的な建造物だ。校内の雰囲気は、聖メディアーノ学園とは全く違っていた。放課後なので残っている生徒は少なかったが、彼らの醸す空気に、マナは親しみを感じる。それに、学園にいる時よりも心が安らいだ。
――ここは、普通の学校なんだ。
薬学院の雰囲気は、マナが知っている学校とよく似ている。薬学院は貴族もいるが、平民も多い。全ての生徒が薬師を目指して勉強する同志であり、校内において身分の上下は排除されていた。校則にも、身分の上下は認めず、全ての生徒が平等であると記される。破った者は例え王族でも処罰される。それほどに薬師の権威は強大なのだ。
女性は階段で、どんどん上に行って、マナは黙って付いていく。やがて最上階の三階の一部屋の前に着いた。その部屋の扉がとても立派で、明らかに教室などとは違う。
女性は観音開きの扉の片方を押し開いて入っていく。
「さあ、お入りなさい」
マナは入った瞬間、その部屋のあまりの広さに呆然とした。正面は全てガラス張りで、たっぷりと日が射して明るい。入り口に近い隅の方に客をもてなすソファーとテーブルがあり、壁際は本棚が隙間なく並んでいた。窓から少し離れたところに、ぽつんと机があって、端の方に書類が積んであった。
「お茶を用意する間、そこのソファーで休んでいてね」
「はいぃっ」
マナは変に緊張した声を出して、ぎこちない動きでソファーの方に歩いた。
「マナ、歩くの変だぞ」
メラメラが目ざとく突っ込んできて、マナは苦笑いしてしまうのであった。
女性は本棚の間にある隙間に入り込んで姿を消す。マナがよく見ると、本棚と本棚の間に小さな扉があり、奥に様々な実験器具のようなものが見える。
ソファーに落ち着いて部屋を見渡して、マナはもしやと思う。しばらくして、女性がトレイに茶器を乗せて現れ、それをテーブルの上に乗せた時に、マナは思わず聞いてしまった。
「おばさんって、もしかして、すごく偉い人ですか?」
マナは聞いてしまってから、失礼な事を言ったかもしれないと、内心冷やりとする。すると、女性は上品に笑って言った。
「偉いかどうかは分からないけれど、薬学院の院長をやっているわ。アリア・フェローナよ」
マナは無意識に立ち上がって頭を下げていた。
「申し遅れました、マナ・シーリングと申します」
「うふふ、変わった子ねぇ。わたしなんて、ただのおばさんよ、そんなに緊張しないでちょうだい」
アリアはポットからカップにお茶を注ぎながら言った。
「さあ、めしあがれ、リラックスできるわよ。フェアリーちゃんは、こっちのキャンディーをどうぞ」
「うわぁ~い、あま~いキャンディーだ~」
マナがお茶を一口すすると、口の中に爽やかな風味が広がって、えも言われぬ香りが鼻を抜けていく。そして、胸の底からほっと一息吐くことができた。
「とっても美味しいです」
「そうでしょう、わたしのオリジナルブレンドよ」
アリアはマナの正面に座って、穏やかに微笑んでいた。見つめられたマナは、俯いて目を逸らしてしまう。
「よかったら、お話を聞きましょうか?」
「はい、お願いします」
そう言った時のマナは、まっすぐに前を向いて、アリアの目を見つめていた。余り物言わぬマナが、アリアの前ではすらすらと話をする事が出来た。アルメリアに激昂された事から始まり、ティア姫に対する気持ち、お昼休みの一件まで、悩んでいる事を何もかも全て打ち明けた。話を聞いたアリアは、優し気な眼差しをマナに向けて言った。
「アルメリアは、この学校の生徒だったので良く知っています。きっとあの子なりの考えがあって、あなたを叱ったのでしょう。確かに言えることは、アルメリアに悪意はないという事です」
マナはアリアの目をしっかり見て、真剣に話を聞いていた。メラメラはその横で、色とりどりのキャンディーに夢中である。
「その人に及ばないからと卑下する必要はありません。あなたはあなた、他人とは違うのです。マナ・シーリングらしく生きて、マナ・シーリングらしく努力して下さい、わたしはそれを望んでいます」
そして最後に、とアリアは続けた。
「殿下が神薬革命に強い反応を示すのは当然の事なのですよ。それは王妃から直接聞いてみても良いでしょう」
「え!? い、いいんですか、聞いちゃって?」
「いいですよ、わたしが許可します」
アリアの身分は分からないが、王妃より上なはずはない。それなのに、その言葉には異様な説得力があった。
アリアのおかげで、マナの溜飲はすっかり下がった。陰りのあった表情も明るくなり、話が終わるころには笑顔さえ見せた。
アリアは最後にこう言った。
「あなたにとって、この世界はどうですか?」
マナはその言葉に何の疑問も抱かずに、ただ胸の奥から湧いてくる清水のように濁りのない言葉を伝えた。
「とても、温かいです」
その時のアリアの微笑みは、マナの胸に深い郷愁をもたらす。
「また、いつでもいらっしゃい」
それはまるで母のように温かい言葉だった。
マナが薬学院の校舎を出る頃には、庭園に夕焼けが落ちていた。マナは名残惜しい気持ちがあって、校舎の三階の窓を見上げる。抱かれているメラメラは、キャンディーをお土産に貰って嬉しそうだった。
マナは誰も見ていないのならと、アリアの印象から受けた抑えきれない思いを声に出した。
「お母さん」
1
お気に入りに追加
332
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。
138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」
お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。
賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。
誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。
そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。
諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる