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第102話 火の国の王
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「モロク、抜け駆けとはいい度胸ですね」
いがみ合う二人に向けて、そう謎の声を掛けてくる奴がいた。二人の間からひょこっと顔を出して見ると、赤い髪に赤い瞳の青年がいた。モロクと対照的なその見た目に、奏汰はまたヤバそうだなと冷や汗。
「プルトン、貴様も来ていたのか」
「貴様も、とは何事ですか。ルシファーを選んでしまった後だから手出しは出来ないですが、その少年が甘美な存在であることは、悪魔全体の共通認識ですよ。どんな子か、見に来るのは当然でしょう」
プルトンと呼ばれた赤い青年は、ふんっと鼻を鳴らす。
いやいや、その共通認識が嫌すぎるんですけど。奏汰は溜め息。
「お前も来るとは、奏汰の魅力が凄すぎるのは俺様としては嬉しいが、複雑だ」
で、プルトンを見てルシファーも盛大な溜め息。
「久しぶりですね、ルシファー。行動力の早いあなたは、こういう子を見つけるのも早かったというわけですね」
対するプルトンはにこっと笑って、どこまでも礼儀的だ。モロクとは性格が大分違うらしい。
「あ、あの」
ともかくこの赤い人は誰と、奏汰はルシファーを突っつく。
「ああ、そうだった。こいつはプルトンといって、火の国の王なんて言われることもある、北側に領土を持つ男だ」
「ほ、ほう」
「初めまして、奏汰君。今後は何かとお付き合いがあるでしょう。よろしくお願いします」
プルトンは奏汰に向ってにこっと挨拶。その礼儀正しい姿は好ましいが、この人も隙があれば狙ってくるわけだよなと、奏汰は苦笑い。
と、考えるとモロクはサタンタイプ、プルトンはベルゼビュートタイプというわけか。
すでに身近にも似たような奴がいたかと、奏汰はさらに溜め息。
「しっかし、悪魔って見た目も色々だったんだ」
今まで身近にいた三人が割とイタリア人ぽかったものだから、アニメに出てくるような瞳や髪の持ち主がいたことに、今更驚いてしまう。
「まあ、こいつらは生粋の悪魔だからな。見た目は少し人間から遠ざかる」
「へえ」
感心している奏汰に、ルシファーがそう説明してくれて納得。なるほど、こちらは堕天使や過去に神だったわけではなく、マジモンの悪魔か。
「生粋と言われると不思議な感じがしますが、まあ、そんな感じですね」
プルトンはそう言って苦笑。
「ふん。堕天使なんていうふざけた奴らと一緒にするな」
でもってモロクは鼻を鳴らして反発的な態度だ。
なるほど、悪魔も生まれにそれぞれプライドがあったりなかったりするわけか。で、生粋の悪魔からすると、堕天使のくせに上位にいるルシファーがムカつくと。難しいな。
「でも、二人はサタンを認めているんだよね」
しかし、そのサタンも堕天使じゃなかったっけと、奏汰は思わず確認。
「サタン王を認めているのは当然でしょう」
「そうだ。唯一、あの神という言葉で定義される存在に対をなせる存在だ」
そんな奏汰の確認に、プルトンとモロクは性格の表われる言い方で同意するのだった。
いがみ合う二人に向けて、そう謎の声を掛けてくる奴がいた。二人の間からひょこっと顔を出して見ると、赤い髪に赤い瞳の青年がいた。モロクと対照的なその見た目に、奏汰はまたヤバそうだなと冷や汗。
「プルトン、貴様も来ていたのか」
「貴様も、とは何事ですか。ルシファーを選んでしまった後だから手出しは出来ないですが、その少年が甘美な存在であることは、悪魔全体の共通認識ですよ。どんな子か、見に来るのは当然でしょう」
プルトンと呼ばれた赤い青年は、ふんっと鼻を鳴らす。
いやいや、その共通認識が嫌すぎるんですけど。奏汰は溜め息。
「お前も来るとは、奏汰の魅力が凄すぎるのは俺様としては嬉しいが、複雑だ」
で、プルトンを見てルシファーも盛大な溜め息。
「久しぶりですね、ルシファー。行動力の早いあなたは、こういう子を見つけるのも早かったというわけですね」
対するプルトンはにこっと笑って、どこまでも礼儀的だ。モロクとは性格が大分違うらしい。
「あ、あの」
ともかくこの赤い人は誰と、奏汰はルシファーを突っつく。
「ああ、そうだった。こいつはプルトンといって、火の国の王なんて言われることもある、北側に領土を持つ男だ」
「ほ、ほう」
「初めまして、奏汰君。今後は何かとお付き合いがあるでしょう。よろしくお願いします」
プルトンは奏汰に向ってにこっと挨拶。その礼儀正しい姿は好ましいが、この人も隙があれば狙ってくるわけだよなと、奏汰は苦笑い。
と、考えるとモロクはサタンタイプ、プルトンはベルゼビュートタイプというわけか。
すでに身近にも似たような奴がいたかと、奏汰はさらに溜め息。
「しっかし、悪魔って見た目も色々だったんだ」
今まで身近にいた三人が割とイタリア人ぽかったものだから、アニメに出てくるような瞳や髪の持ち主がいたことに、今更驚いてしまう。
「まあ、こいつらは生粋の悪魔だからな。見た目は少し人間から遠ざかる」
「へえ」
感心している奏汰に、ルシファーがそう説明してくれて納得。なるほど、こちらは堕天使や過去に神だったわけではなく、マジモンの悪魔か。
「生粋と言われると不思議な感じがしますが、まあ、そんな感じですね」
プルトンはそう言って苦笑。
「ふん。堕天使なんていうふざけた奴らと一緒にするな」
でもってモロクは鼻を鳴らして反発的な態度だ。
なるほど、悪魔も生まれにそれぞれプライドがあったりなかったりするわけか。で、生粋の悪魔からすると、堕天使のくせに上位にいるルシファーがムカつくと。難しいな。
「でも、二人はサタンを認めているんだよね」
しかし、そのサタンも堕天使じゃなかったっけと、奏汰は思わず確認。
「サタン王を認めているのは当然でしょう」
「そうだ。唯一、あの神という言葉で定義される存在に対をなせる存在だ」
そんな奏汰の確認に、プルトンとモロクは性格の表われる言い方で同意するのだった。
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