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しおりを挟む「半吉、明かり点けてくれ」
カッカと火打ち石の音がし、小ぶりなランタンに火が灯る。
「灯を点けたら誰かに見つかるんじゃないか?」
「どうせ今夜は誰も外を見ない。それに見つかったとして追いかけてきやしないよ」
あんな迷信を信じてるんだから、と、どこか嘲りの混じった声で答える。
「流石に気味が悪いな。昼間は結構人がいるのに」
仲間のひとりが真っ暗な森をぐるりと見渡す。
よく手入れされたこの森と社は、昼間は子供たちの遊び場にもなるほど日が入る。
風通しの良い場所なのに、今はどうしてか、じっとりと重苦しい空気が充満しているような気がした。きっと、先日まで続いた長雨と、星ひとつない闇夜のせいだろう。
小道を辿って社までやってくる。よく知った場所なので然程怖いということもない。
初めは恐る恐る、という様子だった一行も、何も起きない事ですっかり気が大きくなっていた。
「やっぱり何もない」
「そりゃそうだ。今時あんな迷信」
「散々怖い顔で言ってきたくせにな」
先程まで身構えていた自分を誤魔化すように、皆の口数が増える。
きっと、暗いところに行くと危ないよ、と子供に言い聞かせる為の作り話なのだと笑い飛ばす。
その刹那――
「ううっ」
仲間のひとりが唐突に蹲った。
普段は調子者の少年で、始めは悪ふざけかと思った。
しかし、夜の闇よりも濃い、黒い影が彼の体に纏わりついて今るのを見た時、少年達の背筋が一瞬にして凍りついた。
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