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最終話 幸せ全開です
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さて、結婚式当日。
「お、おかしくないかな」
「大丈夫ですよ」
ベルゼビュートに着替えを手伝ってもらった奏汰は、七五三になってないかと不安で仕方がない。が、ベルゼビュートはちゃんと男前ですよと励ましてくれる。そして、はいっと手鏡を渡してくれた。
「ああ、まあ、普段と髪型も違うから、なんとか」
前髪を上げてセットされた髪型を見て、奏汰は何とかなってるかと渋い顔。
でもさ、前々から思っていたけど、日本人ってタキシードが似合わないよね。身長がそれなりに高い人ならばまだしも、自分のように小柄な人は似合わないよね。
そう心の中で思ってしまう。
「奏汰、着替え終わったか」
と、そこにタキシードを完璧に着こなすルシファーが入ってきた。
くぅ、カッコイイ。
奏汰は月とすっぽんだとがっくり。
「な、なぜ落ち込むのだ」
「マリッジブルーでしょう」
「違う!」
ベルゼビュート、なぜそんな要らんところでボケるんだ!
奏汰はますますがっくり。
「おおっ、奏汰。今日は可愛いだけでなくかっこいいな」
と、そこにこちらも完璧な男、サタンがやってくる。
ダメだ。欧米人に近い彼らに純日本人の自分が太刀打ちできるはずがない。
ちなみにベルゼビュートもタキシードなのだが、こちらはカッコイイというより色気があった。
不思議なもんだ。やっぱりそこはサタンに愛されているからか。
じゃあ、俺にも色気が出てもおかしくないんだけどなあ。
奏汰は悩んでしまう。
「奏汰、俺様は奏汰のタキシード姿が好きだぞ!」
ようやくタキシードで悩んでいると気づいたルシファー、最大限にフォロー。奏汰は珍しい気遣いに苦笑し
「ありがと」
やっとショックから立ち直った。
まっ、ここは馬子にも衣装と開き直るしかないか。
「皆さま、来賓の方々が揃いました。会場へいらしてください」
わいわいやっていたら、ベヘモスが結婚式の準備が整ったと呼びに来た。それに奏汰とルシファーは自然に見つめ合い、笑ってしまう。
「幸せ全開だな」
「ええ」
「俺たちも式を挙げるか」
「遠慮します」
横でサタンとベルゼビュートがそう言い合うので、二人は照れてしまった。
「じゃあ」
「ああ」
先にサタンとベルゼビュートが来賓席に向うのを見送り、二人はもう一度見つめ合う。
「まさかここまで来るとは」
そしてルシファーは感慨深げに呟いた。それは奏汰だって同じだ。
「ベッドの中にお前が現われた時はどうなるかと思ったけど、でも、今は良かったって思ってる」
「奏汰っ!」
感激のあまりに抱きつくルシファーに、奏汰ははいはいと背中を叩く。そこにある翼が、自分とは違う存在だと教えてくるが、今はそれさえも嬉しく思ってしまう。
悪魔に選ばれた人間。
それだけ聞くと不幸まっしぐらみたいなのに、現実は真逆で幸せに満ちあふれている。
「行こう」
「うん」
二人は手を取り合い、会場へと向う。
バージンロードを歩く二人を、集まった悪魔たちが祝福してくれる。その中にはなんと、神の名代としてやってきたガブリエルの姿まであった。
「結婚、おめでとう。神のご加護があらんことを」
ガブリエルの言葉に、二人は思わずきょとんとし、そして笑ってしまう。
「神の加護がなくたって」
「幸せだもんねえ」
ルシファーと奏汰はそう言って笑い合うと、みんなが見守る中、誓いのキスを交わしたのだった。
「お、おかしくないかな」
「大丈夫ですよ」
ベルゼビュートに着替えを手伝ってもらった奏汰は、七五三になってないかと不安で仕方がない。が、ベルゼビュートはちゃんと男前ですよと励ましてくれる。そして、はいっと手鏡を渡してくれた。
「ああ、まあ、普段と髪型も違うから、なんとか」
前髪を上げてセットされた髪型を見て、奏汰は何とかなってるかと渋い顔。
でもさ、前々から思っていたけど、日本人ってタキシードが似合わないよね。身長がそれなりに高い人ならばまだしも、自分のように小柄な人は似合わないよね。
そう心の中で思ってしまう。
「奏汰、着替え終わったか」
と、そこにタキシードを完璧に着こなすルシファーが入ってきた。
くぅ、カッコイイ。
奏汰は月とすっぽんだとがっくり。
「な、なぜ落ち込むのだ」
「マリッジブルーでしょう」
「違う!」
ベルゼビュート、なぜそんな要らんところでボケるんだ!
