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第39話 非常にヤバい
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「つまり、お嬢様は総てを理解したうえで、今回のお見合い騒動を起こしたってわけか」
暁良からの報告に、なるほどねぇと翔摩は溜め息。横にいた祐弥もマジかよという顔。
「そう。どうやら二人が対決状態にあるのが良くないと、政治家たちも思っていたらしいんだ。そこでお嬢様は一計を案じたわけだよ。自分もそろそろ結婚適齢期だし、ここは天才のどっちかを婿に貰っちゃおう。ついでにこの対立関係も解消しちゃおうって」
「男前な発想だな。ってか、昔から女は強かったけど、ここ最近ではマジで強いよな」
佑弥、ついにそんな結論に達してしまっている。まあ、説明している暁良だってそう思うのだから、もはや疑う余地のない事実だ。っていうか、この大学にいる女性、大体強いし。
「はあ。つまり結婚を回避する方法はないんだ」
だが、翔摩の呟きでそうだったと二人は固まる。
まだ路人が帰ってきていない研究室。そこで三人は穗乃花の情報を共有していたわけだが、この最大の問題は解決されないじゃないかと気づく。そして、その問題をクリアしないことには、果たし合いまでやる意味もないのではとも思う。
だって、いがみ合っていようと仕事はしているわけで、大学的には問題ないのだ。礼詞のポンコツ具合が少し上がったとしても、路人がいるからいいよねで終わる話だったのだ。
もちろん路人は何でも俺に押しつけるなと納得していないが、それでも、ここまで大騒ぎする問題ではなかった。
「まあ、一色先生が結婚すれば」
「なんでだよ、赤松だろ。穗乃花お嬢様、あの融通の利かないところが可愛いって言ってたぜ」
さっさと路人に押しつけようとする佑弥に対し、違うだろと暁良は指摘。
「なんだよ。清々しいほどに頭がいいって褒めてるんだ。遺伝子的にも優秀な一色先生の方がいいに決まってるだろ」
しかし、そんなわけあるかと佑弥から反論を食らう。
「まあ、確かに、客観的に話を聞く限り、お嬢様としては路人さんが良さそうだよなあ」
さらに翔摩までそんなことを言うので
「お前、どっちの味方だよ」
暁良は脱力しそうになった。だが
「そうか。お嬢様も俺より路人が優秀だと知っているんだな」
という呟きが聞こえて背筋が凍る。それは他の二人も同じで、恐る恐る後ろを振り返った。
「あ、赤松先生」
そこには書類を抱えたまま項垂れる礼詞の姿が。拙い。どこから聞かれていたのか解らないが、非常に拙い。
「あ、あの」
「解ってる。俺は路人の足元にも及ばない。たまたま同い年でここに入学出来ただけで、後はずっとおまけだったんだ」
「・・・・・・」
ヤバい。自信喪失がついにそんなところまで来ている。
三人は礼詞の呟きにフリーズだ。
「それでも、追いつこうと頑張っていたのに。俺は、どこまで頑張っても」
そこでぐしゃっと書類を握り締める礼詞に、三人はどうしようと顔を見合わせる。ええっと、誰か慰められる人!
しかし、三人にはそんな天才レベルの悩みに乗れる頭脳がないわけで、困惑することしか出来ない。
「あいつはいつも俺の先にいて、それでいて、努力もしていたなんて」
ずど~ん。
そんな効果音が聞こえて来そうなほど、礼詞は項垂れている。
ど、どうする、どうすればいい。
「おい、邪魔だ!」
そこに問題の路人が帰ってきて、三人はいよいよヤバいとさらにフリーズしてしまうのだった。
暁良からの報告に、なるほどねぇと翔摩は溜め息。横にいた祐弥もマジかよという顔。
「そう。どうやら二人が対決状態にあるのが良くないと、政治家たちも思っていたらしいんだ。そこでお嬢様は一計を案じたわけだよ。自分もそろそろ結婚適齢期だし、ここは天才のどっちかを婿に貰っちゃおう。ついでにこの対立関係も解消しちゃおうって」
「男前な発想だな。ってか、昔から女は強かったけど、ここ最近ではマジで強いよな」
佑弥、ついにそんな結論に達してしまっている。まあ、説明している暁良だってそう思うのだから、もはや疑う余地のない事実だ。っていうか、この大学にいる女性、大体強いし。
「はあ。つまり結婚を回避する方法はないんだ」
だが、翔摩の呟きでそうだったと二人は固まる。
まだ路人が帰ってきていない研究室。そこで三人は穗乃花の情報を共有していたわけだが、この最大の問題は解決されないじゃないかと気づく。そして、その問題をクリアしないことには、果たし合いまでやる意味もないのではとも思う。
だって、いがみ合っていようと仕事はしているわけで、大学的には問題ないのだ。礼詞のポンコツ具合が少し上がったとしても、路人がいるからいいよねで終わる話だったのだ。
もちろん路人は何でも俺に押しつけるなと納得していないが、それでも、ここまで大騒ぎする問題ではなかった。
「まあ、一色先生が結婚すれば」
「なんでだよ、赤松だろ。穗乃花お嬢様、あの融通の利かないところが可愛いって言ってたぜ」
さっさと路人に押しつけようとする佑弥に対し、違うだろと暁良は指摘。
「なんだよ。清々しいほどに頭がいいって褒めてるんだ。遺伝子的にも優秀な一色先生の方がいいに決まってるだろ」
しかし、そんなわけあるかと佑弥から反論を食らう。
「まあ、確かに、客観的に話を聞く限り、お嬢様としては路人さんが良さそうだよなあ」
さらに翔摩までそんなことを言うので
「お前、どっちの味方だよ」
暁良は脱力しそうになった。だが
「そうか。お嬢様も俺より路人が優秀だと知っているんだな」
という呟きが聞こえて背筋が凍る。それは他の二人も同じで、恐る恐る後ろを振り返った。
「あ、赤松先生」
そこには書類を抱えたまま項垂れる礼詞の姿が。拙い。どこから聞かれていたのか解らないが、非常に拙い。
「あ、あの」
「解ってる。俺は路人の足元にも及ばない。たまたま同い年でここに入学出来ただけで、後はずっとおまけだったんだ」
「・・・・・・」
ヤバい。自信喪失がついにそんなところまで来ている。
三人は礼詞の呟きにフリーズだ。
「それでも、追いつこうと頑張っていたのに。俺は、どこまで頑張っても」
そこでぐしゃっと書類を握り締める礼詞に、三人はどうしようと顔を見合わせる。ええっと、誰か慰められる人!
しかし、三人にはそんな天才レベルの悩みに乗れる頭脳がないわけで、困惑することしか出来ない。
「あいつはいつも俺の先にいて、それでいて、努力もしていたなんて」
ずど~ん。
そんな効果音が聞こえて来そうなほど、礼詞は項垂れている。
ど、どうする、どうすればいい。
「おい、邪魔だ!」
そこに問題の路人が帰ってきて、三人はいよいよヤバいとさらにフリーズしてしまうのだった。
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