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第67話 また唐突だなあ

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 それから一週間後。奏汰はようやく実験室で実験に勤しむことが出来るようになっていた。
「しかし、ドラゴンの卵の成分かあ。どっから手を付けるかな」
 その合間に、奏汰は身体の暴走の原因となった卵について悩む。
 異常なまでの性欲を実現する成分だぞ。
 人間界に渡ったら大変なことになるなぁ。イコール人間界にはまだ存在していない成分ってことだよなぁ。
 まずはそこで悩む。
「勃起という点だけを考えると、バイアグラとか。でも、あれって高血圧の薬を作ってて、たまたま出来たんじゃなかったっけ?」
 ううむと悩むも、何一つ閃かない。
 ついでにそんな媚薬を作りたいか? と悩む。
「ま、まぁ、ルシファーの性欲に付き合うとなるとなぁ」
 あってもいいかも、とは思う。
 が、すでに一回の誤使用で奏汰のアレは十分に敏感になってしまっている。枯渇の心配もなさそうな絶倫ぶりをはっきりしている。
 正直、これ以上の性欲は要らない。
「まあ、成分が気になるのも事実」
 と、別の実験に取り掛かりつつも悶々としてしまう。
 ああもう、魔界ってやっぱり変だよなあ。
「やれやれ」
 奏汰がそう溜め息を吐いていると、実験室のドアがノックされた。
「入っていいよ」
 実験中は危険な場合があるからノックで報せてから開けるよう、ルシファーには口酸っぱく注意していた。というわけで、許可するとルシファーがいそいそと入ってくる。
「この部屋、変な匂いがするな」
 で、ルシファー、入ってきて第一声がそれか。
「薬品を使うからどうしても匂いが出るんだよ。これでも大学に比べたらマシだ」
 奏汰は大学なんて他にも実験室があるから大変な匂いだよと苦笑してしまう。
「ううむ。人間は変なところで我慢強いよなあ。あっ、それよりも奏汰。実験が終わったら遠出しないか」
「え?」
 また唐突だなあと奏汰は呆れる。しかし遠出か。
 思えば魔界に来て一か月ほど経つのに、未だルシファーの屋敷以外ではサタン城か下の繁華街の一部しか行ったことがない。
 しかも、一度家出して悪魔たちに襲われそうになって以来、外出そのものをしていなかった。
 だって、この屋敷で全部賄えちゃうからなあ。わざわざ危険のある場所に行く気にもならないし。
 でも、ルシファーと一緒ならば大丈夫だ。こう見えてもルシファー、魔界ナンバー3。刃向かえる悪魔はいない。
「もう今日の分の実験は終わってるよ。どこに行くんだ?」
 というわけで、奏汰はもう出掛けられるよとオッケーした。するとルシファーは満面の笑みだ。
「俺様がやっているリゾートホテル」
「いや、お前、ホテル経営までやってたのかよ。っていうか、それって健全なホテルだろうな」
 告げられた場所に奏汰は色々とツッコみ。
「健全だよ。まあ、客室で何やってても文句は言わないってのはお約束だろ」
「ま、まあね」
 旅行先で気分が高まってやる人は多いよね。と奏汰は顔を真っ赤にする。
「海があるんだ。行こう」
 ルシファーは奏汰の手を引っ張り、出掛けるぞ~と元気いっぱいだ。
 こうして二人は初めてのお泊まりデートへと向うことになったのだった。
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