奏汰はますますがっくり。
「おおっ、奏汰。今日は可愛いだけでなくかっこいいな」
と、そこにこちらも完璧な男、サタンがやってくる。
ダメだ。欧米人に近い彼らに純日本人の自分が太刀打ちできるはずがない。
ちなみにベルゼビュートもタキシードなのだが、こちらはカッコイイというより色気があった。
不思議なもんだ。やっぱりそこはサタンに愛されているからか。
じゃあ、俺にも色気が出てもおかしくないんだけどなあ。
奏汰は悩んでしまう。
「奏汰、俺様は奏汰のタキシード姿が好きだぞ!」
ようやくタキシードで悩んでいると気づいたルシファー、最大限にフォロー。奏汰は珍しい気遣いに苦笑し
「ありがと」
やっとショックから立ち直った。
まっ、ここは馬子にも衣装と開き直るしかないか。
「皆さま、来賓の方々が揃いました。会場へいらしてください」
わいわいやっていたら、ベヘモスが結婚式の準備が整ったと呼びに来た。それに奏汰とルシファーは自然に見つめ合い、笑ってしまう。
「幸せ全開だな」
「ええ」
「俺たちも式を挙げるか」
「遠慮します」
横でサタンとベルゼビュートがそう言い合うので、二人は照れてしまった。
「じゃあ」
「ああ」
先にサタンとベルゼビュートが来賓席に向うのを見送り、二人はもう一度見つめ合う。
「まさかここまで来るとは」
そしてルシファーは感慨深げに呟いた。それは奏汰だって同じだ。
「ベッドの中にお前が現われた時はどうなるかと思ったけど、でも、今は良かったって思ってる」
「奏汰っ!」
感激のあまりに抱きつくルシファーに、奏汰ははいはいと背中を叩く。そこにある翼が、自分とは違う存在だと教えてくるが、今はそれさえも嬉しく思ってしまう。
悪魔に選ばれた人間。
それだけ聞くと不幸まっしぐらみたいなのに、現実は真逆で幸せに満ちあふれている。
「行こう」
「うん」
二人は手を取り合い、会場へと向う。
バージンロードを歩く二人を、集まった悪魔たちが祝福してくれる。その中にはなんと、神の名代としてやってきたガブリエルの姿まであった。
「結婚、おめでとう。神のご加護があらんことを」
ガブリエルの言葉に、二人は思わずきょとんとし、そして笑ってしまう。
「神の加護がなくたって」
「幸せだもんねえ」
ルシファーと奏汰はそう言って笑い合うと、みんなが見守る中、誓いのキスを交わしたのだった。
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ありがとうございます(*´ω`*)
投稿してある55話まで、面白くて一気に読みました!
意外と抵抗なく?受け入れてる奏太とストレートに気持ちを伝えるルシファ可愛い💕
やっとここまで来ましたか(//∇//)
どこまで腐女子を楽しませてくださるか、楽しみにしてます〜笑笑
感想ありがとうございます♪
ツンツンしつつも流される奏汰と、ぐいぐい行きつつ一線は守るルシファーの二人の掛け合いを楽しんでくださり、嬉しいです(*´ω`*)
毎日更新してますので、また覗いてやってください♪
タイトルとあらすじに惹かれて読んでみたら、期待を裏切らず面白い!
飄々としてる悪魔さんと、目をつけられた大学生。
奏太が驚きつつも何気に普通に会話してるし(笑)。
ここからどう攻められてどう堕ちていくのか楽しみです。
ただ、行間が全く空いてないので文章が読みづらくて目が滑るのが難点。
会話の後とか場面転換の時だけでもいいから、ちょっと隙間が欲しい。
感想ありがとうございます(*´ω`*)
タフな奏汰とルシファーを今後も応援してください♪
行間に関しましては、改善に向けて善処いたします。しかし、他の作品の更新との兼ね合いがあるため、もうしばらくこのままお付き合い頂けると幸いです。